日本でエンジニアとして働きたいブラジル人にとって、適切なビザの選択と取得プランは成功への第一歩です。
技術・人文知識・国際業務ビザから高度専門職ビザまで、職種や経験に応じた最適なルートが存在します。
この記事では、ビザ申請の具体的な手順、よくある失敗パターンの回避法、実際の成功事例まで、ブラジル人エンジニアが日本で確実にキャリアを築くための実践的な情報を解説します。
- ブラジル人エンジニアに最適な就労ビザの種類と取得条件について
- 職種別のビザ申請プランと高度専門職ビザの活用方法について
- 実際に成功したブラジル人エンジニアの具体的なキャリアパスについて
1.ブラジル人エンジニアが知っておきたい日本の就労ビザ基本情報

日本で働くブラジル人エンジニアにとって、適切な就労ビザの選択は成功の第一歩です。
ビザの種類によって就労の自由度や将来のキャリアパスが大きく変わるため、事前にしっかりと理解しておくことが重要です。
エンジニアにおすすめの代表的な就労ビザ
ブラジル人エンジニアが日本で働くために必要な就労ビザは、主に4つの種類に分かれています。それぞれの特徴と条件を理解して、自分のキャリアプランに最適な選択をすることが大切です。
技術・人文知識・国際業務ビザ
最も一般的なエンジニア向けビザで、システムエンジニア、プログラマー、データサイエンティスト、AIエンジニアなどの専門技術職で働く場合に取得します。
高度専門職ビザ
ポイント制により70点以上を獲得した高い技術力と経験を持つエンジニアが取得できる特別なビザです。多くの優遇措置が受けられるため、スキルの高いエンジニアにとって非常に魅力的な選択肢となります。
特定技能ビザ
人手不足が深刻な特定の業界で働く場合に取得するビザです。エンジニア関連では情報処理分野が対象となる可能性があります。
経営・管理ビザ
エンジニアとして起業を目指す場合や、ITスタートアップの経営陣として活動する場合に必要なビザです。
ブラジル人エンジニアの日本就労データ
出入国在留管理庁の統計(2024年6月末現在)によると、日本に滞在するブラジル人は21万2,325人で国別5位です。
「技術・人文知識・国際業務」の在留資格者は全体で39万4,295人となっており、この中にブラジル人エンジニアも含まれています。
日本のIT人材市場の機会
経済産業省の調査によると、2030年には最大79万人のIT人材が不足すると予測されており、ブラジル人エンジニアにとっても大きなチャンスとなっています。
特に需要が高い分野:
- AIエンジニア・データサイエンティスト
- クラウドインフラエンジニア
- セキュリティエンジニア
- モバイルアプリ開発エンジニア
日系ブラジル人エンジニアが持つ特別なメリット
日系ブラジル人エンジニアの場合、「定住者」ビザという特別な在留資格を取得できる可能性があり、これは一般的な就労ビザと比較して多くのメリットがあります。
定住者ビザの特別な利点
定住者ビザは身分系の在留資格であり、就労制限がありません。これにより以下の活動が可能になります:
- 職種制限なし:エンジニアだけでなく、起業、フリーランス、転職が自由
- 業界制限なし:IT以外の分野への転職や副業も可能
- 在留期間:通常1年または3年(更新可能)
- 永住権への道:継続的な在留により永住権申請が可能
日系人のアイデンティティを活かした働き方
日系ブラジル人エンジニアは、以下の点で日本企業にとって特に価値のある人材となります:
<文化的な強み>
- 日本文化への理解と適応力
- 多文化環境でのコミュニケーション能力
- ブラジル市場進出を検討する日本企業への貢献
- ポルトガル語スキルを活かした国際業務
キャリアパスの多様性
定住者ビザを持つ日系ブラジル人エンジニアは、一般的な就労ビザよりも柔軟なキャリア形成が可能です:
- スタートアップでの起業
- フリーランスエンジニアとしての独立
- 複数企業での業務委託
- 日本企業のブラジル進出サポート
2.エンジニア職種別|ベストなビザ取得プラン

エンジニアの職種によって最適なビザの種類や取得プランが異なります。
自分の専門分野と経験レベルに応じて、最も有利な条件でビザを取得できるプランを選択しましょう。
システムエンジニア・プログラマーの場合
システムエンジニアとプログラマーは、最も一般的なエンジニア職種として「技術・人文知識・国際業務」ビザの取得が標準的なルートとなります。
基本条件と優遇措置
学歴条件(いずれか1つ)
- 理工系大学の学士号(情報工学、システム工学、コンピュータサイエンス等)
- 日本の専門学校卒業(専門士取得)
- 情報処理に関する10年以上の実務経験
IT資格による学歴条件免除
ブラジル人エンジニアにとって特に有利なのは、特定のIT資格を取得することで学歴条件が免除される制度です。以下の資格を取得すれば、大学卒業でなくてもビザ申請が可能になります。
- 基本情報技術者試験
- 応用情報技術者試験
- 情報処理安全確保支援士試験
- その他経済産業大臣認定の情報処理技術者試験
データサイエンティスト・AIエンジニアの場合
データサイエンティストとAIエンジニアは、現在最も需要が高いエンジニア職種の1つです。高度な専門性を活かして、より有利な条件でのビザ取得を目指すことができます。
専門性の高いビザプラン
データサイエンティスト・AIエンジニアには、以下の2つのビザルートが推奨されます:
- 技術・人文知識・国際業務ビザ:標準的なルート
- 高度専門職ビザ:ポイント制を活用した優遇ルート
高度専門職ビザでのポイント獲得プラン
ポイント獲得項目
- 学歴:修士号(20ポイント)、博士号(30ポイント)
- 職歴:データサイエンス関連の実務経験
- 年収:日本での予定年収(年収が高いほど高ポイント)
- 年齢:若い方が有利(30歳未満で15ポイント)
- 特別加算:AI・機械学習分野の先端技術(10ポイント)
必要な専門知識と資格
コア技術
- 機械学習・深層学習アルゴリズム
- 統計学・数学(線形代数、微積分、確率論)
- プログラミング:Python、R、SQL
- ビッグデータ処理:Hadoop、Spark
- データ可視化:Tableau、Power BI
ITマネージャー・テックリードの場合
ITマネージャーやテックリードのポジションを目指すブラジル人エンジニアには、高度専門職ビザの取得を強く推奨します。
管理職としての経験と技術力を組み合わせることで、70ポイント以上の獲得が現実的になります。
高度専門職ビザ取得プラン
職歴・管理経験(最大25ポイント)
- チームリーダー経験:3年以上で10ポイント
- プロジェクトマネージャー経験:5年以上で15ポイント
- 部門長・技術責任者:7年以上で20ポイント
- CTO・技術統括責任者:10年以上で25ポイント
年収による加点(最大50ポイント)
- 800万円以上:40ポイント
- 1000万円以上:50ポイント
技術と管理のバランス
ITマネージャー・テックリードには、技術力と管理能力の両方が求められます:
技術領域での専門性
- システムアーキテクチャ設計
- 技術プラン立案・技術選定
- コードレビュー・技術指導
- パフォーマンス最適化
マネジメント領域での能力
- チームビルディング・人材育成
- プロジェクト管理・予算管理
- ステークホルダーとのコミュニケーション
- 技術的意思決定とリスク管理
3.ブラジル人エンジニアのビザ申請3つのルート

ブラジル人エンジニアが日本で働くための主要なルートは3つあります。
それぞれにメリット・デメリットがあるため、自分の状況に最も適したルートを選択することが成功の鍵となります。
新卒・未経験からの就職ルート
ブラジルの大学を卒業したばかりの新卒エンジニアや、未経験からITエンジニアを目指すブラジル人にとって最も現実的なルートです。
日本企業の新卒採用制度を活用することで、経験がなくても確実にビザを取得できます。
基本的な取得条件
学歴条件として
ブラジルの大学学士号(コンピュータサイエンス、工学系が最適)または日本の専門学校卒業が必要です。専攻分野とエンジニア職務の関連性を証明できる成績証明書・卒業証明書の準備が欠かせません。
日本語能力について
日本語検定N2レベル以上の取得を強く推奨します。技術用語の日本語学習とビジネス会話レベルでのコミュニケーション能力が、就職活動を大きく左右します。
IT資格による学歴条件免除
ブラジル人エンジニアにとって特に有利なのは、基本情報技術者試験や応用情報技術者試験などの特定IT資格を取得することで学歴条件が免除される制度です。大学卒業でなくてもビザ申請が可能になります。
新卒採用に積極的な企業
外国人採用に積極的な企業として、大手IT企業(NTTデータ、富士通、NEC等)、外資系IT企業(日本マイクロソフト、IBM、アクセンチュア等)、スタートアップ・ベンチャー企業、グローバル展開を行う日系企業が挙げられます。
成功率を高めるポイント
ポートフォリオの充実、GitHub活動での継続的なコード作成・公開、技術スキルを証明する資格取得、応募企業の事業内容・技術スタックの理解が重要です。
特に個人プロジェクトや学習成果を整理したポートフォリオは、未経験者にとって技術力をアピールする重要な材料となります。
経験者の転職・キャリアアップルート
すでにブラジルでエンジニアとしての実務経験があるブラジル人が、より良い条件や高度な技術環境を求めて日本で働くルートです。
経験者は即戦力として評価されるため、新卒よりも有利な条件でビザ取得が可能です。
経験者の優位性
技術面
即戦力としての技術スキル、プロジェクト経験による実践的な知識、問題解決能力・トラブルシューティング経験、複数技術スタックでの開発経験が強みとなります。
ビジネス面
チームワーク・協調性、プロジェクト管理・進行管理経験、クライアント対応・提案力、国際的な視点・多様性への適応力が評価されます。
転職活動の効果的なアプローチ
準備段階
技術スキルの棚卸し・アップデート、日本のIT業界動向・技術トレンドの把握、履歴書・職務経歴書の日本式での作成、ポートフォリオの英語・日本語での準備が必要です。
応募・面接段階
技術面接での実技デモンストレーション、過去のプロジェクト成果の具体的な説明、日本で働く動機・キャリアビジョンの明確化、文化適応力・学習意欲のアピールが重要となります。
高度専門職ビザの活用プラン
経験者は高度専門職ビザの条件を満たしやすく、現在のスキル・経験でのポイント試算、不足ポイントの補強計画、日本企業での予定年収の最適化、追加の技術資格・認定の取得を通じて取得を目指します。
日本留学経由での就職ルート
日本の大学・大学院・専門学校で学んだ後に就職するルートは、最も確実で安定的なビザ取得方法です。
日本での学習経験により、言語力・文化適応力・技術力を同時に向上させることができます。
留学ルートの大きなメリット
言語・文化面
日本語能力の確実な向上(N1レベル到達)、日本の企業文化・働き方への理解、日本人学生・教授との人脈形成、地域コミュニティとの自然な関係構築が可能です。
技術・学習面
日本の最新技術・研究への直接アクセス、産学連携プロジェクトへの参加機会、企業インターンシップでの実務経験、研究成果・論文による専門性の証明ができます。
就職活動
日本企業の新卒採用制度への参加、大学キャリアセンターのサポート活用、企業説明会・就職フェアへの参加、OB・OGネットワークの活用が大きな強みとなります。
4.ブラジル人エンジニアのビザ申請でミスしやすいポイント

ビザ申請では細かな注意点が多く、小さなミスが申請の却下につながることもあります。よくある失敗パターンを事前に把握し、確実な申請を目指しましょう。
書類準備でよくある間違い
ビザ申請での書類準備は、多くのブラジル人エンジニアが苦労するポイントです。書類の不備により申請が却下されるケースも多いため、事前に注意すべきポイントを把握しておくことが大切です。
学歴証明書関連のミス
よくある学歴証明書の問題
- ブラジルの大学の卒業証明書が英語翻訳されていない
- 成績証明書(履歴書)が不完全または古い
- 専攻分野とエンジニア職務の関連性が不明確
- アポスティーユ(外務省認証)が未取得
正しい学歴証明書の準備方法
- 卒業証明書(ポルトガル語原本+日本語翻訳)
- 成績証明書(全期間の詳細な成績記録)
- アポスティーユまたは在日ブラジル領事館の認証
- 大学のシラバス(専攻内容の詳細説明)
職歴・経験証明の不備
職歴証明でのよくある問題
- 在職証明書の記載内容が不十分
- 職務内容がエンジニア業務として認識されない記載
- 雇用期間の証明が不完全
- 推薦状や評価書の不足
効果的な職歴証明の作成方法
- 具体的な技術スキル・プロジェクト内容の明記
- 使用したプログラミング言語・技術の詳細
- プロジェクトでの役割・責任範囲の説明
- 同僚や上司からの推薦状の添付
日本語能力の証明で注意すべき点
日本語能力の証明は、ビザ申請において非常に重要な要素ですが、適切な準備ができていないケースが多く見られます。
日本語検定の選び方と活用法
推奨される日本語検定
- 日本語能力試験(JLPT):最も一般的で信頼性が高い
- BJTビジネス日本語能力テスト:ビジネス場面での日本語力を証明
- J-TEST実用日本語検定:実践的な日本語能力を測定
レベル別の申請への影響
- N1レベル:高度専門職ビザでポイント加算、転職で有利
- N2レベル:一般的な就労ビザ申請で十分
- N3レベル以下:ビザ申請で不利になる可能性
技術系日本語の重要性
技術系日本語の学習ポイント
- プログラミング関連の日本語用語
- システム設計・開発プロセスの用語
- 会議・プレゼンテーションでの表現力
- 技術文書の読み書き能力
面接・審査での失敗パターン
ビザ申請の面接や審査で失敗してしまう典型的なパターンを理解し、事前に対策を準備しておくことが重要です。
技術力証明の不十分なアピール
技術面接での失敗例
- 過去のプロジェクト内容を具体的に説明できない
- 使用技術についての深い理解を示せない
- 問題解決能力を証明する事例が不足
- ポートフォリオの準備が不十分
効果的な技術力アピール方法
- 具体的なコード例・開発成果物の準備
- プロジェクトでの役割・貢献内容の明確化
- 技術的な課題解決事例の整理
- 継続的な学習・スキルアップの証明
日本で働く動機の説明不足
動機説明でのよくある問題
- 単に「日本の技術を学びたい」という漠然とした理由
- ブラジルでの就職機会と比較した優位性の説明不足
- 長期的なキャリアプランが不明確
- 日本の企業文化への理解が浅い
説得力のある動機の作り方
- 具体的な技術領域・企業への興味
- 日本市場でのエンジニアとしての貢献可能性
- 将来的な日本・ブラジル間の技術交流への貢献
- 日本での具体的なキャリア目標
5.高度専門職ビザでキャリアアップする

高度専門職ビザは、優秀なエンジニアが日本で長期的なキャリアを築くための特別なビザです。
ポイント制度を理解し、効果的に活用することで、通常の就労ビザでは得られない多くのメリットを受けられます。
ポイント制度のくわしい解説
高度専門職ビザは、ポイント制を採用した特別な在留資格で、優秀な外国籍人材を日本に呼び込むために作られた制度です。
ブラジル人エンジニアにとって、通常の就労ビザよりも多くのメリットを受けられる非常に魅力的な選択肢となります。
ポイント制度の基本的な仕組み
専門職ビザを取得するには、学歴・職歴・年収・年齢などの項目でポイントを計算し、合計70ポイント以上を獲得する必要があります。
ポイント計算の主要項目
- 学歴:大学卒業から博士号まで、学歴に応じてポイント付与
- 職歴:エンジニアとしての実務経験年数
- 年収:日本での予定年収(高いほど高ポイント)
- 年齢:若い方が有利(39歳以下で最高ポイント)
- 研究実績:特許・論文・受賞歴などの研究成果
- 特別加算:日本の大学卒業・日本語能力・成長分野での経験
学歴によるポイント獲得プラン <学歴別ポイント>
- 博士号(ドクター):30ポイント
- 修士号(マスター):20ポイント
- 大学卒業(バチャレル):10ポイント
- 複数学位:追加で5ポイント
職歴・実務経験によるポイント <職歴年数別ポイント>
- 10年以上:25ポイント
- 7年以上10年未満:20ポイント
- 5年以上7年未満:15ポイント
- 3年以上5年未満:10ポイント
年収によるポイント最大化プラン <年収別ポイント>
- 1000万円以上:50ポイント
- 900万円以上:45ポイント
- 800万円以上:40ポイント
- 700万円以上:35ポイント
- 600万円以上:30ポイント
- 500万円以上:25ポイント
特別加算の活用方法 <主要な特別加算項目>
特別加算を効果的に活用することで、ポイント不足を補うことができます。
- 日本の大学・大学院卒業:10ポイント
- 日本語能力N1:15ポイント
- 成長分野での勤務:10ポイント(IT・AI・バイオ等)
- 先端技術の知識:10ポイント
- 複数の職歴:5ポイント
申請手続きの実践的ガイド
高度専門職ビザの申請は、通常の就労ビザよりも複雑な手続きが必要です。書類の準備から申請まで、段階的に進めることで確実な取得を目指しましょう。
申請前の準備
- Step 1:ポイント計算の確認
- Step 2:必要書類の収集
申請書類の詳細
基本申請書類
- 在留資格認定証明書交付申請書:正確な記入が必要
- 写真:縦4cm×横3cm、3ヶ月以内撮影
- 返信用封筒:簡易書留郵便料金分の切手を貼付
- パスポートのコピー:顔写真・個人情報ページ
ポイント証明書類
- ポイント計算表:各項目の詳細な内訳
- 学歴証明書:卒業証明書・成績証明書(アポスティーユ付き)
- 職歴証明書:在職証明書・職務経歴書
- 収入証明書:雇用契約書・給与明細・源泉徴収票
- 資格証明書:技術資格・日本語検定等の合格証明
高度専門職ビザのメリット活用法
高度専門職ビザを取得することで、通常の就労ビザでは得られない多くの特別な優遇措置を受けることができます。
これらのメリットを最大限活用することで、より充実した日本生活とキャリア形成が可能になります。
在留期間・手続き面でのメリット
在留期間の優遇
- 5年間の在留期間:通常の就労ビザ(1-3年)より長期間
- 更新手続きの簡素化:必要書類の削減・審査期間の短縮
- 永住権取得の短縮:通常10年→3年または1年で申請可能
- 出入国手続きの優遇:空港での特別レーンの利用
就労・活動面でのメリット
就労の自由度向上
- 複合的活動の許可:研究・経営・投資等の複数活動が可能
- 転職の自由度:同一分野内での転職が容易
- 起業活動:一定の条件下で起業・経営活動が可能
- 研究活動:大学での非常勤講師等の活動が可能
家族・生活面でのメリット
家族帯同の優遇
- 配偶者の就労許可:配偶者が制限なく就労可能
- 子どもの教育:日本の教育制度を制限なく利用
- 親の帯同許可:一定の条件下で親の長期滞在が可能
- 家事使用人の雇用:高収入の場合、家事使用人の雇用が可能
永住権取得への優遇措置
永住権取得の条件短縮
- 70ポイント以上:3年間の継続滞在で永住権申請可能
- 80ポイント以上:1年間の継続滞在で永住権申請可能
- 通常の10年条件が大幅短縮:キャリア形成の加速化
- 家族一緒の申請:配偶者・子どもも同時に永住権取得可能
6.ブラジル人エンジニアの成功事例とインタビュー

実際にビザを取得し、日本でエンジニアとして成功を収めたブラジル人の体験談を通じて、具体的なビザ取得プロセスと就労ビザ活用のポイントを紹介します。
異なるビザルートでの成功例から、自分に最適な方法を見つけるヒントが得られるでしょう。
技術・人文知識・国際業務ビザで永住権を取得したケース
プロフィール:カルロス・田中さん(35歳)
- 出身:サンパウロ州、日系3世
- 現職:東京のIT企業でテクニカルディレクター
- ビザ歴:技術・人文知識・国際業務ビザ(8年)→高度専門職1号(3年)→永住者
ビザ取得から永住権までの道のり
来日時は技術・人文知識・国際業務ビザを取得し、ブラジルでの3年間のJavaエンジニア経験とコンピュータサイエンス学士号を活用しました。
8年後、年収750万円への昇進を機に高度専門職1号ビザに変更。高度専門職ビザでの3年在留後、永住権を申請・取得しました。
ビザ申請のポイントをアドバイス
「技術・人文知識・国際業務ビザでは、学歴と職務の関連性を明確に証明することが重要です。高度専門職への変更では、年収だけでなく、技術リーダーシップや日本語能力も重視されます」
高度専門職ビザを活用したキャリアアップ事例
プロフィール:ルイス・山田さん(29歳)
- 出身:ミナスジェライス州
- 現職:外資系IT企業でクラウドアーキテクト
- ビザ歴:留学ビザ(2年)→技術・人文知識・国際業務ビザ(3年)→高度専門職1号
高度専門職ビザ取得への道のり
日本の大学院で情報工学修士号を取得後、クラウドエンジニアとして就職。3年間の実務経験を積んだ後、年収アップ転職と同時に高度専門職ビザを申請しました。
ルイスさんのポイント内訳(申請時105ポイント)
- 学歴:20ポイント(日本の修士号)
- 職歴:10ポイント(3年の実務経験)
- 年収:35ポイント(年収750万円)
- 年齢:15ポイント(29歳)
- 特別加算:25ポイント(日本の大学院卒業10ポイント+日本語N1で15ポイント)
高度専門職ビザのメリットを実感している
「5年間の安定した在留期間により、リスクを取った転職やスキルアップに集中できるようになりました。配偶者の就労制限なしでの呼び寄せも大きなメリットです」
申請時の注意点をアドバイス
「ポイント計算の正確性が最も重要です。特に年収証明では、雇用契約書と給与明細の整合性を確認しました。日本の大学院卒業と日本語N1が決定的な差を生みました」
起業による経営・管理ビザ取得の体験談
プロフィール:アナ・佐藤さん(32歳)
- 出身:リオデジャネイロ州
- 現職:AIスタートアップCEO
- ビザ歴:技術・人文知識・国際業務ビザ(6年)→経営・管理ビザ
起業とビザ変更の経緯
大手SIerでデータサイエンティストとして6年間勤務した後、製造業向けAI予測保全サービスで起業。技術・人文知識・国際業務ビザから経営・管理ビザへ変更しました。
経営・管理ビザ申請のポイント
「資本金800万円で株式会社を設立し、事業計画書では技術的専門性と市場ニーズの合致を詳細に説明しました。ブラジルでの技術経験と日本での実務経験の組み合わせが強みとなりました」
ビザ変更時の困難と対策について
「外国人起業家への理解ある投資家の発掘が最も困難でした。技術力を証明する具体的な実績提示と、顧客企業からの推薦状が決定的でした」
起業を目指すエンジニアへのアドバイス
「経営・管理ビザでは、単なる技術力だけでなく、事業継続性と市場での競争力を証明することが重要です。副業での実績作りから始めることをお勧めします」
7.ブラジル人エンジニアの日本でのビザ取得|成功への道筋

ブラジル人エンジニアが日本で成功するためには、適切なビザ選択と計画的なキャリア形成が不可欠です。
技術力の向上と日本語習得を両立させながら、自分の強みを活かせるポジションを見つけることが重要です。
高度専門職ビザや永住権取得を視野に入れた長期プランを描き、日本とブラジルを結ぶ架け橋となる存在を目指しましょう。一歩一歩着実に進むことで、必ず理想のエンジニアキャリアを実現できます。