日本で働く外国籍ITエンジニアにとって、家族との生活は重要な課題です。
家族滞在ビザの取得から就労制限、さらには本格的なITエンジニアとしての転職まで、複雑な手続きや制度を正しく理解することが成功の鍵となります。
この記事では、家族滞在ビザの基礎知識から転職成功のための具体的なステップまで、実際の成功事例を交えながらくわしく解説します。
- 家族滞在ビザの申請方法と必要書類、審査のポイントについて
- 資格外活動許可を活用したITエンジニア職での働き方について
- 家族滞在ビザから就労ビザへの変更手続きと転職成功の5つのステップについて
1.家族滞在ビザとは?ITエンジニアが知るべき基礎知識

日本でITエンジニアとして働く外国籍の方にとって、家族との生活は大きな関心事の1つです。
家族滞在ビザ(在留資格「家族滞在」)は、就労ビザを持つ外国人が配偶者や子どもを母国から呼び寄せ、日本で一緒に暮らすための制度です。
IT業界では人材不足が深刻化しており、優秀な外国籍エンジニアの採用が増加しています。企業側も外国籍エンジニアの定着率向上のため、家族帯同を支援するケースが多くなっています。
家族滞在ビザの定義と対象者
家族滞在ビザは、日本で適法に就労する外国籍の方の扶養家族が取得できる在留資格です。
この制度により、母国から家族を呼び寄せて日本で1年以上一緒に暮らすことが可能になります。
対象となる家族の範囲
- 配偶者(法的に有効な婚姻関係にある夫または妻)
- 子ども(実子、養子、認知した非嫡出子を含む)
重要なポイント
ポイントは、対象が「配偶者と子ども」に限定されることです。両親、兄弟姉妹、祖父母などは家族滞在ビザの対象外となります。
例えば、母国の高齢の親を呼んで一緒に暮らしたい場合でも、原則として家族滞在ビザは適用されません。
また、子どもの年齢に明確な上限はありませんが、概ね18歳までが一般的とされています。ただし、大学生など経済的に自立していない成人の子どもの場合、扶養の実態があれば認められる可能性があります。
家族滞在ビザを取得できる在留資格一覧
家族滞在ビザが認められるのは、特定の就労系在留資格を持つ外国籍人材の家族に限られます。ITエンジニアが取得する主要な在留資格は以下の通りです。
ITエンジニアが主に取得する在留資格
- 技術・人文知識・国際業務:最も一般的なITエンジニア向けビザ
- 高度専門職:高度な技術を持つエンジニア向け
- 経営・管理:IT企業を経営・管理するエンジニア向け
注意すべき点として、特定技能1号や技能実習は原則として家族滞在の対象外です。また、日本語学校の留学生も対象外となります。
参考:出入国在留管理庁:技術・人文知識・国際業務 :高度専門職 :経営・管理
ITエンジニアの配偶者・子が家族滞在ビザを取得する要件
家族滞在ビザを取得するには、以下の3つの主要要件を満たす必要があります。
家族滞在ビザは「家族としての生活」を目的とした制度であるため、基本的に同居が前提となります。ただし、通学や転勤などやむを得ない事情での別居は例外的に認められる場合があります。
扶養の実態
配偶者や子どもが実際に扶養を受けていることが必要です。これは単に書面上の関係ではなく、実質的な経済的依存関係を指します。
扶養の証明として、家族への送金記録や通帳のコピーなどが有効です。被扶養者の年収が扶養者の年収を上回る場合、扶養関係は認められません。
十分な経済力
日本で家族を養えるだけの経済力が必要です。一般的な目安は以下の通りです。
- 配偶者のみを呼ぶ場合:年収250万円以上
- 配偶者と子ども1人:年収280万円以上
- 配偶者と子ども2人:年収320万円以上
ITエンジニアの給与水準は比較的高いため、この要件は満たしやすい傾向にあります。ただし、居住地域の物価や家賃なども総合的に考慮されます。
家族関係の証明
家族関係を公的書類で証明する必要があります。
具体的な提出書類
- 婚姻証明書(配偶者の場合)
- 出生証明書(子どもの場合)など
これらの書類が外国語で作成されている場合は、日本語の翻訳文を添付する必要があります。
2.家族滞在ビザの申請方法と必要書類

家族滞在ビザの申請には、海外から家族を呼び寄せる場合と、既に日本にいる外国人が結婚などで家族滞在に変更する場合の2つのパターンがあります。
ITエンジニアの多くは前者のケースに該当するため、主に在留資格認定証明書交付申請についてくわしく解説します。
在留資格認定証明書交付申請の流れ
海外から配偶者や子どもを呼び寄せる場合は、「在留資格認定証明書交付申請」を行います。この手続きは日本で行い、認定証明書を取得後、海外の家族に送付してビザ申請を行う流れになります。
<申請の基本的な流れ>
- 必要書類の準備(日本・海外両方)
- 地方出入国在留管理局への申請書提出
- 審査期間(通常1-3ヶ月)
- 在留資格認定証明書の交付
- 証明書を海外の家族に送付
- 家族が現地の日本領事館でビザ申請
- ビザ取得後、日本入国
申請は本人(ITエンジニア)が行うか、行政書士などの代理人に依頼することができます。会社の人事担当者が代理申請を行う場合もありますが、会社の身分証明書の提示が必要です。
ITエンジニアが準備すべき必要書類リスト
家族滞在ビザの申請書類は、扶養者(ITエンジニア)と申請者(家族)の両方が準備する書類に分かれます。会社の人事部門と事前に相談し、必要書類の準備をスムーズに進めることが重要です。
<共通書類>
- 在留資格認定証明書交付申請書
- 申請理由書(扶養の経緯や理由を詳細に記載)
- 申請者の証明写真(縦4cm×横3cm、3ヶ月以内撮影)
- 返信用封筒(392円切手貼付、宛名記入済み)
扶養者(ITエンジニア)が準備する書類
- 在留カードまたはパスポートの写し
- 住民税の課税証明書(最新年度分)
- 住民税の納税証明書(最新年度分)
- 在職及び給与証明書(勤務先発行)
- 会社案内またはウェブサイトの印刷
- 預金残高証明書(金融機関発行)
- 住居に関する書類
- 賃貸の場合:賃貸借契約書の写し
- 持ち家の場合:登記事項証明書
申請者(家族)が準備する書類
家族関係証明書類
- 配偶者の場合:婚姻証明書
- 子どもの場合:出生証明書
- パスポートの写し(可能な場合)
- 外国語書類の日本語翻訳文
申請期間と審査のポイント
家族滞在ビザの審査期間は通常1-3ヶ月程度ですが、書類の不備や追加提出が必要な場合はさらに時間がかかります。
<審査期間を短縮するポイント>
- 書類の準備を完璧に行う
- 申請理由書で扶養の必要性を明確に説明
- 経済力の証明を十分に行う
- 翻訳の正確性を確保する
不許可になるケース
- 扶養者の年収が基準を下回る場合
- 夫婦関係の証明が不十分な場合(特に年齢差がある場合)
- 扶養の実態が不明確な場合 など
注意点
ITエンジニアの給与水準は比較的高いため、経済面での問題は少ないですが、申請理由書の記載内容や家族関係の証明には特に注意が必要です。
特に重要な注意点として、日本で発行される証明書類(課税証明書、納税証明書など)は全て発行日から3ヶ月以内のものを使用する必要があります。
また、在留資格認定証明書の氏名とパスポートの表記が異なる場合、手続きに時間がかかる可能性があるため、可能な限りパスポートの写しも併せて提出することが推奨されます。
3.家族滞在ビザでの就労制限と資格外活動許可

家族滞在ビザは本来「日常生活の範囲内」での活動に限定されており、就労は原則として認められていません。
しかし、生活費の補助や職業経験の蓄積のため働きたいと考える外国人は多く、資格外活動許可を取得することで一定の条件下での就労が可能になります。
特にITエンジニアの配偶者の場合、IT関連のスキルを活かしたアルバイトや在宅ワークを希望するケースが増えています。資格外活動許可の制度を正しく理解し、適法な範囲で働くことが重要です。
週28時間制限の詳細とITエンジニア職での活用法
資格外活動許可で最も重要なルールが「週28時間以内」という時間制限です。この制限は厳格に運用されており、違反した場合は重い罰則が科せられます。
28時間制限の具体的な運用
- どの曜日から起算しても1週間で28時間以内を維持
- 複数の職場で働く場合も合計で28時間以内
- 月換算で約112時間(4週間で計算した場合)
- 時給1,000円の場合、月収の上限は約11万2,000円
ITエンジニア職での活用事例
家族滞在ビザ保持者がIT関連スキルを活かして働ける職種には以下があります。
- システム運用・監視業務のアルバイト
- データ入力・データ処理業務
- ウェブサイト制作・更新作業
- プログラミング関連のパートタイム業務
- 多言語対応のITサポート業務
- 翻訳・ローカライゼーション作業 など
重要ポイント
雇用形態自体に制限はありません。週28時間以内であれば、アルバイト・パート・契約社員のいずれの形態でも就労可能です。
IT業界では在宅ワークやフレックス制度が充実している企業も多く、家族滞在ビザ保持者にとって働きやすい環境が整っています。
包括許可と個別許可の違い
資格外活動許可には「包括許可」と「個別許可」の2種類があり、働き方によってどちらを申請するかが決まります。
ITエンジニアの配偶者の場合、プログラミングやシステム開発などの専門的な業務委託を受ける際は個別許可が必要になることがあります。
一方、IT企業でのデータ入力やサポート業務のアルバイトであれば包括許可で対応できます。
包括許可
- 勤務先や業務内容を特定しない一般的な許可
- 週28時間以内かつ風俗営業以外という条件
- 転職や勤務先変更が自由
- 一般的なアルバイト・パートに適用
- ITエンジニア関連の多くの職種で利用可能
個別許可
- 具体的な勤務先・業務内容を指定する許可
- 客観的な労働時間の管理が困難な場合
- 個人事業主や業務委託契約での活動
- 勤務先や内容変更時は再申請が必要
- 単純労働は原則として認められない
家族滞在ビザ保持者がITエンジニアとして働ける職種
家族滞在ビザ保持者がIT分野で働く場合、資格外活動許可の範囲内で従事できる職種は多岐にわたります。
包括許可で従事可能な職種
- ITヘルプデスク・サポート業務
- システム運用・監視オペレーター
- データ入力・データベース管理
- ウェブサイト更新・コンテンツ管理
- ソフトウェアテスト・品質保証
- 多言語対応の技術サポート など
個別許可が必要な職種
- フリーランスでのシステム開発
- 業務委託でのプログラミング業務
- ITコンサルティング業務
- 個人事業主としてのウェブ制作 など
活用のメリット
ITエンジニアの配偶者が資格外活動許可を取得して働くメリットは以下の通りです。
- 日本のIT業界での職業経験を積める
- 日本語能力とIT技術スキルを同時に向上させられる
- 将来的な就労ビザ取得時の実績作りになる
- 世帯収入の向上により生活が安定する
- 日本社会への適応が促進される
注意したいポイント
扶養の範囲を超えて働く場合(年収130万円超)は、家族滞在ビザの要件から外れる可能性があるため注意が必要です。
また、資格外活動に専念しすぎて本来の「家族としての生活」がおろそかになると、ビザ更新時に問題となる場合があります。
4.家族滞在ビザから就労ビザへの変更方法

家族滞在ビザでの28時間制限を超えて本格的に働きたい場合、就労ビザへの変更が必要になります。
ITエンジニアの配偶者の場合、技術的なスキルや学歴を活かして「技術・人文知識・国際業務」ビザや「高度専門職」ビザへの変更が可能です。
就労ビザへの変更により、週28時間の制限が解除され、正社員として自由に働けるようになります。また、転職や副業も可能になり、将来的な永住許可申請への道筋も開けます。
「技術・人文知識・国際業務」ビザへの変更要件
「技術・人文知識・国際業務」ビザは、ITエンジニアが最も多く取得する就労ビザです。家族滞在ビザから変更する場合、以下の要件を満たす必要があります。
学歴要件(いずれか一つ) | ・外国の大学・短期大学を卒業(短期大学士以上の学位) ・日本の大学・短期大学・大学院を卒業 ・日本の専門学校を卒業(専門士・高度専門士の学位) ・外国の高校や専門学校卒業のみでは要件を満たさない |
職歴要件(学歴要件を満たさない場合) | ・関連業務における10年以上の実務経験 ・アルバイトや家族滞在での資格外活動は実務経験に含まれない ・職歴と従事予定業務の関連性が重要 |
IT資格による特例 | 法務大臣が定めた情報処理に関する資格を取得している場合、学歴や職歴要件が免除される |
重要なポイントとして、学歴・職歴・資格と業務内容の関連性が厳格に審査されます。例えば、文学部卒業者がプログラマーとして働く場合、関連性の説明が困難になる場合があります。
高度専門職ビザへの変更メリット
高度専門職ビザは、特に優秀な外国籍人材を対象とした制度で、ITエンジニアにとって多くのメリットがあります。
取得要件 | ・「技術・人文知識・国際業務」の要件を満たすこと ・ポイント制による評価で70点以上を獲得 ・ITエンジニアは「高度専門職1号(ロ)」に該当 |
高度専門職ビザのメリット
- 在留期間が最長5年まで許可される
- 永住許可要件の緩和(最短1年で永住申請可能)
- 配偶者の就労許可(学歴要件なしで「技術・人文知識・国際業務」相当の業務に従事可能)
- 親の帯同許可(一定条件下)
- 家事使用人の帯同許可
- 入国・在留手続きの優先処理
ITエンジニアの場合、比較的高い年収と若い年齢、技術系の学歴により、取得しやすい傾向があります。特に年収800万円以上の高度人材であれば、高度専門職ビザの取得を検討する価値が高いです。
在留資格変更許可申請の手続きと注意点
就労ビザへの変更は「在留資格変更許可申請」により行います。
変更申請中は現在の家族滞在ビザで在留できますが、不許可となった場合の対応策も事前に検討しておくことが重要です。
また、変更許可後は扶養関係から外れるため、配偶者の家族滞在ビザ更新時に影響が出る可能性もあります。
申請の流れ
- 就職先の確保・雇用契約の締結
- 必要書類の準備
- 地方出入国在留管理局への申請
- 審査期間(2週間~1ヶ月)
- 許可通知・新しい在留カードの交付
主な必要書類
- 在留資格変更許可申請書
- 雇用契約書または採用通知書
- 学歴証明書(卒業証明書・学位記など)
- 職歴証明書(該当する場合)
- 会社の登記事項証明書
- 会社の事業内容を説明する資料
- 申請理由書
- 課税証明書・納税証明書
審査の重要ポイント
- 業務内容と学歴・職歴の関連性
- 会社の安定性・継続性
- 適正な給与水準(日本人と同等以上)
- 申請理由の明確性・一貫性
注意点
家族滞在ビザから就労ビザへの変更は、従来の扶養関係から自立した就労者への転換を意味するため、審査が厳格に行われる傾向があります。
- 扶養者(配偶者)の同意書の提出が求められる場合がある
- 変更後も家族としての関係性を維持できることの説明
- 十分な日本語能力の証明(N2レベル以上が望ましい)
- 安定した雇用関係の構築
5.ITエンジニア転職を成功させる5つのステップ

家族滞在ビザ保持者がITエンジニアとして転職を成功させるには、戦略的なアプローチが必要です。日本のIT業界では外国籍エンジニアの需要が年々高まっています。
しかし、言語や文化の違い、在留資格の制約など、外国人特有の課題もあります。以下の5つのステップを順序立てて進めることで、転職成功の確率を大幅に向上させることができるでしょう。
ステップ1:現在のスキルレベルの棚卸し
転職活動の第一歩は、自身の技術スキルと業務経験を客観的に評価することです。家族滞在ビザ保持者の場合、限られた就労経験の中で培ったスキルを最大限に活用する必要があります。
技術スキルの整理
- プログラミング言語(Python、Java、JavaScript等)
- フレームワークやライブラリの使用経験
- データベース管理(MySQL、PostgreSQL等)
- クラウドサービス(AWS、Azure等)
- 開発ツール(Git、Docker、CI/CD等)
業務経験の洗い出し
- 資格外活動での実務経験
- 個人プロジェクトや学習成果物
- 母国での職務経験
- オンライン学習の修了証明
- 技術系資格の取得状況
重要ポイント
家族滞在ビザでの28時間制限内で得た経験も立派な実務経験として評価されます。アルバイトやパートタイムでの業務でも、具体的な成果や学んだ技術を明確に説明できるよう準備しましょう。
ステップ2:転職市場でのポジション把握
日本のIT転職市場における自身の立ち位置を正確に把握することで、現実的な転職戦略を立てることができます。
市場価値の分析
- 同レベルの技術者の年収相場調査
- 求人要件と自身のスキルのギャップ分析
- 需要の高い技術分野の特定
- 外国人採用に積極的な企業の調査
年収に差が生まれるポイント
- 日本語能力(N2レベル以上が望ましい)
- 技術レベルの高さ
- コミュニケーション能力
- 日本の企業文化への適応力
転職市場では、クラウドエンジニア、データサイエンティスト、AI/機械学習エンジニアなどの分野で特に需要が高まっています。
ステップ3:必要な書類・資格の準備
日本での転職活動には、特有の書類フォーマットや資格が必要です。事前の準備が転職成功の鍵となります。
書類は全て最新の情報で統一し、虚偽の記載は絶対に避けましょう。特に在留資格に関わる情報は、後の手続きに大きく影響します。
転職活動必須書類
- 履歴書(日本式フォーマット)
- 職務経歴書(技術スキルを詳細に記載)
- ポートフォリオ(GitHub、実績資料等)
- 在留カードのコピー
- 資格外活動許可書のコピー
- 各種証明書(卒業証明書、資格証明書等)
技術系資格の取得
ITエンジニアとして有利になる資格を戦略的に取得する。
- 基本情報技術者試験・応用情報技術者試験
- 情報処理安全確保支援士試験
- AWS認定資格(Solutions Architect等)
- Google Cloud認定資格
- Microsoft Azure認定資格
ステップ4:求人探しと応募戦略
効率的な求人探しと戦略的な応募が転職成功の分かれ道となります。
外国籍ITエンジニア専門のエージェントを効果的に活用することで、ビザサポートや年収交渉などの専門的なサポートを受けることができます。
求人探しの主要チャネル
応募戦略
- 月10-15社程度の応募を目安とする
- 企業規模や業界を分散させる
- 第一志望群、第二志望群に分けて戦略的に応募
- 応募時期を調整(4月・10月の採用ピークを狙う)
- フォローアップを怠らない
ステップ5:面接対策と内定後の手続き
最終段階の面接対策と内定後の手続きを適切に行うことで、転職を確実に成功させることができます。
転職活動全体を通じて、家族滞在ビザから就労ビザへの変更手続きを並行して進めることが重要です。内定獲得と同時に在留資格変更許可申請を行い、スムーズな転職を実現しましょう。
面接対策
- 技術面接の準備(コーディング問題、システム設計等)
- 日本語面接の練習
- 志望動機の明確化
- 転職理由の論理的な説明
- 逆質問の準備(5-10個程度)
内定後の手続き
- 労働条件の詳細確認
- 在留資格変更許可申請の準備
- 現在の職場への退職手続き
- 入社日の調整
- 必要に応じた引越し手続き
6.家族滞在ビザ保持者のITエンジニア転職成功事例

実際に家族滞在ビザからITエンジニアとして転職を成功させた3つの事例を紹介します。これらの事例から、異なるバックグラウンドや状況に応じた成功パターンを学ぶことができます。
未経験からフルスタックエンジニアへ転身成功
Aさん(インド出身・28歳・女性)の事例
Aさんは、ITエンジニアの夫と共に来日し、家族滞在ビザを取得。母国では文学部を卒業後、非IT系の仕事に従事してたが、日本での転職を機にITエンジニアへのキャリアチェンジを決意。転職前の状況
- 母国での職歴:非IT系企業で事務職(3年間)
- 日本語能力:来日時N3レベル
- プログラミング経験:なし
- 資格外活動:データ入力のアルバイト(週20時間)
成功要因
- 6ヶ月間の集中的なスキル習得(HTML/CSS、JavaScript、Python、React)
- 個人プロジェクトを3つ制作してポートフォリオを構築
- 外国人エンジニアコミュニティへの積極的な参加
- 日本語能力をN2レベルまで向上
<転職結果>
- 転職先:東京のWebサービス開発スタートアップ
- 職種:フルスタックエンジニア
- 年収:450万円(前職比150万円アップ)
- 在留資格:技術・人文知識・国際業務に変更成功
学べるポイント: 未経験からでも、集中的な学習と実践的なポートフォリオ構築により、短期間でのキャリアチェンジが可能。
アルバイトから正社員エンジニアへのステップアップ
Bさん(ベトナム出身・25歳・男性)の事例
Bさんは、日本で働くITエンジニアの妻として来日。母国では情報工学部を卒業しており、基礎的なプログラミングスキルを保有している。転職前の状況
- 母国での学歴:情報工学部卒業
- プログラミング経験:Java、C++の基礎知識
- 日本語能力:N2レベル
- 資格外活動:IT企業でのプログラミングアルバイト(週28時間)
成功要因
- アルバイト先で実務経験を積みながらスキル向上
- 最新技術(Spring Boot、React、AWS)を業務で習得
- 基本情報技術者試験に合格
- 社内プロジェクトで積極的に貢献し、実績を作成
<転職結果>
- 転職先:アルバイト先企業での正社員登用
- 職種:バックエンドエンジニア
- 年収:520万円
- 在留資格:技術・人文知識・国際業務に変更成功
学べるポイント: 資格外活動での実務経験を活かし、同じ企業での正社員登用を目指すことで、転職リスクを最小化できる。
高度専門職取得でキャリアと家族生活を両立
Cさん(中国出身・32歳・女性)の事例
Cさんは、母国で大手IT企業のシニアエンジニアとして5年間勤務した後、日本人の夫と結婚し来日。高度な技術スキルと豊富な経験を活かし、高度専門職ビザの取得を目指した。転職前の状況
- 母国での職歴:大手IT企業でシニアエンジニア(5年間)
- 技術スキル:機械学習、Python、クラウドアーキテクチャ
- 学歴:コンピューターサイエンス修士号
- 日本語能力:N1レベル
成功要因
- 高度専門職ポイント計算:105点獲得
- 外国人ハイクラス転職エージェントを活用
- 技術力を活かせる機械学習・AI分野に特化
- 英語が公用語の外資系企業を中心に応募
<転職結果>
- 転職先:外資系コンサルティング会社
- 職種:AIソリューションアーキテクト
- 年収:850万円
- 在留資格:高度専門職1号(ロ)に変更成功
学べるポイント: 高度な技術スキルと経験がある場合、高度専門職ビザの取得により多くのメリットを享受できる。
7.よくある質問:家族滞在ビザとITエンジニア転職

家族滞在ビザ保持者がITエンジニアとして転職を検討する際によく寄せられる質問と、その回答をまとめました。これらの情報を参考に、より具体的な転職計画を立てることができます。
家族滞在ビザでフリーランスエンジニアになれますか?
家族滞在ビザでフリーランスエンジニアとして働くことは可能ですが、個別許可の取得が必要です。
包括許可では、客観的に労働時間を確認することが困難な個人事業主としての活動は認められていません。フリーランスエンジニアとして働く場合は、手続きが必要です。
必要な手続き
- 資格外活動許可(個別許可)の申請
- 活動内容、契約内容、報酬等についての詳細説明書類の提出
- 週28時間以内の労働時間制限は継続適用
転職活動中に家族滞在ビザの期限が切れた場合は?
在留期間の更新申請を適切に行えば、転職活動を継続できます。
家族滞在ビザの更新は、在留期間満了日の3ヶ月前から申請可能です。転職活動中であっても、扶養関係が継続している限り更新は可能です。
転職成功後は、就労ビザへの変更申請を速やかに実施し、変更申請中も現在のビザで滞在可能です。
ITエンジニア転職に必要な日本語レベルは?
N2レベル以上が一般的な要求水準ですが、企業や職種により異なります。
日本語能力は転職成功の重要な要素の1つですが、技術力と組み合わせて総合的に評価されます。
企業タイプ別の傾向
- 外資系企業:英語重視、日本語N3レベルでも可
- スタートアップ:技術力重視、日本語N2レベル程度
- 大手企業:N2レベル以上、ビジネス日本語能力も重視
- 受託開発企業:N2レベル必須(顧客対応のため)
8.日本の家族滞在ビザからITエンジニアとしての成功を見通す

家族滞在ビザ保持者のITエンジニア転職は、適切な準備と戦略により実現可能です。
資格外活動許可での経験積み上げから始まり、最終的には就労ビザへの変更を目指すことで、日本での長期的なキャリア構築ができます。
技術力向上、日本語能力向上、企業文化への理解など多面的なアプローチで、家族生活を維持しながらITエンジニアとしての成功を実現しましょう。