システムエンジニアの約半数が「スキルの陳腐化」への不安を抱えています。
一方でIT人材は2030年に79万人不足するという追い風も存在します。市場は売り手市場であっても、スキルが陳腐化すれば市場価値を維持できません。
この記事では、公的データに基づく年収情報、4つのキャリアパスの選択肢、そして今日から実践できる3ステップの設計方法を解説します。
- 4つのキャリアパス類型とそれぞれのメリット・デメリットについて
- 公的データに基づく年収情報とITスキル標準(ITSS)について
- 実践できる3ステップのキャリアパス設計方法について
1. なぜ今システムエンジニアのキャリアパス設計が必要なのか

システムエンジニアを取り巻く環境は、かつてないほど大きな変化の渦中にあります。
市場全体では深刻な人材不足が続く一方で、個々のエンジニアは技術の急速な進化によるスキルの陳腐化という課題に直面しています。
こうした状況だからこそ、戦略的なキャリアパス設計が必要不可欠となっています。
IT人材不足という追い風とスキル陳腐化という向かい風
日本のIT業界は、構造的な人材不足という課題を抱えています。
経済産業省の調査によると、2030年には最大79万人のIT人材が不足すると予測されています。
この数字は、IT業界全体が売り手市場であることを明確に示しており、システムエンジニアにとっては大きなチャンスといえます。
しかし、パーソル総合研究所の調査では、ITエンジニアが抱える最大の不安として「自分の技術やスキルの陳腐化」が46.5%で第1位となっています。
クラウド技術、AI、セキュリティなど、次々と登場する新技術に対応し続けなければ、市場価値を維持できないという危機感が、多くのエンジニアに共有されています。
市場環境は有利でも、個人のスキルが陳腐化すれば、そのメリットを享受できません。だからこそ、将来を見据えた戦略的なキャリア設計が必須となるのです。
(出典:経済産業省「IT人材需給に関する調査」)
(出典:パーソル総合研究所「ITエンジニアの就業意識に関する調査」)
年齢と年収の関係から見るキャリアパス設計の重要性
キャリアパス設計の重要性は、年収データからも明らかになります。
令和元年賃金構造基本統計調査によると、システムエンジニアの年収は50〜54歳でピーク(約727万円)を迎え、その後60代に入ると下降傾向となります。
また、dodaの調査によると、システムエンジニアの平均年収は20代で約389万円、30代では約516万円となっており、年代による大きな差が見られます。
20代と30代の間に100万円以上の年収差が生じるという事実は、早期のキャリア設計が生涯年収に与える影響の大きさを物語っています。
特に注目すべきは、50代でピークを迎えた後、60代で年収が下降する点です。この傾向は、40代までに明確なキャリア戦略を確立することの重要性を示唆しています。
キャリアの選択肢は以前より増えている
現代のシステムエンジニアは、従来と比較して格段に多様なキャリアの選択肢を持っています。
正社員として1つの企業でキャリアを積むという従来型のモデルに加え、フリーランスとして独立する、副業で複数の収入源を持つ、リモートワークを活用して地方在住のまま都市部の案件に参画するなど、働き方そのものが多様化しています。
技術面でも、専門性を極めるスペシャリスト、幅広い知識を持つジェネラリスト、チームをまとめるマネジメント職、あるいは経験を活かして他職種へキャリアチェンジするなど、複数の道が開かれています。
可能性が広がっているからこそ、自分に合った方向性を早期に見定め、計画的にスキルと経験を積み上げていくことが重要です。
明確な目標がなければ、多様な選択肢はかえって迷いを生み、キャリア形成の遅れにつながりかねません。
2. システムエンジニアの4つのキャリアパス選択肢
システムエンジニアの4つのキャリアパス
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マネジメント職
PM / ITコンサルタント
スペシャリスト職
アーキテクト / 専門家
ジェネラリスト職
幅広い知識 / 全体最適
職種転換・独立
フリーランス / 他職種
システムエンジニアのキャリアは、大きく4つの類型に分類できます。
それぞれに特徴があり、求められるスキルや適性も異なります。自分の強みや価値観に照らし合わせて、最適な道を選択することが重要です。
類型1:マネジメント職を目指すキャリアパス
プロジェクトリーダー(PL)からプロジェクトマネージャー(PM)へ
マネジメント職は、システムエンジニアにとって王道とも言えるキャリアパスの1つです。
まずプロジェクトリーダー(PL)として小規模なチームをまとめる経験を積み、その後プロジェクトマネージャー(PM)としてプロジェクト全体の責任を担うという流れが典型的です。
プロジェクトマネージャーの役割
プロジェクトの計画立案、予算管理、進捗管理、品質管理、そしてステークホルダーとの調整など多岐にわたります。
技術的な実装からは距離を置き、プロジェクト全体を俯瞰して成功に導くことが主な責務となります。
<求められるスキル>
- コミュニケーション能力:チームメンバー、顧客、経営層など多様な関係者と円滑に意思疎通できる力
- 調整力:限られたリソースの中で、時間・コスト・品質のバランスを取る力
- 交渉力:顧客の要求と開発の現実を擦り合わせ、合意形成する力
- リーダーシップ:チームを鼓舞し、目標達成に向けて導く力
<メリット>
- 年収アップの可能性が高い(マネジメント層は技術職より高収入の傾向)
- キャリアの安定性が増す(年齢を重ねても活躍できる)
- 組織内での影響力が大きくなる
<デメリット>
- 技術的なスキルから離れる(最新技術に触れる機会が減少)
- プレッシャーが大きい(プロジェクトの成否に対する責任)
- 長時間労働になりがち(調整業務や会議が多い)
ITコンサルタント・業務コンサルタントへの道
プロジェクトマネージャーとしての経験をさらに発展させ、より上流工程であるITコンサルタントや業務コンサルタントへと進むキャリアパスもあります。
この段階では、システムの開発そのものより、クライアント企業の経営課題を解決するためのIT戦略立案や業務改革の提案が主な業務となります。
経営視点を持ち、ITをビジネスの成長に結びつける役割を担うため、技術知識に加えて経営やビジネスに関する深い理解が求められます。
類型2:技術を極めるスペシャリストのキャリアパス
ITスペシャリスト・システムアーキテクトとして専門性を高める
マネジメントではなく、技術の道を極めたいと考えるエンジニアには、スペシャリストのキャリアパスがあります。
特定の技術領域(例:データベース、ネットワーク、セキュリティ、クラウド)において深い専門知識を持ち、複雑な技術課題を解決する役割を担います。
システムアーキテクトとは
システム全体の設計を担当し、技術的な意思決定を行う上級職です。
非機能要件(性能、可用性、セキュリティ)を満たすためのアーキテクチャを設計し、開発チームに技術的な方向性を示します。
<求められるスキル>
- 深い技術知識:特定領域における最新技術動向の把握と実践的な適用能力
- 問題解決能力:複雑な技術課題を分析し、最適な解決策を導き出す力
- 継続的な学習意欲:技術の進化に追従し続ける姿勢
<メリット>
- 技術に集中できる(好きな技術を深く追求できる)
- 市場価値が高い(高度な専門性は希少価値がある)
- 年齢を重ねても技術者として活躍できる
<デメリット>
- 継続的な学習が必須(技術の陳腐化リスクが高い)
- マネジメントスキルが伸びにくい(組織内での昇進に限界がある場合も)
- 専門領域が狭いと転職時に選択肢が限られる
類型3:幅広い知識を持つジェネラリストのキャリアパス
上流工程から運用まで一気通貫で対応できる人材へ
ジェネラリストは、特定の技術領域に特化するのではなく、システム開発のライフサイクル全体(要件定義、設計、開発、テスト、運用)に精通するキャリアパスです。
広範な知識を持つことで、プロジェクトのどの段階でも柔軟に対応でき、全体最適の視点で業務改善を提案できる人材を目指します。
特に中小企業やベンチャー企業では、限られた人数で多様な業務をこなす必要があるため、ジェネラリスト型のエンジニアの需要が高い傾向にあります。
<求められるスキル>
- 幅広い知識:開発技術、インフラ、データベース、ネットワークなど多領域の知識
- 業務改善提案力:現状の課題を発見し、改善策を提案する力
- 適応力:状況に応じて役割を柔軟に変えられる力
<メリット>
- 柔軟なキャリア選択が可能(様々な役割に対応できる)
- プロジェクト全体を見渡せる(全体最適の視点)
- 転職時の選択肢が広い
<デメリット>
- 専門性が薄くなりがち(「広く浅く」になるリスク)
- スペシャリストと比較して市場価値が低く見られる場合がある
- 継続的に広範囲の学習が必要
類型4:職種転換・独立というキャリアパス
フリーランスとして独立する選択肢
システムエンジニアとしての経験を活かし、フリーランスとして独立する道もあります。
特に近年はリモートワークの普及により、地理的な制約が少なくなり、フリーランスとして活動しやすい環境が整っています。
<メリット>
- 高収入の可能性(企業に雇用されるより高単価の案件を受注できる)
- 働き方の自由度(案件選択、勤務時間、勤務場所を自分で決められる)
- スキルに応じた報酬(実力が直接収入に反映される)
<デメリット>
- 収入の不安定性(案件が途切れるリスク)
- 営業力が必要(自分で案件を獲得する必要がある)
- 社会保障が薄い(健康保険、年金などを自分で管理)
経験を活かして他職種へキャリアチェンジ
システムエンジニアとしての経験は、他の職種でも高く評価されます。
データサイエンティスト、AIエンジニア、セキュリティエンジニア、クラウドエンジニアなど、将来性の高い技術領域へのキャリアチェンジは、次のセクションで詳しく解説します。
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3. 将来性で選ぶシステムエンジニアのキャリアチェンジ先6選
将来性で選ぶキャリアチェンジ先6選
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- 親和性Python / 論理的思考 / データ基盤構築
- スキル統計学 / 機械学習 / Pandas
- 資格G検定 / E資格
- 親和性システム設計 / インフラ基礎 / DevOps
- スキルAWS / Azure / GCP / IaC / Kubernetes
- 資格AWS認定 / Azure認定
- 親和性システム理解 / NW知識 / 開発工程
- スキル脆弱性診断 / 法規制 / SOC
- 資格情報処理安全確保支援士 / CEH
- 親和性全体俯瞰 / DB・NW知識 / クラウド連携
- スキル組み込み / センサー / 通信プロトコル
- (ハードウェア関連の知識が鍵)
- 親和性開発経験 / アプリ理解 / DevOps
- スキルLinux / ネットワーク設計 / 仮想化
- (開発がわかるインフラとして活躍)
- 親和性プログラミング / DB設計 / API
- スキルReact / Vue / Rails / Python / Java
- (バックエンドから入るのが近道)
システムエンジニアが抱える最大の不安である「スキルの陳腐化」に対する有効な対策は、将来性の高い技術領域へのキャリアチェンジです。
ここでは、市場の需要が高く、今後も成長が見込まれる6つの職種を紹介します。
AIエンジニア・データサイエンティスト
AI(人工知能)とデータサイエンスの領域は、今後最も成長が期待される分野の1つです。
経済産業省の予測によると、2030年には最大で12.4万人のAI人材が不足すると試算されています。
AIエンジニアは機械学習モデルの開発や実装を担当し、データサイエンティストはデータ分析によりビジネス課題の解決策を導き出します。
システムエンジニアとしてのプログラミングスキルや論理的思考力は、この領域でも大いに活かせます。
システムエンジニアからの親和性
- プログラミングスキル(Python、R等)が活かせる
- システム設計の経験が、データ基盤構築に役立つ
- 論理的思考力がアルゴリズム設計に直結する
必要なスキル・知識
- 統計学・数学の基礎知識
- 機械学習アルゴリズムの理解
- データ処理ライブラリ(Pandas、NumPy等)の習得
- ビジネス課題を数値化・モデル化する力
参考資格
- G検定(ジェネラリスト検定):AI基礎知識を証明
- E資格(エンジニア資格):深層学習の実装能力を証明
(出典:経済産業省「IT人材需給に関する調査」)
クラウドエンジニア
企業のクラウド化が加速する中、クラウドエンジニアの需要は急速に高まっています。
経済産業省の調査によると、2030年には最大79万人のIT人材が不足すると予測されており、その中でもクラウド技術はDX推進の中核を担う重要な領域です。
クラウドエンジニアは、AWS、Azure、Google Cloud等のクラウドプラットフォームを活用し、インフラの設計・構築・運用を行います。
オンプレミスのシステム開発経験があるシステムエンジニアにとって、クラウドへの移行は自然なステップアップとなります。
システムエンジニアからの親和性
- システム設計の知識がクラウドアーキテクチャ設計に活かせる
- ネットワークやサーバーの基礎知識が必須
- 開発と運用の両方を理解している強みがある
必要なスキル
- クラウドプラットフォームの知識(AWS、Azure、GCP)
- インフラ自動化(Infrastructure as Code)の理解
- コンテナ技術(Docker、Kubernetes)の習得
- セキュリティとコスト最適化の視点
参考資格
- AWS認定ソリューションアーキテクト
- Microsoft Azure認定試験
- Google Cloud認定資格
(出典:経済産業省「IT人材需給に関する調査」)
セキュリティエンジニア
サイバー攻撃の高度化・巧妙化により、セキュリティエンジニアの重要性は増す一方です。
IPA(独立行政法人情報処理推進機構)の「情報セキュリティ白書2024」では、ランサムウェア被害の深刻化が報告されています。
セキュリティエンジニアは、システムの脆弱性診断、セキュリティ対策の設計・実装、インシデント対応などを担当します。
システム開発の経験があることで、セキュリティリスクを開発段階から組み込む「セキュアバイデザイン」の視点を持てる点が強みとなります。
システムエンジニアからの親和性
- システムの仕組みを理解しているため脆弱性を見抜きやすい
- ネットワークやデータベースの知識が活かせる
- 開発工程でのセキュリティ対策を提案できる
必要なスキル
- ネットワークセキュリティの知識
- 脆弱性診断ツールの使用経験
- セキュリティ法規制の理解
- インシデント対応手順の策定能力
参考資格
- 情報処理安全確保支援士(国家資格)
- CompTIA Security+
- CEH(認定ホワイトハッカー)
(出典:IPA )
IoTエンジニア
IoT(Internet of Things:モノのインターネット)市場の拡大に伴い、IoTエンジニアの需要も高まっています。
家電製品、自動車、工場設備など、あらゆるモノがインターネットに接続される時代において、IoTシステムの設計・開発ができるエンジニアは貴重な存在です。
IoTエンジニアは、センサーやデバイスからデータを収集し、クラウドで処理・分析するシステム全体を設計します。
ハードウェアとソフトウェアの両方にまたがる知識が求められるため、システムエンジニアの幅広い視点が活かせます。
システムエンジニアからの親和性
- システム全体を俯瞰する視点が必要
- データベースやネットワークの知識が活かせる
- クラウドとの連携設計ができる
必要なスキル
- 組み込みシステムの基礎知識
- 通信プロトコル(MQTT、HTTP等)の理解
- センサーデータの処理・分析能力
- エッジコンピューティングの知識
インフラエンジニア
インフラエンジニアは、システムの基盤となるサーバー、ネットワーク、データベースなどの設計・構築・運用を担当します。
システムエンジニアとの技術的な近接性が高く、キャリアチェンジがしやすい職種の1つです。
システム開発の経験があるエンジニアは、アプリケーションとインフラの両方を理解しているため、最適なインフラ設計ができる点が強みとなります。
システムエンジニアからの親和性
- システム開発で培ったインフラ知識を深められる
- アプリケーションの要件を理解した設計ができる
- 開発と運用の橋渡し役(DevOps)として活躍できる
必要なスキル
- サーバー構築・運用の知識(Linux、Windows Server)
- ネットワーク設計の知識
- 仮想化技術の理解
- 監視・運用自動化のスキル
Webエンジニア(フロントエンド/バックエンド)
Webエンジニアは、WebサイトやWebアプリケーションの開発を担当します。
フロントエンドエンジニアはユーザーが直接触れる画面の開発を、バックエンドエンジニアはサーバー側の処理やデータベースとの連携を担当します。
Web技術は汎用性が高く、多くの業界・企業で必要とされるため、システムエンジニアからの転換がしやすい職種です。
特にバックエンド開発は、システム設計やデータベース設計の経験が直接活かせます。
システムエンジニアからの親和性
- プログラミングスキルがそのまま活かせる
- データベース設計の知識が活用できる
- システム全体のアーキテクチャを理解している
必要なスキル
- フロントエンド:HTML、CSS、JavaScript、React/Vue.js等のフレームワーク
- バックエンド:Java、Python、PHP、Ruby等のサーバーサイド言語
- RESTful API設計の理解
- バージョン管理(Git)の習熟
4. 公的データで見るシステムエンジニアの年収とスキル標準

キャリアパスを設計する上で、客観的なデータに基づいて「現在地」と「目標」を把握することは重要です。
ここでは、公的統計による年収データと、スキルを客観的に評価できるITスキル標準(ITSS)について解説します。
年齢別・企業規模別で見るシステムエンジニアの平均年収
年齢別平均年収
システムエンジニアの年収は、年齢によって大きく変動します。dodaの調査によると、20代の平均年収は約389万円、30代では約516万円となっています。
20代から30代にかけて100万円以上の年収アップが見込める点は、早期のスキルアップとキャリア設計の重要性を示しています。
さらに、令和元年賃金構造基本統計調査では、50〜54歳で約727万円とピークを迎えます。
この年代は、マネジメント職や高度なスペシャリストとして活躍している層が多く、キャリアパスの選択が年収に大きく影響していることが分かります。
一方、60〜64歳では年収が下降傾向となります。この傾向は、技術職としての市場価値が年齢とともに変化することを示しており、40代までに明確なキャリア戦略を確立することの重要性を物語っています。
年齢別平均年収(システムエンジニア)
| 年代 | 平均年収 | 出典 |
|---|---|---|
| 20代 | 約389万円 | doda |
| 30代 | 約516万円 | doda |
| 50〜54歳 | 約727万円 | e-Stat(賃金構造基本統計調査) |
| 60〜64歳 | 下降傾向 | e-Stat(賃金構造基本統計調査) |
企業規模別平均年収
企業規模も年収に大きな影響を与えます。令和元年賃金構造基本統計調査によると、従業員1,000人以上の企業では、システムエンジニアの平均年収は約651万円となっています。
大企業と中小企業では、給与体系や福利厚生に差があることが一般的です。
ただし、中小企業やベンチャー企業では、幅広い業務経験を積める、意思決定に関わる機会が多いなど、年収以外のメリットもあります。
キャリアパスを考える際は、年収だけでなく、得られる経験やスキルも含めて総合的に判断することが重要です。
(出典:e-Stat )
ITスキル標準(ITSS)で客観的に自分のレベルを知る
ITSSとは何か
ITスキル標準(ITSS)は、IPA(独立行政法人情報処理推進機構)と経済産業省が策定した、IT人材のスキルを客観的に評価する公的指標です。
ITSSは、IT人材のスキルを7段階(レベル1〜7)で定義し、職種ごとに求められるスキルセットを体系化しています。
この指標を活用することで、自分の現在のスキルレベルを客観的に把握し、次のステップで必要なスキルを明確にすることができます。
キャリアパスという主観的になりがちなテーマを、客観的な指標と結びつけることで、より具体的な目標設定が可能になります。
(出典:IPA )
ITSSのレベル定義(レベル1〜3)
ITSSでは、レベル1を「上位者の指導の下で作業を遂行できる」、レベル2を「上位者の指導の下で要求された作業を独力で遂行できる」、レベル3を「要求された作業を全て独力で遂行できる」と定義しています。
<レベル1(エントリーレベル)>
- 上位者の指導の下で作業を遂行できる
- 新人エンジニアや未経験からの転職者が該当
- 基本的な技術知識の習得段階
<レベル2(ミドルレベル)>
- 上位者の指導の下で要求された作業を独力で遂行できる
- 実務経験2〜3年程度のエンジニアが該当
- 基本的な業務を一人で完結できる段階
<レベル3(アッパーミドルレベル)>
- 要求された作業を全て独力で遂行できる
- 実務経験5年前後のエンジニアが該当
- 専門領域において自律的に業務を遂行できる段階
今の自分のレベルを客観視し、次のステップ(レベル4以上:リーダー、マネージャー、スペシャリスト)を明確にすることが、効果的なキャリアパス設計の第一歩となります。
(出典:IPA )
ITエンジニアのキャリアと市場動向:主要統計データ
| 統計トピック | データ / 数値 | 出典 |
|---|---|---|
| IT人材不足(将来予測) | 2030年に最大79万人のIT人材が不足 | 経済産業省 |
| AI人材の不足 | 2030年に12.4万人のAI人材が不足 | 経済産業省 |
| キャリア不安(最多) | 「自分の技術やスキルの陳腐化」:46.5% | パーソル総合研究所 |
| 年収(年齢ピーク時) | 50〜54歳:平均約727万円 | e-Stat |
| 年収(企業規模別) | 1,000人以上企業:平均約651万円 | e-Stat |
| 年収(年代別上昇) | 20代:389万円 → 30代:516万円 | doda |
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5. 後悔しないシステムエンジニアのキャリアパス設計3ステップ
後悔しないキャリアパス設計 3ステップ
各ステップをタップすると詳細が開きます
- スキル可視化 (技術 / ビジネス)
- 適性診断 (Will / Can / Must)
- 具体的役職 (PM / アーキテクト)
- 年収とWLB (ワークライフバランス)
- 市場価値 (AI / クラウド需要)
- ギャップ分析 (目標 – 現在地)
- アクション (資格取得 / 実務経験)
- 転職 (環境が合わない場合の最終手段)
キャリアパスの選択肢を理解したら、次は具体的な設計に移ります。
ここでは、読者が実際に行動できる3つのステップを提示します。このプロセスを通じて、自分に最適なキャリアの方向性を見出すことができます。
ステップ1:自己分析でスキルと価値観を棚卸しする
キャリアパス設計の第一歩は、自分自身を正確に理解することです。
現在のスキルレベルと、自分が大切にしている価値観を明確にすることで、進むべき方向性が見えてきます。
現在のスキルを可視化する
まず、自分が持っている技術スキルとビジネススキルを整理します。
技術スキル
- プログラミング言語:Java、Python、JavaScript など、どの言語をどの程度使えるか
- フレームワーク・ツール:Spring、React、Docker など、実務で使用した経験
- データベース:SQL、NoSQLの設計・運用経験
- インフラ:サーバー、ネットワークの知識レベル
- 開発手法:アジャイル、ウォーターフォールの経験
ビジネススキル
- コミュニケーション能力:顧客やチームメンバーとの円滑な意思疎通
- ドキュメント作成能力:設計書、仕様書などの文書化スキル
- プレゼンテーション能力:提案や報告を分かりやすく伝える力
- 問題解決能力:課題を発見し、解決策を導き出す力
これらのスキルを、前述のITスキル標準(ITSS)のレベル1〜3に照らし合わせることで、自分の現在地を客観的に把握できます。
レベル1なら基礎固めが必要、レベル2なら独力での業務遂行を目指す、レベル3ならリーダーやスペシャリストへのステップアップを検討する、といった判断ができます。
Will・Can・Mustで適性を見極める
スキルの棚卸しに加えて、自分の適性と価値観を整理するために、Will(やりたいこと)、Can(できること)、Must(求められること)のフレームワークを活用します。
Will(やりたいこと)
- 技術を深く追求したいのか、それともマネジメントに興味があるのか
- 新しい技術を常に学び続けたいのか、安定した環境で働きたいのか
- ワークライフバランスを重視したいのか、高収入を優先したいのか
Can(できること)
- 現在持っているスキルセット(技術面・ビジネス面)
- 過去のプロジェクトで発揮できた強み
- 他者から評価されている能力
Must(求められること)
- 市場で需要の高いスキル(AI、クラウド、セキュリティなど)
- 企業や業界が求める人材像
- 年齢や経験年数に応じた期待役割
この3つの円が重なる領域(スウィートスポット)が、実現可能性と満足度を両立できる最適なキャリアパスとなります。
例えば、技術を深めたい(Will)、プログラミングスキルがある(Can)、AI人材が不足している(Must)という3つが重なるなら、AIエンジニアへのキャリアチェンジが有力な選択肢となります。
ステップ2:3年後・5年後・10年後の目標を具体的に設定する
自己分析によって現在地と適性を把握したら、次は具体的な目標を設定します。
期間を区切って段階的な目標を立てることで、実現可能性が高まります。
目標設定のポイント
目標は、できるだけ具体的に設定することが重要です。
抽象的な目標では、達成に向けた行動計画を立てにくくなります。
具体的な職種・役職を明記する
- 3年後:プロジェクトリーダーとして5名程度のチームをまとめる
- 5年後:プロジェクトマネージャーとして、予算3,000万円規模のプロジェクトを統括する
- 10年後:ITコンサルタントとして、クライアント企業のDX戦略立案に携わる
または
- 3年後:クラウドエンジニアとしてAWS認定資格を取得し、実務でクラウド設計を担当
- 5年後:システムアーキテクトとして、大規模システムのアーキテクチャ設計をリードする
- 10年後:技術顧問として、複数プロジェクトの技術的な意思決定に関わる
年収目標を設定する
公的データを参考に、現実的かつ挑戦的な年収目標を設定します。
前述の通り、30代で516万円、50代で727万円が平均的な水準です。マネジメント職やスペシャリストを目指すなら、これを上回る目標を設定することも可能です。
ワークライフバランスの理想像を描く
- リモートワークを活用し、週2日は在宅勤務
- 残業時間を月20時間以内に抑え、家族との時間を確保
- 副業やフリーランス案件で、複数の収入源を持つ
市場価値の高い分野を意識する
目標を設定する際は、市場のニーズも考慮に入れます。
前述の通り、AI、IoT、ビッグデータ、クラウド、セキュリティといった分野は、今後も需要が高まることが予測されています。
経済産業省の調査では、2030年に最大79万人のIT人材が不足するとされており、特にAI人材は12.4万人不足すると予測されています。DXに関わるスキルを持つ人材は市場価値が高いといえます。
自分のWill(やりたいこと)と市場ニーズを照らし合わせながら、長期的に需要が見込める分野でキャリアを構築することが、スキルの陳腐化リスクを軽減する有効な戦略となります。
ステップ3:目標達成のための実行計画を立てる
目標が明確になったら、最後のステップは具体的な行動計画への落とし込みです。現在地と目標の間にあるギャップを埋めるために、何をすべきかを明確にします。
ギャップ分析を行う
ステップ1で把握した現在地と、ステップ2で設定した目標の差分を洗い出します。
例:5年後にプロジェクトマネージャーを目指す場合
- 現在:システムエンジニア(実務経験5年、レベル3相当)
- 目標:プロジェクトマネージャー(予算管理、チームマネジメント経験が必要)
- ギャップ:マネジメント経験がない、予算管理の知識がない、ステークホルダーとの交渉経験が少ない
このギャップを埋めるために必要なスキル・知識・経験をリストアップします。
具体的なアクションに落とし込む
ギャップ分析の結果を踏まえ、具体的な行動計画を立てます。
資格取得計画
- 1年以内:基本情報技術者試験に合格(基礎力の証明)
- 3年以内:プロジェクトマネージャ試験に合格(マネジメント知識の習得)
- 5年以内:AWS認定ソリューションアーキテクト取得(クラウド技術の証明)
資格の詳細については、次のセクションで解説します。
実務での経験機会の獲得
- 現在のプロジェクトで、小規模なチームのリーダー役を志願する
- 後輩エンジニアのメンター役を引き受け、マネジメントの基礎を学ぶ
- 顧客との打ち合わせに同席し、要件定義や折衝の場面を経験する
転職活動のタイミング
現在の環境で経験が積めない場合は、転職も選択肢となります。
ただし、短期間での転職は職務経歴上マイナスとなる可能性もあるため、少なくとも3年程度は同じ環境でスキルを磨くことが望ましいとされています。
転職を検討する際は、以下のタイミングが目安となります。
- 現在の環境で学べることがなくなった
- 目標とするキャリアパスへの道筋が見えない
- スキルアップの機会が提供されない
このように、3つのステップを踏むことで、漠然としたキャリアへの不安を、具体的な行動計画へと変換することができます。
6. システムエンジニアのキャリアパス実現に役立つ資格とスキル

キャリアパスの実行計画を具体化する上で、資格取得は有効な手段の1つです。資格は、自分のスキルを客観的に証明でき、転職活動や社内での評価にも役立ちます。
ここでは、キャリアパス別に推奨される資格と、取得に向けた方法を紹介します。
全キャリア共通で求められるポータブルスキル
どのキャリアパスを選択する場合でも、以下のポータブルスキル(持ち運び可能なスキル)は共通して重要です。
これらは技術スキルとは異なり、職種や業界を超えて活用できる汎用的な能力です。
コミュニケーション能力
- チームメンバーや顧客と円滑に意思疎通する力
- 技術的な内容を非技術者にも分かりやすく説明する力
- 相手の意図を正確に理解し、適切に応答する力
論理的思考力
- 複雑な問題を構造化して分析する力
- 因果関係を正確に把握し、根本原因を特定する力
- データや事実に基づいて合理的な判断を下す力
問題解決能力
- 課題を発見し、解決策を立案・実行する力
- 制約条件の中で最適な選択肢を見出す力
- 想定外の事態にも柔軟に対応する力
ドキュメンテーション能力
- 設計書、仕様書などを分かりやすく記述する力
- 議事録や報告書を的確にまとめる力
- 技術情報を体系的に整理・共有する力
これらのスキルは、日々の業務の中で意識的に磨くことができます。
特にマネジメント職を目指す場合は、技術スキル以上にこれらのポータブルスキルが重視されます。
キャリアパス別:取得すべき資格
基礎力を証明する資格
どのキャリアパスを選択するにしても、まずIT技術者としての基礎力を証明する資格の取得が推奨されます。
基本情報技術者試験
- IPA(独立行政法人情報処理推進機構)が実施する国家資格
- IT技術者としての基本的な知識を幅広く問う試験
- 新人エンジニアやこれからキャリアを始める人に最適
- 合格により、ITSSレベル2相当のスキルを証明できる
応用情報技術者試験
- 基本情報技術者試験の上位資格
- より高度な技術知識と応用力を問う試験
- 実務経験3〜5年程度のエンジニアが対象
- 合格により、ITSSレベル3相当のスキルを証明できる
マネジメント職向け資格
プロジェクトマネージャーやITコンサルタントを目指す場合に有効な資格です。
プロジェクトマネージャ試験
- IPAが実施する高度情報処理技術者試験の1つ
- プロジェクト全体の計画、管理、統制に関する知識を問う
- マネジメント職を目指すなら必須レベルの資格
- 合格により、ITSSレベル4相当のスキルを証明できる
ITストラテジスト試験
- 経営戦略に基づくIT戦略の立案・推進に関する知識を問う試験
- ITコンサルタントやCIO(最高情報責任者)を目指す人に適している
- ビジネスとITの両方の視点が求められる
システム監査技術者試験
- 情報システムの監査や内部統制に関する知識を問う試験
- ITガバナンス、リスク管理の視点を持ちたい人に有効
- ITと法律の両方の知識が必要
スペシャリスト職向け資格
技術を極めるキャリアパスを選択する場合に推奨される資格です。
システムアーキテクト試験
- IPAが実施する高度情報処理技術者試験の1つ
- システムの要件定義や設計に関する高度な知識を問う
- 上流工程を担当するエンジニアに必須
- ITSSレベル4相当のスキルを証明できる
ネットワークスペシャリスト試験
- ネットワークの設計、構築、運用に関する専門知識を問う試験
- インフラエンジニアやネットワークエンジニアを目指す人に最適
データベーススペシャリスト試験
- データベースの設計、管理、運用に関する専門知識を問う試験
- データベース設計を担当するエンジニアに推奨
情報処理安全確保支援士(セキュリティ)
- サイバーセキュリティに関する国家資格
- セキュリティエンジニアを目指すなら必須
- 登録制であり、継続的な学習が求められる
先端技術分野の資格
将来性の高い技術領域でキャリアを構築する際に有効な資格です。
AWS認定ソリューションアーキテクト(クラウド)
- Amazon Web Servicesの技術知識を証明する資格
- クラウドエンジニアを目指すなら必須レベル
- アソシエイト(初級)からプロフェッショナル(上級)まで複数のレベルがある
G検定・E資格(AI)
- G検定:AIに関する基礎知識を問う試験(ジェネラリスト向け)
- E資格:深層学習の実装能力を問う試験(エンジニア向け)
- AIエンジニアやデータサイエンティストを目指す場合に推奨
資格取得の方法
資格取得には複数の学習方法があります。自分の学習スタイルや予算に合わせて、最適な方法を選択します。
独学(参考書、オンライン学習)
- 参考書やWebサイトを活用した自己学習
- コストを抑えられる
- 自分のペースで学習できる
- ただし、継続的な学習意欲と計画性が必要
スクール・研修の活用
- IT資格対策スクールや企業の研修プログラムを活用
- 体系的なカリキュラムで効率的に学べる
- 講師に質問できる環境がある
- コストはかかるが、短期間での合格を目指しやすい
実務経験との組み合わせ
- 資格勉強で得た知識を実務で活用し、理解を深める
- 実務で直面した課題を資格勉強で理論的に学び直す
- 知識と経験の両方を蓄積することで、真の実力が身につく
資格はあくまで手段であり、目的ではありません。資格取得を通じて得た知識を実務で活用し、継続的にスキルアップしていく姿勢が、キャリアパス実現には不可欠です。
7. システムエンジニアのキャリアパスに関するよくある質問
システムエンジニアのキャリアパスについて、読者からよく寄せられる質問とその回答をまとめました。
個別の状況に応じた疑問を解消することで、より具体的なキャリア設計の参考としてください。
Q1. 未経験からシステムエンジニアになった場合の典型的なキャリアパスは?
A:未経験からシステムエンジニアになった場合、一般的にはプログラマーからスタートし、実務経験を積んでシステムエンジニアに昇格するというキャリアパスが典型的です。
具体的な流れは以下の通りです。
- プログラマー(1〜3年目):上級者の指導の下、プログラミングやテストを担当し、基礎的な技術スキルを習得します。ITSSレベル1〜2に相当します。
- システムエンジニア(3〜5年目):要件定義や設計など、より上流の工程を担当するようになります。顧客との折衝や、システム全体を見渡す視点が求められます。ITSSレベル3に相当します。
- プロジェクトリーダー(5〜7年目):小規模なチームをまとめ、プロジェクトの一部を統括します。
- その後の選択肢:プロジェクトマネージャー(マネジメント職)、特定分野のスペシャリスト、ITコンサルタントなど、自分の適性に応じた道を選択します。
未経験からのスタートでも、継続的な学習と実務経験の蓄積により、5〜10年程度でキャリアの選択肢が広がります。
Q2. 女性システムエンジニアのキャリアパスで注意すべき点は?
A:女性システムエンジニアがキャリアパスを設計する際には、ライフイベント(結婚、出産、育児)とキャリアの両立を視野に入れることが重要です。
ワークライフバランスを考慮したキャリア設計
- 育児との両立が可能な働き方(リモートワーク、フレックスタイム)を提供する企業を選ぶ
- 時短勤務やフレキシブルな勤務体系があるかを確認する
- 産休・育休後の復職支援制度が整っているかをチェックする
リモートワーク可能な職種の選択
- Webエンジニア、クラウドエンジニア、データサイエンティストなど、リモートワークが浸透している職種を選ぶことで、地理的な制約を減らせます
- フリーランスとして独立し、自分のペースで仕事を調整する選択肢もあります
スキルの継続的な更新
- 育児などでキャリアにブランクが生じる可能性がある場合、オンライン学習などで最新技術をキャッチアップする習慣を維持することが重要です
性別にかかわらず、技術力と実績が評価される業界であるため、スキルを磨き続けることで、長期的なキャリア形成が可能です。
Q3. 40代・50代からでもキャリアチェンジは可能?
A:40代・50代からのキャリアチェンジは可能ですが、難易度は年齢とともに上がります。ただし、既存のスキルや経験を活かせる近接領域へのキャリアチェンジであれば、実現可能性は高まります。
現実的なキャリアチェンジ先
- システムエンジニア → インフラエンジニア(システム全体の理解が活きる)
- システムエンジニア → クラウドエンジニア(インフラ知識を発展させる)
- システムエンジニア → プロジェクトマネージャー(マネジメントスキルを活用)
- システムエンジニア → ITコンサルタント(業務知識と技術知識を統合)
成功のポイント
- 既存の強みを活かせる領域を選ぶ(完全に異なる分野への転身は避ける)
- 資格取得で新しいスキルを客観的に証明する
- 現職で関連業務の経験を積んでから転職する
令和元年賃金構造基本統計調査によると、50〜54歳で年収がピーク(約727万円)を迎えることから、35歳定年説は現代では当てはまらないと言えます。
スキルアップデートを継続すれば、50代でも高年収を維持できます。※補足:あくまで統計上の平均であり、個人のスキルや役職により大きく異なります。
(出典:e-Stat )
Q4. システムエンジニアからフリーランスになるタイミングは?
A:システムエンジニアからフリーランスとして独立するタイミングは、実務経験5年以上、かつ特定分野の専門性が確立された後が目安となります。
独立前に確認すべき条件
- 実務経験:最低5年、できれば7年以上の経験があること
- 専門性の確立:特定の技術領域や業務領域で、自分の強みが明確になっていること
- 人脈の構築:案件を紹介してもらえるネットワークがあること
- 営業力:自分で案件を獲得できる自信があること
- 財務基盤:収入が途絶えても数ヶ月は生活できる貯蓄があること
フリーランスのメリット・デメリット
- メリット:高収入の可能性、働き方の自由度、スキルに応じた報酬
- デメリット:収入の不安定性、営業活動の負担、社会保障の薄さ
まずは副業としてフリーランス案件に参画し、独立後のイメージを掴んでから正式に独立することをお勧めします。
Q5. キャリアパスで年収を最大化するには?
A:年収を最大化するキャリアパスは、マネジメント職または需要の高いスペシャリスト領域を目指すことです。
マネジメント職(プロジェクトマネージャー、ITコンサルタント)
- 一般的に、マネジメント層は技術職より高収入の傾向にあります
- 50代で平均727万円(e-Stat)ですが、大手企業のマネージャークラスでは1,000万円を超えることも珍しくありません
- ただし、技術から離れることへの抵抗がある場合は、スペシャリスト路線を選択します
需要の高いスペシャリスト領域
- AIエンジニア、セキュリティエンジニア、クラウドアーキテクトなど、市場での希少価値が高い専門家は高収入を得やすい
- 特にAI人材は2030年に12.4万人不足する予測(経済産業省)があり、今後も需要は高まると考えられます
その他の要素
- 企業規模:1,000人以上の大企業は平均651万円(e-Stat)と、中小企業より高い傾向
- 地域:東京などの大都市圏は地方より年収が高い傾向
- 副業・フリーランス:複数の収入源を持つことで、総収入を増やす
Q6. 「35歳定年説」は本当?
A:システムエンジニアの「35歳定年説」は、現代では当てはまりません。
スキルアップデートを継続し、明確なキャリアパスを歩んでいれば、50代でも高年収を維持できることが、公的データからも明らかになっています。
令和元年賃金構造基本統計調査によると、システムエンジニアの年収は50〜54歳でピーク(約727万円)を迎えます。
このデータは、35歳でキャリアが終わるという説が根拠のない俗説であることを示しています。
35歳定年説が生まれた背景
- かつて(1990年代〜2000年代前半)は、システムエンジニアは若手が中心で、35歳を過ぎるとマネジメント職に移るか、市場価値が下がるという風潮がありました
- しかし、現代では技術の専門性が高く評価され、スペシャリストとして50代でも活躍できる環境が整っています
50代でも活躍するための条件
- 継続的な学習:新しい技術(クラウド、AI等)をキャッチアップする
- 専門性の確立:特定領域での高い専門性を持つ
- マネジメントスキル:技術だけでなく、チームをまとめる力も身につける
年齢ではなく、スキルと経験こそが市場価値を決定する時代です。
(出典:e-Stat )
8. システムエンジニアのキャリアパスは早期設計が成功の鍵
システムエンジニアのキャリアパスには、マネジメント、スペシャリスト、ジェネラリスト、職種転換の4つの選択肢があります。
IT人材不足という追い風を活かしながら、スキルの陳腐化というリスクに備えるには、公的データ(ITSS、年収統計)で現在地を把握し、自己分析・目標設定・実行計画という3ステップで具体的に設計することが重要です。
将来性の高い分野(AI、クラウド、セキュリティ)を意識し、今日から行動を始めましょう。