日本での就職を目指す外国人エンジニアにとって、面接は重要な関門です。日本独自の企業文化やビジネスマナーを理解し、技術力と人柄の両面で評価される日本の面接では、適切な準備が不可欠です。
本記事では日本式面接の特徴から具体的な対策、採用後の準備まで、外国人エンジニアが成功するために必要な情報をくわしく解説します。
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- 日本企業の面接特有の評価ポイントと、グローバル企業との採用基準の違いについて
- 技術力とコミュニケーション能力を効果的にアピールする具体的な方法について
- ビザ申請から福利厚生まで、採用が決まってからの実務的な準備の進め方について
1.日本の採用面接:基礎知識

日本の採用面接は、独自の文化や伝統を反映しており、他国の面接とは異なる特徴があります。ここでは、日本式面接の特徴や成功するためのコツをわかりやすく解説します。
日本式面接の特徴
日本の企業では、面接の種類として個人面接、グループ面接、グループディスカッションがあります。面接ごとに評価されるポイントが異なるため、面接の種類に合わせた準備をしましょう。
日本の企業では、仕事の経歴だけでなく、コミュニケーション能力や人柄も重視されているのが特徴です。面接は通常30分~1時間くらいの長さで、質問は多岐にわたります。
なお日本の企業に応募する際は、履歴書と職務経歴書を準備する必要があります。
グローバル企業と日系企業の違い
グローバル企業と日系企業には大きな違いがあります。グローバル企業と日系企業の違いを理解して、個人の適性や価値観に合う働き方を選ぶことがコツです。
日系企業
年功序列や終身雇用が一般的で、チームワークを尊重されます。給与は年齢や勤続年数に応じて上がり、福利厚生も充実しているのが特徴です。仕事は部署全体で進め、個人の役割はあいまいなことがあります。
グローバル企業
成果主義で、個人の業績が重視されます。給与は仕事の成果で決まり、昇進も実力次第です。ジョブ型雇用では職務内容が明確です。また自主性が求められ、スピーディーな意思決定が特徴ですが、反して雇用が不安定な面があります。
外国人採用における評価の重点
外国人IT人材の採用では、「なぜこの会社を選んだのか」また「なぜ日本で働きたいのか」が重要視されます。具体的な質問例として、「日本で働く理由」等があり、文化や家族の背景など、明確な答えが必要です。
また最新のIT業界ニュースへの理解を問うことで、情報収集力と業界動向への洞察力を評価します。
さらに、ストレス耐性と日本社会への適応力の確認として、日本での経験や、過去のプロジェクト経験から学んだことなどから応募者の実力を見極めます。
転職回数の多さが、日本と海外での評価の違いを生むことも理解しておくと良いでしょう。
2.日本語力や関心をアピールする

日本企業への就職を目指す外国人にとって、日本語力と学習への関心をアピールすることは大切です。以下に具体的なアピール方法を紹介します。
具体的な日本語力を提示する
日本語力を証明する方法として、日本語能力試験(JLPT)があります。
試験はN1からN5までの5段階がありますが、N1やN2に合格していると仕事に有利です。
また、特定の在留資格を取るためにはN4以上が求められる場合があります。例えば「特定技能」の資格を取るには、N4合格が条件です。
JLPTの結果は、日本語をどれくらい理解できるのかを判断する目安になります。ただし、試験では会話の能力は測れません。
仕事で使う日本語や専門用語を学ぶために、採用後も日本語の勉強は必要です。まずは、試験の証明書を自分の日本語力のアピールに使い、日本での就職を目指すことをおすすめします。
日本語への学習意欲
日本企業の面接で、外国人が日本語への学習意欲をアピールするには、具体的な目標を示し、日々の努力を強調することが重要です。
例えば「4か月後のN2試験合格を目指している」や「毎日20問の問題を解いている」といった具体的な習慣を伝えます。
また、自身の日本語力の向上を示すデータを用意し、成長を視覚化することも有効です。
長期的なビジョンや学習への情熱も伝え、日本語教育の最新トレンドにも関心を示すことで、面接官に強い意欲と熱意をアピールできます。
3.技術力のアピール方法

技術力を効果的にアピールするためには、具体的な実務経験やポートフォリオの見せ方が重要です。以下に、それぞれのポイントをまとめました。
実務経験の効果的なアピール方法
実務経験を効果的にアピールするためには、関わったプロジェクトの規模や役割、スキルを具体的に伝えます。経験年数や使用言語、保有している資格についても正確に伝えることが大事です。
またITや法務などの分野では、新しい知識を学び続ける意欲や姿勢も評価されます。
その他の効果的な行動
社内勉強会や外部セミナーへの参加など、学習意欲を示す具体的な行動もアピールポイントとなります。経験が浅くても、ひとつのプロジェクトの詳細を具体的にし、学ぶ姿勢を強調することでアピールが可能です。
ポートフォリオの見せ方のコツ
外国人エンジニアが日本で面接を受けるときは、日本語と英語の両方でポートフォリオを準備します。簡潔かつ見やすい構成で作成するのがコツです。
またレイアウトを整え、図表やグラフで視覚的に情報を伝える工夫も取り入れましょう。
ポートフォリオの具体的なコツ
- 自己紹介やスキル、プロジェクト経験を明確に記載する
- 日本の企業文化への理解やソフトスキルをアピールする
- GitHubのコードやデモ映像を共有し、技術力を具体的に示す
- 母国での経験や国際的視点を活かした独自性のアピール
- 日本語能力、コミュニケーション力を強調する
■合わせて読みたい
以下のコンテンツでは、日本企業の面接で役立つ、履歴書の作成や、職務経歴書の作成ノウハウについてご紹介しています。ぜひ参考にしてください。
4.日本のビジネス文化を理解する

日本のビジネス文化には他の国とは異なる点が多く、外国人にとっては理解が難しいこともあるでしょう。しかし以下の基本を押さえれば、円滑なコミュニケーションで成功への道が開けるはずです。
基本的なビジネスマナー
日本のビジネス文化では、礼儀と敬語が非常に重要です。
職場での挨拶は欠かせず、「おはようございます」「お疲れ様です」などのフレーズが頻繁に使われます。上司やクライアントとの会話では適切な敬語を使用し、丁寧な言葉遣いが求められます。
また時間厳守も重視され、定時前に出勤して仕事を開始するのが一般的です。名刺交換は正式な儀式として扱われ、自己紹介の重要な部分となっています。
これらのマナーを守ることで、プロフェッショナリズムを示し、良好な職場関係を築くことが可能になります。
報連相の重要性
報連相(報告・連絡・相談)は、日本のビジネス文化において円滑なコミュニケーションを促進する重要な考え方です。
この仕組みは、チーム内や取引先との認識の違いを防ぎ、トラブルやミスを回避するのに効果的です。
報連相を徹底することで、上司から適切なアドバイスを受けたり、チームメンバーからのサポートを得たりでき、業務をスムーズに進められます。
また問題が起きた際にはすぐに報告することで、迅速に対策を講じられ、被害を最小限に抑えることが可能です。
チームワークの考え方
日本の職場では、個人の成果より、チーム全体の成功が優先されます。意思決定は多くの場合、会議を通じて行われ、全員の合意を得ることが重要視されます。
失敗した場合も、個人の責任を追及するのではなく、チーム全体で解決策を考えるのが一般的です。このような集団主義の考え方は、個人主義を重視する海外の文化とは対照的です。
また、長期的な関係構築が大切にされ、永続的なパートナーシップを優先する傾向があります。このようなチームワークの考え方は、調和の取れた職場環境を作り出し、組織全体の効率性向上につながります。
5.面接本番で使える具体的なテクニック

面接は就職活動のなかで最も重要なステップのひとつです。面接の場で緊張しても、しっかりと準備をし、効果的な戦略を持つことで、自信を持って臨めます。
以下では、面接で成功するための具体的なテクニックをわかりやすく紹介します。
対面面接の心得
外国人が日本で対面面接を受ける際は、日本特有の文化やマナーを理解することが重要です。
まず、清潔感のあるスーツを着用しましょう。面接会場には5分前到着が基本で、遅れる場合は必ず連絡を入れます。
控室では静かに待機し、姿勢を正して明るい表情で面接官と向き合いましょう。質問には簡潔かつ明確に答え、不明な点があれば素直に尋ねてください。また相手の目を見て話すことで自信をアピールできます。
オンライン面接の注意点
オンライン面接では、事前準備が成功の鍵です。使用するツールの設定や接続方法を確認し、安定したWi-Fi環境を整えましょう。
また時差のある場合は双方にとって都合の良い時間帯を選び、日本時間と現地時間の両方を伝えることで混乱が防げます。通信トラブルに備え、電話番号などの代替手段も用意しておくと安心です。
キャリアプランを提示する
日本企業での面接では、長期的なキャリアビジョンを示すことが重要です。自己分析を通じて、強みや興味を明確にし、企業の目標や価値観との一致点を見いだしましょう。
5年後、10年後の具体的な目標を設定し、それに向けた成長計画を説明できるように準備します。
また日本企業特有の終身雇用や年功序列の概念を理解しつつ、自身の成長と会社への貢献をバランス良く伝えることが大切です。
キャリアプランを提示する際は、熱意と現実性を兼ね備えた内容を心がけましょう。
6.採用後を見据えた準備

採用が決まった後、スムーズにスタートするには、事前の準備が欠かせません。以下でポイントを紹介します。
ビザ申請手続き
就労ビザの申請は、まず「在留資格認定証明書」の交付申請から始まります。この申請は、受け入れ企業が代理人となり、必要書類を準備して地方入国管理局に提出します。
この手続きには1〜3か月かかるのが一般的です。証明書が発行されると本人に送付され、それを持参して在外日本公館でビザを申請します。
ビザが発給されたら、原則として3か月以内に日本へ入国しなければなりません。
給与体系と福利厚生の理解
日本企業に勤める場合、日本の給与体系と福利厚生への理解を深めておく必要があります。福利厚生とは、給与以外に企業が従業員に提供するさまざまな支援やサービスのことです。
また法定福利には、雇用保険や健康保険など、企業が提供を義務付けられている制度があります。
住宅手当や社員食堂、財形貯蓄制度など、従業員の生活をサポートするために、給与の他に独自の福利厚生を導入して、支援している企業も多くあります。
7.面接でよく聞かれる質問と対応策

外国人エンジニアが日本の面接を受ける際に、よくある質問を抑えておくことは大切です。技術面や人物面などさまざまな質問に備え、効果的な対応策を紹介しますので面接の準備を整えておきましょう。
技術面の質問対策
技術面接は、応募者の経歴、行動、問題解決能力、技術知識を総合的に評価する重要なプロセスです。面接官は現場のエンジニアが多く、実務経験や思考プロセスに基づく質問を行います。
技術面の質問に対する事前準備
上記それぞれの質問カテゴリーに応じた具体的なエピソードやスキルを整理し、自分の強みを的確にアピールできるようにする。関心や意欲を示すために、企業への質問を用意しておく。
人物面の質問対策
人物面では、企業文化やチームとのフィット感を確認する質問が多くなります。面接前に自分のキャリアプランや職場環境への期待を整理し、明確に伝えられるようにしておきましょう。
人物面の質問に対する事前準備
「あなたはどんなタイプの人と働きたいか」や「ストレスを感じた経験」についての質問にも備えておく。自分の価値観やコミュニケーションのスタイルを理解してもらう。
特に、日本の職場文化に対する理解や適応力についても触れることで、企業との相性を示すことができる。
8.準備を万全にすることが日本での面接成功のコツ

日本企業での面接成功には、技術力のアピールだけでなく、日本の企業文化への理解と適応力が重要です。
事前準備を入念に行い自身の強みを効果的に伝えることで、面接官に好印象を与えることができます。
採用後の手続きも含めて理解を深めておくとキャリアの第一歩を確実なものにできるでしょう。チャレンジする勇気を持って、ぜひ挑戦してみてください。