日本のIT業界は深刻な人材不足に直面し、外国籍エンジニアの採用を積極化しています。
しかし、どの企業が働きやすいのか、年収やビザサポートは十分かなど、情報収集は容易ではありません。
本記事では外国籍ITエンジニアの評価などに基づき、さまざまな視点から企業をランキング形式で紹介し、日本でのキャリア構築を支援します。
- 外国籍エンジニア採用に積極的な日本のIT企業ランキングと各社の特徴について
- 外国籍エンジニアが高年収を得られる企業とビザサポートが充実している企業について
- 日本での就職成功事例と言語の壁を乗り越えるための具体的なアドバイスについて
1.外国籍エンジニアのための日本の就職市場ガイド

日本のIT業界は現在、深刻な人材不足に直面しています。経済産業省の調査によると、2030年までに約45万人のIT人材が不足すると予測されています。
この状況を背景に、多くの日本企業が海外からの優秀な人材を積極的に受け入れる姿勢を強めています。
外国籍エンジニアにとって、日本は高い技術水準、安全な生活環境、そして独自のビジネス文化を経験できる魅力的な就職先となっています。
また、日本政府も高度専門職ビザの要件緩和や在留資格の拡充を進め、外国籍IT人材の受け入れ体制を整えています。
日本のIT業界で外国籍エンジニアの需要が高まる理由
日本のIT業界で外国籍エンジニアの需要が高まっている理由はいくつかあります。
まず、少子高齢化による労働人口の減少が挙げられます。日本の生産年齢人口は年々減少しており、特にIT業界では人材確保が困難になっています。
また、デジタルトランスフォーメーション(DX)の推進により、システム開発や運用の需要が急増している一方で、国内のエンジニア供給が追いついていません。
グローバル展開を進める日本企業にとって、多言語対応やグローバルな視点を持つ外国籍エンジニアは貴重な戦力となります。
特に英語、中国語、ベトナム語などのスキルを持つエンジニアは、海外市場向けの製品開発や国際的なプロジェクトで重宝されています。
参考:経済産業省:DX推進施策
外国籍ITエンジニアが日本企業を選ぶメリット
外国籍ITエンジニアが日本企業を選ぶメリットは多岐にわたります。
- 日本企業の多くが提供する安定した雇用環境。欧米のテック企業と比較すると、日本企業は解雇が少なく、長期的なキャリア形成が可能。また日本の健康保険や年金などの社会保障制度も充実しており、生活の安心感につながっている。
- 日本の独自の技術やビジネスプラクティスを学ぶ機会が得られる。日本のものづくりの精神や品質管理手法、チームワークを重視する文化は、エンジニアとしてのスキルセットを広げるのに役立つ。
- 生活の質の高さ。公共交通機関の発達、治安の良さ、医療サービスの充実など、日本の生活インフラは世界的に見ても優れている。四季折々の美しい自然や豊かな食文化など、日常生活を豊かにする要素も多い。
- キャリアアップの機会として、日本での就業経験は国際的に評価されることが多く、グローバルなキャリアパスの構築に役立つ。特に日本語能力を身につけることで、アジア市場でのキャリア機会が広がる。
上記などの理由から、多くの外国籍ITエンジニアが日本での就職を選択しています。
次章では、外国籍人材採用に積極的な日本のIT企業をランキング形式で紹介します。
2.【外国籍エンジニア積極採用】日本のIT企業ランキング

日本のIT業界では、技術力の向上とグローバル展開を目指して、外国籍エンジニアの採用を積極的に行う企業が増えています。
ここでは、外国籍エンジニアの採用数などを考慮してランキング形式で紹介します。(※このランキングは、企業の公開情報や採用実績、外国籍エンジニアからの評価などを総合して独自に作成しています)
外国籍エンジニアの採用数からみるトップ10企業とその特徴
順位 | 企業名 | 主な採用国・地域 | 特徴・強み |
---|---|---|---|
1 | 楽天グループ株式会社 | インド、中国、米国、欧州各国 | 公用語が英語、グローバル採用が活発、多国籍なチーム構成 |
2 | 株式会社メルカリ | 米国、カナダ、インド、中国、東南アジア | スタートアップ文化、フレキシブルな働き方、英語環境 |
3 | LINEヤフー株式会社 | 韓国、台湾、タイ、インドネシア | アジア市場に強み、多言語対応のサービス開発 |
4 | 株式会社サイバーエージェント | 中国、韓国、東南アジア | インターン制度が充実、スタートアップ支援も活発 |
5 | ソフトバンクグループ株式会社 | インド、中国、米国、欧州 | グローバル事業展開、AI・次世代通信技術の開発 |
6 | 株式会社NTTデータグループ | インド、中国、東南アジア、欧州 | グローバルプロジェクト多数、海外拠点との連携強化 |
7 | 株式会社ファーストリテイリング | 中国、韓国、欧州、東南アジア | デジタル戦略を強化、グローバルな小売テックに注力 |
8 | サイボウズ株式会社 | 中国、ベトナム、タイ | リモートワーク推進、柔軟な働き方、ワークライフバランス重視 |
9 | 富士通株式会社 | インド、中国、欧州 | 長期的な技術開発、安定した勤務環境、研究開発に強み |
10 | ソニーグループ株式会社 | 米国、欧州、インド、中 | イノベーション重視、グローバルに活躍できる環境 |
トップ3企業の特徴
これらの企業は単に外国籍人材の採用数が多いだけでなく、多様な文化や考え方を尊重し、外国籍エンジニアが能力を最大限に発揮できる環境づくりに取り組んでいる点が共通しています。
検討する際は、採用数だけでなく、自分のキャリア目標や働き方の希望に合った企業を選ぶことが大切です。
楽天グループ株式会社

三木谷浩史CEO自らが「Englishnization」を推進し、社内公用語を英語にしたことで知られています。
特にエンジニア部門では多国籍なチームが一般的です。インドや中国など技術力の高い国からの採用も積極的に行っています。
株式会社メルカリ

メルカリは、「新たな価値を生みだす世界的なマーケットプレイスを創る」というミッションのもと、グローバル展開を視野に入れたサービス開発を行っており、外国籍エンジニアの採用に積極的です。
LINEヤフー株式会社

LINEは東アジアや東南アジアでの利用者が多いことから、これらの地域出身のエンジニアを多く採用しています。
多言語対応のサービス開発やローカライズに強みを持ち、各国の文化に合わせたサービス展開ができる環境が整っています。
3.【年収】外国籍エンジニア向け企業ランキング

日本で働く外国籍エンジニアにとって、年収は重要な要素の1つです。
特に海外からの移住を伴う場合、生活コストや将来的な貯蓄を考慮すると、適切な報酬を提供する企業を選ぶことが大切になります。
ここでは、外国籍エンジニアの平均年収などを考慮した独自のランキングを紹介します。
外国籍エンジニアの平均年収からみる企業ランキングTOP10
※年収を考慮したランキングは目安であり、スキル、各企業のポジション、採用状況などにより大きく変動します。
順位 | 企業名 | 平均年収 | 報酬の特徴 |
---|---|---|---|
1 | グーグル合同会社 | 1,700万円~ | 基本給+ボーナス+株式報酬、年4回のパフォーマンス評価 |
2 | 日本マイクロソフト株式会社 | 1,270万円~ | 競争力のある基本給、RSU(制限付き株式ユニット)付与 |
3 | Indeed Japan株式会社 | 1,005万円~ | 年2回のボーナス、リモートワーク対応、福利厚生充実 |
4 | アマゾンジャパン合同会社 | 946万円~ | 最初の2年間はサインオンボーナスが大きい、その後は株式報酬 |
5 | 株式会社メルカリ | 890万円~ | ストックオプション、パフォーマンスに応じたボーナス |
6 | アクセンチュア株式会社 | 860万円~ | グローバル水準の報酬体系、スキル認定による昇給制度 |
7 | ソフトバンクグループ株式会社 | 830万円~ | 業績連動型ボーナス、テクノロジー領域での特別手当 |
8 | 楽天グループ株式会社 | 700万円~ | グローバル統一の評価制度、英語環境でのキャリアアップ |
9 | LINEヤフー株式会社 | 690万円~ | 年2回のボーナス、インセンティブ制度あり |
10 | サイボウズ株式会社 | 600万円~ | 裁量労働制、リモートワーク、自己申告型の評価制度 |
参考:openwork
外国籍エンジニアの年収は、外資系IT企業がトップを占める傾向にあります。
特にGoogle、Microsoftなどの世界的テック企業の日本法人は、グローバルスタンダードに近い報酬体系を採用しており、基本給に加えて業績連動ボーナスや株式報酬など、総合的な報酬パッケージが魅力となっています。
日系企業ではグローバル展開を進める企業が比較的高い年収を提供しています。特にメルカリは、シリコンバレー型の報酬体系を取り入れており、ストックオプションや業績連動ボーナスなど、成果に応じた柔軟な報酬制度が特徴です。
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以下の記事では、日本で働くソフトウェアエンジニアの給与について、平均年収、市場動向を詳しく解説しています。
4.【ビザサポート】外国籍エンジニア向け支援が充実した企業ランキング

日本で働く外国籍エンジニアにとって、ビザ(在留資格)の取得・更新は最も重要な課題の1つです。
特に初めて日本で就労する場合、ビザ申請の複雑な手続きを自力で行うのは困難でしょう。ここでは、外国籍エンジニア向けのビザサポートや生活支援が充実している企業を紹介します。
就労ビザ取得サポートなどが手厚い日本のIT企業TOP10
順位 | 企業名 | ビザサポート内容 | 住居支援 | 言語・文化サポート | 家族サポート |
---|---|---|---|---|---|
1 | 楽天グループ株式会社 | 専門チームによる申請代行、高度専門職ビザへの切替支援、永住権取得支援 | 社宅制度、引越し費用負担、初期費用立替 | 日本語研修、日本文化研修、英語環境 | 配偶者・子供のビザ取得支援、インターナショナルスクール費用補助 |
2 | 株式会社メルカリ | 全額会社負担のビザ手続き、行政書士との連携、永住権取得ロードマップ提供 | 住居手配サービス、家賃補助、一時滞在施設提供 | 無料日本語レッスン、バイリンガルバディ制度 | 家族ビザ手続き支援、医療通訳サービス |
3 | グーグル合同会社 | グローバル移住支援チーム、高度専門職ビザ取得サポート、駐在員制度 | 住居探し代行、初期費用全額負担、短期宿泊施設 | 日本語・英語クラス、文化適応プログラム | 家族向けビザ取得・更新サポート、学校探し支援 |
4 | 株式会社サイバーエージェント | 入社前からのビザ取得サポート、申請書類の翻訳、在留期間更新支援 | 社宅制度、家賃補助、不動産会社の紹介 | 日本語研修、社内通訳、英語対応可能な部署 | 配偶者ビザサポート、子供の教育相談 |
5 | LINEヤフー株式会社 | 入社手続きと連動したビザ申請、更新時期通知システム、永住権取得アドバイス | 短期滞在施設、家賃補助、引越し費用負担 | 日本語クラス、メンター制度、多言語対応 | 家族向け医療保険、子供の教育コンサルティング |
6 | 日本マイクロソフト株式会社 | 専門家による個別ビザコンサルティング、高度専門職要件の達成支援 | 住居手配サポート、初期費用補助 | 言語研修プログラム、異文化理解ワークショップ | 家族向け生活立ち上げサポート、教育コンサルティング |
7 | 株式会社リクルートホールディングス | ビザ申請費用全額負担、在留資格コンサルティング、行政書士紹介 | 社宅制度、家賃補助、住居探しサポート | 日本語クラス、日本文化体験イベント | 配偶者のビザ・就労支援、教育相談 |
8 | ソフトバンクグループ株式会社 | ビザ申請代行、高度人材認定制度の活用支援、在留カード手続き | 住居情報提供、家賃補助、引越し費用補助 | 日本語教育、生活支援ヘルプデスク | 家族向け医療相談、学校情報提供 |
9 | アマゾンジャパン合同会社 | ビザ専門チームによるサポート、グローバル移住プログラム | 一時住居提供、住居探しアシスタント | 異文化研修、言語クラス、メンターシステム | 配偶者の就労サポート、教育コンサルティング |
10 | 株式会社ディー・エヌ・エー(DeNA) | ビザ申請代行、申請書類の翻訳、在留資格変更サポート | 住居情報提供、初期費用補助 | 日本語クラス、文化交流イベント | 家族ビザサポート、生活立ち上げ支援 |
上記の企業に共通しているのは、単にビザ申請の手続きをサポートするだけでなく、日本での生活全般をサポートする包括的な支援体制が整っていることです。
特に、言語の壁や文化の違いを乗り越えるためのサポート、家族全体の生活をサポートする制度が充実しています。
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以下の記事では、日本就労ビザの取得について、詳しく解説しています。
5.外国籍エンジニアに人気の企業の特徴

日本で働く外国籍エンジニアにとって魅力的な企業には、いくつかの共通する特徴があります。
ここでは、外国籍人材から高い評価を得ている企業が持つ特徴をくわしく解説します。これらの特徴を理解することで、自分に合った職場環境を提供する企業を見つける手がかりになるでしょう。
高度専門職ビザ取得につながるキャリアパスを提供する
外国籍エンジニアにとって、「高度専門職ビザ」の取得は日本での長期的なキャリア構築において重要なステップです。
このビザは通常の就労ビザと比較して多くの優遇措置があり、在留期間が長く、活動範囲も広いという利点があります。
人気の高い企業では、高度専門職ビザのポイント制(学歴、職歴、年収などによるポイント評価)で高得点を獲得できるようなキャリアパスを提供しています。
例えば、年収面での配慮、研究開発職など、ポイント加算される職種への配置、特許取得や論文発表のサポート、日本語能力向上のための研修提供などが挙げられます。
楽天やメルカリなどでは、入社時から高度専門職ビザ取得を視野に入れたキャリア計画を提案し、ポイント獲得に必要な条件を計画的に満たせるようアドバイスを行っています。
永住権取得を視野に入れた長期キャリアプランを支援
高度専門職ビザを取得したエンジニアは最短で1年後に永住権申請が可能となるため、永住権取得を見据えた長期的なキャリアパスを提供する企業は高い評価を受けています。
先進的な企業では、外国籍社員向けに永住権申請のタイミングに合わせたキャリア計画の策定、永住権申請に必要な書類作成の支援、「素行要件」(納税や社会保険加入など)を満たすためのアドバイス、永住後も含めた長期的なキャリアビジョンの相談などのサポートを行っています。
またあるグローバル企業では、「グローバル人材の現地化」という方針のもと、優秀な外国籍エンジニアが永住権を取得して長期的に日本で活躍できるよう、計画的なキャリア開発プログラムを提供しています。
外国籍人材向け税制優遇や補助が充実
日本政府は「高度外国人材」の受け入れを促進するため、さまざまな税制優遇措置を設けています。
これらの制度を積極的に活用し、外国籍エンジニアの税負担を軽減する取り組みを行っている企業は高い評価を得ています。
代表的な税制優遇措置には以下のようなものがあります。
- 高度外国人材向け所得税優遇制度(一定の国外資産からの所得を課税対象から除外)
- 海外財産調書の提出免除
- 引越し費用の非課税扱い
- 住宅取得時の減税措置
先進的な企業では、税理士によるセミナーを開催したり、個別の税務相談サービスを提供したりすることで、外国籍社員が税制優遇を最大限に活用できるようサポートしています。
また確定申告の時期には英語での書類作成サポートを提供する企業も増えています。
英語環境が整っている
日本語能力に不安がある外国籍エンジニアにとって、社内での英語使用環境は極めて重要な要素です。
人気の高い企業では、社内公用語を英語に設定(楽天、メルカリなど)、重要な会議や書類は英語対応(Google、Microsoft、Amazonなど)、バイリンガルのメンターやバディ制度の導入、英語と日本語のバイリンガル環境の整備、同時通訳サービスの提供などの取り組みを行っています。
特に楽天グループは2010年に「Englishnization」を開始し、社内公用語を英語にしたことで知られています。メルカリやLINEなども多言語環境を整備し、言語に関わらず能力を発揮できる環境づくりに力を入れています。
年功序列にとらわれないグローバルな評価制度を持つ
日本の伝統的な年功序列型の評価制度は、外国籍エンジニアにとってキャリア発展の障壁と感じられることがあります。
人気の高い企業では、スキルと成果に基づく評価、年齢や勤続年数に依存しない昇進システム、定期的なパフォーマンスレビュー、透明性の高い評価基準、グローバル共通の評価フレームワークなどを採用しています。
例えば、Google Japanでは四半期ごとのパフォーマンスレビューを実施し、目標達成度に応じた評価を行っています。
また、Microsoftやサイバーエージェントなどでは、リーダーシップやイノベーション能力など、多面的な評価基準を設け、外国籍エンジニアも公平に評価される仕組みを整えています。
家族ビザや社会保険など生活基盤整備をサポートする
外国籍エンジニア、特に家族と共に来日する場合には、生活基盤の整備が重要な課題となります。
人気の高い企業では、家族のビザ取得支援、住居探しや契約手続きのサポート、銀行口座開設や携帯電話契約のサポート、子どもの学校探しや入学手続き支援、医療機関の紹介や通院同行サービス、日本の社会保険制度の説明と手続き支援などを提供しています。
特に、家族全体の生活をサポートする制度が充実している企業は高い評価を受けています。
例えば、Googleでは専門のリロケーションチームが家族を含めた生活立ち上げを全面的にサポートし、楽天では子どものインターナショナル費用の補助や家族向け医療保険の提供を行っています。
6.【業界別】外国籍エンジニアが活躍できる分野

日本のIT業界は多岐にわたる分野で構成されており、外国籍エンジニアはそれぞれの分野で異なる強みを発揮することができます。
ここでは、外国籍エンジニアが特に活躍できる5つの主要分野について、求められるスキルや役割などを紹介します。
グローバル展開するSIer企業での外国籍エンジニアの役割
システムインテグレーション企業(SIer)は、顧客企業の業務システムの設計・開発・運用を行う企業です。
特にグローバル展開しているSIerでは、外国籍エンジニアの需要が高まっています。
外国籍エンジニアに求められる主な役割
- 海外拠点とのコミュニケーション橋渡し役
- グローバルプロジェクトでの多言語対応
- 母国市場に関する知見の提供
- オフショア開発拠点との連携強化 など
SIer企業は安定した雇用と体系的なキャリアパスを提供する傾向があり、長期的なキャリア形成を希望する外国籍エンジニアに適しています。
特に大規模SIerでは研修制度が充実しており、技術力向上の機会も豊富です。
スタートアップ・ベンチャー企業で評価される外国籍人材の強み
日本のスタートアップ・ベンチャー企業は急成長を遂げており、グローバル展開を視野に入れた事業開発を行っています。
こうした企業では、多様な視点とグローバルマインドセットを持つ外国籍エンジニアが高く評価されています。
外国籍エンジニアの主な強み
- グローバル市場を見据えたプロダクト開発視点
- アジャイル開発やリーンスタートアップなどの最新手法の知見
- 海外スタートアップエコシステムとのネットワーク
- 多様な文化背景による創造的な問題解決アプローチなど
スタートアップ企業では、年功序列ではなく実力主義の評価体系が導入されていることが多く、実力次第で早期のキャリア成長が可能です。
また幅広い業務に携わることができるため、多様なスキルを習得できる点も魅力です。
外資系IT企業の日本オフィスで求められるバイリンガルスキル
外資系IT企業の日本オフィスでは、グローバル本社と日本市場の橋渡しができるバイリンガル人材が非常に重宝されています。
外国籍エンジニアは言語スキルと技術力を活かして重要な役割を担うことができます。
外国籍エンジニアに求められる主な役割
- 本社と日本オフィス間の技術的コミュニケーション
- グローバルプロダクトの日本市場へのローカライズ
- 日本特有の要件を本社の開発チームに伝える
- 技術サポートやカスタマーサクセス など
外資系IT企業は一般的に給与水準が高く、グローバルキャリアの構築にも有利です。
また、最新技術に触れる機会が多く、技術力向上においても恵まれた環境と言えるでしょう。
研究開発・AI分野で外国籍エンジニアの専門性を活かせる企業
研究開発やAI分野は、グローバルな人材獲得競争が特に激しい領域です。日本企業も優秀な研究者やエンジニアの採用に力を入れており、専門性を活かせる機会が豊富にあります。
外国籍エンジニアの専門性が活かせる領域
- 機械学習・深層学習の研究開発
- 自然言語処理や画像認識などの専門分野
- データサイエンスと高度なアナリティクス
- 産学連携研究プロジェクト など
研究開発・AI分野では、専門性の高いエンジニアが高く評価され、競争力のある報酬パッケージが提供されることが多いです。
また、国際的な研究コミュニティとの交流や論文発表の機会も豊富にあります
フィンテック・ブロックチェーン分野の国際的プロジェクト事例
フィンテックやブロックチェーン技術は国境を越えた取引や決済を可能にする性質上、国際的な視点を持つ外国籍エンジニアが重要な役割を果たしています。
日本でもこの分野は急速に発展しており、外国籍エンジニアの活躍の場が広がっています。
国際的プロジェクト事例
- 国際送金システムの開発と実装
- クロスボーダー決済プラットフォームの構築
- 多通貨対応の暗号資産取引所開発
- ブロックチェーンを活用した国際的サプライチェーン管理など
フィンテック・ブロックチェーン分野は比較的新しい領域であるため、実力次第で早期にリーダーシップポジションにつける可能性があります。
また、グローバルな視点が特に重視される分野なので、外国籍エンジニアの強みを最大限に活かせる環境と言えるでしょう。
7.【地域別】外国籍エンジニアに人気の勤務地ランキング

日本で働く外国籍エンジニアにとって、勤務地選びは仕事内容と同じくらい重要な要素です。
勤務地によって、生活コスト、コミュニティ環境、キャリア機会、生活の質が大きく異なるからです。ここでは、外国籍エンジニアに人気の勤務地をランキング形式で紹介し、それぞれの特徴を解説します。
1位 東京都内:外国籍人材のコミュニティが充実したIT企業集積エリア
東京は日本最大のIT企業集積地であり、外国籍エンジニアが最も多く働いている都市です。
特に以下のエリアがIT企業と外国製人材コミュニティの両面で充実しています。
東京の主要なIT企業集積エリア
渋谷・恵比寿エリア(スタートアップからグローバル企業まで多様なIT企業が集中。Google、Amazon、メルカリなどが拠点を構える「ビットバレー」)
六本木・赤坂エリア(外資系企業が多く、国際色豊かな環境)
丸の内・大手町エリア(大手SIerや金融テック企業が集中)
品川・田町エリア(Microsoft、Salesforceなど外資系テック企業の日本法人が集まる)など
東京の強みは、圧倒的な求人数と多様なキャリア選択肢、充実したコミュニティ、国際的な教育機関、多言語対応の医療施設や行政サービス、多様な食文化と国際色豊かな生活環境などが挙げられます。
一方で、高い住居費用、通勤ラッシュと長い通勤時間、生活コスト全般の高さなどが課題となります。
東京ではエンジニアの平均年収は600〜1,200万円程度と日本国内では高水準ですが、生活コストも高いため、特に家族と暮らす場合は収支バランスを考慮する必要があります。
ただし、国際的なキャリア構築とネットワーク形成の観点では、最も機会が豊富な地域と言えるでしょう。
2位 大阪・名古屋:生活コストと給与バランスに優れた地方都市の魅力
東京に次ぐ大都市である大阪と名古屋は、東京よりも生活コストがやや低い一方で、比較的高い給与水準を維持している点が魅力です。
大阪・名古屋のIT業界特徴
大阪…関西地区のIT産業集積地(グランフロント大阪など)、EC関連企業やゲーム開発会社が多い、スタートアップエコシステムの形成が進んでいることなどが挙げられます。
名古屋…製造業のDX関連企業やサプライチェーン技術の開発企業、自動車産業と連携したIoT、組込みシステム開発、トヨタグループ関連のIT企業集積などが特徴です。
大阪・名古屋の強みは、東京と比較して家賃が低い、通勤時間の短さと生活の質の高さ、食費や外食費などの生活コスト全般の低さ、地方特有の温かいコミュニティなどが挙げられます。
一方で、東京と比較して求人数が少ない、英語環境の企業が限られる、国際的な教育・医療インフラの選択肢が少ないといった課題があります。
大阪・名古屋でのエンジニアの平均年収は東京より若干低いものの、生活コストとのバランスを考えると、可処分所得は同等かそれ以上になることもあります。
特に家族での移住や生活の質を重視する外国籍エンジニアにとって魅力的な選択肢となっています。
3位 福岡・札幌:地方創生とIT産業の新興地域で求められる外国籍人材
福岡と札幌は近年、地方創生の一環としてIT産業の誘致・育成に力を入れており、外国籍エンジニアにとって新たな可能性を秘めた地域として注目されています。
福岡・札幌のIT業界特徴
福岡…「スタートアップ都市」を標榜し、起業支援制度が充実、福岡市が運営する「Fukuoka Growth Next」などの創業支援施設、LINE福岡オフィスなど大手IT企業の拠点、アジア諸国とのつながりを活かした国際展開などが挙げられます。
札幌…ゲーム開発企業や独立系ソフトウェア企業の集積、「札幌市AIビジネス創出人材育成事業」などの人材育成プログラム、リモートワークと組み合わせた移住促進、冬季オリンピック開催都市としての国際性などが特徴です。
福岡・札幌の強みは、手頃な住居費用、自然環境と都市機能のバランスの良さ、地方自治体による支援プログラムの充実、独自の食文化や季節イベントなどの魅力などが挙げられます。
一方で、グローバル企業の拠点が限られる、キャリアアップの選択肢が東京と比べて少ない、国際便の直行便が限られるなど海外とのアクセス面での制約があります。
福岡・札幌でのエンジニアの平均年収は東京より低めですが、生活コストが低いため、ゆとりある生活を送ることができます。
特に、ワークライフバランスを重視する外国籍エンジニアや、自然環境の中で暮らしたい方に適した選択肢です。
リモートワーク対応:地方在住でも参画できるグローバルチーム
新型コロナウイルスの影響もあり、完全リモートワークやハイブリッドワークを導入するIT企業が増加しています。
これにより、東京などの大都市に住まなくても、高待遇の仕事に就ける可能性が広がっています。
リモートワークのメリット | ・住む場所を自由に選べる(生活コスト最適化が可能) ・通勤時間がなく、ワークライフバランスを確保しやすい ・家族の事情(配偶者の転勤、子どもの教育など)に合わせた柔軟な対応 ・日本全国の魅力的な地域で暮らしながら働ける など |
リモートワークのデメリット | ・キャリア形成や人間関係構築において対面の機会が限られる ・時差やコミュニケーションの障壁(特に日本語環境の場合) ・在宅勤務に適した住環境の確保が必要 ・ビザ申請時の「就労場所」の扱いに注意が必要 など |
リモートワーク主体の働き方を選ぶ場合、東京レベルの年収(700〜1,000万円程度)を得ながら、地方の低コストで質の高い生活を送ることも可能です。
特に、沖縄、軽井沢、湘南などの自然環境に恵まれた地域に移住する外国籍ITエンジニアも増えています。
特に初めて日本で働く場合は、まず東京などの大都市でキャリアをスタートし、日本の生活やビジネス文化に慣れてから、他の地域への移住を検討するというアプローチも一般的です。
8.【成功事例】日本で活躍する外国籍ITエンジニアのキャリアストーリー

日本で成功を収めている外国籍ITエンジニアのリアルなキャリアストーリーを紹介します。
これらの事例から、言語の壁や文化の違いを乗り越え、日本でキャリアを構築するためのヒントを得ることができるでしょう。
入社1年目:言語の壁を乗り越えた新卒外国籍エンジニアの体験談
マイケル・チェン(仮名)/28歳/中国出身/Webエンジニア
マイケルは北京の大学でコンピュータサイエンスを専攻。大学4年次に日本の就職フェアに参加し、楽天のグローバル採用プログラムに応募、内定を獲得しました。
入社時のJLPT N3レベルの日本語能力では業務上のコミュニケーションに限界があった、技術用語の日本語表現が分からず仕様書の理解に時間がかかった、チームの飲み会や雑談についていけず孤立感を感じた、日本特有の「暗黙の了解」や「報連相」の文化に適応するのが難しかったなどの課題に直面しました。
これらの課題を克服するために、楽天の「Englishnization」プログラムのおかげで業務上は英語でコミュニケーションが取れた、日本人の「バディ」がつき業務や生活面でのサポートを受けられた、チーム内で週1回「国際交流ランチ」を開催し互いの文化を学ぶ機会を作ったなどの工夫をしました。
入社から1年が経ち、マイケルは今ではチーム内でフロントエンド開発のエキスパートとして認められています。日本語能力もN2レベルまで向上し、徐々にプロジェクトのリード役も任されるようになりました。
技術力で評価:日本企業でリーダーシップを発揮するエンジニアの声
アニータ・シン(仮名)/35歳/インド出身/AIエンジニア
アニータはインド工科大学(IIT)でコンピュータサイエンスの修士号を取得後、インドのIT企業で3年間働きました。その後、日本のAIスタートアップ企業に転職しています。
アニータのキャリアパスは、インドのIT企業でソフトウェアエンジニアとして3年勤務、日本のAIスタートアップに機械学習エンジニアとして転職、2年目に自然言語処理プロジェクトのリーダーに抜擢、3年目に複数の特許を取得しテクニカルリードに昇進、現在は次世代AI製品の開発チームを率いています。
アニータは技術力に加えて、コミュニケーション能力の向上にも努めました。日本語はビジネスレベルには達していないものの、チーム内での英語の使用を促進し、重要なミーティングでは通訳を活用するなど、工夫を重ねています。
起業への道:日本での経験を活かして独立した外国籍エンジニア
デイビッド・ワン(仮名)/42歳/米国出身/テックアントレプレナー
デイビッドは米国の大学でコンピュータサイエンスを専攻後、シリコンバレーのテック企業で働いていました。日本の大手ゲーム会社のグローバル展開プロジェクトに参加するため来日し、その後7年間日本企業で働いた経験を活かして、越境ECのテクノロジースタートアップを東京で創業。
デイビッドのキャリアパスは、米国テック企業でソフトウェアエンジニアとして5年勤務、日本のゲーム会社の海外展開部門で3年間勤務、日系IT企業でプロダクトマネージャーとして4年間勤務、東京で越境EC向けのSaaSプラットフォームを創業、日本とアジア市場を中心に事業展開し従業員30名規模に成長しています。
デイビッドは日本での起業成功のポイントとして、日本企業での勤務経験を通じて構築した人脈とクライアント基盤、日本特有のビジネス慣行への理解と適応、日本人の共同創業者との協業、日本とグローバル市場の「橋渡し」という明確な価値提案、スタートアップ支援プログラムの活用などを挙げています。
「日本で起業する外国人として最も重要なのは、『日本特有の課題』を解決するビジネスモデルを構築することです。単にグローバルで成功したモデルを持ち込むだけでは上手くいきません。日本市場の特性を理解し、それに合わせたカスタマイズが必要です」とデイビッドは語ります。
9.よくある質問:外国籍エンジニアの日本就職Q&A

日本でのエンジニア就職を考える外国籍人材の方から寄せられるよくある質問とその回答をまとめました。
日本での就職活動や転職を検討されている方は、ぜひ参考にしてください。
日本語がまだ流暢でなくても就職できる企業はありますか?
Q:私は日本語能力試験N3レベルですが、日本のIT企業に就職できるチャンスはありますか?
A:はい、日本語レベルがN3程度でも就職可能な企業は多数あります。
■日本語に不安がある際に企業を選ぶポイント
- 英語環境が整っている(社内公用語が英語または英語との併用環境、グローバル企業の日本オフィスで英語環境が整備など)
- 外国籍人材採用に積極的なスタートアップ企業を選ぶ(事業拡大中のスタートアップで技術力重視の採用をしている、高度な技術分野で専門性を重視など)
- 国際的なプロジェクトを多く手がけるSIerを選ぶ(グローバルプロジェクト担当部署がある、多国籍チームでの開発案件実績)など
実際の就職可能性は、技術スキル、経験、英語力、求人状況などの要因によって異なります。
ただし、技術スキルの証明、英語力の高さ、日本語学習への意欲などのポイントを押さえておくことで、日本語が発展途上でも就職のチャンスが高まります。
外国籍エンジニアの給与は日本人と同等ですか?交渉は可能?
Q:外国籍エンジニアは日本人エンジニアと同じ給与水準ですか?給与交渉はできますか?
A:基本的に、多くの日本企業では国籍による給与差はなく、スキル・経験・実績に基づいて決定されます。ただし、以下のような特徴があります。
給与の傾向としては、大手企業やグローバル企業では一般的に国籍に関わらず同一の給与テーブルを適用、スタートアップ企業ではスキルや専門性に応じた柔軟な給与設定が多い、外資系企業ではグローバル水準に近い給与体系で日本人より高給となる場合もあります。
外国籍エンジニアが高待遇を受けやすいケースとしては、希少性の高い専門スキル(AI、ブロックチェーン、クラウドセキュリティなど)、グローバル展開に不可欠な言語スキルや文化的知識、海外市場での経験や実績などが挙げられます。
一般的に、外資系企業やスタートアップでは給与交渉の余地が大きく、伝統的な日本企業では給与テーブルが固定されていることが多いです。
また、転職時は前職より20〜30%アップが目安とされていますが、スキルセットによっては50%以上のアップも可能です。
日本での勤務経験がなくても応募できる企業の見つけ方
Q:海外在住で日本での勤務経験がない場合、どうやって日本の企業に応募できますか?
A:日本での勤務経験がなくても、以下の方法などで日本企業への就職活動を進めることができます。
外国籍エンジニア採用に特化したプラットフォームを活用する方法 | ・Japan Dev(英語で応募可能な日本のIT求人に特化したプラットフォーム) ・Daijob(バイリンガル人材向けの求人サイト) ・LinkedIn Japan(外資系や国際的な日本企業の求人が多数掲載) ・TokyoDev(東京のテック企業で英語環境の求人を紹介) ・Jobs in Japan(英語で応募可能な求人を幅広く掲載)など |
専門エージェントサービスを利用する方法 | ・Robert Walters(外国籍技術者の日本就職に強みを持つグローバルエージェント) ・Michael Page(IT・テクノロジー分野に強い人材紹介会社) ・JapanWork(日本での就職を希望する外国籍人材に特化したエージェント)など |
10.外国籍エンジニアの日本での就職ランキングから働き方がみえてくる

日本のIT業界は、グローバル化と人材不足により外国籍エンジニアにとって大きなチャンスがあります。
言語や文化の壁はありますが、適切な企業選びと準備によって充実したキャリアを構築できます。
技術力を磨き、日本語学習を継続し、自国の強みを活かすことで、あなたも日本で成功できるでしょう。
本記事が皆さんのキャリア構築の一助となれば幸いです。
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