システムエンジニアの転職活動において、職務経歴書は書類選考を突破するための最重要書類です。
しかし「技術スキルをどう記載すればいいのか」「プロジェクト実績をどう伝えるべきか」と悩む方は少なくありません。
この記事では、採用担当者が実際に評価するポイントを押さえながら、システムエンジニアの職務経歴書を効果的に作成する5つのステップと、書類選考通過率を高める実践的なテクニックを詳しく解説します。
- システムエンジニアの職務経歴書に必須の記載項目と効果的な書き方について
- プロジェクト実績を数値化して伝える具体的なテクニックについて
- 経験レベル別のアピール戦略と避けるべきNG事項について
1. システムエンジニアの職務経歴書とは|履歴書との違いと重要性

システムエンジニア(SE)とは、情報システムの企画から要件定義、設計、開発、テスト、運用保守まで、幅広い工程に携わる専門職です。
システムエンジニアの転職活動において、職務経歴書は自身の技術力と実務経験を証明する最も重要な書類です。
履歴書が基本的なプロフィールを伝えるのに対し、職務経歴書は専門性の深さとプロジェクトにおける具体的な貢献を示します。
職務経歴書が転職活動で果たす役割
職務経歴書は、履歴書では表現しきれない専門的なスキルと実績を詳細に記載するための書類です。
履歴書が学歴や職歴の概要、保有資格といった基本情報を時系列で整理するのに対し、職務経歴書はプロジェクトの詳細、使用した技術スタック、具体的な成果を深く掘り下げます。
特にシステムエンジニアにとって、職務経歴書は自身の技術力や経験を具体的に伝える唯一の機会となります。
どのような開発言語や環境を扱ってきたのか、どの工程を担当し、どのような課題を解決してきたのか。これらの情報は、採用担当者が技術的なマッチングを判断する上で不可欠です。
書類選考段階では、企業側は職務経歴書の内容をもとに、応募者のスキルセットが自社の求める要件に合致しているかを見極めます。
そのため、職務経歴書の完成度が書類選考の通過率を大きく左右します。
履歴書との主な違い
ここでは、履歴書と職務経歴書の違いについて紹介していきます。
履歴書の役割と記載内容
履歴書は、氏名や生年月日、住所といった個人の基本情報に加え、学歴・職歴の概要、保有資格を記載します。
形式はJIS規格など定型のフォーマットが一般的で、記載内容も比較的簡潔にまとめられます。
職務経歴書の役割と記載内容
一方、職務経歴書は、担当したプロジェクトの詳細、使用した技術(プログラミング言語、フレームワーク、データベース、クラウド環境など)、担当工程、チーム内での役割、そして具体的な成果を詳しく記述します。
形式に決まりはなく、自由度が高いため、応募企業や職種に合わせて内容をカスタマイズできる点が大きな特徴です。
システムエンジニアに求められる記載内容
システムエンジニアの職務経歴書では、技術的な専門性を明確に示すことが求められます。
技術スタックの明記
使用した開発言語(Java、Python、C#など)やOS、データベース(MySQL、PostgreSQL、Oracleなど)、クラウド環境(AWS、Azure、GCPなど)を明記する必要があります。
プロジェクト規模と役割
担当したプロジェクトの規模(予算、期間、チーム人数)と自身の役割を具体的に記載します。
要件定義、基本設計、詳細設計、実装、テスト、運用保守といった各工程のうち、「どの工程をどの程度担当したのか」を明示することで、採用担当者は応募者の経験の幅と深さを正確に把握できます。
成果の定量的表現
プロジェクトにおける具体的な成果と貢献度を記載することが重要です。
例えば「システムの処理速度を2倍に向上させた」「不適合率を70%削減した」といった定量的な成果を示すことで、自身の技術力と問題解決能力を客観的に証明できます。
採用担当者が評価する3つのポイント
採用担当者は職務経歴書を通じて、応募者が自社で活躍できる人材かどうかを見極めます。
特にシステムエンジニアの採用において重視されるのは、技術的なマッチング、プロジェクトへの具体的な貢献度、そしてチームでの役割とマネジメント経験の3つです。
技術的な適合性の確認
採用担当者がまず確認するのは、応募者が保有する技術スキルと自社の求める技術要件との適合性です。
求人要件とのマッチング
求人票に記載された開発言語やフレームワーク、インフラ環境と、応募者の経験がどの程度一致しているかが重要な判断材料となります。
経験年数とスキルレベル
技術の習熟度と経験年数も評価のポイントです。
単に「Javaの経験あり」と記載するのではなく、「Java(5年)」と経験年数を併記することで、スキルレベルの目安を伝えられます。
また、複数技術の組み合わせ経験(例:JavaとSpring Bootを用いたWebアプリケーション開発、AWSでのインフラ構築経験)がある場合は、より実践的なスキルセットとして評価されます。
実績と成果の定量評価
プロジェクトでの具体的な貢献内容と、それによって生み出された成果を定量的に示すことが求められます。
採用担当者は「何をしたか」だけでなく「どんな価値を生み出したか」を知りたいと考えています。
定量的成果の重要性
数値で示せる成果には、システムの効率化(処理速度向上、開発期間短縮)、品質改善(不具合率削減、テストカバレッジ向上)、コスト削減(運用コスト削減、工数削減)などがあります。
例えば「自動テストの導入により、テスト工数を40%削減した」といった記載は、技術力に加えて業務改善への意識の高さを示す効果的なアピールとなります。
問題解決能力の証明
定量化が難しい場合でも、問題解決能力を証明するエピソードを具体的に記載することで、採用担当者に自身の実力を伝えることができます。
組織適応力とリーダーシップ
技術力だけでなく、チーム内での役割と協働経験も重要な評価ポイントです。
チーム協働の経験
システム開発は複数のメンバーが協力して進めるプロジェクトであるため、コミュニケーション能力やチームへの貢献姿勢が求められます。
指導・マネジメント経験
後輩指導やマネジメント経験がある場合は、その具体的な内容を記載することで、リーダーシップの裏付けとなります。
プロジェクトマネージャーやチームリーダーとしての経験はもちろん、新人のメンター役を務めた経験や、チーム内で技術的な相談役として機能した経験なども、組織への貢献を示す有効な情報です。
ステークホルダー対応能力
コミュニケーション能力の裏付けとしては、顧客折衝の経験や、複数部門との調整業務、ステークホルダーとの要件定義プロセスへの関与などを記載することが効果的です。
2. システムエンジニアの職務経歴書を作成する5つのステップ
職務経歴書作成 5ステップ
採用担当者の目を引く、戦略的な作成フロー
経歴整理
スキル定義
実績数値化
強み訴求
最終仕上げ
システムエンジニアの職務経歴書を効果的に作成するためには、体系的なアプローチが重要です。
ここでは、書類選考を突破するための5つのステップを順を追って解説します。
<職務経歴書作成の5ステップ>
- ステップ1:職務経歴の棚卸しと時系列整理
- ステップ2:技術スキルと開発環境の明確化
- ステップ3:プロジェクト実績の具体化と数値化
- ステップ4:リーダーシップとマネジメント経験のアピール
- ステップ5:職務要約と自己PRの作成
これらのステップに沿って作成することで、採用担当者に自身の価値を明確に伝えられる職務経歴書が完成します。
ステップ1:職務経歴の棚卸しと時系列整理
職務経歴書の作成は、まず過去の職務経験を丁寧に棚卸しすることから始まります。これまでに携わったプロジェクトをリストアップし、それぞれの担当期間、所属企業、役職、プロジェクト内容を整理します。
記憶だけに頼らず、過去のメモや業務報告書、プロジェクト資料などを見返しながら、できるだけ詳細に情報を集めることが重要です。この段階で情報を漏れなく集めておくことで、後の作業がスムーズに進みます。
時系列式とキャリア式の選び方
職務経歴書のフォーマットには、主に時系列式とキャリア式の2つがあります。どちらを選ぶかは、自身のキャリアパスや強調したいポイントによって判断します。
時系列式のメリットとデメリット
時系列式は、直近の職歴から過去に遡って記載する形式で、経験が浅い方や、一貫したキャリアパスを歩んできた方に推奨されます。
職務経歴の流れが分かりやすく、キャリアの成長過程を明確に示せる点がメリットです。一方、転職回数が多い場合や、短期間の在籍が複数ある場合は、職歴の変化が目立ちやすいというデメリットがあります。
キャリア式のメリットとデメリット
キャリア式は、職種やスキル、プロジェクトの種類ごとにまとめて記載する形式です。
転職回数が多い場合や、特定の技術スキルを強調したい場合に有効です。自身の強みを前面に押し出せる一方、時系列での経験の流れが見えにくいという側面もあります。
多くの場合、時系列式が標準的なフォーマットとして採用されていますが、自身のキャリアの特性に応じて最適な形式を選択することが重要です。
記載すべき基本項目
職務経歴の各項目には、以下の基本情報を漏れなく記載します。
在籍期間の記載方法
在籍期間は、年月まで明記します(例:2018年4月〜2021年3月)。現在も在籍中の場合は「2021年4月〜現在」と記載します。
会社情報の記載
会社名と事業内容は簡潔にまとめます。社名だけでなく、その企業が何を事業としているかを一文で説明することで、採用担当者に業界や事業規模のイメージを伝えられます(例:株式会社○○ システムインテグレーション事業、従業員数500名)。
所属部署と役職
所属部署と役職も明記します。システム開発部、ソリューション事業部といった部署名に加え、一般社員、主任、リーダーなどの役職を記載することで、組織内での立ち位置が明確になります。
プロジェクト概要
担当プロジェクトの概要として、どのようなシステムを開発していたのかを簡潔に説明します。この段階では詳細は不要で、次のステップで深掘りします。
ステップ2:技術スキルと開発環境の明確化
システムエンジニアの職務経歴書において、技術スキルと開発環境の記載は最も重要な要素の一つです。採用担当者は、応募者がどのような技術を扱えるのかを正確に把握したいと考えています。
技術スキルの分類と記載方法
技術スキルは、カテゴリー別に整理して記載すると見やすくなります。
プログラミング言語
Java、Python、C#、JavaScript、PHP、Rubyなど、習得している言語を列挙し、経験年数を併記します(例:Java(5年)、Python(3年))。
フレームワーク・ライブラリ
Spring Boot、Django、.NET、React、Vue.js、jQueryなど、実務で使用した経験のあるものを記載します。
データベース
MySQL、PostgreSQL、Oracle、SQL Server、MongoDB、Redisなど、設計や構築、運用の経験があるものを列挙します。
インフラ・クラウド
AWS(EC2、S3、RDS、Lambda)、Azure、GCP、Docker、Kubernetesなど、具体的なサービス名まで記載することで、実務経験の深さを示せます。
開発ツール
Git、GitHub、GitLab、Jenkins、CircleCI、Jiraなど、バージョン管理やCI/CDツールの使用経験を記載します。
担当工程と役割の明示
システム開発のどの工程を担当したのかを明確にすることも重要です。要件定義、基本設計、詳細設計、実装、テスト、運用保守の各工程について、どの工程をメインで担当したのか、どの工程に部分的に関わったのかを区別して記載します。
特に上流工程(要件定義、基本設計)の経験は、ビジネス要件を技術要件に落とし込む能力の証明となるため、重視される傾向があります。
実装やテストだけでなく、上流工程の経験がある場合は、その点を明確にアピールすることが効果的です。
具体的な記載例
技術スキルの記載例を以下に示します。
「Java(5年)、Spring Boot(3年)、AWS(EC2、RDS、S3を使用、3年)、MySQL(4年)、Git(5年)。要件定義から運用保守まで一貫して担当した経験を持ち、特に基本設計と実装工程を得意とする。」
「Python(3年)、Django(2年)、PostgreSQL(3年)、Docker(2年)。主に実装とテスト工程を担当し、REST API開発とデータベース設計に関する実務経験を有する。」
このように、技術スキルを経験年数とともに記載し、担当工程と得意分野を簡潔に説明することで、採用担当者に自身の技術プロファイルを明確に伝えられます。
ステップ3:プロジェクト実績の具体化と数値化
プロジェクト実績は、職務経歴書の中核となる部分です。採用担当者は、応募者がこれまでにどのようなプロジェクトに携わり、どのような成果を上げてきたのかを詳しく知りたいと考えています。
プロジェクト概要の記載方法
各プロジェクトについて、以下の情報を記載します。
プロジェクト名の記載
プロジェクト名は、守秘義務に配慮しながら、プロジェクトの性質が分かる程度に抽象化します(例:「大手製造業向け基幹システム刷新プロジェクト」「金融機関向けWebバンキングシステム開発」)。
プロジェクトの目的と背景
なぜそのシステムが必要とされたのか、どのような課題を解決するためのプロジェクトだったのかを簡潔に説明します。
開発期間とチーム構成
開発期間とチーム構成を明記します(例:「開発期間:2019年4月〜2020年3月(1年間)、チーム構成:PM1名、SE3名、PG5名、テスター2名」)。
開発規模
予算や機能数、システムの規模感を示します(例:「予算約5,000万円、主要機能15画面、バッチ処理8本」)。
担当した役割と責任範囲
チーム内での自身の立ち位置を明確にすることが重要です。プロジェクトマネージャー、サブリーダー、メンバーといった役割に加え、具体的にどのような業務を担当したのかを記載します。
「基本設計書の作成、データベース設計、Java/Spring Bootによる業務ロジック実装、単体テスト・結合テストの実施、および後輩エンジニア2名の技術指導を担当」といった記載により、担当業務の範囲と責任が明確になります。
責任を持った範囲と権限についても記載します。特定モジュールの設計から実装まで一貫して責任を持った場合や、技術選定の意思決定に参画した場合は、その旨を明記することで、主体性と責任感をアピールできます。
成果の数値化テクニック
成果を定量的に表現することは、職務経歴書の説得力を大きく高めます。数値化できる成果には、以下のようなものがあります。
<定量的な成果の例>
処理速度の向上
例:「バッチ処理の実行時間を60分から15分に短縮(75%削減)」
品質改善
例:「自動テストの導入により、不適合率を70%削減」
開発効率の向上
例:「CI/CDパイプラインの構築により、リリース作業時間を50%短縮」
コスト削減
例:「クラウドリソースの最適化により、月額運用コストを30万円削減」
数値化が難しい場合でも、定性的な成果を具体的なエピソードとともに記載することで、自身の貢献を効果的に伝えられます(例:「ユーザーからの問い合わせ対応を効率化する管理画面を設計・実装し、顧客満足度の向上に貢献」)。
STARフレームワークの活用
プロジェクト実績を構造化して記載する手法として、STARフレームワークが有効です。これは以下の4つの要素で構成されます。
Situation(状況)
どのような課題や状況があったのか
Task(課題)
自身に何が求められたのか
Action(行動)
どのような行動や工夫をしたのか
Result(結果)
どのような成果を生み出したのか
実際の記載例を示します。
「【状況】既存システムの処理速度が遅く、夜間バッチが完了しない問題が発生していた。
【課題】処理時間を半分以下に短縮することが求められた。
【行動】ボトルネックを特定するためプロファイリングを実施し、SQL文の最適化とインデックスの追加、並列処理の導入を行った。
【結果】バッチ処理時間を60分から18分に短縮(70%削減)し、安定稼働を実現した。」
このフレームワークを用いることで、自身の問題解決プロセスと成果を論理的に説明できます。
ステップ4:リーダーシップとマネジメント経験のアピール
技術力だけでなく、チームをまとめる力やマネジメント経験も、特にキャリアアップを目指す転職においては重要な評価要素となります。
プロジェクトマネージャー経験の記載
プロジェクトマネージャーとしての経験がある場合は、管理したプロジェクトの規模を具体的に記載します。
プロジェクト規模の数値化
予算規模(例:「予算1億円のシステム刷新プロジェクト」)、管理した人数(例:「15名のプロジェクトチームを統括」)、プロジェクト期間を明示します。
マネジメント業務の具体的内容
進捗管理、リスク管理、ステークホルダー調整、品質管理、予算管理などを記載します。特に、リスクを事前に察知して対策を講じた事例や、ステークホルダー間の調整を円滑に進めた経験は、高いマネジメント能力の証明となります。
プロジェクトの成功事例
例えば「計画通りの納期・予算でプロジェクトを完遂し、顧客から高評価を獲得」「プロジェクト完了後、追加開発案件を3件受注」といった記載は、マネジメント能力の高さを裏付けます。
チームリーダー・サブリーダー経験
プロジェクトマネージャーの経験がない場合でも、少人数チームのリード経験やサブリーダーとしての経験は十分にアピール材料となります。
3〜5名程度の小規模チームでのリーダー経験、タスクの振り分けや進捗管理の経験、メンバーのサポートや育成に関わった実績などを具体的に記載します(例:「5名のチームでサブリーダーを務め、タスク管理とメンバーのコードレビューを担当」)。
マネジメント経験がない場合のアピール方法
正式なマネジメント経験がない場合でも、チーム内での貢献や対人スキルをアピールする方法があります。
後輩・新人への技術指導
後輩・新人への技術指導経験は、リーダーシップの萌芽を示す重要な要素です(例:「新卒エンジニア2名のメンターとして、技術指導と業務サポートを担当」)。
チーム内での調整役・サポート役
チーム内での調整役やサポート役の経験も有効です(例:「チーム内の技術的な相談窓口として機能し、メンバーの課題解決を支援」)。
ナレッジ共有活動
ナレッジ共有や勉強会の開催実績も、チームへの貢献意欲を示すアピールポイントとなります(例:「社内勉強会を月1回主催し、新技術の情報共有と技術力向上に貢献」)。
ステップ5:職務要約と自己PRの作成
職務経歴書の冒頭に配置される職務要約と、締めくくりとなる自己PRは、採用担当者に自身の魅力を端的に伝える重要なセクションです。
職務要約の書き方
職務要約は、職務経歴書の冒頭に配置する200〜300文字程度の要約文です。キャリア全体を俯瞰し、自身の得意分野や強みを端的に表現します。
記載内容は、システムエンジニアとしての経験年数、主な担当分野(Webアプリケーション開発、インフラ構築など)、得意とする技術スタック、強みとなるスキル(上流工程経験、マネジメント経験など)です。
職務要約の記載例
「システムエンジニアとして7年間、主にWebアプリケーション開発に従事。Java/Spring Boot、AWS環境での開発を得意とし、要件定義から運用保守まで一貫した経験を有する。直近2年間はサブリーダーとして5名のチームをまとめ、プロジェクトの成功に貢献。技術力とチームマネジメント力を活かし、より大規模なプロジェクトへの挑戦を希望している。」
自己PRで強調すべき3つの要素
自己PRでは、技術力、問題解決力、コミュニケーション力の3つを軸に、自身の強みを具体的に説明します。
技術力のアピール
具体的なスキルと経験の深さを示します(例:「Java/Spring Bootでの開発経験5年、AWS環境での本番運用経験3年を持ち、スケーラブルなシステム設計が可能」)。
問題解決力のアピール
課題に対する取り組み姿勢と成果を記載します(例:「既存システムのパフォーマンス問題に対し、原因分析から改善策の実装まで主導し、処理時間を70%短縮」)。
コミュニケーション力のアピール
チーム協働やステークホルダー対応能力を強調します(例:「顧客との要件定義において、技術的な専門用語を分かりやすく説明し、円滑なプロジェクト進行に貢献」)。
応募企業に合わせたカスタマイズ
職務要約と自己PRは、応募企業ごとにカスタマイズすることが重要です。求人票の要件を分析し、企業が求めるスキルや経験とマッチする部分を強調します。
企業の事業内容や開発環境に関連する実績を前面に出すことで、入社後の貢献イメージを採用担当者に持たせることができます。
汎用的な内容ではなく、「なぜこの企業なのか」「自分はどう貢献できるのか」が伝わる内容にすることで、書類選考の通過率が高まります。
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3. 経験レベル別のシステムエンジニア職務経歴書アピール戦略

システムエンジニアの職務経歴書において、経験年数やキャリアステージによって効果的なアピール戦略は異なります。
自身の経験レベルに応じた適切なアプローチを取ることで、採用担当者に自身の強みを最大限に伝えることができます。
第二新卒・若手SE(経験2-5年)の記載ポイント
経験年数が浅い段階では、実績の量よりも学習意欲と成長性、そして技術への取り組み姿勢を強調することが重要です。
若手SEが押さえるべき記載内容
新技術への学習姿勢と資格取得
若手システムエンジニアは、新技術への学習姿勢と資格取得実績を積極的にアピールします。
基本情報技術者試験や応用情報技術者試験の取得、AWS認定資格やOracle認定Javaプログラマなどのベンダー資格は、継続的な学習意欲の証明となります。
担当工程の幅
担当した工程の範囲をできるだけ広く記載することも効果的です。実装とテストだけでなく、要件定義や設計工程にも部分的に関わった経験がある場合は、その点を明記します。
上流工程への意欲と適性を示すことで、将来性を評価されやすくなります。
主体的な貢献姿勢
チーム内での積極的な貢献姿勢も重要なアピールポイントです。
自ら提案した改善施策、勉強会での発表経験、チーム内での技術共有活動などを記載することで、受け身ではなく主体的に行動できる人材であることを示せます。
具体的な記入例
若手SEの職務経歴書記入例
「【プロジェクト名】ECサイトリニューアルプロジェクト
【期間】2022年4月〜2023年3月(1年間)
【環境】Java、Spring Boot、MySQL、AWS(EC2、RDS)
【チーム構成】PM1名、SE2名、PG3名
【担当工程】詳細設計、実装、単体テスト、結合テスト
【役割】プログラマとして、商品管理機能と在庫管理機能の実装を担当。詳細設計書をもとにJava/Spring Bootでの実装を行い、JUnitによる単体テストを実施。結合テストでは20件の不具合を検出し、品質向上に貢献。
【成果】担当機能を予定通りリリース。実装時にコードレビューで指摘された改善点を素早く修正し、チームの開発効率向上に貢献。
【学習】プロジェクト期間中にAWS認定ソリューションアーキテクト(アソシエイト)を取得。」
このように、携わったプロジェクトの詳細、自身の役割、そして学習姿勢を具体的に記載することで、若手ながら成長意欲の高い人材であることをアピールできます。
中堅SE(経験5-10年)の差別化戦略
経験5年以上の中堅エンジニアは、複数のプロジェクト経験を持つことが一般的です。この段階では、すべてのプロジェクトを羅列するのではなく、応募企業に関連性の高い実績を厳選して記載することが重要です。
選択と集中の重要性
関連性の高い実績の厳選
中堅SEは、自身の専門性と幅広い経験のバランスを示す必要があります。全プロジェクトを網羅的に記載すると、焦点がぼやけてしまうため、応募企業の求める技術や業務領域に関連性の高い実績を2〜4件程度に絞り込みます。
専門性と幅広さのバランス
深い専門性と幅広い経験のバランスも意識します。
特定の技術領域での深い経験(例:AWSでのインフラ設計・構築経験5年)と、複数の技術や工程を経験してきた幅の広さ(例:Java、Python両方での開発経験、要件定義から運用保守まで全工程の経験)の両方を示すことで、即戦力としての価値を高められます。
成長の軌跡の明示
技術的な成長の軌跡を時系列で示すことも効果的です。初期のプロジェクトでは実装中心だったが、徐々に設計や要件定義といった上流工程を担当するようになり、最近では技術選定やアーキテクチャ設計にも関与している、といった成長ストーリーを描くことで、継続的な成長力をアピールできます。
問題解決事例の効果的な記載
中堅SEに求められるのは、単に指示された作業をこなすだけでなく、自ら課題を発見し解決する能力です。そのため、問題解決事例を具体的に記載することが重要です。
課題の具体的な説明
直面した課題を具体的に説明します(例:「本番環境で頻発するタイムアウトエラーにより、ユーザーからのクレームが増加していた」)。
解決への取り組み
解決に向けた取り組みと工夫を詳述します(例:「APMツールを導入してボトルネックを特定。データベースクエリの最適化とキャッシュ機構の導入を提案・実装」)。
成果と学び
得られた成果と学びを記載します(例:「タイムアウトエラーを95%削減し、顧客満足度が向上。パフォーマンスチューニングの知見を獲得」)。
リーダーシップ経験の芽生え
中堅SEの段階では、正式なマネジメント職でなくても、サブリーダーやメンター経験を積んでいることが多くあります。
サブリーダーとして3〜5名のチームをまとめた経験、技術的な相談役として後輩エンジニアの育成に関わった経験、チーム内での影響力を発揮した事例(例:新しい開発手法の導入を提案し、チーム全体の生産性向上に貢献)などを記載することで、次のキャリアステップへの準備ができていることを示せます。
PM・リーダー経験者(経験10年以上)の高度なアピール
経験10年以上のシニアエンジニアやプロジェクトマネージャー経験者は、マネジメント実績とビジネスインパクトを明確に示すことが求められます。
マネジメント実績の数値化
プロジェクトマネージャーやチームリーダーとしての実績は、具体的な数値で表現することが重要です。
プロジェクト数と規模
管理したプロジェクト数と規模を明示します(例:「3年間で大規模プロジェクト5件、中規模プロジェクト12件を統括」)。
チーム人数と予算
チーム人数と予算規模を記載します(例:「最大20名のプロジェクトチームを統括、総予算2億円」)。
成功率と納期遵守実績
プロジェクト成功率や納期遵守実績も有効です(例:「担当した全8プロジェクトで納期遵守率100%、予算超過ゼロを達成」)。
ビジネス貢献の明確化
シニアレベルでは、技術的な成果だけでなく、ビジネスへの貢献を明確に示すことが求められます。
売上貢献とコスト削減
売上貢献やコスト削減の具体的な金額を記載します(例:「システム刷新により業務効率化を実現し、年間3,000万円のコスト削減に貢献」)。
顧客満足度向上
顧客満足度向上の実績も重要です(例:「顧客満足度調査で5点満点中4.8点を獲得。継続契約率95%を達成」)。
事業成長への寄与
事業成長への寄与を示します(例:「新規開発したサービスが年間売上5億円の新規事業に成長」)。
技術的な専門性の維持
マネジメント職であっても、技術的な専門性を維持していることを示すことは重要です。特に、技術とマネジメントの両方ができる人材は市場価値が高く評価されます。
技術的関与の継続
マネジメント業務と並行した技術的関与を記載します(例:「PM業務の傍ら、アーキテクチャ設計レビューや技術的な課題解決に参画」)。
技術選定への参画
技術選定やアーキテクチャ設計への参画実績も有効です(例:「マイクロサービスアーキテクチャへの移行方針を策定し、技術選定を主導」)。
最新技術のキャッチアップ
最新技術のキャッチアップ姿勢を示します(例:「Kubernetes、Terraformなど最新のクラウドネイティブ技術を積極的に学習し、プロジェクトに導入」)。
4. システムエンジニアの職務経歴書で避けるべき3つのNG事項
RESUME NG CHECKLIST
書類選考を突破するための3大NG回避戦略
専門用語の乱用
非技術者に伝わらない
採用担当者の理解を拒絶
用語への簡潔な補足
誰でも読める表現へ変換
成果なき業務羅列
貢献度が全く不明
実力不足の印象を与える
実績の数値化
向上率や短縮時間を明記
機密情報の露出
守秘義務違反のリスク
プロとしての信頼を喪失
適切な情報の抽象化
社名を伏せ業界名で記載
職務経歴書の作成において、いくつかの典型的な失敗パターンがあります。これらのNG事項を理解し回避することで、書類選考での評価を高めることができます。
NG1:専門用語の過度な使用と説明不足
システムエンジニアの職務経歴書でよくある失敗が、専門用語を多用しすぎて、非技術者である採用担当者に内容が伝わらないケースです。
専門用語使用時の配慮
書類選考の初期段階では、人事部門の採用担当者が目を通すことが一般的です。
人事担当者は必ずしもITの専門知識を持っているとは限らないため、過度に専門的な用語だけで記載すると、内容が正しく評価されない可能性があります。
技術用語を使用する際は、簡潔な説明を添えることが重要です。
例えば、「CI/CD(継続的インテグレーション/デプロイメント)パイプラインを構築し、リリース作業を自動化」といった記載により、専門用語の意味が分からない読者にも理解しやすくなります。
ただし、説明が冗長になりすぎないよう注意が必要です。技術的な詳細は面接で補足できるため、職務経歴書では要点を押さえた簡潔な説明に留めます。
改善前後の記載例
専門用語の使いすぎによる悪い例と、適切に説明を加えた良い例を対比します。
改善前(NG例)
「k8sクラスタ上にマイクロサービスアーキテクチャを構築。ArgoCDでGitOpsを実現し、IaCによるインフラプロビジョニングを自動化。PrometheusとGrafanaでオブザーバビリティを確保。」
改善後(OK例)
「コンテナ技術(Kubernetes)を用いたシステム基盤を構築。サービスを小さな単位に分割するマイクロサービス設計を採用し、デプロイ作業の自動化を実現。監視ツールを導入してシステムの安定稼働を確保」
改善後の例では、専門用語に簡潔な説明を加えることで、技術的な専門性を保ちながらも、非技術者にも内容が伝わりやすくなっています。
NG2:成果の記載がなく業務内容の羅列のみ
職務経歴書において、「何をしたか」だけを列挙し、「どんな成果を出したか」が記載されていないケースも頻繁に見られる失敗例です。
業務内容と成果の違い
業務内容とは、担当した作業の列挙を指します。一方、成果とは、その作業によって生まれた価値や改善効果を指します。採用担当者が本当に知りたいのは、応募者が実際にどのような価値を生み出せる人材なのかという点です。
単に「Javaで実装を担当しました」「テストを実施しました」といった業務内容の羅列では、技術力や貢献度が伝わりません。成果を明記することで、自身の実力を客観的に証明できます。
成果を効果的に表現する方法
成果には、定量的な成果と定性的な成果があります。
定量的な成果
定量的な成果は、数値で示せるものです。
- 処理速度の向上(例:「バッチ処理時間を60分から15分に短縮」)
- 品質改善(例:「自動テストの導入により、不適合率を70%削減」)
- コスト削減(例:「クラウドリソースの最適化により、月額運用コストを30万円削減」)
定性的な成果
定性的な成果は、数値化が難しいものの、ビジネスや組織に対して明確な価値をもたらしたものです。顧客満足度の向上、チーム士気の向上、業務効率化の実現などが含まれます。
ビフォーアフターの対比
ビフォーアフターの対比で効果を明確化することも有効です。「改善前は手動で3時間かかっていた作業を、ツール開発により15分に短縮」といった記載により、改善効果が一目で分かります。
改善前後の記載例
改善前(NG例)
「ECサイトの開発プロジェクトに参加し、Java/Spring Bootで実装を担当しました。データベース設計とテストも実施しました。」
改善後(OK例)
「ECサイトの開発プロジェクトにおいて、商品管理機能の実装を担当。データベースクエリの最適化により、商品検索機能の応答速度を3秒から0.5秒に改善(83%高速化)。ユーザー体験の向上に貢献し、顧客からの高評価を獲得」
改善後の例では、担当業務に加えて具体的な成果と数値が記載されており、応募者の技術力と貢献度が明確に伝わります。
NG3:情報セキュリティへの配慮不足
職務経歴書に記載する情報には、守秘義務やコンプライアンスの観点から注意が必要です。情報セキュリティへの配慮不足は、実務における信頼性を損なう原因となります。
不正アクセス禁止法や経済安全保障推進法の観点からも、機密情報の取り扱いには注意が必要です。
記載してはいけない情報
以下のような情報は、職務経歴書に記載すべきではありません。
顧客企業名
具体的な顧客企業名は、特に非公開案件の場合は記載を避けます。守秘義務契約(NDA)を結んでいるプロジェクトの詳細を明かすことは、契約違反となる可能性があります。
セキュリティ仕様の詳細
システムのセキュリティ仕様の詳細(例:認証方式の具体的な実装方法、脆弱性対策の詳細)は、悪用されるリスクがあるため記載しません。
機密性の高いビジネス情報
機密性の高いビジネス情報(例:具体的な売上金額、未発表の新規事業の詳細)も避けるべきです。
適切な抽象化のテクニック
守秘義務を守りながら実績を伝えるためには、情報を適切に抽象化する必要があります。
業界での表現
顧客企業名の代わりに、業界で表現します(例:「大手製造業向け」「金融機関向け」「通信キャリア向け」)。
用途での表現
システム名の代わりに、用途で表現します(例:「ECサイト構築」「基幹システム刷新」「顧客管理システム開発」)。
公開情報の範囲内
企業が公式に発表しているプロジェクトや、プレスリリースで公開されている情報であれば、記載しても問題ありません。
改善前後の記載例
改善前(NG例)
「株式会社○○(大手自動車メーカー)の新型車両開発プロジェクト向けに、車載システムの認証機構を開発。SHA-256ハッシュ化とAES-256暗号化を組み合わせた独自の認証方式を実装。」
改善後(OK例)
「大手製造業向けの組み込みシステム開発プロジェクトに参加。セキュアな認証機構の設計・実装を担当し、システムの安全性向上に貢献」
改善後の例では、守秘義務に配慮しながらも、自身の担当業務と技術領域を適切に表現できています。情報セキュリティへの配慮を示すことで、コンプライアンス意識の高さをアピールすることにもつながります。
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5. システムエンジニア転職市場で求められるスキルと職務経歴書への反映

システムエンジニアの職務経歴書を戦略的に作成するためには、現在のIT転職市場において、どのようなスキルや経験が求められているのかを把握することが重要です。
市場動向を理解した上で、自身の強みを効果的にアピールできます。
IT人材の需給状況と転職市場の動向
IT業界における人材需要は、継続的に高い水準を維持しています。特にシステムエンジニアをはじめとする技術職の需要は旺盛で、転職市場は活発な状態が続いています。
IT人材の需給ギャップ
2030年までの人材不足の見通し
経済産業省が2019年に実施した「IT人材需給に関する調査」によれば、日本国内ではIT人材の不足が深刻化しており、IT需要の伸びを「中位」と想定した場合、2030年には約45万人のIT人材が不足すると試算されています。
また、需要の伸びが高い場合には約79万人、最新の推計では最大80万人程需要の伸びが「高位」の場合は、約79万人もの人材不足が予測されています。
特にAI、IoT、ビッグデータ等の先端IT技術の利活用に向けた需要が増大しており、先端技術領域での人材不足が顕著です。
転職市場への影響
この需給ギャップは、システムエンジニアにとって転職市場において有利な状況を生み出しています。企業側は優秀な技術者を確保するため、待遇面での競争が激化しており、適切なスキルと経験を持つエンジニアは、より良い条件での転職機会を得やすい環境にあります。
厚生労働省が2024年に実施した「IT・デジタル人材の労働市場に関する研究調査事業」でも、企業におけるDXの推進等を背景として、IT人材の供給は2030年までに最大80万人程度不足すると推計されています。
出典:経済産業省「IT人材需給に関する調査(概要)」
出典:厚生労働省「IT・デジタル人材の労働市場に関する研究調査事業 調査報告書」
職種別の求人傾向
情報通信業の求人増加
厚生労働省が毎月発表している「一般職業紹介状況(職業安定業務統計)」によれば、情報通信業の求人は堅調に推移しています。
2024年12月の新規求人では、情報通信業が前年同月比9.3%増となり、産業別では増加率が高い分野の一つとなっています。
2025年に入っても、情報通信業の新規求人は前年同月比でプラスを維持しており(1月:1.6%増、3月:8.2%増、6月:5.2%増)、IT人材への需要の高さが継続していることが確認できます。
上流工程の需要
経済産業省の調査では、正社員求人においてプロジェクトマネージャー(PM)の需要が高いことが指摘されています。特にIT人材全体の求人倍率は12.0倍に達しており、PMは正社員求人数で最多となる傾向にあります。
上流工程の経験を持つ人材への需要の高さが確認されており、要件定義や基本設計といった工程の経験は、職務経歴書において重要なアピールポイントとなります。
出典:厚生労働省「一般職業紹介状況(令和6年12月分及び令和6年分)について」
出典:厚生労働省「一般職業紹介状況(令和7年3月分及び令和6年度分)について」
需要の高い技術スキルと記載の優先順位
転職市場で求められる技術スキルを理解し、職務経歴書において優先的にアピールすることで、書類選考の通過率を高めることができます。
クラウド技術の重要性
現在のシステム開発において、クラウド技術は必須のスキルとなっています。
主要クラウドプラットフォームの経験
AWS、Azure、GCPといった主要クラウドプラットフォームの経験は、多くの企業で求められる重要な要件です。
クラウド移行プロジェクトの実績
クラウド移行プロジェクトの実績は、特に高く評価されます。オンプレミス環境からクラウドへの移行を経験している場合は、その具体的な内容(移行した規模、使用したサービス、移行によって得られた効果)を職務経歴書に明記することが効果的です。
クラウド関連資格
クラウド関連資格(AWS認定ソリューションアーキテクト、Microsoft Azure認定資格、Google Cloud認定資格など)も、スキルの客観的な証明として価値があります。
開発言語とフレームワーク
汎用性の高い言語
汎用性の高いプログラミング言語の経験は、幅広い企業での活躍可能性を示します。Java、Python、JavaScriptは特に需要が高く、これらの言語での実務経験は強みとなります。
モダンなフレームワーク
モダンなフレームワークの経験も重視されます。Spring Boot、Django、React、Vue.jsなど、現在主流となっているフレームワークでの開発経験は、最新の開発手法に対応できる能力の証明となります。
レガシーシステム移行経験
レガシーシステムからの移行経験も評価されます。古い技術スタックで構築されたシステムを、モダンな技術に刷新した経験は、技術的な幅の広さと適応力を示す材料となります。
セキュリティとコンプライアンス
セキュリティ設計・実装経験
情報セキュリティへの関心と知見は、すべてのシステムエンジニアに求められる重要な要素です。
セキュリティ設計の経験、脆弱性対策の実装経験、セキュリティテストの実施経験などを記載することで、信頼性の高いエンジニアであることをアピールできます。
コンプライアンス関連経験
ISMS(情報セキュリティマネジメントシステム)やプライバシーマークの取得プロジェクトに関わった経験、セキュリティ監査への対応経験なども有効です。
セキュリティ関連資格
セキュリティ関連資格(情報処理安全確保支援士、CISSP、CEHなど)を保有している場合は、専門性の高さを示す強力なアピール材料となります。
職務経歴書で市場価値を最大化する記載戦略
自身のスキルセットと市場ニーズを照らし合わせ、戦略的に職務経歴書を作成することが重要です。
自身のスキルセットの市場適合性確認
求人トレンドとの照合
まず、求人トレンドと自身の経験を照合します。転職サイトや求人情報を確認し、現在どのようなスキルや経験が求められているのかを把握した上で、自身の経歴の中から該当する経験を抽出します。
強みとなるスキルの特定
強みとなるスキルを特定します。市場で需要が高く、かつ自身が深い経験を持つ技術領域を明確にし、職務経歴書の中で重点的にアピールします。
差別化ポイントの明確化
差別化ポイントも明確にします。他の応募者と差別化できる独自の経験や、複数の技術領域にまたがる経験(例:開発とインフラ両方の経験、技術とマネジメントの両立)は、強力なアピール材料となります。
継続的な学習姿勢のアピール
IT業界は技術の変化が速いため、継続的な学習姿勢を持つエンジニアが評価されます。
新技術へのキャッチアップ実績
新技術へのキャッチアップ実績として、最新のプログラミング言語やフレームワークを業務外で学習している場合、その内容を記載します(例:「Rustの学習を進めており、個人プロジェクトで小規模なCLIツールを開発」)。
資格取得や勉強会参加
資格取得や勉強会参加の記録も有効です。直近で取得した資格、参加した技術カンファレンス、社内外の勉強会での発表経験などを記載することで、自己研鑽への意欲を示せます。
技術ブログやGitHubでの発信
技術ブログやGitHubでの発信活動は、技術力と学習姿勢を対外的に示す強力な材料です。
技術ブログを運営している場合や、GitHubで公開しているプロジェクトがある場合は、URLを記載することで、採用担当者が直接確認できるようにします。
6. システムエンジニアの職務経歴書テンプレートと記入例

具体的な職務経歴書のテンプレートと記入例を示すことで、実際の作成作業をスムーズに進めることができます。
ここでは、基本フォーマットと、経験レベル別の記入例を紹介します。
基本フォーマット|時系列式テンプレート
最も一般的な時系列式の職務経歴書フォーマットは、直近の職歴から過去に遡って記載する構成です。A4用紙で2〜3枚程度に収めることが標準的です。
職務経歴書の基本構成
- 職務要約(冒頭):キャリア全体を200〜300文字で要約
- 職務経歴詳細(メイン):プロジェクトごとの詳細な記載
- 活かせるスキル・知識:技術スタックの体系的な整理
- 資格・免許:保有する資格の列挙
- 自己PR:強みと志向性の明確化
各セクションは明確に区切り、見出しを設けることで、採用担当者が必要な情報に素早くアクセスできるよう配慮します。
各項目の記載ポイント
職務要約
職務要約では、システムエンジニアとしての経験年数、主な担当分野、得意技術、キャリアの方向性を簡潔にまとめます。200〜300文字程度で、自身のキャリアの全体像を伝えます。
職務経歴詳細
職務経歴詳細では、プロジェクトごとに以下の情報を記載します。
- プロジェクト名(守秘義務範囲内で)
- 期間
- 使用技術・環境
- チーム構成
- 担当工程・役割
- 具体的な業務内容
- 成果と実績
活かせるスキル・知識
活かせるスキル・知識では、プログラミング言語、フレームワーク、データベース、インフラ・クラウド、開発ツールをカテゴリー別に整理します。各技術の経験年数も併記します。
資格・免許
資格・免許では、取得年月と資格名を列挙します。IT関連資格だけでなく、ビジネス系の資格(プロジェクトマネージャ試験、中小企業診断士など)も記載対象となります。
自己PR
自己PRでは、技術力、問題解決力、コミュニケーション力を軸に、300〜500文字程度で自身の強みを記載します。
記入例1:Webアプリケーション開発経験者(経験5年)
中堅のWebアプリケーション開発エンジニアの記入例を示します。
プロジェクト実績の記載例
「【プロジェクト名】大手小売業向けEC在庫管理システム開発
【期間】2021年6月〜2023年3月(1年10ヶ月)
【環境】Java 11、Spring Boot 2.5、React 17、PostgreSQL 13、AWS(EC2、RDS、S3、CloudFront)
【チーム構成】PM1名、SE3名、PG5名、デザイナー2名
【担当工程】要件定義、基本設計、詳細設計、実装、テスト
【役割】SEとして、在庫管理機能と発注管理機能の設計・実装を担当。要件定義フェーズでは顧客へのヒアリングに参画し、業務フローの可視化を実施。基本設計・詳細設計では、データベース設計とAPI設計を主導。実装フェーズでは、バックエンドのビジネスロジックとREST APIの開発を担当し、コードレビューを通じて後輩エンジニア2名の技術指導も実施。
【成果】在庫データの更新処理を最適化し、処理時間を従来比60%短縮(5分→2分)
API設計の標準化により、フロントエンド開発チームとの連携がスムーズになり、開発期間を2週間短縮
自動テストのカバレッジ85%を達成し、リリース後の不具合発生率を前プロジェクト比40%削減
顧客から高評価を得て、追加開発案件を2件受注」
この記載例では、プロジェクトの概要、使用技術、自身の役割、そして数値を含む具体的な成果が明確に示されています。
技術スキル欄の記載例
「【言語】
Java(5年):業務アプリケーション開発での主要言語として使用
JavaScript(4年):フロントエンド開発、Node.jsでのサーバーサイド開発
SQL(5年):データベース設計、クエリ最適化【フレームワーク・ライブラリ】
Spring Boot(3年):Webアプリケーション開発
React(3年):SPA開発
jQuery(2年):既存システムの保守・改修【データベース】
PostgreSQL(4年):設計、構築、運用
MySQL(3年):設計、構築、チューニング
Redis(2年):キャッシュサーバーとして使用【インフラ・クラウド】
AWS(3年):EC2、RDS、S3、CloudFront、Lambda、API Gatewayを使用した本番運用経験
Docker(2年):開発環境の構築、本番環境へのデプロイ【開発ツール・その他】
Git/GitHub(5年):バージョン管理、プルリクエストレビュー
Jenkins(2年):CI/CDパイプラインの構築
Jira(4年):プロジェクト管理、タスク管理」
技術スキルを体系的に整理し、経験年数と具体的な用途を併記することで、採用担当者に技術力の全体像を伝えられます。
記入例2:インフラ・ネットワークエンジニア(経験7年)
インフラ系システムエンジニアの場合、クラウド移行や運用改善の実績を中心に記載します。
インフラプロジェクトの記載ポイント
「【プロジェクト名】金融機関向け基幹システムAWSクラウド移行プロジェクト
【期間】2020年4月〜2022年3月(2年間)
【環境】AWS(EC2、RDS、S3、VPC、CloudWatch、Lambda)、Terraform、Ansible、Linux(RedHat Enterprise Linux 8)、PostgreSQL
【チーム構成】PM1名、インフラSE4名、ネットワークエンジニア2名、セキュリティエンジニア1名
【担当工程】要件定義、設計、構築、移行、運用設計
【役割】インフラSEとして、オンプレミス環境からAWSへの移行プロジェクトを担当。要件定義フェーズでは現行システムの分析と課題抽出を実施。設計フェーズでは、AWS上でのネットワーク設計、セキュリティ設計、DR(ディザスタリカバリ)設計を主導。構築フェーズでは、TerraformによるIaC(Infrastructure as Code)を導入し、インフラのコード化を推進。移行フェーズでは、ダウンタイムを最小化する移行計画を策定し、週末の移行作業を統括。
【成果】オンプレミス環境からAWSへの移行を計画通り完遂し、ダウンタイムを当初計画の4時間から2時間に短縮
IaCの導入により、環境構築の自動化を実現し、環境構築時間を従来比80%削減(2日→4時間)
AWSの各種マネージドサービスを活用することで、運用保守コストを年間1,200万円削減
CloudWatchによる監視体制を整備し、システムの可用性を99.9%から99.95%に向上
プロジェクト完了後、AWS移行のベストプラクティスを社内に展開し、後続プロジェクトの標準として採用」
インフラスキルの体系的整理
「【OS】
Linux(7年):RedHat Enterprise Linux、CentOS、Ubuntuでの構築・運用経験
Windows Server(5年):Active Directory、IISの構築・運用経験【仮想化・コンテナ】
VMware vSphere(5年):仮想環境の設計・構築・運用
Docker(3年):コンテナ化、イメージ作成、Docker Composeによる環境構築
Kubernetes(2年):コンテナオーケストレーション、マニフェスト作成【クラウド】
AWS(4年):EC2、RDS、S3、VPC、CloudWatch、Lambda、ECS、Route53、CloudFrontなど主要サービスの設計・構築・運用経験
Azure(1年):Virtual Machines、Azure SQLの基本的な構築経験【ネットワーク】
TCP/IP、DNS、ロードバランサー、ファイアウォールの設計・構築
Cisco機器の設定経験(スイッチ、ルーター)【監視・運用】
Zabbix(5年):監視システムの構築・運用
CloudWatch(4年):AWSリソースの監視
Ansible(3年):構成管理、自動化【その他】
Terraform(3年):IaCによるインフラ構築の自動化
GitLab CI/CD(2年):CI/CDパイプラインの構築」
インフラエンジニアの場合、扱える技術の幅広さと、それぞれの技術での実務経験の深さを明示することが重要です。
記入例3:PM・リーダー経験者(経験10年以上)
プロジェクトマネージャーやリーダー経験者の場合、マネジメント実績とビジネス貢献を中心に記載します。
マネジメント実績の記載例
「【プロジェクト名】大手メーカー向けグローバル基幹システム刷新プロジェクト
【期間】2019年4月〜2022年3月(3年間)
【環境】Java、Spring Boot、Angular、Oracle Database、AWS
【プロジェクト規模】予算1.8億円、開発期間3年、最大チーム規模25名
【担当役割】プロジェクトマネージャー
【マネジメント業務】
プロジェクト全体の計画立案、進捗管理、リスク管理、品質管理、予算管理を統括
日本側開発チーム(15名)とオフショア開発チーム(インド、10名)の両方をマネジメント
ステークホルダー(顧客経営層、事業部門、IT部門、協力会社)との定例会議を主催し、要件調整と意思決定を推進
スコープ変更要求に対する影響分析と、顧客への提案・交渉を実施
プロジェクト後半にメンバーの離脱リスクが発生した際、代替要員の確保とタスク再配分を迅速に実施し、納期への影響を最小化【プロジェクト成果】
予算1.8億円、納期3年の大規模プロジェクトを計画通り完遂(予算達成率100%、納期遵守)
顧客満足度評価で5段階中4.8を獲得し、高評価を得る
新システムの稼働により、業務処理時間を40%短縮し、顧客の業務効率化に大きく貢献
プロジェクト完了後、システム保守・運用案件および次期システム開発案件を受注(契約金額合計5,000万円)
オフショア開発の管理手法を確立し、社内の標準プロセスとして展開【マネジメントで重視した点】
リスクの早期発見と対策:週次でリスク管理表を更新し、顕在化前に対策を実施
透明性の高いコミュニケーション:進捗状況を可視化し、ステークホルダー全員が現状を把握できる体制を構築
チームメンバーの成長支援:定期的な1on1ミーティングを実施し、個々のスキルアップをサポート」
技術的な関与の明示
プロジェクトマネージャーであっても、技術的な関与を示すことは重要です。
「【技術的な関与】
システムアーキテクチャ設計の方針策定に参画し、マイクロサービスアーキテクチャの採用を提案・決定
技術選定会議を主導し、開発言語、フレームワーク、クラウドサービスの選定基準を策定
技術的な課題が発生した際の解決方針の検討と、技術チームへの助言
コードレビューへの部分的な参加と、アーキテクチャの一貫性確保【継続的な技術学習】
PM業務の傍ら、AWSソリューションアーキテクト(プロフェッショナル)を取得
Kubernetes、Terraformなど最新のクラウドネイティブ技術を学習し、次期プロジェクトへの導入を検討中
月1回の社内技術勉強会に参加し、最新技術動向のキャッチアップを継続」
マネジメント職であっても、技術への関心と学習姿勢を示すことで、技術とビジネスの両面を理解できる人材であることをアピールできます。
7. まとめ|システムエンジニアの職務経歴書で書類選考を突破する
システムエンジニアの職務経歴書は、技術力とプロジェクト実績を明確に伝えることで、書類選考突破の鍵となります。
本記事で解説した5つのステップ(職務経歴の棚卸し→技術スキルの明確化→プロジェクト実績の数値化→リーダーシップのアピール→職務要約と自己PRの作成)に沿って作成することで、採用担当者に自身の価値を効果的に伝えられます。
経験レベルに応じた戦略を取り、専門用語の過度な使用や成果の記載不足、情報セキュリティへの配慮不足といったNG事項を避けることが重要です。
また、IT転職市場の動向を把握し、需要の高いスキルを職務経歴書に反映させることで、市場価値を最大化できます。
本記事のテンプレートと記入例を参考に、今日から職務経歴書の作成を始め、理想のキャリアへの一歩を踏み出しましょう。