未経験からITエンジニアを目指しているけれど、「どの会社を選べばいいのかわからない」というケースは少なくありません。
「未経験歓迎」の求人を見つけても、研修がほとんどない会社や、スキルが身につきにくい環境に入ってしまわないか、不安に感じている方もいるでしょう。
この記事では、会社選びで失敗しないための5つのチェックポイントと、内定までの具体的なアクションプランを解説します。
- 未経験者がIT企業を選ぶ際の5つの判断基準について
- 避けるべき企業・選ぶべき企業の具体的な見極め方について
- 会社選びから内定までの行動ステップについて
1.未経験でもITエンジニアを目指せる理由:市場の追い風を理解する

未経験からITエンジニアへの転職が現実的になっている背景には、日本全体のIT人材不足があります。
市場の状況を正しく知っておくと、会社選びに自信が持てるようになります。
IT人材は2030年に最大79万人不足すると国が警告している
経済産業省の「IT人材需給に関する調査」によると、IT人材の不足は今後さらに深刻になると予測されています。市場が年平均2.7%で成長する場合、2030年には約45万人が不足します。
成長率が4.4%に達するケースでは、不足数は最大79万人にのぼります。最も保守的な想定(成長率1.0%)でも、16万人の不足が見込まれており、どのシナリオでも人材が余る未来は描かれていません。
IT人材の不足は一時的なものではなく、デジタル化が進む社会の流れの中で起きていることです。企業はエンジニアをどうしても確保しなければならないため、未経験者の採用に積極的な会社が増えています。
特にAI・IoT・ビッグデータなどの先端分野では、2030年に約12.4万人の不足が予測されており、早めにキャリアをスタートさせることが将来の強みになります。
未経験採用が広がっているのは「人柄重視」シフトが背景にある
IT人材が不足する中で、企業の採用スタンスにも変化が出ています。
マイナビの「中途採用実態調査2025年版」では、技術要件を満たしていない候補者でも「人柄がいい」「社風に合う」という理由で採用を決める企業が43.7%に上ると報告されています。
かつては技術力が採用の前提条件でしたが、今は学習意欲や素直さを重視する会社が増えています。
ただし、注意点もあります。同調査では、人柄を評価して採用したにもかかわらず、入社後に離職してしまうケースを約40%の企業が経験しています。
離職理由のトップは「仕事内容のミスマッチ(24.5%)」です。採用されやすくなった分、応募する側も会社をしっかり見極めることがより大切になっています。
2.未経験ITエンジニアの会社選びで陥りやすい3つの失敗パターン

求人票の言葉だけを頼りに会社を選んでしまうと、入社後に「こんなはずじゃなかった」と感じるケースがあります。
よくある失敗パターンを事前に知っておきましょう。
「未経験歓迎」の文字だけで判断すると研修がない会社に入ってしまう
「未経験歓迎」は、あくまでも「技術がなくても応募できる」という意味です。入社後にしっかり教えてもらえる保証ではありません。
研修期間が実質1〜2週間しかない会社や、「OJT」と書いてあっても実態はほぼ即日現場配属、というケースも実際にあります。
求人票の「研修あり」を鵜呑みにしない
こうした環境では、技術を体系的に学ぶ時間が確保できず、「なんとなく作業はできるけど、仕組みがわかっていない」という状態が続きやすくなります。
求人票に「研修あり」と記載があっても、期間・内容・指導体制を面接で必ず確認することが大切です。
ITエンジニアとして多重下請けの末端に入るとスキルが固定化される
日本のITシステム開発には、多重下請け構造が広く根付いています。
発注元の企業から1次請け・2次請け・3次請けと仕事が流れていく仕組みで、末端に近いほど設計・開発から遠ざかり、テストや監視、単純なデータ入力といった定型作業に集中しがちです。
スキルと給与の両面で損をするリスクがある
4次請け以降では、この傾向がさらに強まります。スキルの幅が広がらないまま年数だけが過ぎると、転職市場で評価されにくい経歴になってしまいます。
また、中間に複数の会社が入ることで給与が低く抑えられやすいという問題もあります。会社が何次請けの位置にあるかを確認することは、スキルと収入の両面で重要なチェックポイントです。
未経験入社時の低年収が昇給しない設計の会社には注意が必要
未経験入社時の年収を200万円台に設定している求人は一定数あります。ただし、問題なのはスキルを身につけた後でも昇給の仕組みがない会社が存在することです。
国税庁「民間給与実態統計調査」によると、情報通信業の平均年収は582万円です。
入社時の年収だけでなく、3年後・5年後の目安となる賃金テーブルや昇給規定が、社内規定(就業規則等)として整備・運用されているかを確認することが重要です。
3.未経験ITエンジニアの会社選びで確認すべき5つの判断基準
IT未経験:会社選び
「5つの合格基準」
Corporate Quality Metrics
研修制度
離職率
商流
給与水準
社員構成
具体的に数値で確認できる基準を5つに絞りました。応募前のチェックリストとして活用できるよう、それぞれ確認方法もあわせて紹介します。
判断基準① 研修制度:2ヶ月以上かつOJTが含まれているか
入社直後の研修体制は、その後のスキルの伸び方に大きく影響します。研修期間の目安は「最低2ヶ月、できれば3ヶ月以上」です。
研修内容の質を見分けるポイント
期間の長さだけでなく、内容の充実度も大切です。マニュアルを自分で読むだけの形式なのか、先輩社員がOJTとして一緒に動いてくれるのかで、習得できるスキルの深さは大きく変わります。
実践的な開発課題があるか、eラーニング環境が整っているかも確認しておくとよいでしょう。
資格取得支援制度の有無で会社の姿勢をチェックする
ITパスポートや基本情報技術者試験、AWS認定資格などの受験料補助や合格祝い金を設けている会社は、社員の成長に投資する姿勢があると判断できます。求人票や面接で確認してみましょう。
判断基準② 離職率:3年以内離職率は30%以内が目安
離職率は、職場環境を客観的に見る数値の一つです。
厚生労働省の「新規学卒就職者の離職状況」によると、上位の優良企業では離職率が数%から10%以下に抑えられている一方、個別の企業間格差が激しいのが業界の特徴です。
優良企業を見分けるための3つの目安
会社を評価する際は、3年以内離職率30%以内・平均勤続年数10年以上・有給取得率70%以上という3つの数値をセットで見ることをおすすめします。
数値の調べ方
求人票への記載のほか、東洋経済の会社四季報やOpenWorkなどの口コミサイトで確認できる場合があります。離職率を公開していない会社は、それ自体を一つの判断材料にしましょう。
判断基準③ 商流:3次請け以内の企業かどうか
会社が多重下請け構造のどの位置にいるか(商流)は、スキル・給与・働く環境に直接影響します。「3次請け以内」を最低ラインとして考えるのが無難です。
4次請け以降が持つ3つのリスク
4次請け以降の会社に入ると、業務が定型化されてスキルが伸びにくくなります。中間に複数の会社が入ることで給与が業界水準より低く抑えられるケースもあります。
さらに指揮命令関係が曖昧になりやすく、いわゆる偽装請負に近い状態になるリスクもあります。
企業研究で商流を確認する方法
会社のサイトや求人票にある「主要取引先」を確認し、NTTデータや富士通、NECといった大手ベンダーと直接取引があるか、あるいは自社サービスを展開しているかをチェックしましょう。
要注意のサイン
取引先の記載がない、または同業のSES企業名しかない場合は、末端に近い可能性があります。求人票だけで判断しにくいときは、面接で直接「メイン案件は何次請けですか?」と確認するのが確実です。
判断基準④ 給与水準:入社時〜数年後の昇給プランが示されているか
国税庁「民間給与実態統計調査」によると、情報通信業の平均年収は582万円です。この数字を基準に、入社時と数年後の給与水準を比べながら会社を見ていきましょう。
昇給プランで将来の収入イメージを確認する
未経験入社時の年収が300万円台でも、3〜5年で500万円、プロジェクトリーダー・マネージャークラスになれば800万〜1,000万円以上が見込める給与体系かどうかが重要です。
面接では「スキルアップ後の昇給目安」や「等級制度」について具体的に聞いてみましょう。
警戒すべき求人の特徴
年収200万円台スタートで昇給の仕組みが明示されていない求人は、慎重に見極めることが大切です。等級制度や昇給規定が書面・社内規定として存在するかどうかを確認しましょう。
判断基準⑤ 社員構成:30〜40代のベテランエンジニアが一定数在籍しているか
社員の年齢層は、会社の健全さを測るうえで見落とされがちなポイントです。
20代が80%以上を占める会社では、ベテランが定着していない可能性や、長く働き続ける環境が整っていないサインである場合があります。
30〜40代の在籍率が技術継承のシグナルになる
30〜40代のエンジニアが全体の50%程度いる会社は、技術の受け渡しがしっかり機能しており、長期的なキャリアプランが描きやすい環境と言えます。
経験者がその会社を選んで働き続けているという事実は、待遇やプロジェクトの質が外から見ても魅力的である証です。
確認できる場面・手段
求人票の平均年齢欄のほか、会社説明会や面接の場で「エンジニアの年齢層の内訳を教えていただけますか?」と聞くことで確認できます。
4.未経験ITエンジニアの会社選び|5つの判断基準チェックリスト

ここまで解説した5つの判断基準を、応募前にサッと確認できる一覧にまとめました。求人票を見るときや面接前の準備に活用してください。
| 判断基準 | OK(安心して進めてよい) | 要注意(入社前に必ず確認) |
|---|---|---|
| 研修制度 | 研修期間3ヶ月以上・OJTあり・資格支援制度あり | 研修2週間以下・自習形式のみ・即現場配属 |
| 離職率 | 3年以内離職率30%以内・平均勤続10年以上・有給取得率70%以上 | 離職率を公開していない・平均勤続3年未満 |
| 商流 | 3次請け以内・自社開発あり・主要取引先が大手ベンダー | 4次請け以降・取引先の記載なし・SES企業名のみ |
| 給与水準 | 昇給プランが明示されている・等級制度あり | 年収200万円台スタートで昇給規定が不明 |
| 社員構成 | 30〜40代が全体の50%程度在籍 | 20代が80%以上・平均年齢が極端に若い |
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5.未経験ITエンジニアの会社選びで使える面接質問リスト

判断基準を知っていても、面接で「何を聞けばいいか」がわからなければ情報を得ることができません。ここでは基準ごとに使える具体的な質問を紹介します。
研修制度について確認する質問
研修の実態は、質問の仕方によって引き出せる情報の深さが変わります。
「研修はありますか?」という漠然とした聞き方では「あります」で終わってしまうため、以下のように具体的に聞くことが大切です。
- 「研修期間はどのくらいで、カリキュラムの内容を教えていただけますか?」
- 「自習形式ですか?それとも先輩社員がOJTとして同行してくれる形ですか?」
- 「資格取得の支援制度(受験料補助・合格祝い金など)はありますか?」
商流・案件について確認する質問
商流は求人票だけでは読み取りにくい情報です。直接的な数字を確認しつつ、案件の内容についても深掘りすることで、入社後の業務イメージをより正確につかめます。
- 「御社のメイン案件は何次請けになりますか?」
- 「自社開発のサービスや製品はありますか?」
- 「未経験入社の場合、最初はどのような案件からアサインされることが多いですか?」
キャリアパス・昇給について確認する質問
将来の収入やキャリアの方向性は、入社前に必ず確認しておきたいポイントです。抽象的な答えが返ってきた場合は、具体的な数字を重ねて聞くことで実態が見えてきます。
- 「未経験で入社した場合、3〜5年後の年収目安を教えていただけますか?」
- 「等級制度や昇給の仕組みはどのように設計されていますか?」
- 「実際に未経験入社してプロジェクトリーダーやマネージャーになった方はいますか?」
面接で避けるべきNG質問の例
知りたい情報であっても、聞き方によっては印象を損なう場合があります。特に初回面接では、以下のような質問は慎重に扱いましょう。
- 「残業は月何時間くらいですか?」(最初の面接では労働条件への関心が強すぎる印象を与えやすい)
- 「有給はちゃんと取れますか?」(同上。二次面接以降か、エージェント経由で確認するのが無難)
- 「離職率はどのくらいですか?」(直接聞くより口コミサイトや四季報で調べる方が実態を把握しやすい)
6.未経験ITエンジニアの会社選びで知っておきたい企業タイプ別の特徴

会社のタイプによって、スキルの伸び方やキャリアの方向性は大きく変わります。自分のゴールに合った会社タイプを選ぶことが、入社後の成長に直結します。
自社サービス開発企業は技術習得環境として理想的だが競争率が高い
自社プロダクトを持つ会社では、要件整理から設計・実装・運用まで一連の流れを経験できます。
顧客の課題を直接理解しながら開発に関われるため、技術力とビジネス感覚を同時に育てやすい環境です。
未経験での採用ハードルは高めに設定されている
ただし、自社開発企業は求人数が少なく、未経験者の採用ハードルが高い傾向があります。ポートフォリオや資格取得で事前にスキルを示すことが、書類選考を通過するうえで特に重要です。
未経験から上流工程を経験できるSIer・ITコンサルは成長が速い
1次・2次請けのSIer(システムインテグレーター)やITコンサルでは、要件定義や基本設計といった上流工程に早くから関われます。
上流経験はそのまま市場価値に直結するため、数年でスキルを積めると転職市場での評価も高まりやすいです。
大手SIerほど研修と案件の安定性が高い傾向がある
NTTデータや富士通、NECなど規模の大きいSIerは、研修体制と案件の安定性が充実していることが多いです。
ただし未経験での直接入社はハードルが高く、中堅・独立系のSIerをステップにするルートが現実的な場合もあります。
未経験の会社選びでSESを選ぶならキャリア設計と案件の質で見極める
SES(システムエンジニアリングサービス)は、エンジニアがクライアント企業に常駐して技術支援を行う形態です。
SES自体がキャリアの妨げになるわけではなく、優良なSES会社であれば多様な現場を経験しながら技術の幅を広げられます。
優良SESを見分けるチェックポイント
SES会社を選ぶ際は、エンジニアのキャリアプランが明文化されているか、常駐先を自社がコントロールできるか、案件選択の希望が尊重されるか、という3点を確認しましょう。
富士ソフトやINTLOOP、パーソル&サーバーワークスといった実績のある会社は、単なる「人の派遣」にとどまらず、エンジニアの成長を事業の一部として考えています。
4次請け以降のSESは未経験者にとってリスクが高い
特に注意したいのが、4次請け以降のSES会社です。スキルの固定化・低賃金・指揮命令関係の曖昧さという3つのリスクが重なりやすい環境です。
求人票に取引先・常駐先の記載がない、業務内容が「テスト・監視・ヘルプデスク」のみという場合は、応募前に慎重に判断しましょう。
7.ITエンジニア未経験者が会社選びを成功させる3ステップ
会社選びを「成功」させる
最短の3ステップ
Strategic Execution Path
志望職種を絞り込む
意欲とスキルを可視化
特化型エージェントを活用
判断基準を理解した上で、実際にどう動くかを3つのステップで整理します。知識があっても動かなければ結果は出ません。
ステップ1 志望職種を絞り込んでから求人を探す
「ITエンジニア」は多くの職種をまとめた呼び方です。
システムエンジニア(SE)・プログラマ(PG)・インフラエンジニア・クラウドエンジニア・データサイエンティストなど、それぞれ扱う技術も仕事内容も異なります。
主要職種の特徴をざっくり把握する
システムエンジニアは顧客の要件を整理して設計書を作る役割、プログラマはその設計をもとにコードを書く役割です。
インフラ・クラウドエンジニアはサーバーやネットワーク、クラウド環境の構築・運用を担い、データサイエンティストはデータ分析と機械学習モデルの構築を行います。
職種を先に決めることで求人選びがスムーズになる
興味・適性に合った職種をあらかじめ決めておくと、求人を絞りやすくなり、面接での志望動機にも一貫性が生まれます。「とりあえずITエンジニアになりたい」という状態では、会社選びの軸も定まりにくくなります。
ステップ2 資格・ポートフォリオで応募前から意欲とスキルを示す
実務経験がない段階では、資格とアウトプットが自分を証明する唯一の材料です。
「学ぶ習慣があること」と「基礎知識があること」を示すために、まず資格取得から始めることをおすすめします。
志望領域別のおすすめ資格・アウトプット
どの職種を目指す場合でも、まずITパスポートと基本情報技術者試験の取得が基本です。志望する領域によって、次のステップが変わります。
領域別のおすすめ資格・アウトプット
インフラ系を目指すならCCNA(ネットワーク)やLinuC(Linux)が有効で、クラウド系ならAWS認定クラウドプラクティショナーが入門として最適です。
開発系を目指すなら、自作WebアプリをGitHubで公開しておきましょう。コミット履歴が積み上がっていると「自分で動ける人材」という印象を面接官に与えることができます。
ステップ3 IT特化の転職エージェントで非公開求人と内部情報を得る
IT業界に特化した転職エージェントを使うと、会社選びの精度が上がります。
一般の求人サイトには載っていない非公開求人へのアクセス、離職率や職場の雰囲気といった内部情報の入手、書類・面接対策のサポートという3つのメリットがあります。
エージェントを選ぶ際に確認したい2点
エージェントを選ぶときは、「未経験OKの求人をどれだけ持っているか」と「担当者がITの技術的な話をどこまで理解しているか」の2点を確認しましょう。
IT業界に詳しい担当者であれば、商流や技術領域についての的確なアドバイスがもらえるため、会社選びのミスが減ります。
8.まとめ:未経験からのITエンジニア転職は会社選びの基準が成否を分ける

未経験からITエンジニアへの転職を成功させるカギは、会社選びの基準を持っているかどうかです。
研修制度・離職率・商流・給与水準・社員構成の5つを軸に求人を見ていくと、良い会社と避けるべき会社の違いが明確になります。
どの会社を選ぶかは、入社後のスキルの伸び方や収入、キャリアの方向性を大きく左右します。T業界の構造に精通したエージェントへの相談を通じて、客観的な市場価値を把握しながらキャリアを構築していくことが推奨されます。