IT業界のデジタル化が加速する中、専門性の高いスキルを持つエンジニアの需要が急増しています。経済産業省の調査によると、2030年までに約79万人のIT人材が不足すると予測されており、IT人材市場は売り手市場の状態が続いています。
本記事では日本で特に需要の高いITスキルについて、市場動向や将来性、年収情報とともに解説します。
※下記の記事のは英語版になります。(Read this article in English, please click bottom↓)
- 日本のIT人材市場の現状と、特に需要の高い職種やスキルについて
- IT業界で高収入を得るために必要な技術スタックと専門性について
- 将来性の高いITスキルの見極め方と効率的な習得方法について
1.日本のIT人材市場の現状

現在、日本のIT人材市場は大きな転換期を迎えています。デジタル化の波が全産業に広がり、IT人材の需要は過去最高水準に達しているのです。
特にDX推進やクラウド移行、セキュリティ対策など、専門性の高い人材の不足が顕著となっています。
深刻化するIT人材不足の実態
経済産業省の調査によると、2030年までに最大で約79万人のIT人材が不足すると予測されています。この深刻な人材不足はデジタル化の急速な進展による需要増加や、専門的なIT人材の育成が追いついていない現状が主な要因となっています。
さらに従来型産業のDX推進による新規需要の創出も、人材不足に拍車をかけています。このような状況は、IT人材にとって売り手市場が今後も継続することを示唆しています。
DX推進で高まる企業のITニーズ
日本企業のデジタル化は、コロナ禍を契機に大きく加速しています。特に顕著な変化として、リモートワークやオンライン会議の標準化が挙げられます。
また多くの企業がクラウドサービスを本格導入し、業務プロセスのデジタル化を推進しています。AIやIoTを活用した業務効率化の取り組みも活発化しており、さまざまな変化に対応できるIT人材への需要は今後さらに高まることが予想されます。
■合わせて読みたい
以下の記事では、日本で働くソフトウェアエンジニアの給与について、平均年収、市場動向を詳しく解説しています。
2.今後10年で需要が高まるITスキル

テクノロジーの急速な進化により、IT業界で求められるスキルセットは大きく変化しています。特にAI、クラウド、セキュリティ、データサイエンスの分野では、専門性の高い人材への需要が急増しています。
ここでは、今後10年間で特に需要が高まると予測される主要なITスキルについてくわしく解説します。
AI・機械学習関連スキル
AI・機械学習分野では、PythonやPyTorchを使用した機械学習モデル開発のスキルが特に重要視されています。また自然言語処理(NLP)やコンピュータビジョンの専門知識も高い需要があります。
機械学習モデルの運用管理を行うMLOpsや、AI倫理とガバナンスに関する知識も今後ますます重要性を増すと考えられています。
クラウドアーキテクチャ設計
クラウド技術の分野では、AWS、Azure、GCPといった主要クラウドプラットフォームの実務経験が重要です。特にマイクロサービスアーキテクチャの設計や、DockerやKubernetesといったコンテナ技術の知識が求められています。
またクラウドセキュリティやインフラストラクチャのコード化(IaC)のスキルも、企業のクラウド活用が進むにつれて需要が高まっています。
サイバーセキュリティ
サイバーセキュリティの分野では、ネットワークセキュリティの基礎知識に加えて、クラウドセキュリティの専門知識が必須となっています。
インシデント対応能力やセキュリティ監査の実施スキル、さらにはペネトレーションテストの実施能力など、包括的なセキュリティスキルが求められています。
サイバー攻撃の巧妙化に伴い、これらのスキルを持つ人材の需要は今後も増加傾向が続くと予測されています。
データサイエンス・分析
データサイエンス分野では、RやPythonを用いたデータ分析スキルが基本となります。ビッグデータ処理技術や、データビジュアライゼーションのスキル、統計解析の知識も重要です。
さらにビジネスインテリジェンスツールを活用したデータ分析と可視化の能力も、多くの企業で求められています。データ駆動型の意思決定が一般化する中、これらのスキルを持つ人材の価値は今後も高まり続けるでしょう。
■合わせて読みたい
以下の記事では、日本IT企業で成功するための5つの必須スキルについて、詳しく解説しています。
3.職種別に見る必須ITスキル

IT業界では職種によって求められる専門性が大きく異なります。各職種に特化した技術スタックを理解し、適切なスキル開発を行うことがキャリアの発展には不可欠です。
ここでは主要なIT職種それぞれについて、習得すべき必須スキルをくわしく見ていきます。
バックエンドエンジニアに求められるスキル
バックエンド開発では、Java、Python、Goなどのサーバーサイド言語の習得が必須です。またデータベース設計と管理、APIの設計と実装の能力も重要です。
マイクロサービスアーキテクチャの理解とCI/CDの実践能力も、現代のバックエンド開発には欠かせないスキルとなっています。
フロントエンドエンジニアの必須スキル
フロントエンド開発においては、JavaScriptとTypeScriptなどの理解が求められます。またReact、Vue.js、Angularなどのモダンなフレームワークの実践的なスキルも必須です。
HTML5とCSS3の基礎はもちろん、Webパフォーマンスの最適化やSEOへの理解、レスポンシブデザインの実装能力も重要なスキルとして位置づけられています。
DevOpsエンジニアに必要なスキル
DevOpsの実践には、CI/CDパイプラインの構築能力とコンテナ化技術の理解が不可欠です。インフラのコード化やモニタリング、障害対応の能力も重要です。
また自動化スクリプティングのスキルを活用して、開発から運用までのプロセスを効率化できる能力が求められています。
4.高収入が期待できるITスキル

IT業界の特徴の1つとして、専門性の高さが収入に直結しやすい点が挙げられます。特に先端技術分野では、スキルの希少性と需要の高さから、高額な報酬が期待できます。
ここでは特に高収入につながりやすいITスキルとその市場価値について解説します。
年収1,000万円が実現可能な技術スタック
高収入につながる専門性の高いスキルとして、AIアーキテクト、クラウドアーキテクト、セキュリティアーキテクトが挙げられます。
またデータサイエンティスト、SREエンジニアの年収水準も高いとされます。これらの職種は、高度な専門知識と実務経験が求められる一方で、それに見合った報酬が得られる可能性がある領域となっています。
フリーランス向け高単価スキル
フリーランスとして活動する場合さまざまな条件などにもよりますが、クラウドネイティブ開発、AIモデル開発、ブロックチェーン開発、セキュリティコンサルティングは高単価が期待できます。
これらの分野は、専門性の高さと市場での需要の高さから、フリーランスとして高い報酬を得られる可能性がある領域です。
5.ITスキル習得のためのロードマップ

ITスキルの習得は、計画的かつ段階的なアプローチが重要です。初学者からエキスパートまで、各レベルに応じた効果的な学習方法と習得にかかる期間の目安を理解することで、より効率的なスキルアップが可能となります。
以下では具体的な学習のステップと、活用できるリソースについて説明します。
効率的な学習順序と期間
ITスキルの習得はまず基礎スキルの習得から始め、経験を積みながらも継続的に学んでいくことが重要です。IT技術は日々進化していくため、常に情報を得る・学ぶ姿勢も評価につながっていくでしょう。
ITスキル習得の主な流れ
1.はじめの3~6ヶ月 | 2.6~12ヶ月 | 3.継続的に |
・プログラミングの基礎 アルゴリズムとデータ構造Git/GitHubの使用方法などを学ぶ | ・専門分野の選択と深化を行う ・各専門領域の基礎理論を学ぶ ・実践的なプロジェクト経験を積みながら、必要な資格の取得を目指す | ・インターンシップへの参加 ・オープンソースプロジェクトへの貢献 ・ポートフォリオの作成など ・実務スキルの向上を図る |
おすすめの学習リソース
IT技術の学習には、Coursera、Udemy、edXなどのオンライン学習プラットフォームが効果的です。また技術書籍やオフィシャルドキュメントでの学習、ハンズオンワークショップへの参加も重要です。
さらに技術コミュニティへの参加を通じて、最新の技術動向をキャッチアップし実践的なスキルを磨くこともできるでしょう。
6.将来性の高いITスキルの見極め方

技術の進化が急速なIT業界では将来性の高いスキルを見極める目利き力が重要です。市場のトレンドを的確に把握し、需要の変化を予測することで効果的なスキル投資が可能となります。
ここではITスキルの将来性を評価するための具体的な方法と、グローバル市場での動向について解説します。
技術トレンドの把握方法
技術トレンドを把握するために効果的な方法
- 技術カンファレンスへの参加
- 業界レポートの確認
- 技術ブログの定期的な閲覧
- GitHubトレンドの分析
求人数の推移や年収水準の変化、企業の投資動向、スタートアップの採用動向なども、重要な評価指標となります。情報を総合的に分析することで、将来性の高い技術領域を見極めることができます。
グローバル市場での需要動向
グローバル市場で特に高い需要がみられる技術領域
- クラウドネイティブ開発
- AIと機械学習
- サイバーセキュリティ
- ブロックチェーン
- エッジコンピューティング など
上記のスキルは日本国内だけでなく、グローバルでのキャリア形成においても大きな価値を持ちます。世界的な技術トレンドを把握し、それに応じたスキル開発を行うことで、より幅広いキャリアオプションを確保することができます。
7.日本のIT業界で需要の高いスキルを常にキャッチする

IT業界は技術革新とともに常に進化を続けており、求められるスキルも日々変化しています。特にAI、クラウド、セキュリティ分野での専門性は、今後も高い需要が見込まれます。
自身のキャリアプランに合わせて必要なスキルを見極め、計画的な学習を進めることで、IT業界での活躍の可能性は大きく広がるでしょう。市場価値の高いスキルを習得し継続的な学習を心がけることが、IT業界での成功への近道となります。