日本のIT業界は深刻な人材不足により、外国籍ITエンジニアへの需要が急速に高まっています。しかし、言語の壁やビザ手続き、企業文化の違いなど、転職活動には多くの課題があります。
この記事では、外国籍ITエンジニアの転職を専門的にサポートする転職エージェント15選を、ビザサポート・英語対応・業界特化などの観点からくわしく解説します。
- ビザサポートに強い転職エージェントと具体的な支援内容について
- 英語面接対応が充実したバイリンガルサポート転職エージェントについて
- 外国籍ITエンジニアの転職成功事例と実践的なノウハウについて
1.外国籍ITエンジニアの日本転職市場の現状とトレンド

日本のIT業界は深刻な人材不足に直面しており、外国籍ITエンジニアへの注目が高まっています。ここでは、現在の転職市場の状況と今後のトレンドについてくわしく解説します。
日本のIT人材不足と海外エンジニア需要の拡大
日本のIT業界は深刻な人材不足に直面しており、経済産業省の調査によると、2030年には最大で約45万人のIT人材が不足すると予測されています。
この状況を受け、多くの日系企業が外国籍ITエンジニアの積極採用に踏み切っており、海外人材への需要は年々高まっています。
特にAI・機械学習、クラウドインフラ、セキュリティ、フルスタック開発などの分野では、高度なスキルを持つ外国籍エンジニアが求められています。
大手IT企業だけでなく、スタートアップやベンチャー企業も積極的に海外人材を採用し、多様性のあるチーム作りを進めています。
現在の外国籍エンジニア採用動向と給与水準
現在、外国籍ITエンジニアの転職市場は非常に活況を呈しています。外国籍エンジニア向けの求人数は増加しており、特にリモートワーク可能なポジションが人気を集めています。
給与水準については、外国籍エンジニアと日本人エンジニアの待遇格差は大幅に縮小しており、むしろ高いスキルを持つ外国籍人材の方が高収入を得るケースも増えています。
年収レンジの例
- ジュニアエンジニア(経験1-3年): 400万円~600万円
- ミドルエンジニア(経験3-7年): 600万円~900万円
- シニアエンジニア(経験7年以上): 800万円~1,500万円
- テックリード・アーキテクト: 1,000万円~2,000万円
就労ビザ・永住権取得の最新制度と転職への影響
日本政府は外国籍人材の受け入れ拡大を政策として推進しており、ITエンジニア向けの就労環境も大幅に改善されています。
高度専門職ビザ(高度人材ポイント制)では、IT分野での実務経験や学歴、年収などがポイント化され、条件を満たせば最短1年で永住権申請が可能となっています。
また、特定技能ビザの対象分野にもIT関連職種が追加され、より多くの外国籍エンジニアが日本で働けるようになりました。
転職時のビザ更新手続きについても、転職エージェントや企業の人事部門がサポートするケースが一般的になり、転職活動のハードルは大幅に下がっています。
2.【ビザサポート対応】就労ビザ取得支援に強い転職エージェント5選

就労ビザの取得や更新は、外国籍ITエンジニアにとって転職活動における最重要課題の1つです。ここでは、ビザサポートに特に強みを持つ転職エージェントを厳選してご紹介します。
株式会社ブルームテック – IT人材特化のビザ取得支援

ブルームテックは、IT人材に特化した転職エージェントとして、外国籍エンジニアのビザ取得支援に豊富な実績を持っています。行政書士と直接提携しており、就労ビザから永住権取得まで一貫したサポートを提供しています。
<主なサポート内容>
- 就労ビザ(技術・人文知識・国際業務)の新規取得・更新手続き
- 高度専門職ビザへの変更申請
- 永住権取得に向けた長期的なコンサルティング
- 転職時のビザ変更手続きの代行
特に、現在のビザ状況に応じた最適な転職戦略の提案が評価されており、ビザ取得の可能性を最大化する企業選びからサポートしています。
レバテックキャリア – 外国籍人材サポート専門チーム完備

大手IT転職エージェントのレバテックキャリアでは、外国籍人材専門のサポートチームを設置しており、ビザ関連の手続きから入社後のフォローまで包括的な支援を行っています。
提携行政書士との連携により、複雑なビザ手続きもスムーズに進められるのが強みです。また、企業との交渉力が高く、ビザサポート費用の企業負担や、ビザ取得期間中の待遇についても有利な条件を引き出してくれます。
<特徴的なサービス>
- ビザ申請書類の作成サポート
- 入国管理局での手続き同行
- 企業とのビザサポート条件交渉
- 家族のビザ(家族滞在)取得支援
リクルートエージェント – グローバル企業とのビザ連携

業界最大手のリクルートエージェントは、グローバル企業との強固なネットワークを活かし、ビザサポートに積極的な企業とのマッチングに強みを持っています。
特に、外資系企業や日系グローバル企業への転職では、企業側のビザサポート体制が整っているケースが多く、スムーズな転職が実現できます。
<リクルートエージェントの特徴>
- 業界最大級の求人数(84万件以上)
- グローバル企業との強固なパートナーシップ
- ビザサポート実績が豊富な企業との高いマッチング率
- 全国16拠点での転職サポート
大手ならではの豊富な成功事例とノウハウにより、ビザ取得の成功率が高いのも特徴です。
また、企業との交渉力も高く、ビザ取得費用の企業負担や入社時期の調整など、外国籍エンジニア特有の課題についても柔軟に対応してくれます。
JACリクルートメント – 外資系企業のビザサポート実績

ハイクラス転職に特化したJACリクルートメントは、外資系企業やグローバル企業への転職支援に豊富な実績を持ち、これらの企業は一般的にビザサポート体制が充実しています。
高度専門職ビザや研究職ビザなど、特殊なビザカテゴリーでの転職支援も得意としており、高いスキルを持つエンジニアのキャリアアップと並行してビザステータスの向上もサポートしています。
<強みとするビザサポート>
- 高度専門職ビザ(ポイント制)の取得支援
- 企業内転勤ビザから就労ビザへの変更
- 研究職・技術職特化のビザコンサルティング
ワークポート – IT業界専門のビザ手続き代行

IT・Web業界に特化したワークポートでは、外国籍ITエンジニア向けの専門サービスとして、ビザ手続きの代行サービスを提供しています。
転職決定後のビザ変更手続きを完全サポートし、新しい職場での就労開始まで一貫してフォローします。
<ワークポートの特徴>
- IT・Web業界特化の豊富な求人(全求人の約4割)
- ビザ変更手続きの完全代行サービス
- 専用アプリ「eコンシェル」による転職活動管理
- 全国47都道府県での転職サポート
特に、SESやフリーランスから正社員への転職時のビザ変更において豊富な経験を持ち、複雑な状況でも適切な解決策を提案してくれます。未経験からのエンジニア転職にも対応しており、幅広いキャリアレベルのエンジニアをサポートしています。
3.【英語面接対応】バイリンガルサポートが充実した転職エージェント4選

日本語が完璧でない外国籍エンジニアにとって、英語での面接対応や書類作成サポートは転職成功の鍵となります。ここでは、バイリンガルサポートに特に力を入れている転職エージェントをご紹介します。
ビズリーチ – 国際的なヘッドハンターネットワーク

ハイクラス転職プラットフォームのビズリーチは、グローバルに活動するヘッドハンターが多数登録しており、英語での転職サポートに長けています。
外資系企業や日系グローバル企業の求人が豊富で、英語面接の対策から英文履歴書の作成まで、ネイティブレベルのサポートを受けることができます。
<英語サポートの特徴>
- ネイティブスピーカーのヘッドハンターによる直接サポート
- 英語での技術面接対策
- 英文レジュメ・カバーレターの作成支援
- 外資系企業の企業文化に関するアドバイス
特に外資系IT企業やグローバルスタートアップへの転職を目指す方には、最適なプラットフォームといえるでしょう。
ロバート・ウォルターズ – 英語面接対策のスペシャリスト

イギリス発祥のロバート・ウォルターズは、外資系・グローバル企業への転職支援において30年以上の実績を持つ専門エージェントです。コンサルタントがバイリンガルで、英語面接の対策には特に定評があります。
同社では、実際の面接環境を再現したモックインタビューを実施し、技術的な質問から行動面接まで幅広くカバーします。
<独自の英語面接対策>
- 業界特化型の英語面接シミュレーション
- 技術プレゼンテーションの英語指導
- 外資系企業の面接文化に関するブリーフィング
- 給与交渉における英語でのコミュニケーション術
マイケル・ペイジ – 外資系IT企業への英語転職支援

マイケル・ペイジは、外資系IT企業やコンサルティングファームへの転職に特化しており、高度な英語力を要求される職種への転職サポートに強みを持っています。
技術系ポジションだけでなく、プロダクトマネージャーやビジネスアナリストなど、英語でのビジネスコミュニケーションが重要な役職への転職も数多く手がけています。
<マイケル・ペイジの特徴>
- 外資系IT企業・コンサルファーム専門
- 英語でのビジネスレベル転職サポート
- アジア太平洋地域でのグローバルネットワーク
- 技術職からマネジメント職まで幅広い職種対応
アジア太平洋地域でのグローバルネットワークを活かし、日本以外の海外オフィスへの転職機会も提供しています。キャリアの選択肢を大幅に広げることができるのが魅力です。
エンワールド・ジャパン – バイリンガル人材専門

エンワールド・ジャパンは、バイリンガル人材の転職支援を専門とする転職エージェントです。
外国籍エンジニアのみならず、日本人の海外経験者なども含めて、英語を使って働きたい人材に特化したサービスを提供しています。
<バイリンガルサポートの内容>
- 英語・日本語両言語での面接対策
- クロスカルチャーコミュニケーション研修
- 多国籍チームでの働き方アドバイス
- 英語でのキャリア開発相談
日系企業の国際部門や、外資系企業の日本法人など、英語と日本語の両方を使う職場への転職に特に強く、言語スキルを最大限に活かせるポジションを紹介してもらえます。
4.【総合型】外国籍人材採用実績が豊富な大手転職エージェント3選

大手総合型転職エージェントは、豊富な求人数と確立されたサポート体制により、外国籍ITエンジニアの転職において安定した成果を上げています。
特に初回の日本転職や、幅広い選択肢から検討したい方におすすめです。
doda – 多言語対応とグローバル企業求人

dodaは日本最大級の転職サイト・エージェントとして、外国籍人材向けの専門窓口を設置しています。多言語での対応が可能で、中国語、韓国語、英語での相談ができるため、日本語に不安がある方でも安心して利用できます。
<dodaの外国籍エンジニア支援>
- 多言語での履歴書・職務経歴書作成サポート
- グローバル企業求人の豊富な取り扱い
- 外国籍人材向けの転職フェア開催
- ビザ関連手続きのナビゲーション
大手からスタートアップまで幅広い企業とのネットワークを持ち、様々なキャリアレベルのエンジニアに対応可能です。また、転職サイト機能も併用できるため、自分でも求人を探しながらエージェントサービスを活用できます。
マイナビエージェント – 若手海外エンジニア支援

マイナビエージェントは、20代~30代前半の若手エンジニアの転職支援に特に強く、外国籍の若手ITエンジニアのキャリア形成をサポートしています。新卒採用で培ったネットワークを活かし、成長企業やベンチャー企業への転職機会を豊富に提供しています。
キャリアアドバイザーの手厚いサポートが評価されており、日本での転職活動が初めての方でも、一から丁寧に指導してもらえます。
<マイナビエージェントの強み>
- 若手エンジニア向けの成長企業求人
- 詳細な面接対策と書類添削
- 入社後のキャリア相談
- 日本のビジネスマナー研修
パソナキャリア – 外国籍人材向けキャリアコンサルティング

パソナキャリアは、外国籍人材のキャリア形成に特化したコンサルティングを提供しています。単なる転職支援にとどまらず、日本での長期的なキャリアプランニングから、ワークライフバランスの実現まで、総合的にサポートしています。
女性の外国籍エンジニアの支援にも力を入れており、出産・育児などのライフイベントを考慮したキャリア設計についても相談できます。
<パソナキャリアの特色>
- 長期的なキャリアプランニング
- ワークライフバランス重視の求人紹介
- 女性エンジニア向けの専門サポート
- 正社員・契約社員・派遣など多様な働き方の提案
5.【特化型】IT業界専門の外国籍エンジニア向け転職エージェント3選

IT業界に特化した転職エージェントは、技術領域の深い理解と業界固有のネットワークを活かし、外国籍ITエンジニアにより専門性の高いサポートを提供しています。
Geekly(ギークリー)- Web・ゲーム業界の国際採用

Geekly(ギークリー)は、Web・ゲーム・IT業界に特化した転職エージェントとして、外国籍エンジニアの転職支援において高い実績を誇っています。
特にゲーム業界では、海外展開を視野に入れた企業が多く、外国籍エンジニアの採用に積極的です。
<Geeklyの専門サポート>
- ゲーム・Web業界特化の技術面接対策
- ポートフォリオ作成の専門指導
- 外国籍エンジニア向けの非公開求人
- クリエイティブ職種への転職サポート
年収アップ率81%という高い実績を持ち、技術スキルを正当に評価してもらえる企業とのマッチングに強みがあります。また、リモートワーク可能な求人も豊富に取り扱っており、柔軟な働き方を求める外国籍エンジニアにおすすめです。
マイナビIT AGENT – 大手IT企業の海外人材採用

マイナビIT AGENTは、大手IT企業やSIer企業との強固なパートナーシップにより、外国籍エンジニア向けの優良求人を多数保有しています。特に、システム開発やインフラ構築などの分野で、海外の先進技術を取り入れたい企業からの求人が豊富です。
技術に精通したキャリアアドバイザーが在籍しており、外国籍エンジニアの技術的背景を正確に理解した上で、最適な企業とのマッチングを実現しています。
<マイナビIT AGENTの強み>
- 大手IT企業・SIerの豊富な求人
- 技術専門のキャリアアドバイザー
- 安定した雇用条件の求人中心
- 全国対応可能な転職サポート
ウィルオブテック – 高年収IT求人と外国籍エンジニアサポート

ウィルオブテックは、高年収のIT求人に特化した転職エージェントとして、外国籍エンジニアのキャリアアップを強力にサポートしています。2名体制でのサポート(キャリアアドバイザー + 企業担当)により、より精度の高いマッチングを実現しています。
特に、AIエンジニア、データサイエンティスト、クラウドアーキテクトなどの高度な技術職において、外国籍エンジニアの専門性を活かせる求人を豊富に取り扱っています。
<ウィルオブテックの特徴>
- 年収800万円~2000万円の高年収求人
- AI・機械学習・クラウド分野に強い
- 2名体制による徹底サポート
- 外国籍エンジニア専門の相談窓口
6.【企業タイプ別】外国籍ITエンジニアにおすすめの転職先

外国籍ITエンジニアが活躍できる職場は多様化しており、それぞれの企業タイプには異なる特徴とメリットがあります。自身のキャリアゴールに合わせて最適な企業タイプを選択することが重要です。
外資系IT企業への転職戦略と特徴
外資系IT企業は、グローバルスタンダードの働き方と高い年収水準が魅力です。Google、Microsoft、Amazon、Meta、Salesforceなどの大手外資系企業では、外国籍エンジニアが当たり前の存在として活躍しています。
■外資系IT企業の特徴
- 成果主義の評価制度
- 英語が公用語の職場環境
- 最新技術への投資と学習機会
- 高い年収水準(1000万円~)
- フレキシブルな働き方 など
転職戦略
技術力の証明が最も重要です。GitHubでのアクティビティ、オープンソースプロジェクトへの貢献、技術ブログの執筆などで実力をアピールしましょう。また、英語でのコミュニケーション能力も必須となります。
日系グローバル企業の採用傾向
ソニー、トヨタ、日立、NTTなどの日系グローバル企業では、海外展開の加速に伴い外国籍ITエンジニアの採用を強化しています。これらの企業では、日本の企業文化と国際的な視点の両方を理解できる人材が求められています。
■日系グローバル企業のメリット
- 安定した雇用環境
- 充実した福利厚生
- 長期的なキャリア形成の機会
- 日本文化を学ぶ機会
- グローバルプロジェクトへの参画 など
採用では、技術力に加えて日本への理解や適応力が重視される傾向があります。日本語能力の向上意欲や、チームワークを重視する姿勢をアピールすることが有効です。
スタートアップ・ベンチャー企業での国際的キャリア構築
日本のスタートアップ・ベンチャー企業は、グローバル展開を見据えた多様性のあるチーム作りに積極的です。
メルカリ、SmartNews、Freeeなどのユニコーン企業では、創業初期から外国籍エンジニアが重要な役割を担ってきました。
■スタートアップのメリット
- 裁量の大きい仕事環境
- 株式報酬によるアップサイドの可能性
- 最新技術の採用機会
- 国際的なプロダクト開発への参画
- フラットな組織構造
リスクとしては、雇用の安定性や福利厚生の充実度が大手企業と比較して劣る場合があります。成長可能性と安定性のバランスを慎重に検討する必要があります。
大手SIer・コンサルティングファームの海外人材採用実態
NTTデータ、日本IBM、アクセンチュア、デロイトなどの大手SIer・コンサルティングファームでは、デジタルトランスフォーメーション(DX)の推進に伴い、外国籍ITエンジニアの採用を拡大しています。
これらの企業では、クライアント企業のグローバル展開支援や最新技術の導入コンサルティングにおいて、国際的な視点と技術力を持つ外国籍エンジニアが求められています。
キャリアパスも明確で、技術スペシャリストからマネジメント職まで多様な選択肢があります。
参考:経済産業省:DX
7.【在住状況別】転職エージェント活用法の違い

外国籍ITエンジニアの在住状況によって、転職エージェントの活用方法は大きく異なります。それぞれの状況に応じた最適なアプローチを理解しておくことが転職成功の鍵となります。
既に日本在住の海外エンジニア向けの転職活動
既に日本に在住している外国籍ITエンジニアの場合、転職活動のハードルは比較的低く、さまざまな選択肢があります。現在のビザ状況を活かしながら、より良い条件の企業への転職を目指すことができます。
在住者向けの転職エージェント活用法
- 複数のエージェントに登録して求人の選択肢を広げる
- 現職を続けながらの転職活動が可能
- 面接時の交通費負担が少なく、複数企業の選考を並行進行
- 日本の商習慣や企業文化への理解をアピール
- 現在のビザ状況を正確に伝えて適切な求人を紹介してもらう
転職のタイミング
ビザの更新時期を考慮することが重要です。就労ビザの有効期限に余裕がある時期に転職活動を開始し、新しい会社でのビザ更新手続きをスムーズに進められるよう計画的に進めましょう。
海外在住で日本転職を目指す場合の準備ステップ
海外から日本での転職を目指す場合は、より綿密な準備と戦略的なアプローチが必要です。
オンライン面接の普及により、海外からの転職活動も以前より容易になっていますが、いくつかの重要なポイントがあります。
海外在住者の転職準備ステップ
- ビザ要件の事前確認 – 就労ビザ取得の可能性を転職エージェントと相談
- オンライン面接環境の整備 – 安定したインターネット環境とプロフェッショナルな背景
- 日本語能力の証明 – JLPT(日本語能力試験)の受験を検討
- ポートフォリオの充実 – GitHubやLinkedInプロフィールの最新化
- 時差を考慮したスケジュール調整 – 面接時間の柔軟な対応
国際的な転職エージェント(ロバート・ウォルターズ、マイケル・ペイジなど)は、海外在住者向けのサポート体制が充実しており、オンラインでの転職サポートに慣れています。
学生ビザから就労ビザへの切り替えタイミング
日本の大学・大学院で学ぶ留学生が就職活動を行う場合、学生ビザから就労ビザへの切り替えタイミングが重要です。特に、卒業予定時期と内定時期、入社時期の調整が必要になります。
学生ビザからの転職における注意点
特定活動ビザ(就職活動ビザ )の取得による就職活動期間の延長
- 卒業後の在留期間の管理
- 内定後の在留資格変更許可申請の手続き
- アルバイト経験の職歴としてのアピール方法
留学生の強みを生かす
新卒採用枠と中途採用枠の両方を検討することができるのが留学生の強みです。日本企業の新卒採用制度を理解している転職エージェント(マイナビエージェント、リクルートエージェントなど)のサポートを受けることをおすすめします。
また、研究職や技術職志望の場合は、大学での研究内容や論文実績を積極的にアピールし、高度専門職ビザの取得を視野に入れた転職戦略を立てることが有効です。
8.外国籍ITエンジニアの転職活動実践ノウハウ

日本での転職活動を成功させるためには、技術力だけでなく、日本特有の転職文化や商習慣を理解することが重要です。ここでは、外国籍ITエンジニアが知っておくべき実践的なノウハウをお伝えします。
英語と日本語を使い分けた効果的な書類作成法
履歴書・職務経歴書の作成は、転職活動の第一歩です。外国籍エンジニアの場合、英語版と日本語版の両方を準備し、応募先企業に応じて使い分けることが効果的です。
書類作成のポイント
日本語版書類作成
- 和暦(令和○年)での記載 – 西暦と併記すると親切
- 謙譲語・尊敬語の適切な使用 – 「従事いたしました」「担当させていただいた」
- 具体的な成果の数値化 – 「システム処理速度を30%向上」「チーム生産性を20%改善」
- 日本での経験を強調 – アルバイト、インターンシップ、研究室での活動も含める
英語版書類作成
- アクションワードの活用 – “Developed”, “Implemented”, “Optimized”
- 技術スタックの詳細記載 – 使用言語、フレームワーク、ツールを具体的に
- グローバルな視点をアピール – 国際プロジェクトの経験、多文化チームでの協働
- 定量的な成果の強調 – “Reduced server response time by 40%”
日本の面接文化と海外人材が注意すべきマナー
日本の面接では、技術力と人物像の両方が評価されます。特に外国籍エンジニアの場合、日本の組織に適応できるかどうかが重要な判断要素となります。
日本の面接マナー
- 時間厳守 – 15分前到着が理想的
- 適切な服装 – スーツ着用が基本(カジュアルOKの場合も事前確認)
- 挨拶と自己紹介 – 「本日はお忙しい中、お時間をいただきありがとうございます」
- 傾聴の姿勢 – 相手の話を最後まで聞く、適度な相槌
- 質問の準備 – 会社への関心を示す具体的な質問
給与・福利厚生の交渉とタイミング
給与交渉は、日本では慎重に行う必要があります。初回面接で給与の話を切り出すのは適切ではなく、内定の内示が出た段階で条件面の相談を行うのが一般的です。
福利厚生で確認すべき項目
- 住宅手当・家賃補助
- 交通費支給
- 健康保険・厚生年金
- 有給休暇の取得率
- 語学学習支援制度
- ビザ更新費用の会社負担
9.よくある転職の失敗パターンと対策法

外国籍ITエンジニアの転職では、特有の失敗パターンがあります。これらを事前に理解し、適切な対策を講じることで転職成功率を大幅に向上させることができます。
言語要件を過小評価して失敗するケース
最も多い失敗パターンは、日本語能力の要件を軽視することです。「技術力があれば言語は問題ない」と考えがちですが、実際には日本語でのコミュニケーション能力が転職成功を左右します。
言語要件の対策法 | ・JLPT(日本語能力試験)N2以上の取得を目標にする ・ビジネス日本語の学習に重点を置く ・技術用語の日本語表現を習得する ・面接前に想定質問の日本語回答を準備する ・日本人エンジニアとの交流機会を積極的に作る |
「英語ができる環境」を条件に転職活動を進めても、実際の業務では日本語が中心となるケースが多いため、入社前に十分な日本語力を身につけることが重要です。
企業文化の理解不足による早期退職の回避法
日本企業特有の企業文化や働き方に適応できず、入社後数ヶ月で退職してしまうケースも少なくありません。これは転職活動時の企業研究不足が主な原因です。
企業文化理解のための対策 | ・複数回の面接で職場の雰囲気を把握する ・現場のエンジニアとの面談機会を依頼する ・会社のSNSや技術ブログで社風を確認する ・転職エージェントから企業の内部情報を聞く ・試用期間制度がある場合は積極的に活用する |
特に、残業文化、上下関係などについて事前に確認し、自分の価値観と合致するかを慎重に判断することが大切です。
ビザ更新トラブルを防ぐ転職タイミングの選び方
ビザの有効期限を考慮せずに転職活動を行い、ビザ更新手続きで問題が発生するケースがあります。特に、転職直後のビザ更新では、新しい会社での雇用状況を証明する必要があります。
ビザ更新トラブルの対策 | ・ビザ有効期限の6ヶ月前から転職活動を開始する ・転職エージェントに現在のビザ状況を正確に伝える ・ビザサポートに積極的な企業を優先的に検討する ・転職前に行政書士に相談してリスクを確認する ・高度専門職ビザへのランクアップも同時に検討する |
転職のタイミングは、キャリアの観点だけでなく、ビザの有効期限と更新手続きも考慮して決定することが重要です。
10.外国籍ITエンジニアの成功事例とキャリアパス

実際に日本での転職を成功させた外国籍ITエンジニアの事例を通じて、効果的な転職戦略とキャリア構築のヒントを学びましょう。
年収500万円→1000万円を実現した転職事例
事例:中国出身のWebエンジニア(28歳)
転職前の状況
- 年収:520万円
- 職種:フロントエンドエンジニア
- 企業:中小SI企業
- 日本語レベル:JLPT N2
転職活動のアプローチ
- スキルアップの徹底 – React、Vue.js、Node.jsの最新技術を習得
- ポートフォリオの充実 – GitHubで個人プロジェクトを公開
- 英語力の活用 – 外資系企業とグローバル日系企業に集中
- 転職エージェントの複数利用 – ビズリーチとレバテックキャリアを併用
転職成功の結果
- 年収:1,050万円(約2倍アップ)
- 職種:フルスタックエンジニア
- 企業:外資系フィンテック企業
- ビザ:高度専門職1号(ポイント制)に変更
成功の要因分析
技術力の向上と英語力を活かした戦略的な転職活動が功を奏しました。特に、グローバル企業での技術的チャレンジを求める姿勢と継続的な学習意欲が高く評価されました。
スタートアップから大手企業への転職成功談
事例:インド出身のバックエンドエンジニア(32歳)
キャリアの変遷
- 1社目:日系スタートアップ(年収600万円)→ 2年勤務
- 2社目:外資系大手IT企業(年収1,200万円)→ 現在
転職戦略のポイント
- スタートアップでの幅広い経験を積む – フルスタック開発、DevOps、チームリードを経験
- 日本語能力の向上 – JLPT N1を取得
- 技術リーダーシップの発揮 – 社内勉強会の主催、OSS貢献
- ネットワーキングの活用 – 技術カンファレンスでの人脈作り
大手企業転職の成功要因
スタートアップで培った幅広い技術スキルと問題解決能力、さらに日本語でのコミュニケーション能力が大手企業から高く評価されました。また、チームマネジメント経験がキャリアアップにつながりました。
技術領域別(AI・Web・インフラ)のキャリア構築例
AI・機械学習エンジニア(韓国出身、29歳)
- キャリアパス:大学院(修士)→ 日系大手メーカー(研究職)→ AIスタートアップ(リードエンジニア)
- 年収推移:650万円 → 950万円
- 重要スキル:Python、TensorFlow、PyTorch、論文執筆能力
- 成功要因:学術的背景と実装力の両立、研究成果の事業化経験
Webエンジニア(ベトナム出身、26歳)
- キャリアパス:受託開発会社 → ECサイト運営会社 → 大手Web企業
- 年収推移:450万円 → 650万円 → 880万円
- 重要スキル:JavaScript、React、AWS、マイクロサービス設計
- 成功要因:大規模サービス開発経験、パフォーマンス改善実績
インフラエンジニア(フィリピン出身、34歳)
- キャリアパス:SIer → クラウドベンダー → 金融系企業(シニアエンジニア)
- 年収推移:580万円 → 780万円 → 1,100万円
- 重要スキル:AWS、Kubernetes、Terraform、セキュリティ
- 成功要因:クラウド技術の専門性、金融業界の規制要件理解
<技術領域別キャリア構築のコツ>
- AI・機械学習:学術的背景と実装力、ビジネス課題解決への応用力
- Web開発:大規模サービス開発経験、最新技術への適応力
- インフラ・クラウド:運用経験とセキュリティ知識、業界特有の要件理解
11.【FAQ】外国籍ITエンジニアの転職でよくある質問

外国籍ITエンジニアから寄せられる代表的な質問と、その回答をまとめました。転職活動を始める前に、これらの疑問を解消しておきましょう。
日本語能力試験(JLPT)は何級が必要?
A:職種や企業によって異なりますが、N2以上が推奨されます。
レベル別の転職可能性
- N1取得者:ほぼ全ての企業で言語面のハードルなし
- N2取得者:大部分の企業で問題なし、一部で日本語面接の対策が必要
- N3取得者:外資系や英語が公用語の企業に限定される場合が多い
- N3未満:技術力が極めて高い場合のみ可能性あり
ただし、JLPT未取得でも転職に成功している例は多数あります。重要なのは実際のコミュニケーション能力で、面接での受け答えがスムーズにできれば問題ありません。
転職エージェント利用時の英語サポート範囲は?
A:エージェントによって大きく異なるため、事前確認が重要です。
主要エージェントの英語サポート状況
- ロバート・ウォルターズ:完全英語対応、英語面接対策あり
- マイケル・ペイジ:英語でのカウンセリング、書類作成支援
- ビズリーチ:ヘッドハンターによって異なる(多くは英語対応可)
- 大手総合型:外国籍人材専門チームがある場合は英語対応
英語サポートを重視する場合は、初回面談時に「英語でのサポートが可能か」「英語面接の対策ができるか」を必ず確認しましょう。
家族のビザや子供の教育はどう考慮すべき?
A:転職活動の初期段階から総合的に検討することが重要です。
家族ビザ(家族滞在)の考慮点
- 配偶者の就労:資格外活動許可が必要(週28時間まで)
- 子供の教育:公立学校、国際学校、補習校の選択肢
- 医療・保険:国民健康保険への加入、医療費負担
- 住居:家族向け住宅の確保、学校区域の考慮
転職エージェントに相談する際は、家族構成と教育方針を伝えることで、より適切な企業・地域の求人を紹介してもらえます。
リモートワーク可能な企業の見つけ方は?
A:リモートワーク対応企業は増加傾向にあり、複数の方法で見つけることができます。
リモートワーク求人の探し方
- 転職サイトの条件検索:「リモートワーク可」「在宅勤務」で絞り込み
- IT特化エージェント:Geekly、レバテックキャリアは豊富に保有
- 外資系企業:多くがフレキシブルワークを導入済み
- スタートアップ:働き方の柔軟性が高い傾向
面接時の確認事項
- リモートワークの頻度(週何日まで可能か)
- 出社が必要な業務・会議の頻度
- リモートワーク用の設備支給
- 評価制度におけるリモートワークの影響
リモートワークが可能な企業では、成果主義の評価制度を採用している場合が多く、外国籍エンジニアにとって働きやすい環境が整っています。
12.外国籍ITエンジニアの転職成功のために – 日本のおすすめ転職エージェント活用

外国籍ITエンジニアの日本転職は、適切な転職エージェントの選択と戦略的なアプローチにより大幅に成功率を向上させることができます。
ビザサポート、英語対応、業界特化など、自身の状況に合ったエージェントを複数活用し、日本語能力の向上と企業文化への理解を深めることで、理想的なキャリアを実現できるでしょう。