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エンジニアの退職理由7選|給与・スキル・環境の本音と転職のヒント

エンジニアが退職を決断するとき、上司に告げる理由と本音は必ずしも一致しません。

厚生労働省の調査によれば、情報通信業の離職率は全産業平均を上回る水準で推移しており、エンジニア市場の人材の流動性は年々高まっています。

給与・スキル・職場環境という三つの軸から退職理由の実態を読み解き、次のキャリアを考える際のヒントを提示します。

この記事を読んでわかること
  • エンジニアが退職を決断する本音の理由と、面談で語られる建前との違いについて
  • 勤続年数によって退職理由がどう変わるかについて
  • 転職を検討する前に確認しておくべきポイントについて

1. エンジニアの離職率は高いのか?最新データで見る業界の実態

1. エンジニアの離職率は高いのか?最新データで見る業界の実態

退職理由の本質を理解するには、まず業界全体の離職状況を把握しておくことが大切です。

公的データをもとに、IT業界の実態を確認しましょう。

IT業界の離職率は全産業平均と比べてどの水準にあるか

エンジニアの退職理由を考える前に、まずIT業界の離職率をデータで確認しておきましょう。

厚生労働省「令和5年雇用動向調査」によれば、情報通信業の離職率は15.0%であり、全産業平均(15.4%)とほぼ同水準です。

入職率(新たに就いた割合)と離職率がともに高い「流動性の高い業界」であることが統計上も示されています。

離職理由を見ると、「職場の人間関係が好ましくなかった」「労働時間・休日などの労働条件が悪かった」といった項目が一定割合を占めています。給与水準が高い職種でありながら、こうした課題を抱えているのがIT業界の実態です。

離職率は数字の高低だけで判断するのではなく、「なぜ辞めるのか」という背景と合わせて読み解くことが大切です。エンジニアならではの成長志向や市場価値への意識が、流動性の高さにつながっています。

(出典:厚生労働省「令和5年雇用動向調査結果の概況」

情報通信業の離職率の特徴

  • 全産業平均(15.4%)と近い水準で推移しています
  • 入職率・離職率ともに高い「流動性の高い産業」に分類されます
  • 人材の流出と流入が同時に起きており、採用難易度を押し上げています

エンジニアの4人に1人が離職・休業を経験している

数字の話にとどまらず、エンジニア個人の経験という面でも、業界の厳しさは顕著に現れています。

厚生労働省「労働安全衛生調査」のデータによれば、メンタルヘルスを理由とした休職・離職はIT系職種に多い傾向があります。

情報通信業は長時間労働やプロジェクト型の業務による精神的な負荷が高く、4人に1人程度が離職または休業を経験しているとされています。

これは単に「転職市場が活発」という話とは異なります。本人が望む形でのキャリアアップ転職だけでなく、体調不良などやむを得ない形での離職も相当数含まれている点を、企業側・個人側の両方が知っておく必要があります。

(出典:厚生労働省「労働安全衛生調査(実態調査)」

エンジニアのメンタルヘルスと離職の関係

  • IT系職種はメンタルヘルス不調による休職・離職が他職種より多い傾向があります
  • 納期プレッシャー・長時間労働・孤立しやすいリモート環境がリスクを高めています
  • 「自発的な転職」と「やむを得ない離職」の両方が離職率を押し上げています

2. 建前と本音が違う、エンジニアの退職理由に隠れた真相

2. 建前と本音が違う——エンジニアの退職理由に隠れた真相

エンジニアが退職面談で語る理由と、実際の本音には大きなズレがあります。調査データをもとに、その構造と背景を解説します。

退職面談で語られる理由と調査で明らかになった本音には大きなギャップがある

退職面談で語られる理由と、調査データが示す本音の間には、大きなギャップがあります。

パーソル「退職理由の本音に関する実態調査2025」によれば、企業側に伝えた退職理由の上位には「一身上の都合」「健康上の理由」「家庭の事情」が並びます。

一方、本音の理由として挙げられたのは「やりがい・達成感を感じられない」「評価・人事制度への不満」「給与への不満」でした。

企業が退職面談で受け取っている情報は、エンジニアが実際に抱えている問題を反映していない可能性が高いといえます。

建前しか聞けない状態で対策を立てても、根本的な課題は解消されません。日常的な1on1や匿名アンケートなど、本音を話しやすい場を整えることが大切です。

(出典:パーソルビジネスプロセスデザイン「退職理由の本音に関する実態調査2025」

建前と本音の主な違い

  • 建前:一身上の都合、健康上の理由、家族の事情
  • 本音:やりがいの欠如、評価への不満、給与の不満、成長機会のなさ
  • 本音を言わない理由:「言っても変わらない」という諦め、人間関係への配慮

「給与が市場価値以下」と知った瞬間が最大の退職トリガーになる

エンジニアの退職は、長期的な不満の積み重ねだけで起きるわけではありません。「知った瞬間」という突発的なきっかけで、離職の意思が一気に固まるケースが多く見られます。

ITエンジニアを対象とした調査(PR TIMES掲載)では、退職を決意した瞬間として最も多く挙げられたのが「給与が市場価値より低いと知った瞬間」でした。

転職エージェントへの登録、求人票の確認、同僚や知人との年収情報の共有——こうした「比較の機会」をきっかけに、漠然としていた不満が具体的な離職意思へと変わります。

本人が特に強い不満を見せていないのに、突然「転職を決めました」と報告が来る——そうしたケースの背景には、この「市場価値との差への気づき」が隠れていることが少なくありません。

(出典:PR TIMES「ITエンジニアの7割以上が入社後ギャップを経験、退職理由1位は給与が市場価値以下」

「技術改善がされない」「エンジニアを軽視する発言」も退職の引き金になる

給与面だけでなく、職場での「感情的な体験」もまた、退職を後押しする大きなきっかけになります。

同調査によれば、「技術改善がされないと気づいた瞬間」を退職のきっかけとして挙げたエンジニアは31.1%、「エンジニアを軽視する発言をされた瞬間」は27.9%に上ります。

これらは一時的な感情ではなく、「この組織では自分の仕事が尊重されない」という確信に変わる体験です。

「どうせ作り直すからテストは不要」「動けばいい」「コードより売上が大事」——こうした発言や方針が重なるたびに、エンジニアの組織へのコミットメントは少しずつ失われていきます。

(出典:PR TIMES「ITエンジニアの7割以上が入社後ギャップを経験」

感情的な退職のきっかけの代表例

  • 技術改善がされないと気づいた瞬間(31.1%)
  • エンジニアを軽視する発言をされた瞬間(27.9%)
  • 評価基準が不透明で不公平と感じた瞬間
  • 自分の意見が組織に届かないと実感した瞬間

エンジニアの7割以上が入社前後にギャップを経験している

退職理由の一因として見落とされがちなのが、「入社前に期待していたこととの乖離」です。

ITエンジニアを対象とした調査(PR TIMES掲載)では、退職元企業について「入社前後でギャップがあった」と回答したエンジニアが7割を超えています。

主なギャップの内容は、技術スタックの違い、評価制度の実態、残業時間の実態の3つです。

こうしたギャップは入社直後の不満として積み重なり、1年以内の早期離職につながるケースが多く見られます。

求人票や採用ページを確認する際に「不都合な情報も正直に開示しているか」を信頼の目安にする考え方は、エンジニアの間で広まりつつあります。

(出典:PR TIMES「ITエンジニアの7割以上が入社後ギャップを経験」

入社後ギャップの主な内容

  • 技術スタック:求人に記載された技術と実際の開発環境が異なります
  • 評価制度:説明された制度と実際の運用がずれています
  • 残業実態:面接時の説明より実際の労働時間が長いです
  • 裁量の範囲:自分で決められる範囲が想定より狭いです

3. エンジニアの代表的な退職理由7選——給与・スキル・環境から読む本音

3. エンジニアの代表的な退職理由7選——給与・スキル・環境から読む本音

エンジニアが退職を決断する理由は、大きく「給与」「スキル」「環境」の三つに分類できます。それぞれの背景にある心理を、具体的に解説します。

給与が市場価値に見合っていないと感じるようになる

給与への不満は、「絶対額が低い」というより、「同じスキルを持つ他社のエンジニアと比べたときの差」として意識されることが多いです。

転職によって年収を大きく上げた人の情報が可視化されやすくなった今、「自社の給与が市場に対して適正かどうか」は、エンジニアにとって常に気になるポイントとなっています。

レバテック「IT人材白書2025/2026」によれば、給与はエンジニアのモチベーションの源泉として49.8%が挙げており、全項目中最多です。

一方で、年収への不満を抱えるエンジニアの割合も26.3%に達しています。給与の問題は「値上げすれば解決する」とは限りません。

「なぜこの金額なのか」という説明がないことも、不満を大きくする原因になります。

(出典:レバテック「IT人材白書2025/2026」

給与への不満が退職につながる主なパターン

  • 転職エージェントや求人票で他社の年収を確認し、差に気づきます
  • 同期・同年代のエンジニアとの年収比較がきっかけになります
  • 毎年の昇給が小幅で、市場との差が年々広がっていると感じます

社内でスキルアップの機会が得られなくなる

エンジニアは、技術の進化とともに自分もアップデートし続けることが必要な職種です。「今の職場にいると、自分の市場価値が下がっていくのではないか」という不安は、他の職種より強く感じやすいといえます。

扱う技術が古く最新のフレームワークやクラウドサービスに触れる機会がない、学習支援制度がない——こうした環境では、「ここにいても成長できない」という判断に至ります。

「このまま5年後も同じシステムを保守し続けるのか」という焦りが、静かに積み重なっていくのです。

スキルアップ機会の欠如が生む問題

  • 扱う技術が古くなり、転職市場での競争力が下がります
  • 技術的に刺激を受けられる先輩・同僚がいません
  • 学習コストを個人の時間と費用で賄わなければなりません
  • 新しい技術への挑戦を提案してもリスクを理由に却下されます

やりたい業務・技術領域に携われない

担当するプロジェクトや技術スタックが自身のキャリアの方向性と合わない状態が続くと、モチベーションは徐々に下がります。「なぜこの仕事をしているのか」という問いへの答えが見つからなくなるからです。

特にSES(システムエンジニアリングサービス)形態で働くエンジニアは、どのプロジェクトに入るかが会社や取引先の都合で決まることが多く、自分の希望が通りにくい環境に置かれがちです。

希望しない保守業務に長期間アサインされ続けた場合、給与水準に問題がなくても「このままでは目指すキャリアに近づけない」という気持ちが生まれます。

業務・技術領域のミスマッチが起きやすい状況

  • SES企業でアサイン先が固定化され、技術スタックを選べません
  • フロントエンド志望なのにバックエンド・インフラ業務しか担当できません
  • 新規開発に関わりたいが、保守・運用業務しか割り当てられません
  • 希望を伝えても、人員配置の都合が優先されます

キャリアパスが見えず将来への不安が募る

「3年後、5年後の自分はどうなっているか」——この問いに答えられない環境は、エンジニアにとって大きなストレスになります。

昇進・昇格の基準が明文化されていない、マネジメント職とスペシャリスト職それぞれのキャリアルートが整備されていない、といった状況では「頑張り続ける意味」が見えなくなります。

エンジニアにとって、どの技術を深めるか・どの業務領域に進むかという選択は、5年後・10年後の市場価値に直結します。

「このまま在籍しても自分のスキルは伸びないかもしれない」と感じ始めると、離職の検討が始まります。

キャリアパスが不透明な職場の特徴

  • 昇進基準が口頭のみで、文書化・公開されていません
  • スペシャリストとマネージャー、両方のキャリアルートがありません
  • 上位職の人員が固定化されており、昇進の実例がほとんどありません
  • 目標管理制度が形だけで、評価に反映されません

長時間労働や働き方の柔軟性のなさが限界を超える

プロジェクト終盤の慢性的な残業は、エンジニアが長年抱えてきた課題です。こうした状態が繰り返されることで体力・気力が消耗し、「もう限界」という判断に至るケースは少なくありません。

さらに近年は、リモートワークの可否が退職判断に大きく影響しています。レバテックの調査によれば、出社回帰の方針を打ち出した企業において、約4割のエンジニアが転職を検討したと回答しています。

リモートワークはすでに多くのエンジニアにとって「働くためのインフラ」として定着しており、出社回帰の方針転換は労働条件の改悪と受け取られることもあります。

(出典:レバテック「IT人材白書2025/2026」

働き方に関して退職リスクが高まる状況

  • リリース前後に月80〜100時間超の残業が常態化しています
  • フルリモートを廃止し、週3〜5日の出社を義務化しました
  • フレックスタイム制があるが、コアタイムが長く実質的に固定勤務です
  • 育児・介護と両立できる制度が整っていません

人間関係や職場の雰囲気になじめない

給与やスキルと比べて語られにくいですが、人間関係や職場の雰囲気は離職の大きなきっかけになります。

上司・同僚との関係性だけでなく、企業のカルチャーとのミスマッチが「この組織には居場所がない」という気持ちを生み出します。

特に入社直後の早期離職では、人間関係・企業文化のミスマッチが主な原因のひとつとして挙げられています。採用面接では伝わりにくいコミュニケーションスタイルや職場の空気は、入社後に初めて実感できるものです。

リモートワーク環境では雑談や相談の機会が生まれにくく、孤独感や疎外感が蓄積しやすい傾向もあります。

人間関係・カルチャーのミスマッチが起きやすいパターン

  • 上司がエンジニアの専門性を理解しておらず、一方的な指示が多いです
  • チームに心理的安全性がなく、意見を言いにくい雰囲気があります
  • リモート環境でのコミュニケーションが少なく、孤立感が強いです
  • 会社のカルチャーが体育会系・年功序列で、技術者文化と合いません

正当に評価されていないと感じる

エンジニアは、技術的な成果や貢献に対してきちんと評価されることを重視する職種です。

「なぜこの評価なのか説明がない」「成果を出しても給与に反映されない」——不透明な評価制度は組織への不信感を生み出し、退職理由へと発展します。

「技術的に優れた設計をしたのに認められない」「難しい問題を解決したのに評価が変わらない」——こうした経験が続くと、「もっと評価してくれる環境に移ろう」という気持ちが生まれます。

評価の不透明さは、不満だけでなく「頑張っても意味がない」という意欲の低下にもつながります。

評価への不満が退職につながる主なパターン

  • 評価基準が文書化されておらず、上司の判断に依存しています
  • 技術的な貢献より、売上など「見えやすい成果」が優先されます
  • 評価結果の面談で、根拠のある説明がありません
  • 同じ成果を出しても、人によって評価にばらつきがあります

4. 勤続年数で変わる退職理由——1年未満と1年以上では課題が異なる

4. 勤続年数で変わる退職理由——1年未満と1年以上では課題が異なる

退職理由は「いつ辞めるか」によっても異なります。入社1年未満と1年以上では、主な原因が明確に違うことが調査データから示されています。

入社1年未満の早期離職は職場環境とのミスマッチが主な原因になる

退職理由は、勤続年数によって異なる傾向があります。入社1年未満の場合、主な原因は「職場環境とのミスマッチ」です。

パーソルクロステクノロジーの独自調査によれば、就業1年未満のエンジニアの退職理由として、人間関係や企業文化との不一致が上位を占めています。

採用プロセスでは伝わらなかった職場の実態が入社後に明らかになり、想定との差が大きすぎて早期に退職を決断するパターンです。

早期離職を防ぐには、採用段階での情報開示と入社後のフォローが欠かせません。入社前に職場の雰囲気を体感できるカジュアル面談の実施、入社後3ヶ月以内の定期的な1on1の設定などが有効とされています。

(出典:パーソルクロステクノロジー「エンジニアの退職理由に学ぶ職場づくり」

早期離職を防ぐためのポイント

  • 採用段階で職場環境・開発文化・チームの実態を正直に伝えます
  • 入社後3ヶ月以内に定期的な1on1フォローを実施します
  • オンボーディングを整備し、なじみやすい環境をつくります
  • 「言いにくいことも言える」心理的安全性の場を早期に設けます

1年以上の定着後離職はスキルアップ欲求が主な退職理由になる

一方、勤続1年以上のエンジニアが離職する場合、主な退職理由は「スキルアップ機会の欠如」にシフトします。

同調査では、就業1年以上のエンジニアの退職理由の1位が「スキルアップ」、2位が「職場環境」でした。

職場環境への適応が落ち着いた後に、「この環境では自分の成長が止まっている」という焦りが離職動機の中心になるパターンです。

「外に出ればもっと成長できる」という気持ちは、決して贅沢な動機ではありません。技術的な成長は市場価値の維持に直結するため、成長機会の有無はエンジニアにとって将来設計に関わる切実な問題です。

(出典:パーソルクロステクノロジー「エンジニアの退職理由に学ぶ職場づくり」

定着後離職を防ぐためのスキルアップ支援

  • 技術選定や設計に関わる機会を積極的に提供します
  • 社外勉強会・カンファレンスへの参加を費用負担で支援します
  • 資格取得手当・学習補助制度を整備します
  • 新技術の導入プロジェクトに意欲のあるメンバーをアサインします

エンジニアの6割以上が5年以内の転職を想定している

エンジニアの転職に対する意識は、他職種と比べても流動的です。「一つの会社に長く勤める」というキャリアモデルは、エンジニアの間ではすでに主流ではなくなりつつあります。

ベイジ「エンジニア転職実態調査2025」によれば、エンジニアの62.73%が「5年以内の転職を想定している」と回答しています。転職はキャリア形成の通常のステップと捉えるエンジニアが多数派になっています。

常に変化する技術トレンドに対応しながらキャリアを積むためには、一つの組織に縛られるよりも、最適な環境をその都度選ぶほうが合理的と考えるエンジニアが増えています。

(出典:ベイジ「エンジニア転職実態調査2025」

エンジニアのキャリア意識の変化

  • 5年以内の転職を想定しているエンジニアが62.73%に上ります(ベイジ調査)
  • 転職は「失敗の結果」ではなく「キャリア選択の手段」と捉えられています
  • 複数の会社を経験しながら技術の幅と市場価値を高める考え方が広まっています
  • 企業にも「定着」だけでなく「活躍期間の最大化」への発想転換が求められています

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5. 転職を考えるエンジニアが退職前に確認しておくべきこと

5. 転職を考えるエンジニアが退職前に確認しておくべきこと

転職を検討する前に、まず確認しておきたいのが「今の不満は一時的な疲れなのか、職場との根本的なミスマッチなのか」という点です。

「一時的な疲れ」と「本質的なミスマッチ」を見分けることが最初の判断軸になる

転職を検討する前に、まず確認しておきたいのが「今の不満は一時的な疲れなのか、職場との根本的なミスマッチなのか」という点です。

繁忙期や一時的な人間関係のトラブルが原因であれば、落ち着いてから改めて判断したほうが後悔の少ない選択につながります。

一方、「給与・成長機会・技術環境・評価制度のどこかに根本的な問題がある」と感じているなら、それは職場との本質的なミスマッチです。

「今の不満は現職固有の問題か、IT業界全体の構造的な問題か」を問い直すことも有効です。もし業界全体の問題であれば、転職しても同じ課題に直面する可能性があります。

感情が落ち着いた状態で論理的に整理することが、納得感のある転職判断につながります。

「一時的な疲れ」か「本質的ミスマッチ」かを見分けるチェックポイント

  • 繁忙期が終われば「辞めたい」という気持ちが薄れるかどうか
  • 給与・成長機会・評価・技術環境のすべてに不満があるか、一部だけか
  • 現職のまま改善できる余地が残っているかどうか
  • 同じ職場で3年後も働いている自分を前向きにイメージできるかどうか

IT業界内での役割変更という選択肢も退職前に検討する価値がある

転職を考えるとき、「今の会社を辞めて別の会社でエンジニアとして働く」というパターンがよく想像されます。しかし、IT業界内で役割を変えるという選択肢も、検討する価値があります。

キャリアチェンジ

エンジニアからプロジェクトマネージャー(PM)、ITコンサルタント、テックリードへのキャリアチェンジは、技術スキルを活かしながら働き方や担当範囲を変えるアプローチです。

「コードを書く仕事に疲れた」「技術よりも人やビジネスに関わりたい」という気持ちがあるなら、業界を離れる前に社内での役割転換を打診してみることも一つの選択肢です。

社内での役割変更は、転職に比べて環境変化のリスクが低く、これまで培ってきた社内での信頼や業務知識を活かせるメリットがあります。

IT業界内でのキャリアチェンジの選択肢

  • エンジニア → プロジェクトマネージャー(PM):技術知識を活かして調整・進行管理に軸足を移します
  • エンジニア → テックリード:チームの技術的な方向性を牽引するリーダー職です
  • エンジニア → ITコンサルタント:技術知識をベースに顧客の課題解決に携わります
  • エンジニア → プロダクトマネージャー:開発とビジネスの橋渡し役として製品の方向性に関わります

自分のスキルと市場価値を把握してから転職活動を始めると判断しやすくなる

転職活動を始める前に、自分のスキルと経験を整理することが大切です。「給与が市場価値以下」という退職のきっかけを逆手に取るなら、まず自分の市場価値を客観的に把握することから始めましょう。

転職エージェントへの相談や求人票の確認を通じて、「自分のスキルが市場でどう評価されるか」を事前に知ることで、転職先への期待値と現実の差を縮められます。

自身のスキルの整理をする

スキルの整理では、使用できる言語・フレームワーク・クラウドサービスの列挙だけでなく、「どんな課題を、どのように解決したか」という実績の言語化が重要です。

技術スタックのリストよりも、具体的な成果と解決のプロセスを語れるエンジニアのほうが、市場での評価が高い傾向にあります。

転職前のスキル整理で確認すべき項目

  • 技術スタック(言語・フレームワーク・インフラ・ツール)を整理します
  • 関わったプロジェクトの規模・役割・貢献内容を言語化します
  • 定量的な実績(パフォーマンス改善率、工数削減、チームへの貢献など)をまとめます
  • 転職エージェントや求人票で市場価値を確認します

6. エンジニアが転職先選びで重視する条件

理想の職場を見極める

💸 低給与
高水準 + 透明性
🛑 スキル停滞
技術投資 + 支援
🏢 働き方の制限
リモート + 柔軟
💻

モダン技術

📈

成長環境

🤝

オープン文化

OpenWorkの本音
GitHubのコード品質
面談での「離職率」
「不都合な情報」の開示

退職理由を整理したら、次は転職先に何を求めるかを明確にする番です。エンジニアが職場選びで重視するポイントと、入社後のギャップを防ぐ情報収集の方法をご紹介します。

退職理由の裏返しが、次の職場に求める条件になる

退職理由を言語化することは、次の転職先に何を求めるかを明確にする作業と表裏一体です。

「給与が低かった」という退職理由があるなら、次の職場には「市場水準以上の給与」と「透明性のある評価制度」を求めることになります。

「スキルアップの機会がなかった」なら、「技術への投資を惜しまない文化」が最優先条件になります。

退職理由を明確にする

退職理由が曖昧なままだと、転職先の選択軸も曖昧になります。「なんとなく環境を変えたい」という動機で転職すると、入社後に「前の会社のほうがよかった」という後悔につながりやすいです。

退職理由を整理して「次の職場に求めること」を優先順位付きでリスト化しておくことが、転職活動の質を高める基本です。

退職理由と転職先への要件の対応関係

  • 給与不満 → 給与レンジを明示し、昇給実績のある企業
  • スキルアップ機会の欠如 → 技術投資・学習支援制度が整っている企業
  • 働き方の硬直性 → フレックスタイム・リモートワーク・副業容認の企業
  • 評価制度への不信 → 評価基準が公開されており、定期的にフィードバックがある企業
  • カルチャーのミスマッチ → 技術ブログや採用資料でカルチャーを積極的に開示している企業

技術スタックと成長環境は転職先選びの最優先条件になりやすい

エンジニアが転職先を選ぶ際、給与と並んで重視されるのが「使う技術・学べる環境」です。

ベイジ「エンジニア転職実態調査2025」によれば、エンジニアが採用情報を確認する際に給与・技術スタック・成長環境を重視しており、これらが揃っている企業への応募が集まる傾向があります。

技術ブログの発信や開発環境・使用ツールの開示がある企業は、エンジニアの信頼を得やすいとされています。

採用情報を確認する際は、求人票の要件欄だけでなく、技術ブログやGitHubのリポジトリ、エンジニア向けの発信コンテンツも合わせてチェックすることをお勧めします。

(出典:ベイジ「エンジニア転職実態調査2025」

技術スタック・成長環境を評価するためのチェックポイント

  • 採用ページや求人票に使用技術・開発環境が具体的に記載されているか
  • 技術ブログや登壇実績など、エンジニアによる情報発信があるか
  • GitHubにOSSへの貢献や公開リポジトリがあるか
  • 資格取得支援・勉強会参加支援などの学習支援制度が整っているか

働き方・評価制度・カルチャーの透明性が信頼できる職場の目安になる

エンジニアは、採用ページの綺麗なキャッチコピーよりも、現場のリアルな情報を求める傾向が強いです。

「風通しの良い職場です」「成長機会を提供します」という表現はどの企業にも見られ、それだけでは信頼の判断材料になりません。

信頼できる職場を見つけるために

信頼できる職場かどうかを見極めるには、口コミサイト(OpenWorkなど)での評価・コメント、技術ブログでの現場エンジニアの発信、GitHubリポジトリのコード品質やコミット頻度などを参考にするのが効果的です。

ベイジの調査では、採用サイトが「ネガティブな情報も正直に開示している」ことをエンジニアが好意的に受け取るというデータがあります。

不都合な情報も正直に伝える企業は、入社後のギャップが少なく、長期的な定着につながりやすいといえます。

(出典:ベイジ「エンジニア転職実態調査2025」

入社後ギャップを防ぐための情報収集チェックリスト

  • 口コミサイト(OpenWork等)で現・元社員の評価を確認します
  • 技術ブログや登壇資料から、現場エンジニアのリアルな課題意識を把握します
  • GitHubリポジトリでコード品質・更新頻度・開発文化を確認します
  • カジュアル面談で「残業時間の実態」「離職率」「評価制度の詳細」を率直に聞きます
  • 採用資料にネガティブな情報の開示があるかを確認します

7. まとめ:エンジニアの退職理由を知ることが、納得できる転職の第一歩になる

7. まとめ:エンジニアの退職理由を知ることが、納得できる転職の第一歩になる

エンジニアの退職理由は、給与・スキル・環境という三つの軸に集約されます。しかし、その背景にある本音は「市場価値への意識」「成長機会の欠如」「評価への不信」といった深いところに根ざしています。

退職理由を言語化する作業は、次の転職先に何を求めるかを明確にする作業と同じです。感情的な衝動と論理的な判断を切り分け、自身のキャリアビジョンと照らし合わせながら動くことが、後悔のない転職につながります。

今の職場への不満が「一時的な疲れ」なのか「本質的なミスマッチ」なのかを見極め、自分のスキルと市場価値を把握した上で転職活動を始めることが、納得感のあるキャリア選択への近道です。

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