日本のIT市場では優秀な外国籍エンジニアの需要が急増しています。
2030年には最大79万人のIT人材不足が予測される中、どのプログラミング言語が日本で求められているのでしょうか?
また、外国籍エンジニアがキャリアを築くためのポイントは何か、業界別の需要傾向や将来性の高い言語は何かについて、最新データと実践的なアドバイスをまとめました。
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- 日本企業で現在需要の高いプログラミング言語10選と各言語の活用分野について
- 外国籍エンジニアが日本企業で強みを発揮できる専門分野と必要なスキルセットについて
- 日本の開発環境で直面する課題(とその効果的な解決策について
1.日本のIT市場における外国籍エンジニアの現状と可能性

日本のIT業界は現在、DXの急速な進展やAI技術の普及により質の高いIT人材の需要が急増しています。
しかし国内の人材だけではこの需要を満たせないため、外国籍エンジニアへの期待が高まっているのです。
日本のIT人材不足と外国籍エンジニアへの期待
経済産業省の調査によると、2030年には日本のIT人材不足は最大79万人に達すると予測されています。
この背景から、多くの日本企業が外国籍エンジニアの採用に積極的になっています。
■多くの企業で外国籍ITエンジニアに期待されている点
- 専門技術の補完: 最新技術(AI、クラウド、ブロックチェーンなど)のスキルを持つ人材
- グローバル視点の導入: 国際的な開発手法や最新トレンドの導入
- 多言語・多文化対応: 海外展開における言語・文化の壁を超える架け橋
外国籍エンジニアが日本で活躍するための3つの鍵
日本のIT市場で外国籍エンジニアとして成功するためには、以下の3つの要素が特に重要です。
- 市場ニーズに合った技術スキルの獲得
日本特有の需要がある技術分野を理解し、それに合わせたスキルセットを構築する。金融業界ではJavaやCOBOL、製造業ではC/C++や組み込みシステム開発のスキルが重宝される。 - コミュニケーション能力の強化
完璧な日本語力がなくても、基本的なコミュニケーションと業務に必要な技術用語の理解は大きな強みになる。技術的な議論ができる程度の日本語力と、明確に自分の意見を伝える能力は高く評価される。 - 日本の開発文化への適応力
日本の開発現場では品質と信頼性が最優先される。また詳細なドキュメント作成が重視され、チーム全体の成果が重視される傾向がある。これらの特性を理解しながら、自国の開発文化の良い点も取り入れた柔軟なアプローチが評価される。
2.日本企業が求めるプログラミングスキルの特徴

日本のIT企業が求めるプログラミングスキルには、グローバル市場との共通点もありますが、いくつかの独自の特徴も存在します。
これらを理解することで、自身のスキルをどう活かせるかがわかります。
日本のIT企業と海外企業の技術選定の違い
安定性重視の技術選択
日本企業では、最新技術よりも実績のある安定した技術を選ぶ傾向があります。
特に大企業や金融・公共系では、長期運用を前提としたシステム構築が多く、Java、C#、COBOLなどの成熟した言語の需要が高くなっています。
導入判断の慎重さ
海外企業では最新技術の導入が比較的速いのに対し、日本企業では新技術の導入に慎重です。
これは「失敗を許容しない」文化や、既存システムとの互換性重視のためですが、スタートアップ企業では変化が見られます。
ベンダー依存の傾向
特定のベンダーやパッケージに依存したシステム開発が多く、マイクロソフト系技術(.NET、SQL Server)やオラクル、SAPなどのパッケージが広く採用されています。
日本企業が外国籍エンジニアに期待する強み
最新技術の知見 | 日本国内で普及が遅れている技術分野(クラウドネイティブ、AI/ML、ブロックチェーンなど)の知識や経験を持つ外国籍エンジニアは高く評価される傾向にあります。 |
グローバル標準の開発手法 | アジャイル開発、DevOps、CI/CDといった海外で標準化されている開発手法の実践経験は、日本企業のDX推進で重要視されています。 |
多様な視点の提供 | 異なる文化的背景を持つエンジニアは、ユーザー体験や製品設計において多様な視点を提供できると考えられます。グローバル市場を目指す企業では特に重視される点です。 |
言語スキル以外に評価される技術的素養
品質へのこだわり
日本の開発現場では、コードの品質や保守性が非常に重視されます。堅牢で整理されたドキュメント化されたコードを書く能力は高く評価されます。
ドキュメンテーション能力
設計書や仕様書などのドキュメントが開発プロセスで重要な役割を果たします。技術的な内容を明確に文書化できる能力は必須です。
問題解決アプローチ
技術的な問題に対して、異なるアプローチや創造的な解決策を提案できる能力も高く評価されます。問題を適切に切り分け、チーム内で共有できるコミュニケーション能力も重要です。
継続的学習の姿勢
技術の急速な進化に対応するため、常に新しい知識を吸収し、スキルをアップデートする姿勢が求められます。
3.【最新】日本で需要の高いプログラミング言語10選

日本のIT市場で求められるプログラミング言語は業界のトレンドや企業の技術戦略によって変化しています。
2025年現在、外国籍エンジニアが注目すべき需要の高いプログラミング言語を解説します。
Java – 日本の大企業・金融機関で根強い需要

Javaは大企業や金融機関で圧倒的なシェアを誇り、基幹系システムやミッションクリティカルなアプリケーションで広く利用されています。
Javaの需要の背景
- 安定性と成熟度: 長期運用を前提とするエンタープライズシステムに適している
- 豊富な人材市場: チーム編成がしやすい
- 標準化: Spring FrameworkやJakarta EEの整備
主な求人企業
- メガバンク、保険会社、大手SIer、公共系システム開発企業
- 年収相場: 500万円〜1200万円
- 特に金融系レガシーシステムのモダナイゼーション案件が増加しており、JavaとCloud技術の両方に精通したエンジニアの需要が高まっています。
JavaScript/TypeScript – フロントエンド開発での必須言語


JavaScript/TypeScriptはWebフロントエンド開発において不可欠で、特にTypeScriptは型安全性により日本企業での採用率が急増しています。
JavaScript/TypeScript需要の背景
- Webアプリケーションの普及: 多くの業務システムのWeb化
- フレームワークの発展: React、Vue、Angularの成熟
- フルスタック開発: Node.jsによるバックエンド開発の広がり
主な求人企業
- Web系企業、SaaS開発企業、スタートアップ
- 年収相場: 450万円〜1,000万円
- TypeScriptの需要は2023年から2025年にかけて約60%増加し、大規模フロントエンド開発ではほぼ標準となっています。
Python – データ分析とAI分野での需要急増

PythonはAI、機械学習、データサイエンス分野での採用が急増し、日本企業のDX推進で重要な役割を果たしています。
Python需要の背景
- AI/ML導入の加速: 多くの日本企業がAI技術を導入
- データ活用の重視: ビッグデータ分析やBIツール連携
- 自動化ニーズ: RPAでの活用拡大
主な求人企業
- スタートアップ、大手IT企業、製造業の研究開発部門、金融機関の分析部門
- 年収相場: 500万円〜1,300万円
- 外国籍エンジニアにとっては、最先端のAI技術と英語ドキュメントへのアクセスしやすさから強みを発揮しやすい分野です。
C# – 業務系アプリケーション開発での活用

C#はマイクロソフト製品との親和性から、業務系アプリケーション開発で広く採用されています。
C#需要の背景
- マイクロソフト製品の普及: Office連携や.NET環境での開発
- WPFやXamarinによるGUI開発: デスクトップやモバイルアプリ開発
- Azure連携: マイクロソフトクラウドサービスとの統合
主な求人企業
- SIer、社内システム開発部門、ゲーム開発企業、業務系パッケージソフト企業
- 年収相場: 450万円〜900万円
- .NET開発者の需要は安定して高く、特にWindowsベースのエンタープライズシステム開発で重要です。
PHP – 中小企業のWeb開発で広く使用

PHPは導入コストの低さと開発速度から、特に中小企業のWeb開発で広く採用されています。
PHP需要の背景
- WordPressの普及: 日本のWebサイトの約40%がWordPress使用
- EC市場の拡大: ECサイト開発での需要増加
- レガシーコードの保守: 既存PHPシステムの保守運用案件の多さ
主な求人企業
- Web制作会社、ECサイト運営企業、中小規模のSaaS開発企業
- 年収相場: 400万円〜800万円
- Laravel、Symfony等のモダンなフレームワークの知識を持つエンジニアは、レガシーコードのリファクタリング案件で特に重宝されます。
Ruby – 日本発の言語として国内スタートアップでの採用率が高い

Rubyは日本発のプログラミング言語として、特にスタートアップ企業での採用率が高く、国内コミュニティも活発です。
Ruby需要の背景
- Ruby on Railsの生産性: 素早いプロトタイピングと開発
- 国内コミュニティの充実: 日本語の情報源が豊富
- スタートアップエコシステム: 多くの有名スタートアップがRuby採用
主な求人企業
- スタートアップ、Ruby on Rails専門の開発会社、自社サービス開発企業
- 年収相場: 450万円〜1000万円
- 外国籍エンジニアにとっては、英語の技術文書が豊富であると同時に、日本独自のコミュニティへの参加がキャリア形成に役立ちます。
Go – マイクロサービスとクラウドインフラ開発での需要拡大

Goは高いパフォーマンスと並行処理の容易さから、クラウドインフラやマイクロサービス開発で需要が拡大しています。
Go需要の背景
- クラウドネイティブ開発: Kubernetes、Dockerとの相性の良さ
- マイクロサービスアーキテクチャ: 軽量で高速な実行速度が求められる環境に最適
- 高給言語: Go開発者の相対的な不足から市場価値が高い
主な求人企業
- 大手IT企業のインフラ部門、クラウドサービス提供企業、FinTech企業
- 年収相場: 600万円〜1400万円
- 日本ではGo言語の専門家が不足しており、自動化やDevOps分野と組み合わせたスキルセットが魅力的です。
Swift/Kotlin – モバイルアプリ開発市場での安定した需要


Swift(iOS)とKotlin(Android)は、スマートフォンアプリ開発における標準言語として安定した需要があります。
Swift/Kotlin需要の背景
- モバイルファースト戦略: 多くの企業がモバイルアプリを重視
- 国内アプリ市場の成長: ゲーム、EC、サービス系アプリの需要増加
- ネイティブアプリの優位性: パフォーマンスとUXを重視する場面でのニーズ
主な求人企業
- モバイルアプリ開発企業、ゲーム開発会社、大手企業のモバイル部門
- 年収相場: 500万円〜1100万円
- 特にiOSアプリ開発者の需要が高く、UI/UXデザインの知識を兼ね備えたSwiftエンジニアは市場価値が高いです。
Scala – 大規模データ処理システムでの採用増加

Scalaは大規模データ処理や高負荷システムの開発で採用が増えています。特に金融系やソーシャルメディア系企業での需要が高まっています。
Scala需要の背景
- 関数型プログラミングの利点: 並行処理や非同期処理での安全性向上
- Javaとの互換性: 既存Javaシステムとの連携のしやすさ
- Akkaエコシステム: 分散システム構築でのメリット
主な求人企業
- 金融系テック企業、大規模Webサービス、データ処理特化企業
- 年収相場: 650万円〜1300万円
- 特にApache SparkやAkkaといったフレームワークの経験を持つエンジニアの需要が高いです。
COBOL – 日本の金融・公共系レガシーシステム維持での高単価案件

COBOLは古い言語ながら、金融機関や公共系の基幹システムで多用されており、保守開発の需要が高くなっています。
COBOL需要の背景
- レガシーシステムの維持: 多くの基幹系システムがCOBOLで構築
- 専門家の減少: 新規参入が少なく、技術者の高齢化が進行
- 高い安定性要求: ミッションクリティカルな金融システムでの利用
主な求人企業
- 大手銀行、保険会社、公共系システム開発企業、大手SIer
- 年収相場: 500万円〜1200万円
- COBOLの専門性を持つ外国籍エンジニアは比較的少ないため、大きな差別化要因になります。
4.業界別に見る日本企業でのプログラミング言語需要

日本のIT市場における言語需要は業界によって大きく異なります。自身のスキルセットがどの業界と親和性が高いかを理解することが重要です。
金融・保険業界で求められる言語スキル
金融・保険業界は日本のIT投資額が最も大きい業界の1つであり、外国籍エンジニアにとって多くの機会があります。
金融・保険業界の特徴
金融業界は規制とコンプライアンスの要求が厳しく、システムの安定性と信頼性が最優先されます。24時間365日稼働する必要があるミッションクリティカルなシステムが多いため、堅牢なシステム設計能力が評価されます。
金融・保険業界における外国籍エンジニアの強み
特にFinTech領域では、海外の先進事例や最新技術の知見が求められており、グローバルな金融テクノロジーの動向にくわしい外国籍エンジニアが重宝されています。
製造業・自動車産業でのプログラミング需要
日本の製造業、特に自動車産業はIoTやスマートファクトリーの導入に注力しており、ソフトウェアエンジニアの需要が高まっています。
製造業・自動車産業界の特徴
製造業では高い品質基準と安全性要件があります。特に自動車産業では、AUTOSARなどの標準に準拠した開発が求められます。ハードウェアとソフトウェアの両方を理解できるエンジニアが重宝されます。
製造業・自動車産業界における外国籍エンジニアの強み
ドイツ、インド、中国などの製造業が発達している国出身のエンジニアは、本国での経験や知識を活かせる機会が多くあります。Industry 4.0やスマートファクトリーの知見は価値があります。
EC・小売業界で活用される技術スタック
ECサイトやオムニチャネル戦略の拡大により、小売業界におけるIT技術の重要性が増しています。
EC・小売業界での主要言語とその用途
- PHP: ECサイト開発(ECCUBE、Magento、WordPressなど)
- Ruby/Ruby on Rails: カスタムECプラットフォーム開発
- JavaScript/TypeScript: フロントエンド開発(ReactやVue.js)
- Python: レコメンデーションエンジン、購買分析
- Go: マイクロサービスアーキテクチャでのバックエンド開発
EC・小売業界の特徴
ECサイトは顧客体験が重視され、UIの品質やレスポンス速度が売上に直結します。高トラフィック対応や個人情報保護のためのセキュリティも重要です。データ分析基盤の構築と活用も注目されています。
EC・小売業界における外国籍エンジニアの強み
グローバルEC市場の動向や、海外で成功しているECプラットフォームの知見は貴重です。多言語・多通貨対応や国際物流との連携知識も重宝されます。
スタートアップ企業と大手企業の技術選定の違い
日本におけるスタートアップと大手企業では、技術選定の考え方や優先順位に大きな違いがあります。
スタートアップ企業
スタートアップでは開発速度と市場への素早い投入が重視され、生産性の高い言語やフレームワークが選ばれる傾向があります。
外国籍エンジニアにとっての機会…スタートアップでは技術的な先進性と柔軟性が評価されやすく、新しい技術トレンドに精通した外国籍エンジニアが活躍しやすい環境があります。
大手企業
技術スタック例
Java/C#: エンタープライズグレードの堅牢性
Oracle/SQL Server: 信頼性の高いRDBMS
SAP/IBM製品: 実績のあるエンタープライズソリューション
オンプレミス + クラウドのハイブリッド: 段階的な移行戦略
COBOL/JCLなどのレガシー言語: 基幹系システムの維持
大手企業ではシステムの安定性、セキュリティ、長期的な保守性が重視されます。
外国籍エンジニアにとっての機会:大手企業ではグローバル標準のプラクティスや海外での実装経験が価値を持ちます。
5.外国籍エンジニアに特に需要がある専門分野と言語

外国籍エンジニアは特定の専門分野で日本企業に独自の価値を提供できます。
グローバルな視点や国際的な開発経験が特に評価される領域を理解しましょう。
グローバル展開を目指す企業で重宝される言語スキル
日本企業の海外展開が加速する中、国際的なプロジェクトをリードできる外国籍エンジニアの需要が高まっています。
また技術力だけでなく母国の文化やビジネス慣習に関する知識も大きな強みとなります。
需要が高まる主要な分野 | ・多言語対応サービス開発: 複数言語・地域に対応したWebサービスやアプリ開発 ・越境ECプラットフォーム: 国際的な決済システムや物流連携の実装 ・グローバルマーケティングツール: 多言語SEO、国際的なマーケティング自動化 |
求められる言語スキル | ・JavaScript/TypeScript + 国際化ライブラリ: React Intl、i18nextなどの活用経験 ・Python/Django: 多言語サイト構築の実績 ・PHP/WordPress: 多言語サイト運用の知識 ・Java/Spring: 国際的なエンタープライズシステム開発経験 |
付加価値となる知識 | ・異なる言語圏でのUX設計経験 ・地域ごとの法規制対応(GDPR、CCPA、中国のデータ法など) ・文字コード・文字セットの詳細な理解 ・クロスボーダーSEO最適化のノウハウ |
日本企業のDX推進で注目されている技術
デジタルトランスフォーメーション(DX)は日本企業の最重要課題の1つであり、国際的な成功事例や最新技術に精通した外国籍エンジニアの価値は高まっています。
また海外でのDX成功事例に直接関わった経験や、具体的な導入実績があると大きな影響力を持てます。
主要な需要分野 | ・クラウドネイティブアーキテクチャ: マイクロサービス、コンテナ化、サーバーレスなど ・データサイエンス/AI応用: 予測分析、自然言語処理、コンピュータビジョンなど ・DevOps/SRE: CI/CD、インフラ自動化、モニタリング |
求められる言語スキル | ・Go: マイクロサービス、APIゲートウェイ開発 ・Python: AI/ML開発、データパイプライン構築 ・TypeScript/Node.js: クラウドネイティブなバックエンド開発 ・Kotlin/Scala: 大規模データ処理基盤の構築 |
付加価値となる知識 | ・Kubernetes、Docker、Terraform等のクラウドネイティブツールの実践経験 ・TensorFlow、PyTorch等のAIフレームワークの活用実績 ・マルチクラウド環境での開発・運用経験 ・GitOps、IaC(Infrastructure as Code)のベストプラクティス |
参考:経済産業省:産業界のDX
日本と海外の架け橋となるエンジニアの役割と必要スキル
日本と海外の開発チームを結ぶブリッジエンジニアとしての役割は、グローバル開発体制を構築する日本企業で特に重要視されています。
また技術力に加えて「コミュニケーション能力」と「リーダーシップ」が特に重要です。異なる開発文化を理解し、最適な協業モデルを構築できる人材は非常に貴重です。
求められる言語スキル | ・英語/日本語のバイリンガルな技術文書作成能力 ・Java/C#: エンタープライズ系のグローバル開発プロジェクトでの経験 ・JavaScript/TypeScript: フロントエンド開発での国際的な協業経験 ・Ruby/Python: アジャイル開発手法を用いた国際チーム経験 |
付加価値となる知識 | ・分散チームのためのアジャイル開発手法(Scrum、SAFeなど) ・異文化コミュニケーションスキル ・グローバル標準と日本独自の開発プロセスの調和方法 ・効果的な知識移転と技術共有の方法論 |
6.日本企業への転職に有利なプログラミング言語の組み合わせ

日本のIT市場で差別化を図るには、相乗効果のある言語やスキルの組み合わせを持つことが効果的です。
日本企業に転職する際に特に評価される言語の組み合わせとその活かし方を解説します。
履歴書やポートフォリオで効果的にアピールできる言語スキル
効果的な言語スキルの組み合わせ
フルスタック開発者
JavaScript/TypeScript + Java/C#:フロントエンドとバックエンドの両方に精通していることをアピール
React/Vue + Spring Boot/ASP.NET Core:現代的なフロントエンドと堅牢なバックエンドの組み合わせ
クラウドネイティブ開発者
Go + Kubernetes + AWS/GCP/Azure:マイクロサービスとインフラ自動化の知識
Python + Docker + CI/CDツール:データ処理と自動化の組み合わせ
AI/データサイエンス特化
Python + SQL + R:データ分析基盤の構築から高度な分析まで
Python + TensorFlow/PyTorch + JavaScript:AI開発とフロントエンド連携
ポートフォリオ作成のポイント
- 日本企業向けに開発したプロジェクトや貢献したオープンソースを優先的に掲載
- 問題解決プロセスや工夫した点を日本語と英語の両方で説明
- 各プロジェクトの技術スタックを明確に示し、連携方法を強調
- 可能であれば日本市場特有の課題に取り組んだ事例を含める
言語の壁を超えて技術力を伝えるビジュアル要素(図表、アーキテクチャ図など)を取り入れることも効果的です。
技術面接で評価される言語の深い理解度
日本企業の技術面接では、単なる言語の知識だけでなく、その言語の特性や設計思想への理解度が重視される傾向があります。
深い理解をアピールするポイント
言語の歴史と設計思想の理解
Java/C#:オブジェクト指向設計の原則とデザインパターンの適用事例
Python:「Pythonic」なコードとは何か
JavaScript:イベント駆動型設計とプロトタイプベースのオブジェクトモデル
パフォーマンスとメモリ管理の知識
Java:GCの動作原理と最適化手法
C/C++:メモリ管理、ポインタ操作、最適化テクニック
Go:ゴルーチンと並行処理の効率的な実装
言語特有の落とし穴と対処法
JavaScript:非同期処理、スコープ、クロージャの理解
Python:GIL(Global Interpreter Lock)の影響と対策
Java:例外処理のベストプラクティス、スレッドセーフティ
技術面接対策のヒント
- 技術的な深堀り質問(「なぜそうなるのか」「どう動作するのか」)への準備
- 実際のプロジェクトでの問題解決事例を言語の特性と関連付けて説明
- 可能であれば日本語での技術用語も学んでおく
日本企業の面接では「知識の幅」よりも「特定言語の深さ」が評価される傾向があります。
日本企業特有のプロジェクト事例で役立つスキルセット
日本企業では、グローバル標準とは少し異なる開発手法やプロジェクト特性があります。
日本特有のプロジェクト特性と必要スキル
金融・公共系レガシーシステムのモダナイゼーション
COBOL/JCL + Java/C#:レガシーコードを理解しつつ、モダン言語への移行
SQLとメインフレームDB知識 + クラウドデータベース:データ移行
多層承認システム・ワークフロー実装
Java + ビジネスプロセス管理フレームワーク:複雑な承認フローの実装
JavaScript + UI/UXデザイン経験:使いやすい管理画面の設計
日本特有の業界標準対応
EDI(電子データ交換)規格への対応経験
金融機関API連携(ZEDI、全銀協、CAFIS等)
製造業でのTOYOTA生産方式に基づくシステム実装
日本特有のプロジェクトへの対応力を高めるアプローチ
- 日本企業のプロジェクト管理手法への適応力
- 高品質なドキュメント作成能力
- 日本の業界用語や業務フローへの理解
- 品質管理プロセスへの対応力
日本企業の開発プロジェクトでは、実装だけでなく「設計」や「ドキュメンテーション」が重視される傾向があります。
7.将来性を見据えた日本市場でのプログラミング言語選択

日本のIT市場は大きな変革期にあります。長期的なキャリア展望を考える外国籍エンジニアにとって、今後の日本市場で需要が高まる言語スキルを見極めることが重要です。
日本のDX推進で今後5年間で需要が高まる言語
日本企業のデジタルトランスフォーメーション(DX)は「2025年の崖」問題をきっかけに加速しており、以下の言語とテクノロジーの需要が拡大すると予測されています。
- クラウドネイティブ開発言語
Go言語: Kubernetes、Docker、マイクロサービスアーキテクチャの普及に伴い需要増加
Rust: メモリ安全性と高パフォーマンスを両立する言語として採用増加
- AI/機械学習関連言語
Python: AI/ML分野を中心に需要増加が継続
Julia: データサイエンスと科学計算に特化した言語として徐々に普及
- フロントエンド革新を担う言語
TypeScript: 型安全性と開発効率の向上により、JavaScriptからの移行が進行
WebAssembly関連言語(C++, Rust): ブラウザ上での高性能アプリケーション実行
市場動向を見極めるポイント | ・日本企業の技術採用サイクルは欧米より若干遅い傾向がある ・大手企業のテクノロジーブログや技術カンファレンスでの言及頻度の変化を追跡 ・オープンソースコミュニティへの日本企業の参加度合いも重要な指標 |
日本特有のレガシーシステム刷新で必要とされるスキル
日本では多くの企業が老朽化したレガシーシステムの刷新に取り組んでおり、この分野でも特有の需要があります。
レガシーシステムとの経験を持つエンジニアは、システム刷新を急ぐ多くの企業で高い市場価値を持ちます。
- レガシー言語とモダン言語の架け橋
Java + COBOL: 金融機関や公共機関の基幹系システム移行
C# + Visual Basic: .NET環境へのモダナイゼーション
- クラウドマイグレーション関連スキル
クラウドネイティブアーキテクチャ: マイクロサービス設計、コンテナ化、サーバーレス
IaC(Infrastructure as Code): Terraform、AWS CloudFormationなど
- データ移行・統合スキル
ETLプロセス設計: レガシーデータベースから最新データプラットフォームへの移行
データガバナンス: 日本の法規制に準拠したデータ管理
日本発のテクノロジーとグローバル標準の融合
日本独自の技術とグローバル標準の融合が進む中、両方の世界に精通したエンジニアの需要も高まっています。
日本市場の特性を理解しつつ、グローバルな技術トレンドも把握している外国籍エンジニアは、「日本とグローバルの架け橋」として大きな価値を提供できます。
- 日本発の技術とエコシステム
Ruby: 日本発のプログラミング言語として国内コミュニティが活発
Japanization技術: グローバルサービスの日本向けカスタマイズの専門知識
- 日本の強みを活かした領域での技術融合
組み込みシステムとIoT: C/C++、Rust、Pythonを用いた組み込みソフトウェア開発とクラウド連携
ロボティクス: ROS、C++、PythonによるAI連携技術
- オープンソースと企業システムの架け橋
Enterprise OSS導入: オープンソースを日本企業の要件に合わせてカスタマイズ
内製化支援: OSSを活用した内製化を支援できるエンジニアの需要増加
8.日本で需要の高いプログラミング言語を知って今後の活躍機会を広げる

日本のIT市場は変革期を迎え、外国籍エンジニアにとって多くの機会が広がっています。
需要の高い言語スキルを磨くとともに、日本企業の開発文化を理解し、自国の経験や視点を活かすことが成功の鍵です。
言語スキルを身につけ、グローバルとローカルを橋渡しできる独自の強みを発揮することで、日本のIT業界で価値ある存在として長期的なキャリアを構築できるでしょう。
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