外国籍のエンジニアが日本の会社の面接を受けるときは、技術のスキルだけでなく、文化のちがいも大きなポイントになります。
この記事では、日本ならではの面接の流れを説明します。一次面接、技術の面接、最終面接といったステップごとに、どんなスキルが必要か、どんな質問が出るかを紹介します。
自分の強みをしっかりアピールして、日本の会社で活やくするための面接のコツをお伝えします。
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- 日本企業の面接プロセスの全体像と各段階で重視されるポイントについて
- 外国籍エンジニアならではの強みを活かした効果的なアピール方法について
- 技術面接での質問パターンと、文化的な違いを踏まえた対応戦略について
1.日本での面接を基礎から理解する

面接に対して、心配しすぎたり、準備が足りないまま受けたりしないようにするためには、まず日本の面接の種類や、どんな言語を使うのかを知っておくことがおすすめです。
主な面接の種類とは
日本の面接は、「一次面接(HR)」「技術面接」「最終面接」の3つの種類があります。
一次面接(HR)
最初に行われる面接は「一次面接」と呼ばれます。ここでは、人を採用する仕事をしている人事部門の担当者と話します。人事の面接官は、応募者にいろいろな質問をして、その答えから性格や考え方を見て、「この人は会社に合っているかどうか」を判断します。
また、「日本語でスムーズにコミュニケーションができるか」も大切なポイントです。日本語がしっかり使える人のほうが、有利になることが多いです。
ふつうは、日本語能力試験(JLPT)のN2レベル以上があるとよいと言われています。ただし、面接では技術のスキルなどもふくめて、全体的にバランスを見て判断されます。
技術面接
ITエンジニアなどの技術職を採用するときに行われるのが「技術面接」です。この面接では、専門的な質問や課題を通して、プログラミングのスキルやデザインの力など、技術や経験がどのくらいあるかを確認します。
また、仕事をうまく進めるために必要なコミュニケーションの力や、チームをまとめるリーダーシップがあるかどうかも見られます。
最終面接
採用試験の最後に行われるのが「最終面接」です。この面接では、会社の社長や役員など、経営のトップの人たちが面接官になることが多いです。
最終面接では、その人が会社の考え方や文化に合っているかを見ます。「この人と一緒に働きたい」と思ってもらえることが、採用のポイントになります。
各面接での使用言語
これまでに紹介した面接のステップは、基本的に日本語で行われます。そのため、自己PRや志望動機、自分の長所や短所などを、日本語で話せるように準備しておくことが大切です。
一方で、ITエンジニアの仕事では、英語を使う場面も多くあります。とくに技術面接では、専門的な説明を英語で行うことができる場合もあります。
どの言語を使うかは、場面によって変わります。日本語と英語を上手に使い分けることが大切です。
2. 想定される質問への対策

企業面接を受ける人のほとんどが、同じような質問をされると言っても過言ではありません。
そのため、応募者は事前に質問内容を想定して対策できます。あらかじめ話したい内容をまとめておけば、面接の際の受け答えがスムーズになります。
技術面接での質問例
エンジニアとしてのスキルや経験、業務に必要な能力を確認するために、以下のような質問が考えられます。
技術スタックについて、自社に合ったスキルを持つ人物なのかを確認するための質問
- 「使用できるプログラミング言語は何ですか?」
- 「前職ではどの言語を使用していましたか?」
- 「どのようなサーバ構成を行いましたか?」 など
これまでの開発経験を確認するための質問
- 「実際に開発したサービスは何ですか?」
- 「どのぐらいの規模のプロジェクトに携わっていましたか?」
- 「アジャイル開発の経験はありますか?」 など
問題解決へのアプローチ法について探る質問
- 「失敗した経験を教えてください」
- 「プロジェクトで問題が発生した場合、どのようなアプローチを行いますか?」
- 「経験したことがない業務に挑戦しなければならない時、どのような気持ちで進めますか?」 など
外国籍特有の質問について
日本で働く意思やダイバーシティの考え方に共感できるかなどを知るために、下記のような質問をされることがあります。
日本の文化を理解し、周囲と協力しながら仕事ができる点を伝えましょう。
質問例
- 「なぜ、日本で働きたいのですか?」
- 「どのくらい日本で働きたいと考えていますか?また将来のビジョンを教えてください」
- 「日本文化で驚いたことや困惑したことなどはありますか?」
- 「異なる文化や価値観を持つ人に出会ったら、どのように対応していますか?」
- 「日本以外の国で就労経験はありますか?」 など
3. 日本語での面接実践テクニック

さまざまな質問に真摯に答えて、企業や業務内容への理解があることを伝えるためにはテクニックが必要です。ここでは2つのテクニックを取り上げます。
コミュニケーションについて
面接官は、面接を行いながら「日本語が伝わっているか」「日本のビジネスマナーを理解しているのか」などをチェックしています。
礼儀正しさや誠実な態度が好印象を与えるポイントです。特に、敬語は面接官に礼儀正しい印象を与えるため、面接中は適切な敬語を使用して受け答えをしましょう。
また自分だけが話し続けたり、面接官の話を遮ったりするのは好ましくありません。しっかりと相手の話を聞いて受け答えをすることが大切です。
日本語の質問の意図が分からなかった場合には聞き返し、日本語が分からなくてもコミュニケーションを取ろうとしていることをアピールしましょう。
外国籍としての強みをアピールする
外国籍の人材は、日本人とは異なるさまざまな強みを持っています。面接ではその強みをアピールすることが大切です。
特にグローバル企業などは、高い言語力と海外の文化を理解している人材を必要としています。技術力を持ち、グローバルに活躍できる外国籍エンジニアならではの強みをしっかりと伝えられるように準備しておきましょう。
4. 面接準備のチェックリスト

面接に臨むために、あらかじめ準備しておくべき点と当日の注意点をまとめました。
事前準備をする
面接で伝えたいことをしっかりと話せるために、また就職後の技術や業務内容でのミスマッチを防ぐために事前に準備しておくことが望ましいです。以下の3つに取り組んでおきましょう。
1.企業研究をしておく
面接前には、面接を受ける企業についてよく理解しておく必要があります。どんなに優秀な技術を持っていても、企業の事業内容や社風とマッチしていなければ自分の能力を活かせません。
採用後の意見の食い違いを防ぐためにも、企業内容や社風、業務内容についてしっかりと調べておきましょう。また、面接で志望動機を聞かれた際にも企業研究ができていれば説得力のある回答ができます。
2.技術面接での質問を想定しておく
質問例を挙げたように、技術面接では得意なスキルやこれまでの経験を細かく聞かれます。
企業側は携わった内容だけではなく、仕事に対する姿勢やチーム作業における役割の傾向(リーダーシップタイプ・サポートタイプ)などを見極める機会でもあります。自分自身を最大限にアピールできるように質問への回答を想定しておきましょう。
3.オンライン面接の設定
面接がオンラインで実施される場合には、安定した通信環境やツールを準備しておく必要があります。また、背景に生活感があるものが映らないように注意しましょう。
オンラインでは相手の反応が分かりにくいデメリットがあります。対面で会話をする場合よりも大きく頷いたり、相槌をうったりするなど、対面よりも意識しておいたほうがいいでしょう。
当日の注意点
日本企業の面接では、企業側から服装の指定がない限りスーツを着用するのが一般的です。
身だしなみにも気を配り、女性は「髪をまとめる」「濃いメイクはしない」などを心掛けましょう。また、男性は「髭を整える」「長髪は控える」なども意識しておくと好印象につながります。
加えて面接では、時間を守ることも重視されます。当日は予期せぬ渋滞やトラブルが起こることもあります。時間に余裕を持って行動することが大切です。
ただし、時間よりも早すぎると企業側の迷惑となる場合があるため、面接開始時間の5~10分前を目安に所定の場所に到着するのがベストです。
5.面接への準備・対策をして日本企業で活躍する

日本企業の面接では、技術力と文化的な理解の両方が重要です。
本記事で紹介した準備と対策を実践することで、自身の強みを最大限に活かした面接に臨むことができます。
焦らず着実に準備を進め、1つひとつの面接をステップアップの機会として捉えることで、必ず道は開かれます。
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