「技術面接で何を聞かれるんだろう」「うまく答えられなかったらどうしよう」——転職を考えるエンジニアの多くが、こうした不安を抱えています。
厚生労働省が公表する「一般職業紹介状況」によれば、情報処理・通信技術者の有効求人倍率は他の職種と比較して高水準を維持しており、エンジニア採用市場は深刻な人材不足の状況が続いています。
このような売り手市場だからこそ、技術面接での適切な準備が、希望する企業からの内定獲得の鍵となります。
本記事では、技術面接でよく聞かれる30の質問と回答のポイント、困った時の対処法、好印象を与える逆質問15選、そして具体的な準備方法まで、実践的な情報を網羅的に解説します。
- 技術面接でよく聞かれる質問30選と効果的な回答のポイントについて
- 答えられない時や緊張した時など、困った場面での具体的な対処法について
- 好印象を与える逆質問15選と面接突破のための準備4ステップについて
1. エンジニアの技術面接とは?基本知識
技術面接は、エンジニア職の採用において専門的なスキルや経験を評価する重要なプロセスです。
一般的な人事面接とは異なり、現場のエンジニアが面接官となり、技術的な深掘りが行われます。ここでは技術面接の目的と、企業が評価している具体的なポイントを解説します。
企業が評価している3つのポイント
技術面接で企業が見ているのは、単なる知識の有無だけではありません。現代のエンジニア採用では、以下の3つの観点から総合的に候補者を評価しています。
1. 技術的知識・スキルの深さと実務応用力
使用している技術の理論的な理解度はもちろん、実務でどのように活用してきたかが重視されます。
例えば、「Reactを使える」というだけでなく、「なぜReactを選んだのか」「どのような課題をどう解決したのか」といった実践的な経験が評価されます。
また、技術トレンドへの感度や継続的な学習姿勢も、成長可能性を測る指標として重要視されています。
2. 問題解決能力と論理的思考プロセス
バグの発生時や要件が曖昧な場面で、どのようなアプローチで課題を解決するのか。その思考の筋道を言語化できるかが評価されます。
完璧な答えよりも、仮説を立て、検証し、最適解を導き出すプロセスそのものが重視されます。トレードオフを考慮した判断力も、実務では欠かせないスキルです。
3. コミュニケーション能力とチーム適合性
技術的な内容をわかりやすく説明できるか、非エンジニアとも円滑に連携できるかといったコミュニケーション能力は、チーム開発において不可欠です。
ペアプログラミングやコードレビューの経験、後輩育成への関わり方なども、協働における姿勢を測る材料となります。
情報処理推進機構(IPA)が策定する「ITスキル標準(ITSS)」では、IT人材のスキルを11の職種と7段階のレベルで客観的に定義しています。
企業はこうした標準を参考にしながら、自社が求めるレベルの人材を見極めようとしています。重要なのは、完璧な知識を持っていることではなく、論理的に考え、誠実に向き合う姿勢です。
技術面接の目的と一般面接との違い
技術面接とは、エンジニア職の採用選考において、候補者の専門的なスキルや経験を評価するためのプロセスです。
人事担当者が行う一般的な面接とは、いくつかの点で明確に異なります。
面接官
面接官が現場のエンジニア、エンジニアリングマネージャー、CTOといった技術的バックグラウンドを持つ人物である点が特徴です。
質問内容も、単なる志望動機や自己PRに留まらず、使用している技術スタックの詳細、実務での問題解決プロセス、コードの設計思想など、専門性の高い内容が中心となります。
評価
評価の軸も、保有している技術知識の深さ、実務での応用力、そしてチームでの協働における適合性など、多角的です。
実施タイミングとしては、1次面接または2次面接で行われることが多く、対面・オンラインいずれの形式もあり、企業によってはコーディングテストが含まれる場合もあります。
2. 【分野別】エンジニアの技術面接でよくある質問30選と回答のポイント
技術面接で聞かれる質問は、大きく5つの分野に分類できます。ここでは各分野で頻出する質問30選と、効果的な回答のポイントを解説します。
回答を準備する際は、STAR法(Situation:状況、Task:課題、Action:行動、Result:結果)を活用すると、論理的で説得力のある説明ができます。
自己紹介・経歴に関する質問(6問)
1. 簡単に自己紹介をお願いします【回答例あり】
面接官の意図:第一印象の形成、コミュニケーション能力、要点をまとめる力の確認
回答例:「現在、Web系の受託開発会社でバックエンドエンジニアとして3年間従事しております。主にPHP(Laravel)を用いたAPI開発を担当し、月間100万PVのECサイトのパフォーマンス改善プロジェクトではレスポンス速度を40%向上させました。現在はより大規模なサービス開発に携わりたいと考え、御社の求人に応募いたしました。チーム開発での協働を大切にし、コードレビューを通じた品質向上に注力しています」
2. 転職を考えた理由を教えてください【回答例あり】
面接官の意図:キャリアビジョンの明確性、モチベーション、自社とのマッチング度の確認
回答例:「現職では小規模なプロジェクトが中心で、新しい技術への挑戦機会が限られていました。今後はマイクロサービスアーキテクチャやクラウドネイティブな開発に携わり、より大規模で社会的インパクトのあるサービスに貢献したいと考えています。御社の技術スタックと成長フェーズが、私のキャリアビジョンと合致していると感じました」
3. これまでで最も印象に残っているプロジェクトは何ですか
面接官の意図:実務経験の深さ、技術的な興味関心、プロジェクトへの主体性
回答のポイント:プロジェクトの概要(規模、期間、技術スタック)→自分の具体的な役割→達成した成果を、ストーリーとして語ることが重要です。
4. 強みと弱みを教えてください
面接官の意図:自己分析力、客観性、成長意欲
回答のポイント:強みは具体的なエピソードで証明し、弱みは改善に向けた取り組みとセットで伝えます。例えば「新しい技術の習得が早い」という強みなら、実際に短期間で習得した技術と成果を示します。
5. 5年後、どのようなエンジニアになっていたいですか
面接官の意図:キャリアビジョンの明確性、成長意欲、長期的な働き方への意識
回答のポイント:具体的なスキル(アーキテクト、テックリードなど)や役割を示し、それが応募企業で実現可能かを意識した回答が効果的です。
6. なぜ当社を志望しましたか【回答例あり】
面接官の意図:企業研究の深さ、本気度、マッチング度
回答例:「御社のプロダクトが持つ社会的意義に共感しました。また、技術ブログで拝見したマイクロサービス化の取り組みや、エンジニアの裁量が大きい開発文化に魅力を感じています。私のバックエンド開発の経験と、スケーラビリティを意識した設計スキルを活かし、御社のサービス成長に貢献したいと考えています」
技術知識・スキルに関する質問(6問)
1. 普段使用している開発言語とフレームワークを教えてください
面接官の意図:技術スタックの把握、自社との適合性、技術の習熟度
回答のポイント:言語名だけでなく、バージョン、使用年数、習熟度(基本的な実装ができる/設計から実装まで可能など)を具体的に伝えます。
2. オブジェクト指向プログラミングとは何か説明してください
面接官の意図:基礎知識の理解度、技術概念を説明する能力
回答のポイント:定義(データと処理をオブジェクトとしてまとめる考え方)→メリット(再利用性、保守性の向上)→実務での活用例(継承やポリモーフィズムを使った設計)の順で説明します。
3. REST APIとGraphQLの違いを説明してください
面接官の意図:最新技術への理解、比較検討力、実務での使い分け
回答のポイント:それぞれの特徴(RESTはリソース指向、GraphQLはクエリ言語)→主な違い(エンドポイント数、データ取得の柔軟性)→使い分けの基準(プロジェクト規模、要件)まで言及します。
4. Gitのブランチ戦略について説明してください
面接官の意図:チーム開発経験、ベストプラクティスの理解
回答のポイント:実際に使った戦略(Git Flow、GitHub Flowなど)の名称と概要、運用での工夫点を具体的に述べます。
5. テストコードは書きますか?どのような種類のテストを書きますか
面接官の意図:品質意識、テスト駆動開発への理解と実践
回答のポイント:単体テスト、結合テスト、E2Eテストなど具体的な種類と、実施する理由(品質担保、リファクタリングの安全性)を説明します。
6. 最近学習している技術やツールはありますか【回答例あり】
面接官の意図:学習意欲、技術トレンドへの感度、自己成長への姿勢
回答例:「現在、Kubernetesを学習しています。コンテナオーケストレーションの知識を深め、スケーラブルなインフラ構築スキルを身につけたいと考えています。オンライン講座で基礎を学び、個人プロジェクトで実際にクラスタを構築して動作確認を行っています。今後は実務でも活用できるレベルまで習熟度を高めたいです」
開発経験・プロジェクトに関する質問(6問)
1. 直近で担当したプロジェクトの概要と、役割を教えてください【回答例あり】
面接官の意図:実務経験の具体性、プロジェクトへの貢献度、説明能力
回答例:「ECサイトのリニューアルプロジェクトに、バックエンドエンジニアとして参加しました。期間は6ヶ月、チーム5名での開発です。私は商品検索機能のAPI設計と実装を担当し、ElasticsearchとRedisを組み合わせることで、検索速度を従来比3倍に改善しました。また、週次のコードレビューを主導し、チーム全体のコード品質向上にも貢献しました」
2. 使用した技術スタックと、その選定理由を教えてください
面接官の意図:技術選定の判断力、ビジネス要件の理解
回答のポイント:技術名→選定理由(要件適合性、チームの技術スキル、保守性、コストなど)を論理的に説明します。トレードオフを考慮した判断であることを示すと好印象です。
3. プロジェクトで最も困難だったことは何ですか【回答例あり】
面接官の意図:問題解決能力、ストレス耐性、学習姿勢
回答例:「本番環境で突発的なパフォーマンス低下が発生した際、原因特定に苦労しました。ログ分析とプロファイリングツールを駆使し、N+1問題が原因であることを突き止めました。クエリの最適化とキャッシュ戦略の見直しにより解決し、この経験からパフォーマンスチューニングの重要性を学びました」
4. チームメンバーと意見が対立した時、どう対処しましたか
面接官の意図:コミュニケーション能力、協調性、コンフリクト解決力
回答のポイント:傾聴(相手の意見を十分に聞く)→議論(データや根拠をもとに建設的に話し合う)→合意形成(チームの目標に沿った最適解を導く)のプロセスを示します。
5. プロジェクトで達成した成果や改善した点を教えてください
面接官の意図:成果の定量化、価値創出への意識
回答のポイント:具体的な数値(パフォーマンス改善◯%、開発工数削減◯時間、エラー率低下◯%など)を含めることで説得力が増します。
6. そのプロジェクトから学んだことは何ですか
面接官の意図:経験の内省、成長意欲、学びの深さ
回答のポイント:技術的な学び(新しいツールやアーキテクチャ)とソフトスキルの学び(コミュニケーション、プロジェクト管理)の両方に触れると、バランスの取れた成長をアピールできます。
問題解決・論理的思考に関する質問(6問)
1. バグが発生した時、どのようにデバッグしますか【回答例あり】
面接官の意図:問題解決のプロセス、論理的思考力、デバッグスキル
回答例:「まず現象を正確に再現し、エラーメッセージやログを確認します。次に仮説を立て(例:特定の入力値での処理ミス)、デバッガやログ出力で検証します。原因を特定したら修正を実装し、同様の問題が他にないか確認します。最後にテストコードを追加し、再発防止を図ります」
2. 本番環境で障害が発生した時の対応手順を教えてください
面接官の意図:緊急時対応力、優先順位付け、システム運用の理解
回答のポイント:影響範囲の確認(何人のユーザーに影響があるか)→一時対応(ロールバック、切り戻しなど)→根本原因の調査→恒久対応→再発防止策の順で説明します。
3. パフォーマンスが悪いコードをどう改善しますか
面接官の意図:最適化の知識、分析力、実践的スキル
回答のポイント:計測(プロファイラでボトルネック特定)→仮説(N+1問題、非効率なアルゴリズムなど)→改善(クエリ最適化、キャッシュ導入)→効果検証のサイクルを示します。
4. 要件が曖昧な時、どのように明確化しますか
面接官の意図:コミュニケーション能力、要件定義力、主体性
回答のポイント:質問(5W1Hで深掘り)→具体例の提示(「こういうケースはどうするか」)→認識合わせ→文書化の流れで説明します。
5. 複数の実装方法がある時、どう選択しますか
面接官の意図:技術的判断力、トレードオフの理解
回答のポイント:評価軸(保守性、パフォーマンス、開発速度、チームスキルなど)を明示し、プロジェクトの状況に応じた選択基準を説明します。
6. レガシーコードのリファクタリング経験はありますか
面接官の意図:既存コード改善の経験、段階的改善の思考
回答のポイント:テストの整備(安全にリファクタリングするため)→段階的な改善(一度にすべて変えない)→影響範囲の最小化を意識した取り組みを説明します。
チームワーク・コミュニケーションに関する質問(6問)
1. チーム開発で大切にしていることは何ですか【回答例あり】
面接官の意図:チーム志向、協働の価値観、働き方のスタンス
回答例:「透明性の高いコミュニケーションを大切にしています。具体的には、毎朝の15分スタンドアップで進捗と課題を共有し、困っていることを早めに相談する文化を心がけています。また、コードレビューでは技術的なフィードバックだけでなく、良い実装へのポジティブな言及も行い、チーム全体のモチベーション維持に貢献しています」
2. 非エンジニア(企画、デザイナーなど)とどう連携しますか
面接官の意図:職種を超えた協働力、説明力、ビジネス理解
回答のポイント:相手への専門用語を避けた説明→図やモックを使った視覚化→定期的な認識合わせの工夫を具体的に述べます。
3. リモートワークでのコミュニケーションで工夫していることはありますか
面接官の意図:現代的な働き方への適応力
回答のポイント:ツール活用(Slack、Zoom、Notionなど)→非同期コミュニケーション(ドキュメント文化)→意識的な雑談(チームビルディング)など、具体的な取り組みを示します。
4. 後輩エンジニアの育成経験はありますか
面接官の意図:リーダーシップ、指導力、成長支援への姿勢
回答のポイント:ペアプログラミング→コードレビューでのフィードバック→相談しやすい環境作り(1on1の実施など)といった具体的な育成方法を説明します。
5. チームの開発効率を上げるために実施したことはありますか
面接官の意図:改善意識、主体性、チームへの貢献
回答のポイント:課題発見(定例会議が長い、デプロイに時間がかかるなど)→提案(アジェンダ作成、CI/CD導入)→実施→効果測定(会議時間30%削減など)の流れで説明します。
6. 意見の対立をどう解決しますか
面接官の意図:コンフリクト解決力、協調性、成熟度
回答のポイント:傾聴(まず相手の意見を理解する)→共通目標の確認(何のための議論か)→データに基づく判断(感情ではなく事実で)のプロセスを示します。
3. 技術面接で困った時の対処法|5つのシーン別対応

技術面接では、準備していても想定外の状況に直面することがあります。ここでは、実際によくある困難なシーン5つと、その場での適切な対処法を解説します。
完璧な答えよりも、誠実な対応と思考プロセスの言語化が評価されることを覚えておきましょう。
質問の意味がわからなかった時
質問の意図が理解できないまま沈黙してしまうのは、最も避けるべき対応です。
面接官も、明確な回答を得るために質問しています。わからないことを恐れず、積極的に確認しましょう。
<効果的な対応>
- 「恐れ入りますが、〇〇という理解で合っていますでしょうか?」
- 「具体的には△△についてお聞きになりたいということでしょうか?」
質問を言い換えて確認することは、コミュニケーション能力の証明にもなります。曖昧なまま答えるよりも、正確に理解してから答える姿勢の方が、はるかに評価されます。
技術的な質問に答えられなかった時の模範解答
知ったかぶりをしたり、曖昧に答えたりするのは逆効果です。実務経験がない技術については、正直に伝えることが最も誠実で評価される対応です。
<効果的な対応>
- 「申し訳ございません、その技術は実務で使用したことがありません」
- 「ただし、関連する〇〇の経験があり、△△のように活用していました」
- 「もしよろしければ、どのような場面で使用されるか教えていただけますか。今後ぜひ学習したいと考えています」
わからないことを正直に伝えられることも、重要なスキルです。
面接官は、学び続ける姿勢を持っているかを見ています。関連する経験や知識があれば補足し、学ぶ意欲を示すことで、前向きな印象を与えられます。
コーディングテストで時間内に解けなかった時の伝え方
コーディングテストで完璧な答えが求められているわけではありません。
時間内に完成しなくても、途中までの考え方を言語化して伝えることで、思考プロセスを評価してもらえます。
<効果的な対応>
- 「時間内に完成しませんでしたが、アプローチとしては〇〇を考えていました」
- 「この部分は△△のアルゴリズムで実装しようと思いました」
- 「時間があれば〇〇のように最適化します」
- 「テストケースを増やして品質を高めることも考えていました」
多くの面接官は、完成したコードよりも、問題へのアプローチや思考プロセスを重視しています。どのように考え、どう解決しようとしたのかを説明できれば、十分に評価されます。
緊張して頭が真っ白になった時
緊張は誰にでも起こる自然な反応です。完璧を求めず、一度立て直すことが大切です。
<効果的な対応>
- 深呼吸をする(3秒吸って、5秒吐く)
- 「少し考える時間をいただけますか」と素直に伝える
- 「緊張してしまったので、一度整理させてください」と正直に言う
- メモを見返す、水を飲むなどのリセット行動をとる
面接官も人間であり、完璧を求めているわけではありません。むしろ、緊張は真剣に臨んでいる証拠です。落ち着きを取り戻すための時間を求めることは、決して恥ずかしいことではありません。
想定外の質問をされた時
準備していない質問が来ても、パニックにならず、質問の意図を考える時間を取りましょう。すべてに完璧に答える必要はありません。
<効果的な対応>
- わかる部分から答え始める:「〇〇の観点からお答えしますと…」
- 自分の経験と結びつける:「私の経験では△△でしたが…」
- 推測を示すのもあり:「この質問の背景には〇〇があるのではないかと考えますが…」
完璧な答えよりも、思考の柔軟性や、限られた情報の中でベストを尽くす姿勢が評価されます。知識の量ではなく、考え方や問題へのアプローチを見せることが大切です。
4. エンジニアの技術面接で好印象を与える逆質問15選
逆質問は単なる「質問タイム」ではなく、最後のアピールチャンスです。
企業への関心の高さ、思考の深さ、入社意欲を示す重要な機会であり、同時に企業を見極める大切な時間です。「特にありません」は絶対に避けましょう。
技術・開発環境に関する逆質問(5選)
1. 開発チームの技術スタックと、その選定理由を教えてください
なぜ良いか
技術への関心と、技術選定の背景を理解したい意欲を示せます。表面的な情報ではなく、意思決定の背景に興味があることが伝わります。
2. コードレビューやテストの文化はどのようなものですか
なぜ良いか
品質意識と、チーム開発への理解を示せます。開発プロセスの質を重視していることが伝わります。
3. 技術的負債への向き合い方を教えてください
なぜ良いか
現実的な開発課題への関心と、長期的視点を持っていることを示せます。理想論だけでなく、実務の現実を理解している姿勢が評価されます。
4. 新しい技術の導入はどのように決定されますか
なぜ良いか
技術トレンドへの感度と、意思決定プロセスへの関心を示せます。主体的に技術提案をしたい意欲も感じられます。
5. 開発環境の改善に関して、エンジニアからの提案は受け入れられますか
なぜ良いか
改善意識と主体性をアピールできます。受け身ではなく、積極的に貢献したい姿勢が伝わります。
チーム・働き方に関する逆質問(5選)
1. チームの構成とそれぞれの役割を教えてください
なぜ良いか
チームワークへの関心と、協働を意識している姿勢を示せます。入社後の具体的なイメージを持とうとしていることが伝わります。
2. 1日の業務の流れを教えてください
なぜ良いか
具体的な働き方をイメージしている真剣さが伝わります。入社後のミスマッチを避けたいという慎重さも評価されます。
3. リモートワークの頻度や働き方の柔軟性について教えてください
なぜ良いか
現代的な働き方への関心を示せます。ただし、質問の仕方には注意が必要です。制度の有無だけでなく、実際の運用状況を聞くのがポイントです。
4. エンジニアのキャリアパスにはどのような選択肢がありますか
なぜ良いか
長期的なキャリアビジョンを持っていることを示せます。成長意欲と、企業で長く働きたい意思が伝わります。
5. このポジションで最も重要なミッションは何ですか
なぜ良いか
期待役割への関心と、貢献意欲を示せます。入社後すぐに価値を出したいという前向きな姿勢が評価されます。
成長・学習に関する逆質問(5選)
1. 技術的なスキルアップのための支援制度はありますか
なぜ良いか
成長意欲と学習姿勢を示せます。自己投資に積極的な姿勢が伝わります。
2. 社内勉強会や技術共有の機会はどのくらいありますか
なぜ良いか
知識共有の文化への関心を示せます。学び合う環境を重視していることが伝わります。
3. 先輩エンジニアから学べる機会はどのようなものがありますか
なぜ良いか
謙虚さと、学ぶ姿勢を示せます。経験者から積極的に吸収したい意欲が評価されます。
4. 入社後、どのようなオンボーディングプロセスがありますか
なぜ良いか
早期活躍への意欲を示せます。スムーズにチームに馴染みたいという前向きな姿勢が伝わります。
5. 〇〇さん(面接官)が感じる、このチームの魅力は何ですか
なぜ良いか
個人的な意見を求めることで、深い対話になります。面接官との関係構築にもつながり、記憶に残りやすくなります。
5. エンジニアの技術面接突破のための準備4ステップ
完全ガイド
技術面接を成功させるには、体系的な準備が不可欠です。
ここでは、今日から始められる具体的なアクションプランを4つのステップで解説します。準備をしっかり行うことで、自然と自信が湧き、面接本番でも落ち着いて力を発揮できるようになります。
ステップ1:経歴と実績を棚卸しする
まず、これまでの経験を整理することから始めましょう。職務経歴書を最新化し、各プロジェクトについて以下の項目を明確にします。
■整理すべき項目
- プロジェクトの期間、規模(チーム人数、予算規模など)
- 役割と担当範囲(バックエンド担当、リーダーなど)
- 使用した技術スタック(言語、フレームワーク、インフラなど)
- 直面した課題と具体的な解決方法
- 達成した成果(可能な限り数値化:パフォーマンス改善◯%、工数削減◯時間など)
失敗経験とそこからの学びも整理しておきましょう。面接では成功体験だけでなく、困難をどう乗り越えたかも重要な評価ポイントです。
「何を話すか」だけでなく「どう話すか」も意識し、STAR法(Situation、Task、Action、Result)を使って、論理的に説明できるよう練習しましょう。
ステップ2:技術知識を復習する
使用している技術スタックの基礎を復習し、自信を持って説明できる状態にします。
■復習すべき内容
- 使用言語の特徴、バージョンごとの主要な違い
- フレームワークの設計思想、主要な機能
- データベースの基本概念(正規化、インデックス、トランザクションなど)
- インフラの基礎知識(サーバー、ネットワーク、クラウドサービスなど)
最近のトレンド技術もキャッチアップしておきましょう。技術ブログ(Qiita、Zenn、Medium)や業界ニュースで情報収集し、最新の動向を把握します。
応募企業の技術スタックを事前にリサーチすることも重要です。企業のテックブログ、採用ページ、エンジニアのSNS発信などから、使用技術や開発文化を調べておきましょう。
また、よく聞かれる技術用語(オブジェクト指向、REST API、Git、CI/CDなど)の定義を整理し、自分の言葉で説明できるようにしておきます。
ステップ3:想定質問への回答を準備する
本記事で紹介した30の質問から、自分に関連するものを10〜15個選び、実際に回答を準備します。
■準備の手順
- 各質問への回答を文章で書き出す
- STAR法を使って構造化する
- 具体的なエピソードと数値を盛り込む
- 声に出して練習する(録音して聞き返すと改善点が見つかります)
- 時間を測る(各回答は2〜3分に収まるように調整)
可能であれば、家族や友人に模擬面接をしてもらいましょう。第三者の視点でフィードバックをもらうことで、気づかなかった改善点が見つかります。
また、想定外の質問にも慌てず対応できるよう、柔軟な思考を心がけましょう。
ステップ4:企業研究を徹底する
面接を受ける企業について深く理解することで、志望動機や逆質問の質が大きく向上します。
■調べるべき情報
- 企業サイト、採用ページの熟読(企業理念、ビジョン、ミッション、事業内容、主要プロダクト)
- 組織文化や大切にしている価値観
- プロダクトを実際に使ってみる(ユーザー視点での気づき、技術的な興味ポイント)
- 企業のテックブログやエンジニア発信のチェック(技術スタック、開発文化、エンジニアの関心事)
- ニュース記事で最近の動向を把握(資金調達、新サービスリリース、業界内でのポジション)
企業研究を深めることで、「なぜこの会社なのか」という志望動機に説得力が生まれ、面接官に本気度が伝わります。
また、本当に合う企業かを見極めることもできます。
6. エンジニア採用市場の現状とトレンド

技術面接への準備がなぜ重要なのか、その背景にある採用市場の現状を、公的データと最新調査をもとに解説します。
エンジニア市場の需給状況と求められるスキルの変化を理解することで、技術面接で評価されるポイントがより明確になります。
エンジニア人材の需給状況
エンジニア採用市場は深刻な人材不足に直面しています。
厚生労働省が公表する「一般職業紹介状況」によれば、情報処理・通信技術者の有効求人倍率は他の職種と比較して高水準を維持しており、求人数に対して求職者数が少ない状況が続いています。
一方で、エンジニア側の転職活動も活発化しています。LAPRAS株式会社の2025年の調査では、約4人に1人のエンジニアが転職を視野に入れていることが明らかになっています。
また、レバテック株式会社の「IT人材白書2024」では、企業で働くIT人材の約3人に1人が転職を検討中であるという結果が出ています。
このような状況下で、企業間の人材獲得競争は激化しています。DX(デジタルトランスフォーメーション)推進により、あらゆる業界でエンジニアの需要が増加しており、優秀な人材の取り合いが起きています。
だからこそ、技術面接での差別化が、内定獲得の重要な鍵となるのです。
参考:一般職業紹介状況(厚生労働省) LAPRAS株式会社採用市場の動向 レバテックIT人材白書2024
求められるスキルの変化
IPAが発行する「IT人材白書」やDX白書によれば、IT人材に求められるスキルは多様化しています。
単にコードが書けるだけでなく、ビジネス課題を理解し、技術で解決する能力が重視されるようになっています。
技術面接で評価されるスキルも進化しています。かつては、プログラミング言語の知識やアルゴリズムの理解といったハードスキルが中心でした。
しかし現在は、以下のような能力が同等、あるいはそれ以上に重視されています。
現代のエンジニアに求められるスキル
- ビジネス理解力と課題解決力
- クラウド(AWS、Azure、GCPなど)の知識と経験
- データ分析、セキュリティなどの専門領域
- AIツール(ChatGPT、GitHub Copilotなど)の活用力
- チームでの協働能力
- 非エンジニアとのコミュニケーション力
- リモートワークでの自律性
参考: IPA:IT人材白書
7. エンジニアの技術面接に関するよくある質問(FAQ)

技術面接に関してよく寄せられる質問にお答えします。
面接の回数、所要時間、コーディングテストの有無、服装など、実務的な疑問を解消し、万全の状態で面接に臨みましょう。
技術面接は何回ありますか?
企業や職種によって異なりますが、一般的には1〜2回実施されることが多いです。
スタートアップでは1回、大企業では2〜3回行われる場合もあります。1次面接で現場エンジニアが、2次面接でマネージャーやCTOが担当するケースが一般的です。
技術面接の所要時間はどのくらいですか?
通常30分〜1時間程度です。
コーディングテストがある場合は1〜2時間かかることもあります。事前に所要時間を確認しておくと、心の準備ができます。
コーディングテストは必ずありますか?
企業によって異なります。
Webエンジニアの場合は実施される確率が高く、インフラエンジニアでは少ない傾向です。
事前課題として提出する形式、面接中にホワイトボードやPCで実施する形式などがあります。募集要項や面接案内で確認しましょう。
技術面接の服装はどうすればいいですか?
企業文化によりますが、オフィスカジュアルが無難です。
スタートアップやIT企業では私服OKの場合も多いですが、初回はビジネスカジュアル程度が安心です。事前に服装について質問しても問題ありません。
面接官は何人いますか?
1〜3人が一般的です。
現場エンジニア1名、またはエンジニア+人事担当者という組み合わせが多いです。最終面接では役員クラスが加わることもあります。
リモートとオフィスで面接内容は変わりますか?
基本的な質問内容は変わりませんが、リモート面接ではオンラインでのコミュニケーション能力も評価されます。
画面共有でのコーディング、通信環境の確認などが追加される場合があります。事前に接続テストを行い、静かな環境を確保しておくことが大切です。
8. まとめ:エンジニアの技術面接は準備と自信を持って臨もう

技術面接は、単なる知識テストではなく、思考プロセスとコミュニケーションを見る対話の場です。完璧な答えを用意するよりも、論理的に考え、誠実に向き合う姿勢が評価されます。
この記事で紹介した30の質問パターンを理解し、困った時の対処法を知り、逆質問で意欲を示すことで、自信を持って面接に臨めます。
しっかり準備をすれば、これまでの経験と成長を十分に伝えられるはずです。新しいキャリアへの一歩を、心から応援しています。