システムエンジニアの企業選びで失敗すると、長時間労働やスキルの停滞、キャリアの行き詰まりといった問題が発生します。
特に未経験者や転職を検討している現役SEにとって、企業の業態や労働環境の違いを正しく理解せずに入社すると、「こんなはずじゃなかった」という後悔につながりかねません。
この記事では、IPA IT人材白書などの公的データに基づき、業態の違いや優良企業の見極め方、具体的なチェックポイントを解説します。
- システムエンジニアが働く4つの業態(SIer・SES・社内SE・Web系)の違いと特徴について
- 企業選びで重視すべき5つの評価軸と7つの具体的なチェックポイントについて
- 未経験者・現役SE別の注意点と、面接で使える逆質問の具体例について
1. システムエンジニアが働く企業の業態と特徴を理解する

システムエンジニアの活躍の場は多岐にわたりますが、企業選びの第一歩は、自分が働きたい環境を明確にすることです。
まずは「SIer」「SES」「社内SE」「Web系」という代表的な4つの業態の違いと、IT業界特有の構造を理解しましょう。
システムエンジニア(SE)の定義と役割
システムエンジニア(SE)とは、Weblio辞書によれば「ハードウェア、ソフトウェア、通信回線をいろいろと組み合わせ、利用者の要求にかなったコンピュータシステムを設計する技術者」と定義されています。
具体的には、業務分析や調査から始まり、要件定義、システム設計、開発、テスト、運用・保守に至るまで、システム開発の各工程に関わります。
システムエンジニアの業務は「上流工程」と「下流工程」に大別されます。上流工程とは、顧客の要望をヒアリングし、どのようなシステムを構築するかを決める要件定義や基本設計といった計画段階です。
下流工程は、設計書に基づいた実際のプログラミング(実装)やテスト、運用といった実行段階を指します。
企業の業態によって担当する工程が大きく異なるため、企業選びの際にはこの点を理解することが重要です。
(出典:Weblio辞書「システムエンジニア」)
SEが働く4つの業態を比較
大手SIer(元請け企業)の特徴
大手SIer(システムインテグレーター)は、大規模システムの企画・設計といった上流工程を中心に担当する元請け企業です。
金融機関の基幹システムや官公庁のシステム開発など、社会インフラを支える大型案件を手掛けることが多く、給与水準が高く福利厚生も充実している傾向があります。
一方で、組織が大きいため縦割り構造になりやすく、業務が細分化されて技術選定の自由度が低いといったデメリットもあります。
SES(客先常駐型)の特徴
SES(システムエンジニアリングサービス)は、エンジニアをクライアント企業に派遣し、客先で開発や運用・保守を行う業態です。
下流工程の業務が多く、未経験者でも入りやすい点がメリットですが、配属先の現場によって労働環境やスキル習得の機会が大きく左右されます。企業選びの際には研修制度やキャリアサポート体制の確認が不可欠です。
社内SE(事業会社)の特徴
社内SEは、IT企業ではない一般事業会社に所属し、自社の情報システムの開発・運用・保守を担当します。
社内のユーザーと距離が近く貢献実感を得やすい環境で、ワークライフバランスが安定している企業が多い点が特徴です。
デメリットとして、使用する技術が古くなりやすい点や、開発業務よりも保守・運用が中心となる場合があります。
Web系自社開発企業の特徴
Web系自社開発企業は、自社でWebサービスやアプリケーションを企画・開発・運用する業態です。
スピード感を持って開発を進め、最新技術を積極的に採用する文化があり、エンジニアの裁量権が大きい点が魅力です。
一方で、自社サービスの成否によって企業の安定性が大きく左右されるリスクがあります。
業態別の比較表で理解を深める
これら4つの業態の特徴を、以下の比較表で整理します。自分の志向性に合う業態を見つける参考にしてください。
| 業態 | 主な業務内容 | メリット | デメリット | 向いている人 |
|---|---|---|---|---|
| 大手SIer(元請け) | 大規模システムの企画・設計(上流工程中心)、プロジェクト管理 | 大規模案件経験、安定性、高待遇、マネジメントスキル習得 | 縦割り業務、技術選定の自由度が低い | 安定志向、マネジメント志向、大規模案件に関わりたい人 |
| SES(客先常駐) | クライアント先での開発・運用・保守(下流工程が多い) | 未経験でも入りやすい、多様な現場を経験できる | 現場に左右される、キャリアが不安定になりがち | 未経験者、多様な経験を積みたい人 |
| 社内SE(事業会社) | 自社システムの開発・運用・保守、IT戦略企画 | ユーザー(社員)との距離が近い、ワークライフバランスが安定しやすい | 技術が古くなりやすい、開発業務が少ない場合も | ワークライフバランス重視、業務改善に興味がある人 |
| Web系自社開発 | 自社Webサービス・アプリの企画・開発・運用 | スピード感、最新技術に触れられる、裁量権が大きい | 企業の安定性がサービスの成否に依存、サービスがヒットしないと不安定 | 最新技術志向、裁量を持って働きたい人 |
ITゼネコン構造と多重下請けの実態
直請け・一次請け・二次請けの構造
日本のIT業界、特に大手SIerを中心とした業界構造は、建設業界になぞらえて「ITゼネコン」と呼ばれることがあります。
これは、大規模なシステム開発案件において、元請け企業がクライアントから直接受注し、その業務の一部を下請け企業に再委託する多重下請け構造を指します。
元請け企業は主に要件定義や基本設計といった上流工程を担当し、下請け企業は詳細設計や実装、テストといった下流工程を担当することが一般的です。
キャリアへの影響と上流工程に関われる企業
システムエンジニアとして上流工程の経験を積みたい場合、元請けに近いポジションの企業(直請け・一次請け)を選ぶことが重要です。
企業選びの際には、面接で「御社は直請け案件の割合はどのくらいですか」「主な取引先企業との関係性を教えてください」といった質問をすることで、多重下請け構造の下位層に位置していないかをチェックできます。
2. システムエンジニアが企業選びで重視すべき5つの評価軸
企業選びで重視すべき5つの評価軸
年収・給与体系
モデル年収 / 昇給ルール
賞与実績 / 手当の内訳
スキル習得の機会
上流工程の経験 / 新技術
資格支援 / 勉強会
安定性・成長性
売上・利益 / 取引先
新規事業 / 業界トレンド
ワークライフバランス
残業時間 / 有給取得率
リモート / フレックス
教育・研修制度
研修期間 / メンター制度
OJT / キャリア面談
業態の違いを理解したら、次は具体的な企業を評価するための「軸」を定めます。給与や待遇はもちろん、将来のキャリアや働きやすさも重要なポイントです。
ここでは、各種調査データに基づき、エンジニアが企業選びで重視すべき5つの評価軸を解説します。
調査データから見るエンジニアが重視するポイント
paiza株式会社が実施したITエンジニア志望学生539名を対象とした調査では、就職先を選ぶ際に重視するポイントとして「給与がよい」「福利厚生が充実している」といった待遇面が上位を占めました。
パーソルキャリア株式会社の現役ITエンジニア1,500名を対象とした調査では、仕事のやりがいとして「高い給与を得る(38.0%)」「自分のスキルを向上する(37.4%)」「顧客から感謝される(31.0%)」が上位となっています。
マンパワーグループの調査では、転職後に不満を感じる点として「給与や昇進についての問題」が多く挙げられました。
これらの調査結果から、システムエンジニアの企業選びでは給与・待遇、キャリアアップ・スキル習得機会、ワークライフバランスといった要素が重要であることが明確に示されています。
(出典:paiza「ITエンジニアを志望する学生が企業選びで重視するポイント調査」2024年、パーソルキャリア「ITエンジニアの関心事とキャリアに関する調査」2022年、マンパワーグループ「ITエンジニアの転職後の満足度調査」2025年)
評価軸1. 年収・給与体系と昇給制度
給与が最重要である理由
給与は生活の基盤となるだけでなく、自身のスキルや貢献が正当に評価されているかを測る重要な指標です。
給与への不満は転職の主要な動機となることも多く、マンパワーグループの調査でも「給与や昇進についての問題」が転職後の不満として多く挙げられています。
確認すべき給与関連のポイント
企業選びの際には、初任給だけでなくモデル年収(入社3年目、5年目、10年目の年収例)、基本給と各種手当の内訳、賞与の実績と支給回数を確認しましょう。
昇給制度については、昇給のルールや評価基準が明確か、過去数年間の平均昇給率、業績連動型かスキルベースかを確認します。
業態別の年収傾向としては、一般的に大手SIerが高待遇である傾向がありますが、個別企業やスキルレベルによって大きく異なるため、必ず具体的な数値を確認することが重要です。
評価軸2. キャリアアップ・スキル習得の機会
上流工程への道筋
システムエンジニアとして成長するためには、上流工程(要件定義・設計)の経験を積むことが重要です。
企業選びの際には、入社後何年目から上流工程に関われるか、上流工程を担当している先輩社員の事例、マネジメント職への昇進ルートの有無と具体的な道筋を確認しましょう。
技術力を高める環境
パーソルキャリアの調査では、エンジニアの不安として「自身のスキルが停滞しているように感じる(7.8%)」が2位に挙げられています。
技術力を高められる環境かどうかを見極めるには、新技術に触れる機会の有無、レガシー技術のみに依存していないか、社内勉強会や技術共有の文化、資格取得支援制度の内容と実績、外部研修やカンファレンス参加の支援を確認します。
評価軸3. 企業の安定性と成長性
安定性を確認する方法
企業の安定性は長期的なキャリア形成において重要です。
上場企業の場合、有価証券報告書で売上高、経常利益の推移を確認できます。また、取引先の多様性(特定顧客への依存度が高いとリスクがある)、設立年数と事業の継続性も参考になります。
成長性を見極めるポイント
総務省の情報通信白書によれば、日本のICT産業は継続的な成長が見込まれており、特にDX需要やクラウド化の進展により、IT人材の需要は今後も高まると予測されています。
企業の成長性を見極めるには、業界トレンドとの適合性、新規事業への投資状況、採用人数の推移、技術ブログやプレスリリースの頻度をチェックしましょう。
(出典:総務省「情報通信白書」、IPA「IT人材白書」)
評価軸4. ワークライフバランスと労働環境
ワークライフバランスは、長期的に働き続けるために不可欠な要素です。労働環境の実態を把握するには、平均残業時間、有給取得率、休日出勤の頻度を確認します。
また、働き方の柔軟性として、リモートワークの可否と頻度、フレックスタイム制度の有無、育児・介護との両立支援制度があるかを確認しましょう。
パーソルキャリアの調査では、特に近年「リモートワークの広がり」への関心が示されています。
評価軸5. 教育・研修制度とサポート体制
特に未経験者や中途入社者にとって、入社後の教育・研修制度とサポート体制は極めて重要です。
研修内容の具体性として、未経験者向けの研修期間(3ヶ月以上が目安)、研修の内容、中途入社者向けのキャッチアップ支援を確認します。
継続的なサポート体制として、OJTの仕組み、メンター制度の有無と実態、キャリア面談の頻度と質を面接で質問しましょう。
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3. システムエンジニアの企業選びで失敗しない7つのチェックポイント
SE企業選びで失敗しない7つのチェックポイント
案件・業務内容の透明性
残業・休日出勤の実態
評価制度の明確さ
上司・チームの技術力
スキルアップ保証 (SES)
社内コミュニケーション
離職率・平均勤続年数
評価軸が定まったら、次は入社後のミスマッチを防ぐための具体的な確認作業に移ります。
求人票の情報だけでは見えない実態を把握するため、面接での質問や情報収集で必ず確認すべき7つのチェックポイントを紹介します。
チェックポイント1. 案件・業務内容の透明性を確認する
透明性が重要な理由
入社後に「想定していた業務と違った」というギャップは、早期離職の大きな要因となります。
特にシステムエンジニアの場合、担当する案件や工程によってスキル習得の方向性が大きく変わるため、業務内容の透明性は企業選びの最重要ポイントです。
具体的な確認方法
面接での逆質問が最も有効です。
「入社後、最初に担当する可能性のある案件の内容を教えてください」「配属先の部署やチームの主な業務内容は何ですか」「担当する工程は、要件定義・設計・実装・テストのうちどれになりますか」といった質問で具体的な業務内容を把握できます。
また、採用ページでプロジェクト事例が具体的に記載されているか、使用技術やツールが明示されているかをチェックしましょう。
警戒すべきサインとして、「案件は入社後に決定します」という曖昧な説明や、具体的な質問に対して明確な回答が得られない場合は要注意です。
チェックポイント2. 残業時間と休日出勤の実態を把握する
労働時間の確認方法
労働時間は、ワークライフバランスとキャリアの持続可能性に直結する重要な要素です。
繁忙期と通常期を分けて質問すること(「通常期と繁忙期では、それぞれ月の残業時間はどのくらいですか」)、平均残業時間だけでなく最大値も確認すること、休日出勤の頻度と代休取得の実態を質問することが重要です。
客観的データの入手先
面接での質問だけでなく、上場企業の場合は有価証券報告書、口コミサイト(OpenWork、転職会議など)での労働時間に関する投稿、36協定の内容確認も活用しましょう。
ただし、口コミサイトの情報は極端な意見だけで判断せず、複数の情報源を総合的に見ることが重要です。
チェックポイント3. 評価制度の明確さを見極める
評価制度が不透明な企業では、「頑張っているのに評価されない」という不満が生じやすく、転職の動機となることが多いです。
評価基準は明文化されているか、昇進・昇給のプロセスは透明か、評価の頻度を確認しましょう。
また、実力主義か年功序列か、モデルケースの有無も確認します。面接では「評価制度について教えてください」「昇進・昇給の実例があれば教えてください」といった質問で確認できます。
チェックポイント4. 上司・チームの技術力とマネジメント力
上司やチームメンバーの質は、自身の成長速度に大きく影響します。
配属予定チームの構成、上長がエンジニア出身かを確認し、技術的な相談ができる環境か、コードレビューの文化があるか、チーム内での知識共有の仕組みがあるかを確認します。
面接の際、面接官自身の技術的バックグラウンドや現場の雰囲気を観察することも有効です。
チェックポイント5. SES企業におけるスキルアップ保証
案件選択の自由度
SES企業を検討する場合、配属先の案件が自身のキャリアに大きく影響するため、案件選択の自由度は極めて重要です。
本人の希望が考慮されるか、案件紹介のプロセスの透明性、希望しない案件を断れるかを確認しましょう。
継続的なサポート体制
客先常駐中も自社からのサポートがあるかは重要なポイントです。
スキルシートの更新サポート、定期的なキャリア面談の実施(月1回以上が望ましい)、自社内での技術交流機会があるかを確認します。
チェックポイント6. 社内コミュニケーションと企業文化
企業文化や社内のコミュニケーションの雰囲気は、働きやすさに直結します。
面接での観察(面接官の雰囲気、面接会場やオフィスの雰囲気)や、具体的な質問(「チーム間のコミュニケーション手段は何ですか」「オフィス見学は可能ですか」「社内イベントの頻度と内容を教えてください」)で企業文化の一端を知ることができます。
チェックポイント7. 離職率と平均勤続年数
離職率と平均勤続年数は、企業の働きやすさや満足度を示す重要な指標です。離職率が開示されている場合は必ず確認し、若手の定着率を質問します。
IT業界の離職率は他業種と比較してやや高い傾向がありますが、同じIT業界内での比較が重要です。ただし、離職率が高い企業が必ずしも悪いわけではなく、その理由を理解した上で判断することが重要です。
4. 未経験者向けのシステムエンジニア企業選びの注意点

未経験からシステムエンジニアを目指す場合、企業選びは特に慎重に行う必要があります。
「未経験歓迎」の言葉だけに惹かれず、入社後に確実にスキルを身につけられる環境かを見極めることが成功の鍵です。
ここでは、未経験者が避けるべき企業の特徴と、成長できる企業の見分け方を解説します。
未経験者が避けるべき企業の特徴
研修制度が曖昧な企業
未経験からシステムエンジニアを目指す場合、入社後の研修制度は極めて重要です。
「OJTで学べます」だけの説明で具体的なカリキュラムが示されない、研修期間が極端に短い(1ヶ月未満など)、研修内容が曖昧で何を学べるのかが不明確な企業は要注意です。
面接では「研修のカリキュラムを詳しく教えてください」「研修期間はどのくらいですか」と具体的に質問しましょう。
即戦力を期待される環境
「未経験歓迎」と募集要項に書かれていても、実際には即戦力を期待され、サポート体制がない企業も存在します。
面接時に「未経験入社者のこれまでの実績」や「未経験者向けのサポート体制」を具体的に質問し、実態を確認することが不可欠です。
未経験からでも成長できる企業の見極め方
体系的な研修プログラムの有無
未経験から成長できる企業は、体系的な研修プログラムを用意しています。
研修期間は3ヶ月以上が目安で、座学だけでなく実践的な演習が含まれているか、プログラミング基礎、開発工程の理解、ビジネスマナーなど段階的に学べるかを確認します。
研修内容の具体性として、プログラミング基礎、使用する言語やフレームワークの学習、実践的な模擬プロジェクト、チーム開発の経験が含まれているかをチェックしましょう。
メンター制度の実態
メンター制度がある企業でも、その実態は様々です。
専任メンターの配置、定期的な面談の実施(週1回、月1回など)、質問しやすい環境を確認します。「メンター制度は機能していますか」「どのくらいの頻度でメンターと面談できますか」といった質問で実態を確認できます。
SES企業で未経験者が確認すべきポイント
SES企業は未経験者でも入社しやすい一方で、配属先によって成長度合いが大きく変わるため、慎重な企業選びが必要です。
自社での研修期間の長さ、配属先の選定プロセス(未経験者がいきなり難易度の高い現場に配属されないか)、未経験入社者の実績・定着率、スキルアップ支援の具体性(客先常駐中も定期的なスキルチェックがあるか)を確認しましょう。
未経験者がSES企業を選ぶ際は、「研修期間が長く、配属後もフォローがしっかりしている企業」を選ぶことが成功への鍵です。
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5. 現役SEが転職で企業選びに失敗しないための4ステップ
現役SEの転職 失敗しない4ステップ
STEP 1
キャリアビジョン設定
STEP 2
スキル・経験の棚卸し
STEP 3
企業・業態の徹底調査
STEP 4
エージェント戦略活用
すでにキャリアを持つ現役SEの転職では、「なぜ転職するのか」を明確にし、次の職場で確実に課題を解決できるかを見極める必要があります。
ここでは、転職で失敗しないために、自己分析から企業調査、エージェント活用までを4つのステップで解説します。
転職を考える理由を明確にする
よくある退職理由
マンパワーグループの調査によれば、ITエンジニアの転職後に不満を感じる点として「給与や昇進についての問題」が多く挙げられています。
パーソルキャリアの調査では、現在の業務で不安に感じることとして「今の会社でどこまで給与が上がるか(13.4%)」「自身のスキルが停滞しているように感じる(7.8%)」「いつまで今の業務負荷をこなせるか(6.7%)」が上位です。
システムエンジニアが転職を考える主な理由は、給与・待遇への不満、長時間労働・ワークライフバランスの問題、スキルの停滞・キャリアの行き詰まりの3つに大別されます。
現職の何を変えたいのか
転職を成功させるためには、漠然とした不満ではなく、具体的に「何を変えたいのか」を明確にすることが重要です。
問題点を具体化し(例:「残業が多い」→「月の残業が平均50時間を超え、プライベートの時間が取れない」)、優先順位を明確にすることで、次の企業選びで何を重視すべきかが明確になります。
ステップ1. 自分のキャリアビジョンを設定する
転職先を選ぶ前に、まず自分のキャリアビジョンを明確にします。
5年後、10年後にどのような仕事をしていたいか、マネジメント志向かスペシャリスト志向か、担当したい工程・領域(上流工程志向、技術深堀り志向、フルスタック志向)、働き方の理想(リモートワーク重視、ワークライフバランス最優先、高年収追求)を整理しましょう。
キャリアビジョンが明確になると、どの業態が自分に適しているかも見えてきます。
ステップ2. 現在のスキルと経験を棚卸しする
プロジェクト経験の整理
転職活動では、自分のスキルと経験を客観的に伝える必要があります。
担当した案件の規模と役割、工程(要件定義、設計、実装、テスト、運用・保守のうち、どの工程を担当したか)、チーム構成と自身のポジションを明確にします。
技術スキルの棚卸し
使用言語・フレームワーク、インフラ・クラウド経験、データベース・ツール、強みと弱みの客観視を整理します。
スキルシートや職務経歴書を作成する際に、この棚卸しが役立ちます。
ステップ3. 企業・業態を徹底的に調査する
企業情報の収集方法
転職先候補の企業については、徹底的に調査することが重要です。
公式情報として、企業の事業内容・主要取引先、IR情報や採用ページの精読、プレスリリースで事業の方向性を確認します。
また、技術ブログやエンジニア向け情報として、企業の技術ブログ、GitHub、Qiita、Zennなどでの発信をチェックしましょう。
口コミサイトの活用法
口コミサイト(OpenWork、転職会議など)は有用ですが、複数の口コミを総合的に判断すること、極端な意見は参考程度にすること、投稿時期を確認すること、部署や職種による違いを考慮することが重要です。
口コミサイトはあくまで参考情報として活用し、最終的な判断は面接での質問や公式情報を基に行いましょう。
ステップ4. 転職エージェントを戦略的に活用する
エージェント活用のメリット
転職エージェントを活用することで、非公開求人へのアクセス、年収交渉の代行、企業の内部情報の入手、応募書類の添削や面接対策といったメリットがあります。
効果的な活用方法
- 複数エージェントへの登録(IT業界に特化したエージェントと総合型エージェントの両方)
- 希望条件の明確な伝達(キャリアビジョン、希望年収、勤務地、働き方の希望を具体的に伝える)
- 定期的なコミュニケーション(紹介された求人に対してフィードバックを返す)
が重要です。
転職エージェントはあくまで「サポート役」であり、最終的な判断は自分自身で行うことが重要です。
6. 面接で使える逆質問チェックリスト

面接の最後にある「逆質問」の時間は、企業の実態を深く知るための貴重な機会です。
入社後のミスマッチを防ぎ、自分の志向と合っているかを確かめるため、ここで紹介する質問リストを活用してください。
業務内容・働き方に関する質問
具体的な業務内容
- 「入社後、最初に担当する可能性のある案件の内容を教えてください」
- 「1日の業務スケジュールの例を教えてください」
- 「担当する工程は、要件定義・設計・実装・テストのうちどれになりますか」
- 「現在、どのような技術スタックを使用していますか」
働き方の実態
- 「リモートワークの頻度を教えてください(週何日程度可能ですか)」
- 「平均的な残業時間を教えてください。繁忙期と通常期それぞれで教えていただけますか」
- 「休日出勤の頻度はどのくらいですか。また、代休は取得できますか」
- 「有給休暇の取得率はどのくらいですか」
評価・キャリアに関する質問
- 「評価制度の仕組みを教えてください。どのような基準で評価されますか」
- 「昇進・昇給の実例を教えてください。例えば、入社3年目ではどのくらいの昇給が見込めますか」
- 「キャリアパスのモデルケースはありますか。入社5年後、10年後の先輩社員の事例を教えてください」
- 「上流工程に関われる機会はありますか。入社後どのくらいの期間で関われるようになりますか」
- 「マネジメント職への昇進ルートについて教えてください」
教育・サポートに関する質問
- 「研修内容と期間を詳しく教えてください。どのようなカリキュラムがありますか」
- 「メンター制度の実態を教えてください。どのくらいの頻度でメンターと面談できますか」
- 「資格取得支援制度はありますか。費用の補助や勉強時間の確保などの支援内容を教えてください」
- 「入社後のOJTはどのように進められますか」
- 「社内勉強会や技術共有の機会はありますか」
企業文化・チームに関する質問
- 「配属予定チームの年齢構成や人数を教えてください」
- 「チーム内のコミュニケーション手段は何ですか(Slack、Teams、対面ミーティングなど)」
- 「社内での技術交流の機会はありますか」
- 「コードレビューの文化はありますか」
- 「失敗やミスに対して、どのような雰囲気で対応されますか」
- 「オフィス見学は可能ですか」
7. システムエンジニアの企業選びでよくある失敗例

企業選びのポイントを理解していても、陥りやすい「落とし穴」があります。
ここでは、先輩エンジニアたちが経験した典型的な失敗例を3つ挙げ、その対策方法を具体的に解説します。
同じ後悔をしないために、ぜひ参考にしてください。
失敗例1. 年収だけで判断して後悔するケース
失敗の内容
年収の高さに惹かれて入社したものの、高年収の背景に長時間労働が常態化しており時給換算すると前職と変わらない、単純作業や保守業務ばかりでスキルが全く身につかない、高年収の理由が「見なし残業代込み」であり実質的な基本給は低いといった状況があります。
このような企業では、短期的には収入が増えても、長期的にはスキルの停滞により市場価値が下がり、キャリア全体で見るとマイナスになる可能性があります。
対策方法
年収だけで判断せず、総合的な評価軸で判断すること、時給換算で考えてみること、将来のキャリアへの影響を考慮することが重要です。
特に、「見なし残業代」が含まれている場合は、その時間数と実際の残業時間を必ず確認しましょう。
失敗例2. 企業ブランドだけで選んで後悔するケース
失敗の内容
大手企業や有名企業というブランドに惹かれて入社したものの、実際に配属されたのは下流工程のみを担当する部署で単純な実装やテストしかできない、組織が縦割りで決められた範囲の業務しかできず裁量権が全くない、大企業特有の官僚的な文化で意思決定が遅く新しい技術を試す機会がないといった状況が典型的です。
対策方法
ブランドだけでなく、具体的な業務内容を必ず確認すること、配属先の組織構造を質問すること、入社後のキャリアパスを確認することが重要です。
大手企業でも、部署や配属先によって業務内容は大きく異なります。
失敗例3. 「未経験歓迎」に飛びついて後悔するケース
失敗の内容
「未経験歓迎」という言葉に惹かれて入社したものの、研修がほとんどなくいきなり現場に放り込まれる、質問できる相手がおらずサポート体制が整っていない、「未経験歓迎」と言いながら実際には即戦力を期待されているといった状況が典型的です。
対策方法
「未経験歓迎」という言葉を鵜呑みにせず、研修制度の具体性を確認すること、未経験入社者の定着率を質問すること、メンター制度の実態を把握すること、過去の未経験入社者の実例を聞くことが重要です。
特にSES企業の場合は、自社での研修期間が十分にあるか、配属後もフォローがあるかを必ず確認しましょう。
8. システムエンジニアの企業選びは自分の価値観を軸に判断する
これまで業態の理解から具体的なチェックポイントまで解説してきましたが、最終的に最も重要なのは「自分に合うかどうか」です。
システムエンジニアの企業選びでは、業態の違いを理解し、本記事で紹介した「5つの評価軸」と「7つのチェックポイント」で総合的に判断することが重要です。
年収や企業ブランドといった表面的な情報だけでなく、自分のキャリアビジョンや働き方の希望を明確にすること。そして、その価値観に合った企業を選ぶことが、長期的なキャリア成功につながります。
面接では逆質問を最大限に活用して企業の実態を深く確認し、必要であれば転職エージェントも戦略的に活用することで、情報の精度を高め、入社後のミスマッチを防ぐことができます。
自分自身の価値観を軸に据え、納得のいく企業選びを行ってください。