エンジニアの転職・就職活動で避けて通れないコーディングテスト。「何を準備すればいいかわからない」「技術力はあるのに落ちる」という悩みを抱えていませんか?
実は、評価されるのは技術力だけではありません。問題解決のアプローチ、思考プロセス、コミュニケーション能力まで、総合的なエンジニアリング能力が問われます。
この記事では、基礎知識から具体的な対策、失敗回避法まで、合格に必要なすべてを解説します。
1. コーディングテストとは|エンジニア採用で評価される理由

コーディングテストは、履歴書や面接だけでは測れない実践的なプログラミング能力を評価する試験です。企業はこのテストを通じて、応募者の技術力を見極めます。
履歴書では測れない実践的スキルを評価する試験
コーディングテストとは、出題された問題に対して実際にコードを書いて解答し、その過程や結果を通じて技術力を測定する試験です。
履歴書には経験や資格が記載されますが、「実際にどの程度のコードが書けるのか」「問題解決にどうアプローチするのか」は把握できません。
主な実施形式は3つ
1、オンライン形式
オンライン形式は、自宅から受験可能で、TOPSIC、paiza、HireRooなどの プラットフォームが使用されます。
2、対面形式(ライブコーディング)
ホワイトボードや面接官の前でリアルタイムにコードを作成し、思考プロセスとコミュニケーション能力も評価されます。
3、持ち帰り形式
数日間の期限内に課題を完成させる、より実務に近い形式です。
一般的な選考フローとコーディングテストの位置づけ
典型的な選考フローは以下の通りです。
書類選考 → 一次面接(人事・カジュアル面談) → コーディングテスト → 二次面接(技術面接・チーム面談) → 最終面接(役員・社長面接)。
コーディングテストは選考の中盤に配置されることが多く、技術力を客観的に評価した後、カルチャーフィットやキャリアビジョンの対話へと進みます。
企業によっては、オンラインテスト通過後に対面でのライブコーディングを実施するケースもあります。
コーディングテストの具体的な流れ
一般的なコーディングテストは次のように進行します。
- 問題提示:制約条件、入出力形式、制限時間が示される
- コーディング:制限時間内にコードを作成・実装
- 提出:コードを提出(オンラインの場合は自動判定システムへ)
- 評価:自動採点または面接官による評価
- 解説・ディスカッション(対面の場合):コードの解説、アプローチの説明、質疑応答
深刻化するIT人材不足と技術力の可視化ニーズ
多くの企業がコーディングテストを重視する背景には、深刻なIT人材不足があります。
経済産業省の調査によると、2030年には最大で約79万人のIT人材が不足すると試算されています。
若年層の人口減少により、2019年をピークにIT関連産業への入職者は退職者を下回り、IT人材は減少に向かうと予想されています。
スキルミスマッチによる早期離職の実態
限られた採用機会で、スキルミスマッチは企業にとって大きなリスクとなります。
期待した技術力が不足していれば、プロジェクト遅延や品質低下を招くだけでなく、早期離職につながります。
実際、技術力の見極め不足により、入社後まもなく離職に至るケースも少なくありません。
その場合、投じた採用コストや教育コストが無駄になってしまうため、企業は慎重に技術力を評価する必要があります。
企業が確認したい主な項目
- プログラミング言語の理解度と実装力
- アルゴリズムとデータ構造の基礎知識
- 計算量(時間・空間計算量)への意識
- 論理的思考力と問題分解能力
- コードの可読性と保守性
- 実務でのスピードと完成度のバランス
特にDX推進やAI活用が求められる現代において、即戦力となる高度IT人材の確保は企業の競争力を左右します。
コーディングテストは、スキルミスマッチを防ぎ、最適なマッチングを実現する重要ツールです。
2. コーディングテストの評価基準とは?合否を分ける3つのポイントと5つの失敗例
- 技術力と計算量への意識
- 思考プロセスと問題解決力
- コミュニケーションと可読性
- 問題文の誤解・見落とし
- 完璧主義による時間切れ
- 思考が止まり沈黙してしまう
- 基礎アルゴリズムの知識不足
- エッジケースの考慮漏れ
コーディングテストでは、技術力、思考プロセス、コミュニケーション力の3要素が総合的に評価されます。
また、多くの人が陥る5つの失敗パターンを理解することで、同じミスを避けられます。
評価される3つの核心ポイント
技術力:アルゴリズムとデータ構造の理解度、計算量への意識
基本的なアルゴリズム(ソート、探索、動的計画法、グラフ探索)を理解し、問題に応じて適切に実装できるかが問われます。
配列、連結リスト、スタック、キュー、木構造、ハッシュテーブルなど、最適なデータ構造を選択・活用する力も重要です。
特に大規模データを扱う企業では、Big-O記法の理解と計算量を考慮した実装が求められます。動作するだけでなく、効率的なコードを書く意識が必要です。
思考プロセス:問題解決へのアプローチと論理的思考力
最終的な解答だけでなく、そこに至る思考プロセスが重視されます。課題の本質を理解し、制約条件や要件を正確に把握できるか。
いきなりコードを書かず、まずアプローチを考え、ステップを整理できるか。完璧な方法が浮かばなくても、手当たり次第始めてみて、段階的に最適化する柔軟性があるかが評価されます。
ライブコーディングでは、「今この部分でこの理由でこのアプローチを選んでいます」と説明することで、思考力の高さを示せます。
コミュニケーション力:説明能力とコードの可読性
現代の開発はチーム作業が基本です。
問題文が不明瞭なときに適切に質問できるか、自分のコードやアプローチを分かりやすく説明できるか、変数名・関数名・コメントが適切で、他のエンジニアが読んで理解しやすいコードかが評価されます。
「動けばいい」ではなく、「チームの誰が見ても理解できる、保守しやすいコード」を書く意識が求められます。
落ちる人に共通する5つの失敗パターン
1. 問題文を正確に理解せず誤った方向に進む
制約条件の見落としや出力形式の誤りで、技術力があっても不正解になってしまう。
失敗例:
「配列の要素を昇順にソート」という問題で、降順にソートしてしまう。「重複を除いた要素数を返す」のに、重複を含めた配列を返してしまう。
対策:
問題を読んだら具体例を書き出し、入出力の関係を確認しましょう。
2. 完璧主義で時間内に完成できない
最適解を目指しすぎて時間切れに。
失敗例:
O(n log n)の最適解を30分考え続け、結局何も提出できない。部分点がある問題で、全完成を目指して時間切れ。
対策:
まず動くコードを完成させ、時間が余ったら最適化する戦略が有効です。
3. コミュニケーションを取らず沈黙してしまう
詰まったときの沈黙は大きなマイナス。
失敗例:
ライブコーディングで10分以上黙り込み、面接官が何を考えているか把握できない。質問しないまま誤った前提で実装を進める。
対策:
「今この部分で悩んでいます」と積極的に対話することで、協働能力を示せます。
4. 基礎的なアルゴリズムの知識が不足している
基本を知らないと問題解決の以前でつまずきます。
失敗例:
二分探索を知らず、O(n)の線形探索で時間切れ。ハッシュテーブルを知らず、O(n²)の二重ループで実装。
対策:
頻出アルゴリズムとデータ構造は事前学習で確実に押さえましょう。
5. エッジケースやエラーハンドリングを考慮しない 通常ケースでは動いても、特殊ケースで動作しないコードは実務で使えません。
失敗例:
空配列を渡すとエラーで落ちる。負の数を想定していない。配列のインデックスが範囲外になる。
対策:
境界値や特殊ケースを意識する習慣をつけましょう。
3. 合格するための7つの対策ポイント
体系的かつ実践的な対策で、コーディングテストを突破しましょう。
初心者から経験者まで活用できる7つの具体策を紹介します。
【対策1】定番アルゴリズムとデータ構造を体系的に学習する
優先的に学ぶべき項目
- 基本データ構造:配列、連結リスト、スタック、キュー、ハッシュテーブル、木構造、グラフ
- ソート:バブルソート、クイックソート、マージソート、ヒープソート
- 探索:線形探索、二分探索、BFS、DFS
- その他:動的計画法の基礎、グリーディアルゴリズム、再帰的思考
【対策2】実践問題を毎日解いて反復練習する
おすすめ学習サイト5選
- LeetCode:世界中で利用される定番サイト。Easy/Medium/Hard別で充実
- paiza:日本語対応で初心者に優しい。スキルチェックでランク判定可能
- AtCoder:日本最大級。過去問3,000問以上、すべて日本語
- Codility:国内企業でも採用される本番に近い環境
- HackerRank:企業の実選考でも使用。分野別に問題選択可能
効果的な学習ペース
- 初心者:1日1問Easy、継続最優先
- 中級者:1日1〜2問、Easy→Mediumへ段階的に
- 上級者:Medium中心に1日2〜3問、週1〜2問Hard
解けなかった問題は解答を見て理解し、翌日再挑戦する復習サイクルが重要です。
【対策3】制限時間を設定して本番をシミュレーションする
目安時間
- Easy:15〜20分
- Medium:30〜45分
- Hard:45〜60分
タイマーをセットして時間内に解ききる訓練を積みましょう。
時間配分の目安
- 問題理解(20%):問題文、制約条件、入出力例を確認
- 設計(20%):アプローチを考え、データ構造とアルゴリズムを決定
- 実装(50%):まず動くコードを完成
- テスト・デバッグ(10%):エッジケース確認とバグ修正
【対策4】思考プロセスを声に出して説明する練習
ラバーダッキングの活用
ゴム製のアヒル(任意の対象物)に対してコードや問題解決プロセスを説明することで、理解が曖昧な部分や論理的な穴に気づけます。声に出して説明する習慣をつけましょう。
面接官への効果的なコミュニケーション例
- 問題確認時:「入力データの範囲は?」「負の数も含む?」
- アプローチ説明時:「まずブルートフォースで考えて、その後最適化します」
- 詰まったとき:「この部分で悩んでいます。○○なアプローチを考えていますが、どう思われますか?」
【対策5】得意な言語を深め、特性を理解する
主要言語の特徴
- Python:コード量少、実装速い、ライブラリ豊富。初心者に最適。実行速度は遅め
- Java:静的型付けで堅牢。実務で広く使用。コード量多め
- JavaScript:Web系に馴染み深い。配列操作メソッド豊富
- C++:実行速度最速。上級者・競技プログラミング経験者向け
最も重要なのは、自分が最も得意な言語を選ぶことです。企業の推奨言語は事前に確認しましょう。
【対策6】コードレビューの習慣で可読性を高める
自分のコードを翌日読み返す
翌日や数日後に見返すと、変数名の不明確さやロジックの複雑さに気づけます。定期的に過去のコードを読み返し、改善点をチェックしましょう。
GitHubでOSSのコードを読む
優れたエンジニアのコードやLeetCodeの高評価解答例を読み、「こう書けばシンプルになる」という気づきを得ましょう。
【対策7】模擬面接で実践的なフィードバックを得る
友人・コミュニティとの模擬面接
エンジニア仲間と面接官役と受験者役を交代で演じることで、「評価する側の視点」が得られます。エンジニアコミュニティに参加し、同じ目標を持つ仲間を見つけましょう。
オンラインサービスの活用
Pramp(無料・英語)やinterviewing.io(匿名・英語)などのサービス、または転職エージェントに模擬面接の相談も可能です。
4. レベル別の学習ロードマップ

自分のレベルに合った学習計画で、効率的に対策を進めましょう。問題難易度を理解した上で、段階的にスキルアップすることが重要です。
コーディングテストの問題難易度4段階
コーディングテストの問題は、大きく4つのレベルに分類されます。
レベル1(AtCoder茶色・paiza Dランク相当)
- FizzBuzz問題
- 簡単な四則演算
- 基本的な制御構文(if文・for文)を使う問題
プログラミングの入門書で学ぶレベルで、単純な問題を正しく理解し、仕様通りに実装できるかが問われます。
レベル2(AtCoder緑色・paiza Cランク相当)
- 配列操作
- 文字列処理
- ハッシュテーブルの基本的な使用
- 単純なソートアルゴリズム
標準入出力とループ処理を組み合わせた実装が中心です。
レベル3(AtCoder水色・paiza Bランク相当)
- 二分探索
- DFS(深さ優先探索)
- BFS(幅優先探索)
- 基本的な動的計画法
- スタック・キュー を使った問題
アルゴリズムの知識と適切なデータ構造の選択が求められます。
レベル4(AtCoder青色以上・paiza Aランク相当)
- 高度な動的計画法
- 複雑なグラフアルゴリズム(ダイクストラ法など)
- セグメント木
- 高度な数学的知識が必要な問題
上位企業やGAFAMの選考で出題されるレベルです。
初心者エンジニア向け:基礎から始める3ヶ月プラン
プログラミング経験が浅い方は、焦らず基礎から着実に積み上げましょう。目標はレベル1〜2の問題を確実に解けるようになることです。
1ヶ月目:プログラミング基礎とアルゴリズム入門
変数・データ型・演算子、制御構文(if/for/while)、関数、配列・リストの基本、計算量の基礎を学びます。
2ヶ月目:基本的なデータ構造
配列・文字列操作、ハッシュテーブル、スタック・キュー、基本ソート、線形探索・二分探索を習得します。
3ヶ月目:実践問題とコードレビュー
再帰的思考、木構造の基本、グラフの基礎、BFS・DFSを学びます
中〜上級者向け:企業タイプ別の対策ポイント
既にプログラミング経験がある方は、志望企業タイプに応じた対策で合格率を高めましょう。
GAFAM・外資系:高度なアルゴリズムとシステムデザイン
「LeetCode Medium問題を30分以内に安定して解ける力」「Hard問題も解ける力」「システムデザイン面接への対応力」が必要です。
動的計画法の応用、グラフアルゴリズム、高度な木構造、ビット演算、システム設計の基礎を学びます。
出題例:
「ある単語リストから、変換ルールに従って最短でターゲット単語に到達できるか」(グラフのBFS)、「最長共通部分列(LCS)問題」(動的計画法)、「トラップされた雨水の量を計算」(スタック・二分探索)などが出題されます。
メガベンチャー:実務志向の課題と短時間実装力
「LeetCode Easy〜Mediumを確実に解ける力」「高い可読性」「実装スピード」が求められます。
文字列・配列操作の効率的実装、ハッシュテーブル活用、基本アルゴリズムの応用、業務想定課題への対応を重視します。
出題例:
「ユーザーのログイン履歴から連続ログイン日数を計算する」「ECサイトのカート機能を実装する」といった課題が挙げられます。
SIer・受託開発企業:基礎技術力とコミュニケーション重視
「LeetCode Easyを確実に解ける力」「高い可読性」「質問・説明力」が重要です。
基本アルゴリズムとデータ構造の確実な理解、エラーハンドリング、可読性の高いコード、面接官への質問力を磨きます。
具体的な出題例:
「配列の要素を指定された順序でソートする」「文字列の中から特定のパターンを検索する」といった問題が出されます。
5. コーディングテスト形式別の攻略法|オンライン・対面の対策
オンライン形式と対面・ライブコーディング形式では、それぞれ異なる攻略法があります。形式に応じた対策で本番に臨みましょう。
オンライン形式:時間管理と効率的な調べ方
自宅など任意の場所で受験できリラックスできる一方、時間管理と調べ方のルールを理解する必要があります。
調べることの可否は企業によって異なります。 公式ドキュメント、構文のエラーメッセージ検索、一般的なアルゴリズム実装方法の確認は通常OK。
ただし、全く同じ問題の解答のコピペ、他者に解いてもらう、複数人での協力は不正です。
効率的な調べ方
- 事前準備:公式ドキュメントをブックマーク、標準ライブラリの使い方メモ、頻出アルゴリズムのテンプレート保存
- テスト中:具体的キーワードで検索、公式ドキュメント優先、1つの疑問につき3〜5分以内
カンニング検知システム
タブの頻繁な切り替え、長時間離脱、異常なコピペ頻度などは検知される可能性があります。自分の知識で解くことを前提に、わからない部分だけピンポイントで調べましょう。
対面・ライブコーディング形式:コミュニケーションが鍵
技術力だけでなく、コミュニケーション能力やチームワークへの適性も評価されます。
ホワイトボードコーディングの特殊性
エディタの便利機能が使えないため、構文エラーに注意が必要です。
疑似コードでもOKな場合が多く、アルゴリズムの論理を明確にすることが重要です。事前に紙に手書きでコードを書く練習をしておきましょう。
面接官との対話を重視
黙々とコードを書き続けるのではなく、コミュニケーションを取りながら進めます。
問題確認、アプローチ説明、実装中の進捗共有、詰まったときの相談など、積極的に考えを共有しましょう。
詰まったときの対処法
- ブルートフォース解法を提案:「最適解は思いつきませんが、まず全探索で解くとこうなります」
- 具体例で考える:小さな例から始めてパターンを見つける
- 部分的に解決:「問題全体は難しいですが、まずこの部分だけ実装します」
- 率直に相談:「実装方法で悩んでいます。ヒントをいただけますか?」
面接官は協力者です。建設的な対話を通じて、一緒に問題を解決する姿勢を見せましょう。
6. コーディングテストのよくある質問|調べ方・言語選択・合格率

コーディングテストに関する代表的な疑問に答えます。受験前に不安や疑問を解消しておきましょう。
調べながらの受験は問題ありませんか?
企業ごとのポリシーの違い
企業によって異なりますが、公式ドキュメントや一般的な構文の確認程度は通常問題ありません。明確な指示がない場合、以下が基本的なガイドラインです。
許可されている場合の効果的な調べ方
- 言語の公式リファレンス(PythonならPython.org、JavaならOracle公式など)
- 標準ライブラリの使い方(配列のソートメソッド、文字列操作関数など)
- 構文エラーの意味(「SyntaxError: invalid syntax」の原因など)
- Big-O記法などの基礎知識の確認
不正とみなされる行為
- 問題文と解答をそのまま検索してコピー&ペースト
- 「LeetCode 問題番号 解答」などで完全な解答を探す
- SNSやフォーラムで問題を共有し、リアルタイムで解答を求める
- 他人に代わりに解いてもらう、または複数人で協力する
調べる内容は「構文」や「ライブラリの使い方」に限定し、解法そのものは自分で考えることが重要です。過度に依存すると実力不足と判断され、基礎知識まで全て調べるのは避けましょう。
※注意:これらの判断基準はあくまで一般的なものです。最終的なルールは企業によって異なるため、テスト前には必ず受験企業の指示を確認してください。
何も思い浮かばず真っ白になったらどうすればいいですか?
緊張や焦りで頭が真っ白になることは、誰にでも起こり得ます。以下の手順で対処しましょう。
まず問題を小さく分解する
大きな問題を一度に解こうとせず、小さなステップに分けます。
- 「最終的に何を出力すればいいのか?」を明確化
- 「そのために必要な情報は何か?」を整理
- 「各ステップは実装できそうか?」を確認
具体例:
「配列の中で重複しない最長の部分配列を見つける」問題の場合
- まず「重複を検知するにはどうするか?」→ ハッシュセット
- 次に「部分配列を走査するには?」→ スライディングウィンドウ
- 「最長を記録するには?」→ 変数で最大値を保持
ブルートフォース(力任せ)解法から始める
最適解が思いつかなくても、とりあえず動く解法を考えましょう。
- 全探索(すべてのパターンを試す)
- 二重ループや三重ループを使った素朴な実装
- 再帰を使った基本的な解法
たとえ計算量がO(n²)やO(n³)でも、まず動くコードを完成させることが重要です。部分点がある問題では、完璧でなくても動くコードを提出することで評価されます。
面接官に率直に相談する(対面・ライブコーディングの場合)
対面形式では、面接官に正直に伝えることも有効です。
- 「少し時間をいただいて、考えを整理してもいいですか?」
- 「この問題、○○なアプローチが使えそうな気がするのですが、うまくまとまりません。方向性は合っていますか?」
- 「ブルートフォースで実装してから最適化を考えたいのですが、よろしいでしょうか?」
沈黙するよりも、考えていることを言語化することで、面接官がヒントをくれる可能性もあります。
プログラミング言語は何を選ぶべきですか?
得意言語を選ぶのが基本
最も重要なのは、自分が最も得意な言語を選ぶことです。
コーディングテストでは、構文やライブラリの使い方に悩む時間は極力減らし、問題解決そのものに集中すべきです。普段の業務や学習で使い慣れている言語を選びましょう。
企業の主要言語を事前確認
一部の企業では、業務で使用する言語を指定したり、推奨したりする場合があります。求人情報や企業の技術ブログ、採用ページで確認しましょう。
- Web系企業:JavaScript、TypeScript、Ruby、PHP、Python
- 金融系・基幹系:Java、C#
- AI・データサイエンス系:Python、R
- 組み込み・ゲーム系:C、C++
ただし、多くの企業では言語を自由に選べるため、過度に気にする必要はありません。
合格率はどのくらいですか?独学で大丈夫ですか?
企業により大きく異なる(10〜50%程度)
コーディングテストの合格率は、企業の規模や選考の厳しさによって大きく異なります。
- GAFAM・外資系トップ企業:非常に狭き門(合格率10〜20%程度と推測)
- メガベンチャー(楽天、LINE、メルカリなど):企業により差があるが20〜40%程度
- SIer・中小企業:基礎力があれば合格しやすい(40〜60%程度)
ただし、これらはあくまで目安であり、公式データはほとんど公開されていません。また、応募者のレベルによっても大きく変動します。
過度に合格率を気にするよりも、自分の実力を高めることに集中しましょう。
独学でも十分対策可能
結論から言うと、独学でも十分に対策可能です。実際、多くのエンジニアがオンライン学習サイト(LeetCode、paiza、AtCoderなど)や書籍を使って独学で合格しています。
独学のメリット
- 費用がかからない(無料リソースが豊富)
- 自分のペースで学習できる
- 問題数が豊富で、幅広く学べる
- 仕事をしながらでも隙間時間で学習可能
独学の注意点
- モチベーションの維持が課題
- 自分では気づかない癖や弱点がある
- 効率的な学習順序がわかりにくい
- 孤独感があり、挫折しやすい
効率化にはコミュニティやスクールも活用
独学だけでは不安な場合や、効率的に学びたい場合は、以下のリソースも活用しましょう。
- オンラインコミュニティ:勉強会、Slack/Discordグループで仲間と切磋琢磨。質問や情報交換が可能
- プログラミングスクール:体系的なカリキュラムと講師のサポート(有料)。短期集中で実力をつけたい人向け
- 転職エージェント:エージェントによっては、コーディングテスト対策の相談やアドバイス、模擬面接が受けられる
自分に合った方法で、無理なく継続できる学習スタイルを見つけることが最も重要です。
7. エンジニアが実践すべきコーディングテスト対策|合格への最終チェック

コーディングテストは技術力・思考力・コミュニケーション力の総合評価です。
落ちる5つの理由を理解し、7つの対策を実践すれば合格できます。レベルに応じたロードマップで効率的に準備し、形式別の特性を理解して本番に臨みましょう。
失敗を恐れず、継続的な学習と実践が最も重要です。