サイバー攻撃は年々巧妙になり、クラウドへの移行も進むなかで、システムを守るセキュリティエンジニアの需要が高まっています。
この記事では、仕事内容・年収・必要なスキルや資格、そして目指す方法までを、厚生労働省や経済産業省などの公的データをもとにわかりやすくまとめています。
日本で働きたい外国籍エンジニアや、他分野からキャリアチェンジを考えている方にも役立つ内容です。
- セキュリティエンジニアの仕事内容・年収・将来性の全体像(公的データに基づく)について
- 必要なスキルや資格と、未経験・他分野から目指す方法について
- 外国籍エンジニアが日本で働くための在留資格・日本語・英語のポイントについて
1. セキュリティエンジニアとは|役割と類似職種との違い

セキュリティエンジニアは、システムやネットワークをサイバー攻撃から守るITエンジニアです。まずは公的な定義と、混同されやすい職種との違いを整理します。
セキュリティエンジニアの定義
厚生労働省の職業情報提供サイト(job tag)では、この職種を「セキュリティエキスパート(オペレーション)」として紹介しています。
仕事の中心は、情報システムやネットワークを常に監視し、攻撃や不正アクセスから守り、問題が起きたときに対応することです。
守る対象はWebサイトだけでなく、サーバーやパソコン、スマートフォン、IoT機器まで幅広く、金融・交通・医療・工場などさまざまなシステムが含まれます。
出典:厚生労働省 job tag セキュリティエキスパート(オペレーション)
ネットワークエンジニア・インフラエンジニアとの違い
ネットワークエンジニアやインフラエンジニアが「つなげる・安定して動かす」ことを主な目的とするのに対し、セキュリティエンジニアは「守る」ことが主な目的です。
必要な知識は重なる部分が多く、インフラの経験はセキュリティ分野への大きな近道になります。
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セキュリティの土台となるインフラ領域は、クラウドへの移行が進み求められるスキルも変化しています。
インフラエンジニアとクラウドエンジニアの役割やスキル、将来性の違いを整理した記事もあわせて読むと、これまでの経験をどうセキュリティにつなげるかが見えてきます。
詳しくはこちらの記事をどうぞ。
ホワイトハッカー・セキュリティコンサルタントとの違い
ホワイトハッカーは、攻撃者の視点で弱点を突く技術を専門にする職種で、セキュリティエンジニアの業務の一部(脆弱性診断・ペネトレーションテスト)と重なります。
一方、セキュリティコンサルタントは経営層に近い立場で、リスクの評価やルールづくりを担います。セキュリティエンジニアは、その中間で設計から運用までを実際に手がける職種といえます。
2. セキュリティエンジニアの仕事内容|5つの実務工程

セキュリティエンジニアの仕事は、システム開発と同じように企画から運用までの流れで進みます。
ここでは代表的な5つの工程と、現場での役割分担を紹介します。
1. 企画・提案
顧客や自社のシステムにどんなリスクがあるかを分析し、必要な対策の方針を決めます。予算や運用体制も踏まえて、どこをどこまで守るかを決める、いちばん上流の工程です。
2. 設計
企画で決めた方針をもとに、ファイアウォールやIDS/IPS(不正侵入検知・防止システム)、認証の仕組みなどを具体的な形にします。運用時にどこを監視し、どんなときにアラートを出すかも、この段階で設計します。
3. 実装
設計にそって、セキュリティ機器やソフトウェアを導入・設定します。
既存システムへの機器導入だけなら短期間で終わることもありますが、海外にも展開する顧客の場合は、各国の法制度との調整に時間がかかることもあります。
4. テスト(脆弱性診断・ペネトレーションテスト)
作ったシステムに弱点がないかを確かめます。ツールでもれなく弱点を洗い出す脆弱性診断と、実際に攻撃を試して防御を確認するペネトレーションテストが代表的です。
5. 運用・保守(SOC・CSIRT)
SOC(Security Operation Center)でログを常に監視し、あやしい動きを見つけたら分析・報告します。
実際にインシデントが起きたときは、CSIRT(インシデント対応チーム)と連携して、原因の特定・復旧・関係者への連絡を行います。
job tagの調査でも、インシデント時のチームへの連絡や状況説明が、重要なタスクとして挙げられています。
攻撃側(レッドチーム)と防御側(ブルーチーム)
実務は、攻撃者の視点で弱点を確かめるレッドチームと、監視・防御を担うブルーチームに大きく分けられます。
脆弱性診断やペネトレーションテストは攻撃側、SOC監視やインシデント対応は防御側にあたり、どちらから経験を積むかでキャリアの方向性が変わってきます。
3. セキュリティエンジニアの年収|公的データで見る相場
セキュリティエンジニアの年収は、スキルレベルや経験によって幅があります。厚生労働省の公的データをもとに、相場を見ていきます。
平均年収と全国水準
job tag(令和7年賃金構造基本統計調査をもとに作成)によると、セキュリティエキスパート(オペレーション)の全国平均年収は約609.8万円、平均年齢は42.2歳です。
国税庁の調査による給与所得者全体の平均(約460万円)を上回っています。就業者数は全国で約20.7万人(令和2年国勢調査)と推計されています。
スキルレベル(ITSS)別の年収
年収は、ITスキル標準(ITSS)のレベルによって大きく変わります。レベル別の目安は次のとおりで、上位レベルでは1,000万円台に届きます。

※金額は第一四分位から第三四分位の範囲を表します。
雇用形態と働き方の傾向
就業形態は、正社員が71.4%と大半を占めます。システムを24時間365日監視するため、勤務は2交代・3交代の交代制が一般的です。
大規模なSOCでは、時差のある拠点をつないで監視をリレーする運用を取り入れる企業もあります。
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セキュリティエンジニアの年収は高水準ですが、エンジニア全体の給与相場や年収を上げる方法を知っておくと、自分の市場価値を客観的に見極めやすくなります。
日本のエンジニアの平均年収の実態と、収入アップにつながる具体的な方法をまとめた記事もぜひ参考にしてください。
詳しくはこちらの記事をどうぞ。
4. セキュリティエンジニアの需要と将来性

人材不足が続くなかで、セキュリティエンジニアの需要は高い状態が続いています。公的データから将来性を確認します。
有効求人倍率と人材不足の現状
job tagによると、セキュリティエキスパート(オペレーション)の有効求人倍率は2.73(令和6年度)で、1人の求職者に対して複数の求人がある売り手市場です。
job tagの解説でも、新しい脅威が次々と生まれるなかでセキュリティ人材は常に不足しており、その不足を補うためにAIを活用する動きも出ていると触れられています。
2030年に向けたIT人材不足
経済産業省の「IT人材需給に関する調査」では、2030年にIT人材が最大で約79万人不足すると試算されています。なかでもセキュリティを含む先端IT人材は不足の幅が大きく、今後も不足が続く見通しです。
現在の求人倍率の高さと、この2030年時点の先端IT人材不足を重ね合わせると、セキュリティ人材は短期・中長期の両面で不足が続く見通しであることがわかります。
この不足を補う担い手として、国内で働く外国籍エンジニアへの期待も高まっています。
■需要が高いいま、自分の市場価値を客観的に知る
セキュリティ分野の需要が高いいま、「自分の経験やスキルが日本の市場でどれくらい評価されるのか」を知ることは、キャリアを考える第一歩です。
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5. セキュリティエンジニアに必要なスキルと適性

セキュリティエンジニアには、幅広い技術知識に加えて、リスクをわかりやすく伝える力が求められます。
技術スキル
OSやネットワークの基礎知識に加え、クラウド(AWS・Azureなど)のセキュリティ、脆弱性診断、ログ分析のスキルが土台になります。
攻撃の仕組みを理解して安全なコードを書くセキュアプログラミングや、SIEMなどの監視システムを扱う力も、現場で重視されます。
ヒューマンスキル(コミュニケーション・倫理観)
重要な情報を扱う仕事のため、高い倫理観は欠かせません。あわせて、セキュリティに詳しくない経営層や利用者に、リスクと対応をわかりやすく伝える力も必要です。
job tagのスキル評価でも、読解力・傾聴力・説明力といった項目が高く求められると示されています。
向いている人の特徴
新しい脅威や技術を学び続けられること、地道な監視や分析をていねいにこなせること、インシデント時にも落ち着いて対応できる責任感。こうした点が、この職種に向いている人の共通点です。
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セキュリティエンジニアのキャリアは、SOCの責任者や専門家、コンサルタントなど多方向に広がります。
IT職種全体のキャリアパスとロードマップを俯瞰しておくと、セキュリティ分野での次のステップも描きやすくなります。
職種別に整理した記事もあわせてどうぞ。詳しくはこちらの記事へ。
6. セキュリティエンジニアが「つらい」と言われる理由とやりがい
検索では「セキュリティエンジニア つらい」といった声も見られます。その理由と、それを上回るやりがいの両面を見ておきましょう。
つらいと言われる理由
24時間365日の監視を交代制で担うため、勤務時間が不規則になりやすい点が挙げられます。
さらに、インシデントはいつ起きるか読めず、すばやい対応と説明が求められること、人材不足による業務量の多さも、「つらい」と言われる理由です。
裏を返せば、体制が整った企業を選ぶことで、こうした負担は大きく変わります。
それを上回るやりがい
社会インフラや企業の大切な情報を守るという使命感は、この職種ならではの手応えです。
job tagの調査でも、専門性・自己成長・社会貢献といった面で満足度が高いと示されています。需要と年収の水準が高く、働き続けやすい安定性がある点も魅力です。
7. セキュリティエンジニアに役立つ資格

セキュリティエンジニアに必須の資格はありませんが、知識の証明として資格が評価される場面は多くあります。国家資格から国際資格まで整理します。
国家資格
代表的なのが、IPA(情報処理推進機構)が実施する情報処理安全確保支援士(登録セキスペ)で、サイバーセキュリティ分野で唯一の国家資格です。
リスクの分析・評価やインシデント管理の力が問われます。入門〜中級では、情報セキュリティマネジメント試験、基本情報技術者試験、応用情報技術者試験がよく選ばれます。
ベンダー資格・国際資格
ネットワーク分野ではCisco技術者認定(CCNA/CCNP Security)、基礎から国際的に通用する資格としてCompTIA Security+があります。
上位のマネジメント層を目指すなら、国際資格のCISSPやCISMが評価されます。国際資格は海外でも通用するため、外国籍エンジニアが日本と母国の両方でキャリアを築くうえでも役立ちます。
8. セキュリティエンジニアになる方法とキャリアパス
完全な未経験からいきなり就くのは難しい職種ですが、他分野のエンジニア経験を土台にすれば、現実的なルートが見えてきます。
他分野のエンジニアからの転向ルート
job tagによると、新卒採用以外では、同業他社やセキュリティ関連のソフトウェア開発会社など、関連する業界からの転職や、システムを設計するエンジニア・プログラマーからの転職が一般的です。
インフラ(サーバー・ネットワーク)や開発の経験は、そのままセキュリティ分野の強みになります。
学習方法
資格取得を目標に基礎知識を固めながら、実機演習で手を動かすのが効果的です。攻撃側と防御側に分かれて実践的に学ぶワークショップも、現場で広く行われています。
キャリアパス
入職後はOJTで経験を積み、一人前とみなされるまでには3年ほどが目安です。
その後は、監視チームのリーダーやSOCの責任者(マネージャー)に進む道のほか、セキュリティの専門家としてメーカーへ転職したり、コンサルタントを目指したりと、選択肢が広がります。
9. 外国籍エンジニアが日本でセキュリティエンジニアとして働くには

日本のセキュリティ人材不足を背景に、外国籍エンジニアが活躍できる場は広がっています。
在留資格・日本語・英語という3つの視点から、日本で働くためのポイントを整理します。なお在留資格の可否は一人ひとりの状況で変わるため、最新情報は必ず出入国在留管理庁で確認してください。
在留資格(技術・人文知識・国際業務)
ITエンジニアが日本で働くときの代表的な在留資格が「技術・人文知識・国際業務」で、システムエンジニアなどの技術職はこの「技術」にあたります。
取得には、大学卒業(母国・日本を問わず)または日本の専門学校卒業(専門士)などの学歴か、一定の実務経験が必要で、業務内容との関連性も求められます。
在留期間は5年・3年・1年・3か月のいずれかです。この在留資格を持つ人は年々増えており、日本がIT人材を受け入れていることがわかります。
出典:出入国在留管理庁 在留資格「技術・人文知識・国際業務」
求められる日本語レベルの目安
エンジニアの技術職は、翻訳・通訳のように言語そのものを使う仕事とは違い、特定の日本語資格が一律に必須というわけではありません。
ただし実務では、インシデント報告や顧客への説明、社内ドキュメントやルールの読み込みが日本語で行われる職場が多く、目安としてJLPT・N2程度の日本語力が歓迎されることが多いです。
日本語力は、任される仕事の幅や評価にそのままつながる強みになります。
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実務ではインシデント報告や社内ドキュメントの読み込みなど、日本語力が任される仕事の幅に直結します。
目安とされるJLPT・N2の難易度や合格率、キャリアへの活かし方を知っておくと学習計画を立てやすくなります。
エンジニア視点でN2を解説した記事もあわせてどうぞ。詳しくはこちらの記事へ。
英語が強みになる環境
外資系企業や、世界各地にSOCを持つ企業では、英語を中心に業務が進む環境もあります。
job tagでも、時差のある拠点が連携して24時間監視する「Follow the Sun」型の運用が紹介されており、こうした現場では英語や多言語に対応できる人材の需要が高い傾向です。
実際、job tagの公的なスキル指標でも、この職種は「外国語を読む」力が他職種の平均を大きく上回る水準で求められると示されています。
英語力は“あれば有利”という以上に、グローバルな監視体制では中核的な戦力になり得ます。
国籍・在留要件に注意が必要な領域
政府機関や防衛、重要インフラに関わる案件では、国籍要件や在留資格の制限が設けられていることがあります。
応募の前に募集要項の条件を確認し、わからない点は採用担当者や専門家に相談すると安心です。
■日本でセキュリティエンジニアとして働く一歩を踏み出す
在留資格や日本語・英語の要件を押さえたら、次は自分に合った求人を探す段階です。
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よくある質問
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文系出身でもセキュリティエンジニアになれますか?
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なれます。理工系出身の人が多い職種ですが、必須ではありません。
ネットワークやOSの基礎から学び、資格で知識を整理していけば、文系出身でも十分に目指せます。
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セキュリティエンジニアにプログラミングスキルは必須ですか?
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高度な開発力が全員に必須というわけではありませんが、攻撃の仕組みを理解し安全なコードを書くセキュアプログラミングの知識は現場で役立ちます。
まずはネットワークやOSの基礎を固め、必要に応じてスクリプトを読み書きできる程度から始めると無理がありません。
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独学でもセキュリティエンジニアを目指せますか?
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書籍や資格学習で基礎を固めることは独学でも可能です。
ただし実務では手を動かす経験が重視されるため、仮想環境での実機演習や勉強会・ワークショップへの参加を組み合わせると、独学の弱点を補いやすくなります。
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どの資格から取得するのがおすすめですか?
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基礎固めには情報セキュリティマネジメント試験や基本情報技術者試験、専門性を示すには国家資格の情報処理安全確保支援士が定番です。
国際的に働きたい場合は、CompTIA Security+やCISSPも役立ちます。自分のレベルに合わせて、基礎→専門の順で段階的に進めるとよいでしょう。
まとめ|セキュリティエンジニアを目指すために

セキュリティエンジニアは、システムを攻撃から守る専門職で、需要も年収水準も高いのが特徴です。
job tagの平均年収は約609.8万円、有効求人倍率は2.73にのぼります。企画から運用までの5つの工程を担い、技術力と、倫理観・説明力の両方が求められます。
他分野の経験を土台に資格取得と実践的な学習を重ねること、外国籍の方は在留資格と日本語・英語力を整えることが、日本で活躍するための近道です。