「社内SE やめとけ」と検索すると、ネガティブな情報が溢れています。
スキルアップが難しい、何でも屋になる、年収が上がらない——こうした警告を目にして転職を躊躇するエンジニアは少なくありません。
しかし実は、社内SEという職種自体に問題があるのではなく、「どの企業で働くか」によって天国にも地獄にもなり得るのです。
この記事では、厚生労働省の公的データを基に、「やめとけ」と言われる理由と後悔しない企業選びのポイントを解説します。
- 社内SEが「やめとけ」と言われる7つの構造的理由と公的データで見る実態について
- ワークライフバランスやDX推進など、データで裏付けられた社内SEのメリットについて
- 後悔しない企業選びの5つのポイントと面接で確認すべき10の質問について
1. 社内SEが「やめとけ」と言われる7つの理由

社内SEへの「やめとけ」という警告は、職種が抱える構造的な問題に起因しています。
ここでは、エンジニアのキャリアに直接影響する7つの理由を、公的データを基に解説します。
理由1:スキルアップが難しく市場価値が下がるリスクがある
最新技術に触れる機会が限定される構造的な問題
社内SEの業務環境では、最新技術への接触機会が制限されやすい傾向があります。既存システムの保守運用が中心となるため、レガシーシステムとの付き合いが長期化します。
多くの企業では10年以上前のシステムが現役で稼働しており、古いバージョンの言語での作業が常態化しています。
また、新規技術の導入には複数部門の承認が必要で、決裁プロセスが極めて長くなります。
安定稼働を最優先する企業文化では「枯れた技術」が選好され、エンジニアのチャレンジ精神が抑制される環境となります。
社内固有のスキルに依存してしまう危険性
社内SEは特定企業のシステムに深く最適化される過程で、転職市場で評価されにくいスキルに偏る危険性があります。
特定ERPシステムの社内カスタマイズや、汎用性の低い独自ツールの開発スキルは、当該企業内では評価されますが、他社転職時には「その会社でしか使えないスキル」と見なされます。
数年後に転職を検討した際、ポートフォリオに記載できる汎用的な成果が乏しく、市場での競争力を失うリスクが高まります。
厚労省データで見る社内SEの実態
厚生労働省の職業情報提供サイト「job tag」によれば、システムエンジニア(基盤システム)の平均年収は752.6万円です。
この数値は全職種平均と比較すれば高水準ですが、IT業界内では中位に留まります。
(出典:厚生労働省 職業情報提供サイト job tag「システムエンジニア(基盤システム)」)
理由2:「何でも屋」になり専門性を失う可能性がある
業務範囲の広さが専門性を阻害する
社内SEの業務範囲は、開発・保守・運用・ヘルプデスク・キッティングまで多岐にわたります。特に中小企業では、これら全てを少人数で担当する状況が一般的です。
このマルチタスク環境は、個々の領域における専門性が「広く浅く」の状態に留まり、特定分野のスペシャリストとして市場価値を高めることが困難になります。
転職市場では専門性の深さが重視されるため、ジェネラリスト的なキャリアは不利に働く場合が多くなります。
「ひとり情シス」問題の深刻な実態
企業のIT部門が実質的に1人のエンジニアで運営されている「ひとり情シス」の状態は、社内SEにとって最も深刻な問題の一つです。
「ひとり情シス」の環境では、システム障害時の責任が個人に集中しやすく、法的責任の所在が曖昧なまま過度な心理的・実務的負担を負うリスクがあります。
相談相手がいないため、問題解決を全て一人で行わなければならず、精神的な孤独感とバーンアウトのリスクが高まります。
理由3:ヘルプデスク対応で本来業務が中断される
庶務的業務の実態と時間的コスト
PCの起動トラブル、パスワードのリセット、プリンターの接続エラーなど、技術的には単純だが頻繁に発生する問い合わせ対応が、エンジニアの1日を細切れにしていきます。
これらは1件あたり5〜15分程度ですが、1日に10〜20件発生すると、合計で2〜3時間もの時間が奪われます。
しかも予測不可能なタイミングで発生するため、計画的な開発時間の確保が極めて困難になります。
エンジニアのフロー状態を阻害する心理的コスト
プログラミングや設計作業で最も生産性を発揮するのは「フロー状態」と呼ばれる深い集中状態ですが、フロー状態に入るまでには15〜30分程度の助走時間が必要です。
ヘルプデスク対応による業務中断は、このフロー状態を破壊します。一度中断されると、再び同じレベルの集中状態に戻るまでに同様の時間が必要となり、実質的な生産性は大幅に低下します。
この継続的な中断によるストレスは、職務満足度の低下や離職意向の高まりに直結します。
理由4:社内の他部署との調整業務がストレスになる
非IT部門からの理解が得られにくい現実
社内SEが直面する大きなストレス源の一つが、非IT部門とのコミュニケーションギャップです。「このボタン一つ追加するだけでしょ?」といった、技術的実現性を無視した要望が日常的に寄せられます。
技術的制約を丁寧に説明しても理解を得られず、「IT部門は非協力的」というレッテルを貼られることも少なくありません。
また、社内のリソースは「タダ」と認識されがちで、適正な工数を主張しても理解されにくい構造的な問題があります。
技術的実現性とビジネス要望の板挟み
社内SEは、経営層からの過度な期待と現場の無理な要求との間で、常に板挟みの状態に置かれます。経営層は「DX推進」を掲げるものの、必要な予算やリソースの確保には消極的です。
優先順位調整は、技術的判断だけでなく、部門間の政治的バランスや人間関係を考慮した高度な調整力を要します。
どれだけ丁寧に調整しても、要望が通らなかった部署からは不満を持たれ、社内での立場が悪化するリスクがあります。
必要とされるスキルセットの変化
このような環境では、エンジニアとしての技術力よりも、コミュニケーション能力や調整力が過度に重視される傾向が生まれます。
本来技術を磨きたいと考えていた人材が、実際には会議や調整業務に時間の大半を費やす状況に置かれ、エンジニアとしてのアイデンティティが揺らぐケースが多くなります。
理由5:成果が見えづらく評価されにくい
コストセンターとしての構造的な立場
社内SEが所属するIT部門は、多くの企業で「コストセンター」と位置づけられています。
直接的に売上を生み出す部門ではなく、他部門を支援するための「コスト」として認識されるため、IT投資は「いかに削減するか」という視点で見られやすくなります。
「動いて当たり前」のシステムへの無理解
社内SEの仕事の大部分は、システムが「正常に動き続ける」ための予防保守や監視業務です。しかし、この「何も起きない状態」を維持する努力は、多くの場合評価されません。
システム障害が発生すれば強く叱責されますが、障害をゼロに抑えても「当然のこと」として受け止められます。
つまり、成功しても評価されず、失敗すれば責任を問われるという非対称な評価構造に置かれています。定量的な成果指標を設定することも難しく、この評価の難しさが昇給や昇進における不利に繋がりやすくなります。
理由6:年収が上がりにくい構造的な問題がある
公的データで見る社内SEの年収実態
前述の通り、厚生労働省のjob tagによれば、システムエンジニア(基盤システム)の平均年収は752.6万円です。
特に、非IT企業の社内SEの場合、給与テーブルが全社共通の事務職ベースで設定されているケースが多く、技術職としての専門性が給与に反映されにくい構造があります。
(出典:厚生労働省 職業情報提供サイト job tag「システムエンジニア(基盤システム)」)
給与テーブルの上限が低い企業の実態
非IT企業では、IT部門に対する給与体系が十分に整備されていない場合が多く、昇給のペースは緩やかで、給与の上限も低く設定されています。
さらに深刻なのは、一定の年齢や役職に達すると、技術職からマネジメント職への転換を強制される企業文化です。
技術を極めたいエンジニアにとって、管理職にならなければ年収が頭打ちになる構造は、大きなキャリアの制約となります。
理由7:キャリアパスが限定され転職が難しくなる
社内固有プロセスへの最適化リスク
社内SEとして長く働くほど、その企業独自のワークフローや承認プロセス、特定ベンダーの製品知識に深く最適化されていきます。これは社内での評価を高める一方で、転職市場における汎用性を失わせます。
再転職時の市場評価の実態
社内SEからの転職で最も困難なのは、成果を可視化したポートフォリオの作成です。
Web開発やアプリ開発のエンジニアであれば、GitHubでのコード公開や個人プロジェクトの実績を示せますが、社内SEは機密性の高い業務が中心のため、外部に公開できる成果物が少なくなります。
職務経歴書に記載する内容も「社内システムの保守運用」「ヘルプデスク対応」といった、技術的な深さを示しにくい業務が中心となりがちです。
面接では「社内調整ばかりでコードを書いていないのでは?」という懸念を持たれやすく、技術力の証明に苦労するケースが多くなります。
2. データで見る社内SEの実態と意外なメリット
社内SE リアルとメリット
前章では社内SEの構造的な問題点を詳述しましたが、それが全てではありません。
客観的なデータに基づけば、社内SEには見過ごせない明確なメリットが存在します。ここでは、公的データを基に、社内SEの実態とポジティブな側面を解説します。
大企業の社内SEは高い満足度を示している
企業規模による満足度の差異
社内SEの職務満足度は企業規模によって大きく異なります。
大企業ではIT投資額が潤沢で、専門的な役割分担が可能なため、「ひとり情シス」のような過重負担が発生しにくくなります。
満足の理由として多く挙げられるのは「直接感謝される」という点です。
SIerやSESとして客先で働く場合、システムの利用者と直接コミュニケーションを取る機会は限定的ですが、社内SEは社内の同僚から直接「ありがとう」と言われる場面が多くあります。
この「顔の見える関係性」は、エンジニアとしてのやりがいに直結します。
自分の作ったシステムや解決した問題が、目の前の人の業務改善に繋がる実感を得られることは、大きなモチベーション要因となります。
つまり、社内SEという職種そのものが問題なのではなく、どの規模・どの業種の企業を選ぶかによって、労働環境と満足度が大きく変わるのです。
ワークライフバランスは確実に改善される
社内SEの平均残業時間
厚生労働省の職業情報提供サイト「job tag」のデータによれば、システムエンジニア(基盤システム)の労働環境は、プロジェクト型の開発エンジニアと比較して安定している傾向があります。
社内SEの月間平均残業時間は約10〜30時間程度とされています。これは、SIerの30〜50時間、SESの40〜60時間と比較して明らかに少なくなっています。
この差の背景には、社内SEには「納期に追われるプロジェクト」が少ないという構造的な理由があります。
SIerやSESでは顧客との契約で厳格な納期が設定され、その達成のために長時間労働が常態化しやすい一方、社内SEは社内調整により柔軟なスケジュール設定が可能です。
客先常駐からの解放がもたらす効果
SESエンジニアの多くが経験する「客先常駐」のストレスから解放されることも、社内SEの大きなメリットです。
毎日同じオフィスに通勤でき、顔見知りの同僚と働ける環境は、精神的な安定性をもたらします。
リモートワーク実施率の実態
社内SEは比較的リモートワークを導入しやすい職種です。セキュリティ要件を満たせば、自宅からでも社内システムへのアクセスや監視業務が可能なためです。
多くの企業で週2〜3日のリモートワークやフレックスタイム制度が導入されており、柔軟な働き方の実現度は高くなっています。
DX推進で社内SEの役割が戦略的に変化している
企業のデジタル変革における重要性
経済産業省が警告する「2025年の崖」問題により、多くの企業が基幹システムの刷新とDX推進を急務としています。
この流れの中で、社内SEはコストを削減する対象ではなく、企業の競争力を高めるための戦略的投資の対象として再評価されつつあります。
最新の調査では、情報システム部門の8割近くが生成AIの導入・活用に関与しているというデータもあり、社内SEはもはやコストを削減する対象ではなく、企業の競争力を高めるための戦略的投資の対象として再評価されています。
生成AIやクラウド技術の導入において、技術的な専門知識とビジネス理解の両方を持つ社内SEが、DX推進の最前線に立つポジションとして注目されています 。
コストセンターからプロフィットセンターへの転換
従来、IT部門は「コストセンター」として認識されてきましたが、デジタル変革のキーパーソンとして、経営戦略への関与度が高まり、単なる技術担当者ではなく、ビジネスパートナーとしての役割を担う機会が増えています。
CTO(最高技術責任者)やCIO(最高情報責任者)といったエグゼクティブポジションへのキャリアパスも、以前より明確になってきています。
自社ビジネスへの貢献実感が得られる
ユーザーが「社内の人間」であることのメリット
社内SEの最大の特徴は、システムの利用者が「同じ会社の仲間」である点です。問題が発生した際も、利用者は「クレーマー」ではなく「一緒に解決する仲間」として接してくれることが多くあります。
システム改善の成果が直接的に評価され、感謝の言葉や社内での認知度向上という形でフィードバックを得られます。
この顔の見える関係性は、エンジニアとしての仕事の意義を実感しやすく、長期的なモチベーション維持に繋がります。
経営層との距離の近さとキャリアの広がり
社内SEは、経営層と直接コミュニケーションを取る機会が多い職種でもあります。IT戦略の立案や予算策定のプロセスで、経営会議に参加したり、役員に直接プレゼンテーションを行ったりする場面があります。
この経験は、技術とビジネスの両面を理解する貴重な機会となり、将来的にITコンサルタントや経営企画職へのキャリアチェンジの道を開きます。
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3. 社内SEに向いている人・向いていない人の特徴

社内SEという職種の適性は、技術力の高さだけでは測れません。むしろ、仕事に対する価値観やキャリア目標、性格的な特性が成否を大きく左右します。
ここでは、社内SEに向いている人と向いていない人の特徴を具体的に解説します。
社内SEに向いている人の5つの特徴
1. ワークライフバランスを最優先したい人
社内SEに最も適しているのは、技術的なチャレンジよりも、安定した生活リズムと私生活の充実を重視する人です。
家庭との両立、趣味や自己研鑽の時間確保、健康的な生活リズムの維持を優先したい方に適しています。
社内SEは残業時間が比較的少なく、リモートワークやフレックスタイム制度も導入しやすいため、計画的な生活設計が可能です。
2. 幅広い知識と調整力を活かしたい人
社内SEの業務は多岐にわたるため、特定の技術を深く極めるよりも、広範な知識を持ち、それを統合して問題解決する能力が求められます。
マルチタスクへの適性、部門間の橋渡し役、プロジェクトマネジメント能力を発揮できる方に適しています。
3. 特定の事業・業界に深く関わりたい人
社内SEは、自社のビジネスに長期的に関わり続けることができる職種です。
製造業、金融業、医療業界など、特定の業界に深く関わりたい方、業界知識の専門性を構築したい方、ドメインエキスパートとしての価値を高めたい方に適しています。
4. 上流工程やマネジメントにシフトしたい人
コーディング中心のキャリアから、より上流の企画・戦略立案やITガバナンスの構築へとシフトしたい人にとって、社内SEは適切なステップとなります。
ITコンサルタント的な役割、CTO・CIOへのキャリアパス、技術とビジネスの橋渡し役を目指す方に適しています。
5. 長期的に安定した環境を求める人
転職を繰り返すキャリアではなく、一つの企業に腰を据えて長期的に働きたい人にとって、社内SEは安定性の高い選択肢です。
雇用の安定性、転職リスクの回避、企業への帰属意識と信頼関係を重視する方に適しています。
社内SEに向いていない人の5つの特徴
1. 最新技術を常に追い求めたい人
技術的なチャレンジと最先端の開発環境に身を置くことに強い価値を見出す人にとって、社内SEは物足りなさを感じる可能性が高くなります。
新しいフレームワークや言語を次々と習得したい、コードを書くことに最大の喜びを感じる、スタートアップ的な環境で働きたいという方には不向きです。
2. 専門性を極めたいスペシャリスト志向の人
特定の技術領域を深く掘り下げ、その分野のエキスパートとして認められたい人には、社内SEは適していません。
特定言語の第一人者を目指したい、技術コミュニティでの評価を重視する、「広く浅く」のスキルセットに価値を見出せないという方には不向きです。
3. 自分のペースで集中して開発したい人
フロー状態に入って長時間集中し、クリエイティブな問題解決に没頭することを好む人にとって、頻繁な中断が発生する社内SEの環境はストレス源となります。
ヘルプデスクや急な問い合わせによる作業の中断に強いストレスを感じる方には不向きです。
4. 成果を定量的に評価されたい人
自分の仕事の成果が明確な数値として評価され、それが報酬や昇進に直結することを重視する人には、社内SEの評価制度は不満を生みやすくなります。
売上やPV数のような具体的な成果指標で評価されたい、技術試験や資格取得で明確に能力を証明したいという方には不向きです。
5. 社内調整やコミュニケーションが苦手な人
技術的な問題解決には自信があるが、非技術者とのコミュニケーションや部門間の調整業務に強い苦手意識を持つ人は、社内SEの業務に適応できない可能性が高くなります。
プログラミングやシステム設計だけで勝負したい、会議や説明といった対人スキルを求められる業務を避けたいという方には不向きです。
4. 「やめとけ」と言われる社内SEを回避する5つのポイント
優良な社内SE 選定の5基準
社内SEへの転職で後悔しないためには、企業選びの段階で明確な判断基準を持つことが不可欠です。
ここでは、「やめとけ」と言われるような環境を避け、満足度の高い社内SE職に就くための5つの具体的なポイントを解説します。
ポイント1:IT投資に積極的な大企業を選ぶ
企業のDX戦略の確認方法
企業がITをどれだけ重視しているかは、公開されている情報から確認できます。上場企業の有価証券報告書、中期経営計画でのIT投資方針、プレスリリースでのDX取り組みを必ずチェックすべきです。
IT予算と人員体制の見極め方
面接や企業説明会では、売上高に対するIT投資比率(3%以上が望ましい)、IT部門の人員数と増員計画(従業員1000名の企業であれば最低10名以上)、外部ベンダーへの委託比率を確認することが重要です。
IT投資に消極的な企業では、予算不足によるレガシーシステムの放置、人員不足による過重労働、技術的負債の蓄積といった問題が発生しやすくなります。
ポイント2:「ひとり情シス」ではない体制を確認する
健全なIT部門の見分け方
「ひとり情シス」の環境は、過重労働と属人化のリスクが極めて高くなります。
健全なIT部門には、最低でも3名以上(理想的には5名以上)の人員、開発・保守・運用インフラの役割分担の明確化、ドキュメント整備や定期的なナレッジ共有会などの知識共有体制が必要です。
面接で確認すべき質問リスト
面接の逆質問では、「IT部門の組織図を見せていただけますか?」「前任者の退職理由は何ですか?」「休暇取得時のバックアップ体制は?」といった質問を通じて実態を把握すべきです。
これらの質問に対して明確な回答が得られない場合、その企業の社内SE環境には問題がある可能性が高くなります。
ポイント3:社内SEの業務範囲と裁量を面接で明確にする
開発・保守・運用の比率を数値で確認
社内SEの業務内容は企業によって大きく異なります。
面接では、開発・企画に40〜50%、保守・運用に30〜40%、ヘルプデスクに10〜20%という理想的なバランスになっているか、具体的な業務比率を数値で確認することが重要です。
もしヘルプデスクが業務の50%以上を占めるような環境であれば、エンジニアとしての成長機会は著しく制限されます。
ヘルプデスク業務の外注状況
優良な企業では、1次サポートを外部のヘルプデスクサービスに委託し、社内SEは2次サポート以降の高度な対応に専念できる体制を整えています。
1次サポートの外部委託有無、エスカレーションフローの整備状況、社内SEが対応する範囲の明確化を確認すべきです。
戦略立案への関与度
単なるシステムの運用担当ではなく、IT戦略の立案に関与できるかは、キャリア成長の観点で極めて重要です。経営会議への参加機会、IT戦略策定の主導権、予算決定への関与度を確認しましょう。
ポイント4:自社開発比率とベンダーコントロールの実態を把握する
内製化方針の有無と実態
全てのシステム開発を外部ベンダーに丸投げしている企業では、社内SEの技術的スキルは低下する一方です。
直近の開発案件の内製/外注比率(少なくとも30%以上は内製が望ましい)、今後の内製化計画、社内エンジニアの開発スキル維持策を確認すべきです。
ベンダーマネジメントスキルの価値
外部ベンダーとの協業が中心の場合でも、適切なベンダーマネジメントができれば、それ自体が高い市場価値を持つスキルとなります。
RFP作成・ベンダー選定能力、プロジェクト管理・品質管理、コスト交渉とリスク管理といったスキルは、ITコンサルタントやプロジェクトマネージャーへの転身において極めて有用です。
ポイント5:キャリアパスと評価制度を事前に確認する
昇進・昇給の基準の明確化
社内SEとして入社した後のキャリアパスや評価制度を、面接段階で明確に確認すべきです。評価制度の詳細、過去3年の昇給実績、技術職の給与上限を質問しましょう。
評価制度が不透明な企業では、どれだけ成果を上げても適切に評価されず、モチベーションの低下に繋がります。
技術職からマネジメント職への道筋
将来的にマネジメント職を目指す場合、そのキャリアパスが明確に示されているかを確認する必要があります。IT部門長への登用実績、CTO/CIOポジションの有無、専門職コースの設定状況を確認しましょう。
社内異動の柔軟性
社内SEとして入社した後、他部門への異動やジョブローテーションの機会があるかも重要なポイントです。
他部門への異動可能性、出向・転籍制度、ジョブローテーション制度があるか確認しましょう。キャリアの選択肢が広い企業ほど、長期的な成長とモチベーション維持が可能になります。
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5. SIer・SES・社内SEの徹底比較

社内SEへの転職を検討する際、SIer(システムインテグレーター)やSES(システムエンジニアリングサービス)との違いを正確に理解することが重要です。
ここでは、働き方、スキルアップ、年収、キャリアパスという4つの観点から、3つの職種を比較します。
働き方と労働環境の違い
勤務地と通勤時間
SIerはプロジェクトによって勤務地が変わり、自社オフィスでの作業もありますが、顧客企業への常駐も頻繁に発生します。
SESは基本的に客先常駐が前提で、契約終了後は別の顧客企業に派遣されます。勤務地の予測が難しく、通勤時間が大幅に変動するリスクがあります。
社内SEは自社オフィス勤務が基本で、毎日同じ場所に通勤でき、生活リズムが安定します。通勤時間の安定性と生活の予測可能性という観点では、社内SEが最も優れています。
残業時間と休日出勤の実態
厚生労働省の職業情報によれば、職種によって労働時間には明確な差異があります。
SIerは月間30〜50時間、SESは40〜60時間、社内SEは10〜30時間という傾向があります。休日出勤についても、SIerとSESはシステムリリースやトラブル対応で発生しやすいのに対し、社内SEは計画的な作業が中心のため頻度は低くなります。
(参考:厚生労働省 職業情報提供サイト job tag )
リモートワークの実現度
SIerは顧客企業のセキュリティポリシーに依存し、金融系や官公庁案件では出社が必須の場合が多くなります。
SESは派遣先企業の方針に完全に依存し、リモートワークの可否は自分では選べません。社内SEは比較的リモートワークを導入しやすく、週2〜3日のハイブリッド勤務を採用している企業が多くあります。
スキルアップと技術的成長の違い
扱う技術スタックの幅と深さ
SIerはプロジェクトごとに多様な技術に触れる機会があり、幅広い経験を積めます。SESは案件依存で、専門性のばらつきが大きくなります。
社内SEは社内システムに特化するため、技術スタックの幅は限定的ですが、特定の技術を深く理解し、長期的に関わることができます。
案件の多様性と学習機会
SIerは新規技術への接触頻度が高く、大規模プロジェクトの経験を積める機会も多くあります。
SESは案件によって学習機会が大きく異なり、スキルアップに繋がらない単純作業に終始するリスクもあります。
社内SEは同じシステムに長期的に関わるため、深い理解は得られますが、新しい刺激は少なくなります。
資格取得支援については、大企業の社内SEでは充実している場合が多く、会社負担で高額な認定資格を取得できる環境もあります。
年収とキャリアパスの違い
年収レンジの比較
厚生労働省のjob tagデータを基準とすると、SIerは550〜650万円、SESは400〜500万円、社内SEは500〜600万円という傾向があります。
大手SIerでは700万円以上も珍しくなく、プロジェクトマネージャーやコンサルタントに昇進すれば800万円〜1000万円も可能です。
昇給スピードと給与の上がり方
20代ではSIerが最も昇給スピードが速く、大手SIerでは新卒入社3年目で500万円を超えるケースも多くあります。
30代ではSIerのPM職で700〜800万円、社内SEの部門長クラスで650〜750万円、SESは500〜600万円が中心です。
40代以降、SIerは管理職ルートが明確で部長職以上で1000万円超も可能、社内SEはCIO・CTO職で800万円〜1000万円、SESは40代でも現場作業が中心となりやすく年収の伸びは鈍化します。
将来的なキャリアの選択肢
SIerはプロジェクトマネージャー、ITコンサルタント、経営企画職への転身など選択肢が豊富です。SESは技術力を活かしてフリーランスエンジニアとして独立する選択肢があります。
社内SEはCIO・CTOといったエグゼクティブポジション、IT部門長、経営企画職への転身などが考えられます。
【比較表】SIer・SES・社内SEの主要項目一覧
| 比較項目 | SIer | SES | 社内SE |
|---|---|---|---|
| 勤務地 | 自社/客先 | 客先常駐 | 自社 |
| 平均残業時間 | 30-50h/月 | 40-60h/月 | 10-30h/月 |
| 平均年収 | 550-650万円 | 400-500万円 | 500-600万円 |
| 技術スタック | 多様 | 案件依存 | 限定的 |
| ワークライフバランス | △ | × | ◎ |
| スキルアップ | ◎ | △ | △ |
| 雇用安定性 | ○ | △ | ◎ |
| リモートワーク | △ | × | ○ |
| キャリアパスの明確さ | ◎ | △ | ○ |
| 転職市場での評価 | ◎ | △ | ○ |
この比較表からわかる通り、それぞれの職種には明確な特徴があり、「どれが絶対的に優れている」とは言えません。自分のキャリア目標と価値観に最も合致する選択肢を選ぶことが重要です。
6. 社内SEへの転職で失敗しないための具体的なアクションプラン
SUCCESS BLUEPRINT
社内SEへの転職を成功させるためには、情報収集から選考対策まで、戦略的なアプローチが必要です。
ここでは、後悔しない転職を実現するための具体的なアクションプランを3つの観点から解説します。
IT業界専門の転職エージェントを活用する
エージェント活用の3つのメリット
転職活動において、IT業界に特化した転職エージェントの活用は極めて有効です。
1. 企業の内部情報の入手
転職エージェントは、求人票には記載されない企業の内部情報を保有しています。
残業実態(求人票では「月平均20時間」でも、実際には繁忙期に60時間を超える企業もある)、離職率と退職理由(IT部門の離職率が高い企業や短期間で前任者が次々と辞めている「地雷案件」を事前に避けられる)、社内の雰囲気と人間関係(IT部門が「何でも屋」として扱われているか、戦略的パートナーとして尊重されているか)といった情報を得られます。
2. 非公開求人へのアクセス
転職エージェントが保有する求人の多くは「非公開求人」です。
大手企業の限定求人、年収700万円以上などの好条件のポジション、競争率の低い案件にアクセスできる可能性が大幅に高まります。
3. 年収交渉のプロフェッショナルサポート
年収交渉は多くの転職者が苦手とするプロセスですが、エージェントを活用すれば、市場相場の把握、交渉戦略の立案、オファー条件の最適化といったプロの交渉力を借りることができます。
面接で必ず確認すべき10の質問
面接の逆質問の時間は、企業の実態を見極める最も重要な機会です。ここでは、社内SEへの転職において必ず確認すべき10の質問を紹介します。
組織・体制に関する質問(3問)
質問1:IT部門の人数と組織構造を教えてください
- 確認ポイント:ひとり情シスリスクの排除
- 理想的な回答:「IT部門は5名で、開発担当2名、インフラ担当2名、ヘルプデスク担当1名という体制です」
質問2:直近3年間のIT投資額と今後の計画を教えてください
- 確認ポイント:企業のIT重視度(売上の3%以上が望ましい)
- 理想的な回答:「昨年は売上の5%をIT投資に充て、今年はDX推進のため7%に増額予定です」
質問3:前任者の退職理由と在籍期間を教えてください
- 確認ポイント:環境の問題点
- 警戒すべき回答:「前任者は1年で退職しました。その前の方も2年でしたね」といった短期離職の繰り返し
業務内容に関する質問(4問)
質問4:社内SEの1日の業務スケジュールを教えてください
- 確認ポイント:業務の具体的なイメージ、計画的な業務が可能か
質問5:ヘルプデスク業務の割合と外注状況を教えてください
- 確認ポイント:雑務比率(20%以下が理想)
- 理想的な回答:「1次サポートは外部に委託、社内SEは技術的な2次対応のみで業務の2割程度」
質問6:直近1年間の開発案件の頻度と規模を教えてください
- 確認ポイント:技術力維持の機会
- 理想的な回答:「昨年は基幹システムの刷新と営業支援ツールの新規開発の2件。今年もAI活用の新規案件を予定」
質問7:使用している技術スタックとバージョンを教えてください
- 確認ポイント:レガシー度合い
- 警戒すべき回答:サポート終了または終了間近の技術スタックの使用
評価・キャリアに関する質問(3問)
質問8:評価制度とキャリアパスを教えてください
- 確認ポイント:成長機会の有無
- 理想的な回答:「年2回の評価で、目標達成度とスキル向上を評価。直近3年で2名が課長職に昇進」
質問9:残業時間と休日出勤の実態を教えてください
- 確認ポイント:ワークライフバランス
- 理想的な回答:「月平均15時間程度。繁忙期でも30時間を超えることはほとんどなく、休日出勤は年に1〜2回程度」
質問10:リモートワークの実施状況を教えてください
- 確認ポイント:働き方の柔軟性
- 理想的な回答:「週2〜3日のリモートワークが可能。フレックスタイム制も導入」
職務経歴書で社内SE向けにアピールすべきスキル
社内SEの選考では、技術力だけでなく、ビジネス理解とコミュニケーション能力が重視されます。職務経歴書では、これらの要素をバランスよくアピールする必要があります。
技術スキルの書き方
社内SEでは、特定の言語に特化した深い専門性よりも、複数の技術領域に対応できる柔軟性が評価されます。
インフラ・ネットワーク・セキュリティ、開発言語の多様性、クラウド・オンプレミス両方の経験をアピールしましょう。
ビジネススキルの書き方
社内SEでは、技術力以上にコミュニケーション能力が重視される場面が多くあります。
部門間調整の成功事例、非技術者への説明能力、ステークホルダーマネジメントの実績を具体的なエピソードで示すべきです。
ビジネス視点での課題解決事例
単に「システムを作った」だけでなく、「ビジネス課題を解決した」という視点でのアピールが重要です。
コスト削減実績(「クラウド化により年間のインフラコストを30%削減、金額で年間500万円」)、業務効率化の成果(「帳票出力の自動化により月間100時間の作業時間を削減」)、ユーザー満足度向上の取り組み(「社内アンケートでシステム満足度を60%から85%に向上」)といった定量的な改善実績をアピールしましょう。
プロジェクトマネジメント経験
社内SEでは、外部ベンダーとの協業やプロジェクト全体の管理能力が求められます。
プロジェクト規模と予算、ベンダー管理の経験、スケジュール・品質・コスト管理の実績をアピールしましょう。これらの経験は、社内SEとして即戦力であることを示す強力なアピールポイントとなります。
7. まとめ:社内SEは「やめとけ」ではなく「企業選び」が重要

社内SEが「やめとけ」と言われる7つの理由は、職種そのものの問題ではなく、企業のIT投資姿勢や体制に起因します。
厚生労働省のデータによれば、大企業の社内SEはワークライフバランスやDX推進における戦略的な役割など、明確なメリットも存在します。
重要なのは、自分のキャリア価値観を明確にし、IT投資に積極的で体制が整った企業を選ぶことです。本記事で紹介した5つのポイントと面接での10の質問を活用し、後悔しない企業選びを実現してください。