外国籍エンジニア向け、履歴書作成のポイントをご紹介。
日本での転職を考える外国籍エンジニアにとって、履歴書の作成は最初の重要なステップとなります。日本独自の形式や文化的な配慮が必要な履歴書は、多くの方にとって悩みの種かもしれません。
この記事では、外国籍エンジニアの方が知っておくべき履歴書作成のポイントを、実践的なアドバイスとともに解説します。
※この記事の英語版をお読みになりたい方は、こちらになります。(Read this article in English, please click here!)
- 日本の履歴書における必須項目と外国籍エンジニアならではの記載のポイント
- エンジニアの技術力と日本企業の文化的な要素をバランスよく伝える方法
- よくあるミスと対策、および採用担当者に好印象を与える具体的な記載例
1.外国籍エンジニアが知っておくべき日本の転職で必要な履歴書と職務経歴書

日本での転職活動において、外国籍エンジニアが最初に直面する課題の一つが、日本独自の応募書類の作成です。
特に重要となるのが「履歴書」と「職務経歴書」の2種類の書類です。
転職に必要な履歴書とは?
履歴書は、応募者の基本情報と経歴を簡潔にまとめた重要な文書です。日本の履歴書は独特の特徴を持っており、決められたフォーマットに従って記入する必要があります。
また、写真の添付が必須となっているほか、学歴・職歴を時系列で記載し、住所や連絡先といった基本的な個人情報を詳細に記入することが求められます。さらに、保有する資格や特技なども含める必要があります。
企業の採用担当者にとって、履歴書はあなたの第一印象を形成する重要な書類となるため、日本の慣習に沿って正確な情報を適切に記載することが不可欠です。
転職に必要な職務経歴書とは?
職務経歴書は、あなたの職務経験やスキルを詳細に説明する重要な文書です。エンジニアの場合、これまで携わったプロジェクトの詳細や、使用した技術スタックや開発環境について具体的に記載します。
そのプロジェクトでのチーム規模や自身の役割、具体的な成果や貢献についても明確に示すことが重要です。
さらに、エンジニアとしての専門性や強みを効果的にアピールすることで、採用担当者に自身の技術力をより深く理解してもらうことができます。
■職務経歴書については、以下をご覧ください!
2.外国籍エンジニアのための履歴書作成ポイント

日本の文化に適応可能をアピール
日本企業では、技術力だけでなく文化的な適応能力も重要な評価ポイントとなります。まず、日本語学習への積極的な取り組みを具体的に記載することで、コミュニケーションへの意欲を示すことができます。
また、日本での就業経験や留学経験があれば、それらの経験を通じて得た日本文化への理解や適応能力をアピールしましょう。
日本企業でのインターンシップ経験も、日本の職場環境への順応性を示す重要な要素となります。
自由記述欄の文章を長くしすぎない
履歴書の自由記述欄、特に特技やPR欄では、簡潔かつ的確な記載を心がけることが重要です。
一つの項目について2〜3行程度を目安とし、冗長な説明は避けましょう。記載内容は具体的な事実に基づいたものとし、抽象的な表現は極力控えめにします。
文章は箇条書きではなく、適切な接続詞を用いて流れのある文章として記載します。また、専門用語の使用は必要最小限に抑え、採用担当者が理解しやすい表現を心がけましょう。
なぜ日本で働きたいか記載する
日本企業への就職を希望する理由は、具体的かつ説得力のある内容で記載することが重要です。
日本のIT技術への関心について、具体的な技術分野や企業の取り組みを例に挙げて説明することで、より深い理解を示すことができます。
また、自身のキャリア目標と日本企業での就業がどのように結びつくのかを明確に説明し、日本の企業文化への理解と共感を示すことで、より具体的な印象を与えることができます。
3.外国籍エンジニアのための履歴書作成のポイント|基本情報編
①写真選びのコツ

履歴書用の写真は、スーツを着用した証明写真を使用することが基本です。撮影は3ヶ月以内のものを選び、背景は白または薄い色のものを使用します。
撮影時は正面を向き、自然な表情で写るよう心がけましょう。これらの要素は、第一印象を大きく左右する重要なポイントとなります。
②履歴書の提出日

履歴書には実際に提出する日付を記入します。日本の履歴書では西暦ではなく和暦での記載が一般的です。
なお、作成日から提出日までは3ヶ月以内であることが望ましく、それを超える場合は作り直すことをお勧めします。
③氏名

氏名欄にはフルネームをカタカナで記載します。必要に応じてアルファベット表記を併記することも可能です。また、日本企業での取り扱いを考慮し、氏名の読み方をひらがなで記載することも重要です。
④国籍

国籍は正式な国名を記載します。略称は使用せず、日本語での正式表記を用いることが求められます。これは入社後の手続きなどでも使用される重要な情報となります。
⑤生年月日・年齢

生年月日は西暦で記載します。年齢については履歴書提出時点での満年齢を記入します。この情報は visa 申請などの手続きにも使用されるため、正確な記載が必要です。
⑥性別

性別欄には戸籍上の性別を記載し、該当する方に丸をつけます。これは公式書類として使用されることを考慮した対応となります。
⑦現住所

日本国内の住所は郵便番号から始めて記載します。建物名やアパート名も省略せずに正確に記入しましょう。必要に応じてローマ字表記を併記することも可能です。
⑧電話番号

電話番号は常に連絡が取れる番号を記載します。国際電話番号の場合は国番号も忘れずに記載しましょう。複数の連絡先を記載する場合は、優先順位を明確にすることが望ましいです。
⑨メールアドレス

メールアドレスは、ビジネス用の適切なものを使用します。アドレスは簡潔で分かりやすいものを選び、ミスがないか必ず確認しましょう。
⑩連絡先

連絡先は現住所と異なる場合のみ記載が必要です。一時帰国中の場合はその旨を明記し、確実に連絡が取れる方法を具体的に記載することが重要です。
4.外国籍エンジニアのための履歴書作成のポイント|学歴・職歴編
学歴

学歴は最終学歴から時系列を遡って記載していきます。学校名は必ず正式名称を使用し、略称は避けてください。
入学年月と卒業年月は正確に記載し、学部・学科名まで明確に記入することが重要です。留学経験がある場合は、その経験を別途記載し、日本語学校での学習歴も忘れずに含めるようにしましょう。
アメリカなど9月入学・卒業のケースについて、日本の履歴書での記載方法を説明します。
基本的な考え方として、以下のようになります。
実際の卒業月をそのまま記載
例:「2022年9月 ○○大学卒業」
これは以下の理由によります。
- 日本の履歴書では正確な情報を記載することが重要
- 入国管理局での在留資格申請時などにも学歴証明が必要になる
- 実際の卒業証明書と履歴書の日付を一致させる必要がある
日本企業の人事担当者に分かりやすく伝えるため、必要に応じて補足情報を追加できます
例:「2022年9月 ○○大学卒業(※アメリカの学年制による)」
このように、実際の日付を正確に記載することで、後々の手続きでも混乱を避けることができます。
職歴

職歴は入社年月から時系列で記載を進めます。会社名は必ず正式名称を使用し、部署名や役職も併せて明記します。
職務内容については簡潔に要約し、退職理由は特別な事情がない限り「一身上の都合」と記載します。現在就業中の場合は、最後に「現在に至る」と記載します。
5.外国籍エンジニアのための履歴書作成のポイント|免許・資格編

免許・資格
エンジニアとして保有する重要な資格を中心に記載します。
ITスキル関連の資格、各種プログラミング言語の認定資格、プロジェクトマネジメント関連の資格、そしてクラウドサービスの認定資格など、職務に関連する資格を優先的に記載していきます。
普通自動車免許
運転免許については、国際免許の有無や日本の運転免許への切り替え状況を明確に記載します。また、取得予定がある場合は、その計画についても記載しておくとよいでしょう。
日本語能力
日本語力を証明する資格として、JLPT(日本語能力試験)のレベルやBJTビジネス日本語能力テストのスコアを記載します。
また、日本語学校での学習期間やその他の日本語関連資格についても、具体的に記載することが重要です。
日本語を使った経験
実践的な日本語使用経験として、日本企業でのインターンシップ経験や日本人との共同プロジェクトの実績を記載します。
日本語での技術文書作成経験や、プレゼンテーションの経験なども、具体的に記載することで実践的な語学力をアピールできます。
性格、得意科目・分野・趣味
この欄では技術に関連する趣味や、チーム作業での得意分野について触れます。
また、文化交流に関する活動実績や、継続的な自己啓発への取り組みについても言及することで、より立体的な人物像を伝えることができます。
6.外国籍エンジニアのための履歴書作成のポイント|志望動機編

志望動機は、応募企業に対する深い理解と熱意を示す重要なセクションです。
技術的な興味や関心を具体的に述べながら、自身のキャリアビジョンとの整合性を明確に説明します。日本企業を選んだ理由については、表面的な憧れではなく、具体的な価値提供の意思を示すことが重要です。
また、応募企業における具体的な貢献可能分野や長期的な目標についても言及し、実現可能性のある将来像を示すことで、より説得力のある志望動機となります。
7.外国籍エンジニアのための履歴書作成のポイント|特技・自己PR・通勤時間編
特技・自己PRなど

技術力と人間性の両面から自己アピールを行います。得意とする技術領域やプロジェクトでの成功事例を具体的に述べながら、チームワークの実績や異文化適応能力についても言及します。
また、継続的な学習への姿勢についても触れることで、成長意欲の高い人材であることをアピールします。
通勤時間

予定している居住地からの具体的な通勤時間を記載します。
公共交通機関の利用を前提とした現実的な所要時間を示し、転居予定がある場合はその情報も含めて記載します。通勤可能範囲を明確に示すことで、実務的な調整がスムーズになります。
扶養家族(配偶者を除く)・配偶者・配偶者の扶養義務

家族状況について正確な情報を記載します。扶養家族の有無や配偶者の就労状況を明確にし、ビザ要件との整合性も考慮した記載を行います。
これらの情報は入社後の福利厚生や手続きに関わる重要な情報となります。
8.外国籍エンジニアのための履歴書作成のポイント|本人希望記入欄編

本人希望記入欄では、柔軟性のある姿勢を示しながら、自分の希望を提示します。
必要最小限の条件のみを記載し、前向きな表現を用いて長期的なビジョンを示すことで、企業との良好な関係構築への意欲を伝えます。
過度な要求は避け、建設的な対話の余地を残した記載を心がけます。
9.外国籍エンジニアのための履歴書作成ポイント
よくある記入ミスと防止方法
日付の書式における和暦・西暦の使い分けや、漢字の適切な使用に注意を払います。また、敬語の適切な使用や記入漏れの確認、書式の統一性の維持など、細かな点にも配慮が必要です。
これらの要素は、文書作成の丁寧さを示す重要な指標となります。
文化的な違いによる誤解を防ぐポイント
日本の企業文化では謙虚さの表現や集団への貢献意識が重視されることが多いです。
また、長期的なコミットメントへの意欲や日本的な価値観への理解、適切なコミュニケーションスタイルの選択も重要です。文化的な違いを意識しながら、相互理解を促進する表現を心がけましょう。
10.これで完璧!外国籍エンジニアの履歴書作成
履歴書は、あなたの技術力とパーソナリティを日本企業に伝える重要なツールです。
単なる経歴の羅列ではなく、日本の企業文化への理解と適応能力、そしてエンジニアとしての専門性を適切にアピールすることが重要です。
この記事で紹介したポイントを参考に、あなたらしさを活かした履歴書を作成してください。しっかりとした準備があれば、きっと理想の就職・転職への第一歩を踏み出すことができるはずです。
この記事が、日本での活躍を目指す外国籍エンジニアの皆様のお役に立てれば幸いです。