フランス人エンジニアが日本で働くためには、適切な就労ビザの取得が必要不可欠です。
観光ビザでの就労は法的に禁止されており、技術・人文知識・国際業務ビザ(技人国ビザ)の取得が一般的です。
この記事では、ビザ申請の要件から手続きの流れ、よくある失敗例まで、実践的な情報を解説します。
- フランス人エンジニアに適した就労ビザの種類と取得要件について
- ビザ申請から来日までの具体的な手続きフローと必要書類について
- 申請失敗を避けるための7つのポイントとよくある質問への解決策について
1.フランス人エンジニアが知っておくべき日本就労ビザの基本

フランス人エンジニアが日本で働くためには、まず日本の就労ビザ制度を正しく理解することが重要です。
観光目的での短期滞在と就労目的での長期滞在では、必要な手続きや法的な扱いが根本的に異なります。
多くのフランス人が「90日以内なら自由に滞在できる」という認識を持っていますが、これは観光や商用訪問に限定された特例であり、報酬を得る活動には適用されません。
フランス人の日本滞在|観光と就労ビザの違い
フランス人が日本に滞在する場合、目的によってビザの扱いが大きく異なります。
観光や短期出張であれば90日以内の滞在はビザ不要ですが、就労目的の場合は期間に関係なく必ず就労ビザが必要になります。
フランスはシェンゲン協定加盟国であると同時に、日本とのビザ免除協定を結んでいるため、観光・親族訪問・短期商用などの目的であれば90日以内の滞在にビザは不要です。
この措置により、多くのフランス人が日本を訪れることができています。
日本で報酬を得る活動や継続的な業務に従事する場合
滞在期間の長短に関わらず就労ビザの取得が義務付けられています。たとえ1週間の短期プロジェクトであっても、報酬が発生する業務であれば就労ビザが必要です。
観光ビザで働いてはいけない理由
観光ビザ(正確には査証免除による短期滞在)で就労することは、日本の出入国管理法違反にあたる深刻な問題です。
この違反が発覚した場合、即座に強制退去処分となり、今後の日本入国に大きな支障をきたします。
違反が発覚した場合のペナルティ
非常に厳しく、まず不法就労として摘発され、強制送還の対象となります。
さらに、一定期間(通常5年間)の上陸拒否処分を受けるため、その間は観光目的であっても日本への入国ができません。
「短期間だから問題ない」という考えは非常に危険です。日本の入管当局は年々監視を強化しており、SNSでの発信内容や銀行取引記録、税務調査などから不法就労が発覚するケースが増加しています。
IT業界では特に、リモートワークの普及により「日本にいながらフランスの会社の仕事をする」というケースも見られますが、これも日本国内での就労とみなされる可能性があるため注意が必要です。
エンジニアに適した日本の就労ビザはどれか
日本の就労ビザは全部で19種類ありますが、ITエンジニアが取得するビザは主に2つ程度に絞られます。
最も一般的なのが「技術・人文知識・国際業務」ビザ(通称:技人国ビザ)で、大卒エンジニアの約9割がこのビザを取得しています。
「技術・人文知識・国際業務」ビザ
技人国ビザは、理系・文系の専門知識や外国人特有の国際感覚を活かした業務に従事する外国人向けのビザです。
システムエンジニア、プログラマー、データサイエンティスト、プロダクトマネージャーなど、IT業界のほぼ全ての職種がこのビザでカバーされます。
「高度専門職」ビザ
もう1つの選択肢が「高度専門職」ビザです。これは高い専門性と優秀な能力を持つ外国人向けの優遇制度で、ポイント制による審査が行われます。
学歴、職歴、年収、年齢などを点数化し、一定点数以上であれば通常の就労ビザより多くの優遇措置を受けられます。
高度専門職ビザの魅力
在留期間が最長5年間であることや、永住権取得までの期間が短縮されること(最短1年)、配偶者の就労許可、親の帯同許可など、多くのメリットがあることです。
特に経験豊富なシニアエンジニアや管理職レベルのエンジニアにとって魅力的なビザといえるでしょう。
参考:出入国在留管理庁:技術・人文知識・国際業務 :高度専門職
2.技術・人文知識・国際業務ビザ(技人国ビザ)取得マニュアル

技人国ビザは、フランス人エンジニアが最も多く取得する就労ビザです。このビザの取得には厳格な要件があり、書類の準備から申請まで綿密な計画が必要です。
技術・人文知識・国際業務という名称が示すとおり、専門的な技術知識、文系の専門知識、または外国人特有の国際感覚を活かした業務に従事することが前提となります。
技人国ビザを取得するために必要な6つの条件
技人国ビザを確実に取得するためには、以下の6つの条件を全て満たす必要があります。
どれか1つでも欠けていると不許可になる可能性が高いため、事前に十分な確認が必要です。
<技人国ビザ取得の6つの必須条件>
- 条件1:あなたの経歴(学歴または職歴要件)
- 条件2:大学で学んだことと仕事内容の関係性
- 条件3:企業からの内定・契約の取得
- 条件4:会社の経営状況と外国人雇用実績
- 条件5:その仕事が本当に必要かどうか・十分な仕事量
- 条件6:日本人と同じかそれ以上のお給料
これらの条件は相互に関連しており、例えば学歴要件を満たしていても、専攻分野と職務内容に関連性がなければ不許可となります。
また、個人の条件を満たしていても、受入企業の経営状況に問題があれば同様に不許可となる可能性があります。
出入国在留管理局では「外国人本人」と「受入企業」の両方を審査対象としているため、個人と企業の双方が要件を満たしている必要があります。
企業側の協力も不可欠であることを理解しておきましょう。
フランスの大学卒業者がクリアすべき学歴の条件
学歴要件では、フランスまたは海外の大学・短大を卒業し、日本の短期大学士相当以上の学位を取得している必要があります。
フランスの教育制度は日本と異なるため、学位の対応関係を正確に理解することが重要です。
フランスの高等教育制度
バカロレア取得後に大学やグランゼコールに進学します。
一般的に、学士号(Licence)は日本の学士相当、修士号(Master)は日本の修士相当として認められます。
ただし、一部の専門課程や職業訓練コースの修了証は学位として認められない場合があります。
卒業証書と成績証明書の準備
卒業証書と成績証明書は必須です。これらの書類はフランス語で発行されるため、日本語または英語への翻訳が必要になります。
翻訳は申請者本人が行っても構いませんが、正確性を期すため専門の翻訳会社に依頼することをおすすめします。
学歴要件を満たさない場合
職歴要件(10年以上の実務経験)で代替できます。この10年には、大学や高校での関連科目の履修期間も含めることができるため、実際の就労経験が10年未満でも要件を満たせる場合があります。
フランスの大学の学位が日本で認められるかどうか不安な場合は、事前に出入国在留管理局に相談することをおすすめします。
また、シラバスやカリキュラムの提出を求められる場合もあるため、母校から取り寄せておくことを検討しましょう。
エンジニアが有利になるビザ取得のポイント
ITエンジニアは他の職種と比較してビザ取得において有利な条件が整っています。
特に情報工学、コンピューターサイエンス、数学、物理学などを専攻した方は、専攻科目と職務内容の関連性を証明しやすく、審査で高く評価されます。
技術系の専攻者にとって最も有利なのは、履修科目と業務内容の明確な関連性です。
プログラミング、データベース設計、システム設計、ネットワーク構築などの科目は、システムエンジニアやプログラマーの業務と直接的に関連するため、関連性の証明が容易です。
有名校出身者は有利な場合がある
フランスには多くの優秀なエンジニア養成機関があります。
エコール・ポリテクニーク、エコール・サントラル、INSA、エピテックなどの有名校出身者は、その実績と専門性が高く評価される傾向にあります。
特別に認められるケース
海外IT資格を保有している場合、学歴要件を満たさなくても特別に認められる場合があります。
ただし、対象となる資格は法務省令で限定されており、フランスで実施される資格は現在対象外となっています。
一方で、国際的に認知されたベンダー資格(Microsoft、Oracle、Ciscoなど)は、専門性の証明として高く評価されます。
文系出身者の可能性
文系出身者でも十分に可能性があります。経済学、経営学、国際関係学などを専攻した方は、IT企業の企画部門、マーケティング部門、海外事業部門などで「人文知識」や「国際業務」として活躍できます。
特にフランス市場への展開を考えている日本企業では、フランス人エンジニアの国際感覚が重宝されます。
3.フランス人エンジニアのビザ申請|失敗しない7つのポイント

ビザ申請の成功は、適切な準備と戦略的なアプローチによって大きく左右されます。
多くのフランス人エンジニアが直面する典型的な問題を事前に把握し、それぞれに対する具体的な対策を講じることで、申請成功率を大幅に向上させることができます。
以下の7つのポイントは、実際の申請経験と入管実務に基づいた実践的なアドバイスです。
ポイント1:学歴・職歴の書類を完璧に準備する
ビザ申請で最も重要なのは書類の完璧な準備です。フランスで発行される書類は全てフランス語のため、正確な翻訳と適切な認証手続きが必要になります。
必須の書類について
卒業証書(Diplôme)と成績証明書(Relevé de notes)は必須書類です。これらはフランスの大学から正式に発行してもらう必要があり、コピーや写真では受け付けられません。
特に成績証明書では、履修した全科目が記載されている詳細版を取得しましょう。
翻訳について
申請者本人が行っても法的に問題ありませんが、専門用語の正確性や法的文書としての体裁を考慮すると、法定翻訳者による翻訳を推奨します。
翻訳文には翻訳者の署名と翻訳証明書の添付が必要です。
<在職証明書の必須記載項目>
職歴で申請する場合は、在職証明書の準備がより複雑になります。証明書には以下の項目が必須です:
- 被雇用者氏名・生年月日・国籍
- 入社日・退職日
- 具体的な職務内容
- 証明書発行者の氏名・役職・署名
- 会社名・所在地・電話番号
過去に勤務した企業が倒産している場合や連絡が取れない場合は、給与明細、同僚の証言書、プロジェクト資料など、代替手段での証明を検討する必要があります。
ポイント2:学歴と仕事内容の関係を強化する
専攻科目と職務内容の関連性は、技人国ビザ審査の核心部分です。大学での履修内容と応募する職種の関連性を明確に証明できれば、審査官に強い印象を与えることができます。
フランスの大学は日本の専門学校と比較して関連性の審査が緩やかに行われる傾向があります。これは大学教育が幅広い基礎知識と応用力の習得を目的としているためです。
関連性を強化するテクニック
成績証明書の活用が効果的です。履修科目の中から職務に関連する科目をピックアップし、それらの科目でどのような知識・技能を習得し、実務でどのように活用するかを具体的に説明します。
プログラミング経験がある場合
大学時代に使用した言語やフレームワーク、開発したプロジェクトについてくわしく記載しましょう。GitHubのポートフォリオやプロジェクト資料があれば、技術力の証明として非常に有効です。
文系出身者の場合
文系出身者の場合は、IT企業での「人文知識」「国際業務」の側面を強調します。
例えば、経済学の知識を活かしたビジネス分析、言語学の知識を活かしたUI/UX設計、国際関係学の知識を活かしたグローバル展開支援などです。
ポイント3:内定をもらってから契約までの正しい流れを知る
就労ビザ申請は「内定取得→ビザ申請→ビザ取得→来日→就労開始」の順序で進みます。「ビザ取得後に内定」ではないことを理解しておきましょう。
就職活動中のビザステータス管理
フランスから就職活動を行う場合は短期滞在ビザ(90日以内)で来日し、内定取得後に一度帰国してビザ申請を行うのが一般的なパターンです。
日本国内で他のビザ(留学ビザなど)から就労ビザに変更する場合は、在留期限内に手続きを完了させる必要があります。
内定通知書と雇用契約書の違い
内定通知書と雇用契約書には重要な違いがあります。
内定通知書は採用の意思表示ですが、雇用契約書は労働条件を具体的に定めた法的文書です。ビザ申請には雇用契約書または同等の内容が記載された労働条件通知書が必要です。
停止条件付き雇用契約
停止条件付き雇用契約は外国人雇用でよく使われる契約形態です。「有効な就労ビザを取得した場合にのみ雇用契約が発効する」という条件を設けることで、企業側のリスクを軽減できます。
この条件があっても、ビザ申請上は正式な雇用契約として扱われます。
ポイント4:給与の交渉と契約条件を理解する
報酬額は「日本人と同等以上」が絶対条件です。これは単に金額の問題ではなく、同じ職務に従事する日本人社員と比較して不当な差別がないことを証明する必要があります。
給与の算定基準
企業の賃金体系に基づいて判断されます。
同じ会社で同じ職種・同じ経験年数の日本人社員がいる場合は、その給与水準が基準となります。新設企業や該当する日本人社員がいない場合は、地域・業界の相場が基準となります。
報酬に含まれるもの・含まれないもの
報酬に含まれるものと含まれないものを正確に理解しましょう。
報酬に含まれるもの | ・基本給 ・賞与 ・各種手当(役職手当、技術手当など) |
報酬に含まれないもの | ・通勤手当 ・住宅手当 ・扶養手当などの実費弁償的なもの |
契約形態
正社員雇用が最も一般的ですが、派遣契約や業務委託契約でも技人国ビザは取得可能です。ただし、派遣や委託の場合は継続性や業務の専門性について、より厳しく審査される傾向があります。
フリーランスとして活動したい場合は、特定の企業との継続的な委託契約が必要です。単発のプロジェクトや複数の小さな案件では、安定性に欠けるとして不許可になる可能性があります。
ポイント5:会社の経営状況をチェックするポイント
受入企業の経営状況は、ビザ審査において非常に重要な要素です。企業が安定的・継続的に外国籍人材を雇用できるかどうかが審査されるためです。
企業規模によって異なる必要書類
企業規模によって必要な提出書類が異なります。
上場企業や大企業(カテゴリ1・2)は簡素化された書類で済みますが、中小企業やベンチャー企業(カテゴリ3・4)は詳細な財務資料の提出が求められます。
新設会社や新規事業部での雇用
新設会社や新規事業部での雇用でも、適切な事業計画書があればビザ取得は可能です。
事業計画書には、事業の具体性、収益性、将来性を明確に示す必要があります。特にIT業界では技術革新が早いため、最新の技術トレンドに基づいた現実的な計画が求められます。
<企業選択時のチェックポイント>
企業選びの際は、以下の点を確認しましょう:
- 過去3年間の財務状況
- 外国人雇用の実績
- 入管法違反の有無
- 事業の将来性と安定性
- 技能実習制度での問題の有無
ポイント6:フランス文化を活かした仕事のアピール方法
フランス人エンジニアの最大の強みは、技術力に加えて国際的な感覚と文化的背景を持っていることです。
この強みを効果的にアピールすることで、他の候補者との差別化を図ることができるでしょう。
国際業務での文化的優位性
フランス語圏(フランス、ベルギー、スイス、カナダ、アフリカ諸国など)への事業展開を考えている企業では、言語能力と文化理解は非常に価値があります。
フランス市場進出を検討している日本企業でのキャリア戦略も効果的です。フランスのIT市場の特徴、消費者の嗜好、規制環境などの知識は、日本企業にとって非常に価値のある情報です。
デザイン感覚やユーザビリティの考え方
もフランスは芸術・デザインの分野で世界をリードしており、この感性をIT分野に活かすことで、より良いユーザーエクスペリエンスを提供できます。
ポイント7:申請タイミングと期間を管理する
ビザ申請のタイミングと期間管理は、成功の重要な要素です。適切なスケジュール管理により、余裕を持って手続きを進めることができます。
<ビザ申請の標準スケジュール>
標準的なスケジュールは以下の通りです:
- 書類準備期間:1-2ヶ月
- COE申請審査期間:1-3ヶ月
- ビザ発給申請期間:5日-2週間
- 来日準備期間:1-2週間
内定から来日までは通常3-6ヶ月程度を見込んでおきましょう。
IT業界は人材の流動性が高いため、企業側も早期の来日を希望する場合が多いですが、十分な準備期間を確保することが成功の秘訣です。
申請のタイミング
申請の最適なタイミングは、全ての書類が完璧に準備できた時点です。書類に不備があると追加提出や再申請が必要になり、大幅な遅延につながります。
緊急時の対応方法も事前に準備しておくことが重要です。さまざまな事態に対応できるよう、余裕のあるスケジュールを組むことが重要です。
4.ビザ申請の手続き|フランスから日本へ来るまでの流れ

フランスから日本への就労ビザ取得は、いくつかの段階を経る複雑なプロセスです。
日本国内での在留資格認定証明書(COE)取得、フランスでのビザ発給申請、そして来日後の各種手続きまで、それぞれの段階で適切な対応が求められます。
全体の流れを理解し、各ステップでの注意点を把握することで、スムーズな手続きを実現できます。
ステップ1:在留資格認定証明書(COE)を会社に申請してもらう
在留資格認定証明書(Certificate of Eligibility、通称COE)の取得は、就労ビザ申請の第一段階です。
この申請は必ず日本国内で行う必要があり、通常は受入企業の担当者が代理で手続きを行います。
申請先 | ・受入企業の所在地を管轄する出入国在留管理局(東京入管、大阪入管、名古屋入管など、全国8箇所の地方出入国在留管理官署で受け付け) ・例外的に、採用責任者や採用担当者が在籍する事務所を管轄する入管でも申請可能 |
審査期間 | ・通常1-3ヶ月程度(申請内容や時期によって変動) ※年度末や新年度開始時期は申請が集中するため、より長い期間を要する場合がある。 ・ITエンジニアの場合、技術系の専門性が明確であるため、比較的スムーズに審査が進む傾向 |
<個人で準備すべき書類>
- 履歴書(日本語または英語)
- 卒業証書の写し(翻訳付き)
- 成績証明書(翻訳付き)
- 職歴証明書(該当する場合、翻訳付き)
- パスポートの写し
- 証明写真(4cm×3cm)
受入企業が準備する書類には、雇用契約書、会社の登記簿謄本、決算書類、雇用理由書などがあります。企業の規模(カテゴリ1-4)によって必要書類が異なるため、事前に確認が重要です。
ステップ2:フランスの日本大使館でビザを申請する
COEが交付されたら、フランスにある日本の外交機関でビザ発給申請を行います。
申請先はお住まいの地域を管轄する大使館または総領事館です。
<フランス国内の日本外交機関>
- 在フランス日本国大使館(パリ):フランス全土をカバー
- 在ストラスブール日本国総領事館:アルザス地方、ロレーヌ地方
- 在マルセイユ日本国総領事館:プロヴァンス地方、コルシカ島
ビザ申請には事前予約が必要です。オンライン予約システムを利用し、必要書類を全て準備してから予約を取りましょう。
予約が取りにくい時期もあるため、COE取得後は速やかに予約を入れることをおすすめします。
<ビザ申請時の必要書類>
- ビザ申請書(オンラインで作成)
- パスポート(有効期間6ヶ月以上)
- COE原本
- 証明写真(4.5cm×4.5cm、背景白)
- 申請手数料(通常無料、国籍により異なる)
審査期間は通常5日-2週間程度です。フランス人の場合、ビザ申請手数料は無料ですが、これは相互主義に基づく措置です。
COEの有効期限は3ヶ月間です。この期間内にビザを取得し、日本に入国しなければCOEは無効になってしまいます。期限管理には十分注意しましょう。
面接対策も忘れずに
簡単な質問(来日目的、勤務予定企業、滞在期間など)に日本語または英語で答えられるよう準備しておきましょう。技術的な専門知識について質問される場合もあります。
ステップ3:日本に到着後の在留カード取得と仕事開始
ビザを取得したら、いよいよ日本への入国です。入国時の手続きと来日後の各種手続きを正しく行うことで、スムーズに日本での生活と仕事を開始できます。
日本の空港での入国審査
パスポートとビザを提示します。入国審査官から簡単な質問(滞在目的、勤務先、滞在予定期間など)がありますが、緊張せずに正直に答えましょう。
在留カードについて
在留カードは入国時に交付されます。成田空港、羽田空港、中部空港、関西空港、新千歳空港、広島空港、福岡空港では、入国審査と同時に在留カードが発行されます。
その他の空港では後日郵送となるため、住所登録が必要です。
<来日後の必須手続き>
来日後14日以内に行うべき手続き:
- 市役所での住民登録
- マイナンバー通知カードの受領
- 銀行口座の開設
- 携帯電話の契約
- 住居の確保・契約
就労開始日は在留カード取得日以降となります。会社との調整により、入国から数日後に正式に勤務開始となるのが一般的です。
注意したいポイント
住民税、所得税、社会保険など、日本の税制・社会保障制度についても理解しておきましょう。
会社の人事部門からオリエンテーションがある場合が多いですが、事前に基本的な知識を身につけておくとスムーズです。
在留カードは常時携帯が義務付けられています。紛失や盗難に遭った場合は、速やかに最寄りの入管に再発行申請を行ってください。
5.ビザ申請で失敗しない!よくある不許可理由と対策法

ビザ申請の不許可は、申請者にとって大きな挫折となり、その後のキャリア計画にも大きな影響を与えます。
しかし、不許可の多くは事前の準備不足や認識不足によるものであり、適切な対策を講じることで回避可能です。
過去の申請事例を分析すると、典型的な失敗パターンが明確に見えてきます。これらを理解し、事前に対策を講じることが成功への近道です。
学歴・職歴関連で不許可になるパターンと対策
学歴・職歴関連の不許可は、技人国ビザ申請で最も多い失敗原因の1つです。
特にフランスの教育制度は日本と異なるため、学位の対応関係や証明書類の準備で問題が生じやすくなっています。
学歴や職歴の情報に不備があるケース
申請書の記載内容と提出書類の内容が一致しない場合があります。
例えば、履歴書には「コンピューターサイエンス専攻」と記載しているにも関わらず、成績証明書では「情報学科」となっている場合、整合性を疑われる可能性があります。
フランスの大学の学位が日本の基準で認められない場合
特に職業訓練系の課程や専門学校レベルの教育機関の修了証は、大学学位として認められない可能性があります。事前に文部科学省の「外国の大学等一覧」で確認するか、大学評価・学位授与機構に相談することをおすすめします。
職歴10年要件を満たしていない場合の対処法
教育期間の加算を活用しましょう。大学や大学院での関連科目の履修期間、職業訓練期間、インターンシップ期間なども実務経験に含めることができます。ただし、これらの期間を証明する公的な書類が必要です。
<学歴・職歴証明の対策>
- 全ての証明書類の原本を取得
- 翻訳の正確性を専門家に確認
- 履歴書と証明書類の記載内容を統一
- 不明な点は事前に入管に相談
- 追加の説明書類を準備
大学で学んだことと仕事内容の関係が薄くて不許可になる場合
専攻科目と職務内容の関連性不足は、特に文系出身者がエンジニア職に就く場合に問題となりやすい要因です。しかし、適切な説明と補強資料があれば、この問題は克服可能です。
文系出身者がエンジニア職に就く場合の注意点
数学、統計学、論理学などの基礎科目の履修歴を強調することが重要です。これらの科目はプログラミングやシステム設計の基礎となるため、関連性の証明に有効です。
専攻科目と全く関係ない職種への応募は確実に不許可となります。
例えば、文学専攻者がネットワークエンジニアになる場合、直接的な関連性を見つけるのは困難です。
このような場合は、IT関連の資格取得、オンライン講座の修了証明、個人プロジェクトの実績などで技術力を補強する必要があります。
<関連性強化のための追加資料>
関連性が不十分な場合の対策として、以下の方法が有効です:
- プログラミング関連科目の履修証明
- IT資格の取得証明書
- 個人プロジェクトのポートフォリオ
- オンライン学習の修了証
- 技術ブログやGitHubアカウント
- インターンシップや関連業務の経験証明
フランスでの教育歴と日本での職務の関連性説明書も準備しましょう。
「なぜその専攻を選んだのか」「どのような知識・技能を習得したのか」「それを日本の職務でどう活かすのか」を論理的に説明した文書があると、審査官の理解が深まります。
書類準備・提出でよくあるミス
書類準備・提出段階でのミスは、十分な準備をしていても起こりがちな問題です。特に海外からの申請では、書類の様式や手続きの違いでトラブルが発生しやすくなります。
翻訳文書の不備や公証手続きの漏れ
フランス語の書類を日本語に翻訳する際、専門用語の訳語統一、固有名詞の表記統一、日付表記の統一などに注意が必要です。
また、重要な書類については、フランスの公証人による認証や、在仏日本領事館での領事認証が必要な場合もあります。
提出期限の管理ミスと期限切れ
COEの有効期限(3ヶ月)を過ぎてしまうと、最初からやり直しになってしまいます。
フランスから日本への郵送には1-2週間かかることも考慮し、余裕をもったスケジュール管理が重要です。
追加書類の要求への対応遅れ
入管から追加書類の提出を求められた場合、通常2週間から1ヶ月程度の期限が設定されます。フランスから書類を取り寄せる時間も考慮し、可能な限り早い対応を心がけましょう。
<書類管理のベストプラクティス>
- 全ての書類のコピーとスキャンデータを保管
- 提出前に第三者による書類チェック
- 期限管理表の作成と定期的な確認
- 緊急時の連絡体制整備
- 予備書類の事前準備
電子申請システムの活用も検討しましょう。
2023年より一部の申請でオンライン申請が可能になっており、書類の紛失リスクや郵送時間を削減できます。ただし、原本の提出が必要な書類もあるため、システムの利用条件を事前に確認してください。
6.フランス人エンジニアが活躍できる日本のIT業界の仕事

日本のIT業界は慢性的な人材不足に直面しており、優秀な外国籍エンジニアに対する需要は年々高まっています。
フランス人エンジニアにとって、技術力に加えて言語能力、国際感覚、文化的背景という独自の強みを活かせる職種が数多く存在します。
市場のニーズと自身のスキル・経験を適切にマッチングすることで、理想的なキャリアを築くことができるでしょう。
技術系の仕事で人気が高い職種
技術系職種は技人国ビザの「技術」分野に該当し、フランス人エンジニアが最も多く従事している分野です。理工系の専門知識を活かせる職種が中心となります。
システムエンジニア・プログラマー
最も需要が高い職種です。日本のIT業界では深刻な人材不足が続いており、特に経験豊富な外国籍エンジニアは高く評価されています。
年収相場は350万円〜800万円以上と幅広く、スキルと経験によって大きく左右されます。フランスでの開発経験がある場合、欧州基準の開発手法や品質管理ノウハウが日本企業にとって非常に価値があります。
AIエンジニア・データサイエンティスト
成長分野として注目されています。フランスはAI研究で世界をリードしており、フランスの大学や研究機関での経験は高く評価されます。
機械学習、深層学習、統計解析などの専門知識を持つエンジニアの年収は約500万円〜1200万円と高水準です。
インフラエンジニア・セキュリティエンジニア
将来性の高い職種です。クラウド化、デジタル変革の進展により、インフラ設計・運用、サイバーセキュリティの専門家への需要が急増しています。
特にAWS、Azure、GCPなどのクラウドプラットフォームの専門知識があれば、年収約600万円〜1000万円以上の条件で採用される可能性があります。
ビジネス系の仕事で差別化できる職種
ビジネス系職種は技人国ビザの「人文知識」分野に該当し、文系出身者や技術とビジネスの両方に関心があるエンジニアに適した分野です。
海外事業部での企画・マーケティング職
海外事業部での企画・マーケティング職は非常に魅力的なキャリアパスです。日仏間のIT企業提携、フランス市場への進出、欧州展開戦略の立案などで、フランス人エンジニアの知見が重宝されます。
技術的バックグラウンドを持つマーケティングスペシャリストとして、年収450万円〜900万円の条件で採用される可能性があります。
外資系企業との業務提携・コンサルティング業務
日本企業の海外展開支援、外資系企業の日本進出支援において、技術理解とビジネス感覚を併せ持つフランス人エンジニアは理想的な人材です。
特にSaaS、フィンテック、eコマース分野での需要が高くなっています。
プロダクトマネージャー・ビジネスアナリスト
技術とビジネスの橋渡し役として重要な職種です。
ユーザーニーズの分析、製品企画、開発チームとの調整など、幅広いスキルが求められます。
フランスのUX/UIデザインの知見やユーザー中心設計の考え方は、日本市場でも高く評価されています。
国際業務でフランス人の強みを活かせる職種
国際業務分野は技人国ビザの「国際業務」に該当し、フランス人特有の文化的背景や国際感覚を最大限に活かせる分野です。
フランス市場向けサービスの企画・開発
フランス人エンジニアにとって理想的な職種です。日本のIT企業がフランス・欧州市場に進出する際、現地の文化、規制、消費者行動を理解した人材は不可欠です。
ゲーム、アプリ、Webサービスのローカライゼーションにおいて、技術面と文化面の両方をカバーできる人材は希少価値があります。
多言語対応システムの設計・運用
需要が高い分野です。国際化(i18n)、ローカライゼーション(L10n)の技術的実装に加え、フランス語圏での使用感や文化的適切性を判断できるエンジニアは、グローバル展開を目指す企業にとって貴重な存在です。
グローバルチームでのブリッジエンジニア的な役割
日本の開発チームと海外チーム(特に欧州)との架け橋として、技術的な調整、プロジェクト管理、文化的な橋渡しを行います。
リモートワークの普及により、このような役割の重要性はますます高まっています。
フランス語教育関連のEdTech
語学学習アプリ、オンライン教育プラットフォーム、AI による言語学習支援システムなどの開発において、フランス語のネイティブスピーカーかつエンジニアという組み合わせは極めて貴重です。
7.最新:高度専門職ビザとその他の選択肢

日本政府は優秀な外国籍人材の確保を国家戦略として位置づけており、現在、従来の就労ビザに加えてさまざまな優遇制度や新しい選択肢が登場しています。
特にIT分野では、デジタル庁の設立を機に大幅な制度改善が進んでおり、フランス人エンジニアにとって追い風となる環境が整いつつあります。
高度専門職ビザで受けられる特別な待遇
高度専門職ビザは、高い専門性を持つ外国籍人材を対象とした優遇制度です。ポイント制による客観的な評価により、通常の就労ビザでは得られない多くの特典が付与されます。
ポイント制で審査が有利になる仕組み
学歴(最大30点)、職歴(最大25点)、年収(最大50点)、年齢(最大15点)、その他(最大25点)の合計で70点以上が必要です。
フランスの有名大学卒業者、博士号取得者、多国籍企業での経験者は高得点を獲得しやすくなっています。
IT分野で高度専門職として認められる基準は比較的明確です。修士号以上の学位、5年以上の実務経験、年収400万円以上(年齢により変動)があれば、70点到達の可能性が高くなります。
特にAI、機械学習、データサイエンス、サイバーセキュリティなどの先端分野では、専門性加点により有利になります。
永住権申請へのメリット
永住権取得期間が短縮されるメリットは非常に大きく、通常10年が必要な永住権申請が、高度専門職1号では3年、高度専門職2号では1年で可能になります。
これにより、長期的な日本定住計画を立てやすくなります。
<高度専門職ビザの特典>
その他の優遇措置も充実しています:
- 在留期間の長期化(最長5年)
- 配偶者の就労許可
- 一定条件下での親の帯同許可
- 家事使用人の帯同許可
- 再入国許可の有効期間延長
- 永住許可要件の緩和
デジタル庁の新設でIT人材のビザ取得が簡単に
2021年のデジタル庁設立により、IT人材に対するビザ制度の改善が進んでいます。DX推進の国家戦略の一環として、優秀なIT人材の受入促進が政策の重点項目となっています。
IT人材ビザの優遇措置
DX推進でIT人材ビザに特別な優遇措置が導入されています。特に、AI、IoT、ブロックチェーン、クラウドなどの先端技術分野では、審査の迅速化や要件の一部緩和が実施されています。
スタートアップ企業でのエンジニア採用においても、従来より柔軟な審査が行われるようになりました。
オンライン申請
オンライン申請システムの活用方法も大幅に改善されています。2023年から本格運用が開始された「出入国在留管理庁電子届出システム」により、一部の申請がオンラインで完結できるようになりました。
書類の電子化、申請状況のリアルタイム確認、審査結果の電子通知など、利便性が大幅に向上しています。
審査機関に関する最新動向
審査期間が短くなる最新動向として、IT分野の技人国ビザ申請では、従来の1-3ヶ月から2-6週間程度に短縮される傾向があります。
特に大手IT企業や政府認定のスタートアップからの申請では、優先的な審査が行われています。
参考:経済産業省:産業界のDX
8.すでに日本で働くフランス人エンジニアの転職時ビザ手続き

日本で既に働いているフランス人エンジニアにとって、転職は新たなキャリアステップを踏む絶好の機会です。
しかし、転職時には在留資格に関する適切な手続きが必要であり、これを怠ると法的な問題に発展する可能性があります。
転職の成功とビザ手続きの適正性を両立させるためには、事前の準備と正確な知識が不可欠です。
転職時に必要なビザ手続きの種類
すでに日本で働いているフランス人エンジニアが転職する場合、現在の在留資格と転職先の業務内容によって必要な手続きが異なります。適切な判断と迅速な対応が、転職成功の鍵となります。
在留資格変更許可申請が必要なケース
現在の在留資格と転職先の業務内容が異なる場合に必要です。
例えば、技人国ビザで翻訳業務に従事していた方がシステム開発職に転職する場合、業務内容の大幅な変更により変更申請が必要になる可能性があります。
届出のみで済むケースの判断基準
同一の在留資格内での業務範囲内の転職です。
技人国ビザでシステムエンジニアからプログラマーに転職する場合、どちらも「技術」分野の業務であるため、所属機関等に関する届出書の提出のみで足ります。
<手続き判断のチェックポイント>
転職先の業務内容による手続きの違いを正確に判断するためには、以下の点を確認しましょう:
- 現在の業務と転職先業務の在留資格該当性
- 学歴・職歴と新業務の関連性
- 給与水準の変化
- 雇用形態の変更(正社員→派遣等)
- 勤務地の変更
転職活動中のビザステータス管理
転職活動中のビザ管理は、法的リスクを避けるために極めて重要です。不適切な管理により、在留資格の取り消しや更新拒否のリスクが発生する可能性があります。
退職から転職までの期間制限
技人国ビザでは「継続して3ヶ月以上当該在留資格に係る活動を行わないで在留していること」が在留資格取消事由となります。
つまり、退職後3ヶ月以内に新しい職に就くか、転職活動中であることを証明する必要があります。
<転職活動中の維持方法>
転職活動期間中の在留資格維持方法として、以下の対応が重要です:
- 求職活動の記録保持(応募書類、面接記録等)
- ハローワークへの求職登録
- 転職エージェントとの契約書保管
- 転職活動状況の定期的な記録
- 必要に応じて出入国在留管理局への相談
失業期間が長引いた場合
3ヶ月を超える失業状態が続く場合、在留資格取消手続きの対象となる可能性があります。
この場合、「正当な理由」があることを証明する必要があり、積極的な求職活動の証拠、特殊な専門性による求職の困難さなどを疎明する書類の準備が重要になります。
転職でキャリアアップする際の注意点
転職を機にキャリアアップを図る場合、ビザ要件との整合性を保ちながら進めることが重要です。適切な準備により、転職とビザ手続きを両立させることができます。
専攻科目との関連性
職種変更時の専攻科目との関連性確認は最重要ポイントです。
例えば、Webデザイナーからデータサイエンティストに転職する場合、大学での数学・統計学の履修歴、関連する追加学習の記録、実務で活用できるスキルの証明などが必要になります。
新しい職種との関連性が薄い場合は、オンライン講座の修了証明、関連資格の取得、個人プロジェクトの実績などで補強しましょう。
給与条件の変更
給与条件の変更がビザに与える影響も重要な考慮事項です。大幅な年収アップは問題ありませんが、年収が下がる場合は「日本人と同等以上の報酬」要件を満たしているか確認が必要です。
特に、管理職からエンジニア職への転職など、職種変更を伴う場合は慎重な検討が必要です。
<転職時のビザ計画>
■転職時の計画的アプローチ
- 現在のポイント計算と転職後の予想ポイント
- 高度専門職ビザ申請のタイミング検討
- 転職先企業での昇進・昇格計画の確認
- 長期的なキャリアパスとビザ取得計画の整合
- 永住権申請を見越した転職先選択
転職先企業の選定では、外国籍人材雇用の実績、ビザ手続きへの理解度、将来的な昇進可能性なども考慮要素となります。
9.フランス人エンジニアのビザ申請|よくある質問と解決策

フランス人エンジニアから寄せられる質問の多くは、実は共通する不安や疑問に基づいています。
これらの質問に対する正確な回答を事前に把握しておくことで、ビザ申請プロセスでの迷いや不安を大幅に軽減できるでしょう。
以下では、特に多く寄せられる質問を3つのカテゴリーに分けて、具体的な解決策とともに紹介します。
学歴・職歴に関するよくある質問
Q:フランスの専門学校卒業でもビザは取れますか?
フランスの専門学校(École professionnelle)卒業の場合、日本の短期大学士相当以上の学位として認められるかどうかが重要です。
一般的に、2年以上の課程で国家資格(Diplôme d’État)や職業資格(Certificat professionnel)を取得している場合は認められる可能性があります。ただし、職業訓練センター(Centre de formation)の修了証は学位として認められない場合が多いため、事前に出入国在留管理局への相談をおすすめします。
学位として認められない場合
10年以上の実務経験による申請を検討しましょう。
この場合、大学や高校での関連科目の履修期間も実務経験に加算できるため、実際の就労経験が10年未満でも要件を満たせる可能性があります。
Q:大学で文系を専攻していてもエンジニアになれますか?
文系専攻者でもエンジニア職に就くことは可能ですが、専攻科目と職務内容の関連性を証明する必要があります。
数学、統計学、論理学、情報処理などの科目を履修している場合は、これらを強調しましょう。
<文系からエンジニアへの転向対策>
関連性が不十分な場合の対策として、以下の方法が有効です:
- IT関連の資格取得(基本情報技術者など)
- オンライン学習プラットフォームでの学習証明
- プログラミングスクールの修了証
- 個人プロジェクトのポートフォリオ作成
- インターンシップやアルバイトでの実務経験
Q:職歴が短い場合はどうすればよいですか?
実務経験が不足している場合、以下の期間を職歴に加算できます:
- 大学・大学院での関連科目履修期間
- 職業訓練やインターンシップ期間
- フリーランスや個人事業での実務期間
- オープンソースプロジェクトへの貢献
これらの期間を証明する書類(成績証明書、修了証、契約書、プロジェクト資料など)を準備することが重要です。
申請手続きに関するよくある質問
Q:ビザ申請にはどれくらいの期間がかかりますか?
<ビザ申請の期間目安>
標準的な申請期間は以下の通りです:
- 書類準備:1-2ヶ月
- COE申請審査:1-3ヶ月
- ビザ発給申請:5日-2週間
- 合計:3-6ヶ月程度
ただし、書類不備などいくつかの要因により期間が延長される場合があります。
Q:申請中に日本に滞在することはできますか?
COE申請中は、申請者は海外で待機する必要があります。
ただし、観光目的での短期滞在(90日以内)は可能です。既に日本にいる場合(他のビザで滞在中)は、在留期限内であれば滞在を継続できます。
申請中の注意点:
- 観光ビザで就労活動は禁止
- 面接や企業訪問は可能
- 住民登録や銀行口座開設は不可
Q:一度不許可になった場合、再申請は可能ですか?
不許可になった場合でも再申請は可能です。ただし、不許可理由を正確に把握し、問題点を解決してから再申請することが重要です。
再申請の成功ポイント:
- 不許可理由通知書の詳細な分析
- 問題点の具体的な改善
- 追加書類による補強
- 専門家(行政書士)への相談
通常、再申請には3-6ヶ月程度の準備期間を要します。同じ内容での即座の再申請は成功率が低いため、十分な対策を立ててから行いましょう。
働き始めてからのよくある質問
Q:ビザの更新はいつから申請できますか?
在留期間の更新申請は、在留期限の3ヶ月前から受け付けています。初回更新の場合は、以下の点に注意が必要です。
<初回更新時の注意点>
- 雇用契約の継続性の証明
- 給与支払い実績の提示
- 所得税・住民税の納税証明
- 社会保険の加入状況
- 出勤状況や業務実績
更新審査では、当初のビザ申請時の条件が維持されているかが重視されます。転職や昇進により条件が変わった場合は、変更届の提出も必要です。
Q:副業やフリーランスの仕事はできますか?
技人国ビザでの副業は、「資格外活動許可」を取得すれば可能です。ただし、以下の制限があります。
- 本業に支障をきたさない範囲
- 週28時間以内(本業を含む総労働時間ではない)
- 風俗関連業務は禁止
- 単純労働(コンビニバイトなど)は原則禁止
IT関連の副業(プログラミング、Webデザイン、コンサルティングなど)は比較的許可されやすい傾向があります。
Q:家族を日本に呼び寄せることはできますか?
配偶者と未成年の子どもは「家族滞在」ビザで呼び寄せ可能です。
<家族呼び寄せの条件>
- 安定した収入(目安:扶養家族1人につき年収300万円以上)
- 適切な住居の確保
- 扶養能力の証明
- 戸籍謄本等の家族関係証明書
配偶者は「資格外活動許可」を取得することで、週28時間以内のアルバイトが可能になります。子どもの教育については、日本の公立学校への入学、インターナショナルスクール、フランス人学校などの選択肢があります。
家族滞在ビザの申請は、主たる申請者(あなた)のビザが安定してから行うのが一般的です。来日後6ヶ月程度の実績を積んでから申請することをおすすめします。
10.就労ビザについて知り日本でフランス人エンジニアとして活躍する

フランス人エンジニアとして日本で働くことは、適切な準備と正確な情報があれば十分に実現可能です。
技人国ビザの6つの要件を満たし、書類準備から申請まで計画的に進めることが成功の鍵となります。
転職時の手続きや家族の呼び寄せなど、長期的なキャリア形成も視野に入れながら、日本でのエンジニア人生を充実させていきましょう。