インフラエンジニアへの転職や就職を目指す際、履歴書作成は多くの求職者が不安を感じる課題です。
一方で、インフラエンジニアの案件数は前月比で倍増するなど、採用市場は急拡大しています。売り手市場だからこそ、履歴書での差別化が書類選考突破の鍵となります。
この記事では、書類選考を通過するための5つのポイントと具体的な記入例を解説します。
厚生労働省の標準様式の活用方法から、未経験者・経験者それぞれに適した志望動機の書き方、勉強中の資格の記載テクニックまで、実践的な履歴書作成方法をご紹介します。
- インフラエンジニアの履歴書で書類選考を通過する5つの重要ポイントについて
- 経験者・未経験者別の志望動機や資格欄の具体的な記入例について
- 厚生労働省の標準様式を活用した信頼性の高い履歴書作成方法について
1. インフラエンジニアの履歴書作成で知っておくべき市場背景

履歴書作成は多くの求職者が不安を感じる課題です。
市場動向を理解することで、戦略的な履歴書作成の重要性が見えてきます。
履歴書への不安は51%が抱える課題|データで見る求職者の実態
進路情報研究センターが大学生、短大生、専門学校生を対象に実施した意識調査によると、就職活動で不安を感じる点として「履歴書・ES(エントリーシート)」が51%にのぼり、「面接」(62%)に次いで2番目に高い割合を占めています。
調査対象校によっては最大65%に達するケースもあり、特に大学の男子学生では「履歴書・ES」と「面接」が同率で不安項目の1位となっています。
このデータは、履歴書作成が求職者にとって大きな心理的負担となっていることを示しています。
特にインフラエンジニアのような専門職では、技術的な経験やスキルをどのように表現すべきか、資格や学習状況をどう記載すれば評価されるのかといった不安がさらに大きくなります。
だからこそ、戦略的な履歴書作成が書類選考突破の鍵となります。
急拡大するインフラエンジニア市場|案件数が前月比で倍増
インフラエンジニアの採用市場は急速に拡大しています。
株式会社アイデンティティーによるIT案件市況動向レポートによれば、「インフラエンジニア」の案件数は9月と比較して倍増しており、10月の新規案件総数も前月比で45.7%増加しています。
この需要増加の背景には、企業のDX推進、クラウドへの移行、ITインフラの強化といった全社的なIT基盤の変革ニーズがあります。
売り手市場の状況は求職者にとって有利に働く一方で、多くの応募者の中から選ばれるためには「履歴書での差別化」が重要になります。
単に経験やスキルを羅列するのではなく、企業が抱える課題に対してどのように貢献できるかを明確に示すことが、書類選考を通過するための戦略となります。
出典:株式会社アイデンティティー「IT案件市況動向レポート」
製造業・建設業でも需要拡大|活躍の場は業界を超えて広がる
インフラエンジニアの活躍の場は、IT業界にとどまらず幅広い産業に広がっています。
厚生労働省の調査報告書によると、職業紹介事業者を利用する求人企業の業種は、「製造業」(20.3%)、「建設業」(19.8%)、「卸・小売業」(18.0%)が上位を占めており、情報サービス業(3.9%)よりも伝統的な産業における需要が高いことが明らかになっています。
この傾向は、製造業のDX、建設業のIT化など、従来型産業においてもITインフラの整備が急務となっていることを示しています。
履歴書を作成する際には、応募先企業が属する業界特有の技術課題を意識し、それに対する貢献能力を記述することが差別化戦略となります。
また、回答企業の61.1%が政令指定都市や東京23区以外の地域に本社を構えており、地方におけるITインフラの需要も高まっています。
出典:厚生労働省「採用における人材サービスの利用に関するアンケート調査」
2. インフラエンジニアの履歴書と職務経歴書の違いと使い分け

履歴書と職務経歴書はそれぞれ異なる役割を持つ書類です。
本記事では履歴書の作成に焦点を当てて解説します。
履歴書の役割|基本情報と人物像を伝える公的文書
履歴書は、求職者の基本的な情報と人物像を採用担当者に伝えるための公的文書です。
法的な位置づけを持つ標準様式に基づいて作成され、学歴、職歴、資格・免許、志望動機といった基礎情報を体系的に記載します。
主な記載内容
- 基本情報(氏名、生年月日、住所、連絡先、証明写真)
- 学歴・職歴(教育機関の入学・卒業年月、勤務先企業名と在籍期間)
- 免許・資格(取得済みの資格名称と取得年月)
- 志望動機(応募企業を選んだ理由とキャリアビジョン)
- 本人希望欄(勤務条件に関する希望事項)
履歴書は、採用担当者が応募者の基礎的な適性と人間性を判断するための最初の資料となります。
特に証明写真や丁寧な記述は、応募者の誠実さや社会人としての基本的なマナーを示す重要な要素です。
職務経歴書との違い|履歴書で伝えるべきこと
履歴書と職務経歴書は補完的な書類です。
履歴書が「人となり」と「基礎情報」を伝えることに重点を置くのに対し、職務経歴書は「技術スタック」「プロジェクト詳細」「実績数値」といった専門性の証明に特化しています。
履歴書で伝えるべき内容
応募者の人物像と基本的な経歴、志望動機と入社意欲、取得資格と学習姿勢、キャリアの一貫性です。
一方、職務経歴書では、使用した技術スタック(AWS、Azure、Linux等)、担当プロジェクトの詳細と役割、実績の定量的な数値(コスト削減率、ダウンタイム削減等)、問題解決能力の具体的事例を記述します。
インフラエンジニアの履歴書で評価されるポイント
インフラエンジニアの履歴書では、
- 資格取得状況(CCNAやLinuCなどの基礎資格の保有、勉強中の資格も含めた学習姿勢の提示)
- 志望動機の明確性(なぜインフラエンジニアを目指すのか、応募企業のどの点に魅力を感じたのか)
- キャリアビジョンの一貫性(過去の経験と今後の目標の整合性、長期的な成長意欲の表明)
- 基本情報の正確性と丁寧さ(誤字脱字のない記述、日付や年号の統一、適切な証明写真の使用)
が特に重視されます。
これらのポイントを押さえることで、採用担当者に「この人材は信頼できる」「長期的に活躍してくれそうだ」という印象を与えることができます。
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3. インフラエンジニアの履歴書で書類選考を通過する5つのポイント
インフラエンジニア:書類選考通過のための5大戦略
アピールすべき5つの重要ポイントをフロー形式で確認しましょう。
信頼性: 厚労省標準様式を活用
- 公的テンプレートで安心感。
- キャリア別最適様式を選択。
- 実務経験・資格を優先できる構成。
専門性: 担当領域を明確に
- サーバー/NW/Cloudの担当を明記。
- IaaS/データセンターなど最新領域も記載。
- 上位職(ITアーキテクト)志向を示す。
成長意欲: 資格(勉強中も)を記載
- CCNA, AWS認定など評価資格を優先。
- 「勉強中」「受験予定日」を明記。
- 未経験者は基礎力を補うアピール。
戦略: 企業戦略との接点を最適化
- 企業戦略・技術への共感を示す。
- 応募理由と貢献意欲を明確に。
- 業界特性(製造DX等)に合わせた貢献を示す。
基礎能力: 論理的/危機察知力を伝える
- 論理的思考力:問題分析、解決策導出。
- 危機察知能力:障害の予兆を検知する力。
- 情報収集力/コミュニケーション:連携と学習姿勢。
書類選考を通過するためには、戦略的なアプローチが必要です。
ここでは履歴書作成における5つの重要ポイントを解説します。
ポイント①|厚生労働省の標準様式を活用して信頼性を担保する
公的テンプレートを使用する理由
履歴書の様式選択は、書類の信頼性を左右する重要な要素です。
厚生労働省が提供する標準的な履歴書テンプレートを使用することで、法的な信頼性を確保し、採用担当者に安心感を与えることができます。
公的機関が提供する様式は労働関係法令に準拠しており、個人情報の取り扱いや記載項目についても適切に設計されています。
厚生労働省の履歴書様式例は、同省のウェブサイトから無料でダウンロードでき、Word形式やPDF形式で提供されています。
経験者・未経験者別の様式選択基準
履歴書の様式は、自身のキャリア段階に応じて適切なものを選ぶことが重要です。
経験者は職歴欄が大きく設けられた様式、資格・免許欄のスペースが充実している様式、複数の職務経験を詳細に記載できる構成を選びます。
未経験者は志望動機欄が充実した様式、自己PR欄が大きく確保されている様式、学習意欲や人物像を伝えやすい構成を選択します。
IT専門職では学歴よりも実務経験と技術的な資格が評価される傾向が強いため、これらの項目を効果的にアピールできる様式を選択することが書類選考の第一歩となります。
ポイント②|インフラエンジニアの職務定義を正確に理解して記載する
インフラエンジニアの主要業務領域
インフラエンジニアとは、企業の情報システムを支えるIT基盤(サーバー、ネットワーク、クラウド等)の構築、運用、管理を担当する職種です。
具体的な業務領域は、サーバー管理、ネットワーク設計、クラウド環境の構築・運用の3つに大別されます。
近年では、IaaS(Infrastructure as a Service)等のクラウドコンピューティングの設計・運用や、データセンター管理、システムの運用保守も主要な職務範囲となっています。
インフラエンジニアとして経験を積み、システム全体の最適化と技術基盤の戦略的設計に携わるようになると、ITアーキテクト(平均年収746万円)と呼ばれる上位職に位置づけられます。
履歴書の職歴欄での職務記載例
履歴書の職歴欄では、単に「インフラエンジニア」と記載するだけでなく、担当した業務領域を具体的に示すことが重要です
サーバー領域の経験
「ITインフラエンジニアとしてサーバー構築・運用に従事」「Linuxサーバーの設計・構築・保守を担当」
ネットワーク領域の経験
「企業ネットワークの設計・運用を担当」「拠点間ネットワークの構築・保守に従事」
クラウド領域の経験
「クラウド環境(AWS)の設計・構築担当」「Azure基盤の構築・運用業務に従事」
これらの記載により、採用担当者は応募者の専門領域を即座に把握できます。
ポイント③|資格欄で専門性と成長意欲を示す|勉強中でも記載必須
インフラエンジニアで評価される資格一覧
インフラエンジニアにとって、資格は専門知識を客観的に証明する重要な要素です。
特に未経験者や経験の浅いエンジニアにとっては、資格の保有が技術的な基礎力を示す有力な証拠となります。
初級レベル(未経験~3年程度)
CCNA(Cisco Certified Network Associate)、LinuC Level1(Linux技術者認定)、基本情報技術者試験、情報セキュリティマネジメント試験が推奨されます。
中級レベル(3年以上)
CCNP(Cisco Certified Network Professional)、AWS認定ソリューションアーキテクト – アソシエイト、情報処理安全確保支援士、LinuC Level2が評価されます。
これらの資格は、ネットワーク、サーバー、クラウド、セキュリティといった各領域での専門性を示すものとして、採用担当者から高く評価されます。
「勉強中」「取得予定」の記載方法と例文
未経験者や資格取得途中の応募者にとって、「勉強中」の資格を記載することは、成長意欲と学習姿勢を示す絶好の機会です。
取得済みの資格がない場合でも、積極的に学習状況を記載することが推奨されます。
具体的な受験予定日を明記する例
「CCNA(2025年3月取得予定、ITスクールにて学習中)」「LinuC Level1(2025年4月受験予定、独学にて学習中)」、学習方法を併記する例として「AWS認定ソリューションアーキテクト – アソシエイト(オンライン講座で学習中)」「基本情報技術者試験(参考書および過去問題で学習中)」と記載します。
特に未経験者にとって、学習姿勢は実務経験の不足を補う最大のアピールポイントとなります。「この人材は入社後も自律的に学び続けてくれる」という印象を採用担当者に与えることができます。
ポイント④|志望動機で企業戦略との接点を明確に示す
履歴書の志望動機欄の重要性
志望動機は、採用担当者が「なぜこの人材は当社を選んだのか」「長期的に活躍してくれそうか」を判断するための重要な項目です。
単なる一般論や業界への興味だけではなく、応募企業の事業戦略や技術的な取り組みに対する具体的な共感を示すことが求められます。
企業研究は志望動機を作成する上で不可欠
企業のホームページ、IR資料、ニュースリリース、採用ページなどを通じて、企業が現在取り組んでいるプロジェクトや今後の戦略を把握します。
志望動機で伝えるべき要素は、
- インフラエンジニアを志望する理由(なぜこの職種を選んだのか、技術への興味や社会貢献への意欲)
- 応募企業を選んだ理由(企業の戦略や事業内容への共感、企業文化や働き方への魅力)
- 入社後の貢献意欲とキャリアビジョン(自身のスキルをどう活かせるか、長期的にどう成長したいか)
の3つです。
業界特性に合わせた志望動機の作り方
インフラエンジニアの需要は製造業や建設業といった非IT業界でも高まっています。
応募先企業が属する業界の特性を理解し、それに対する貢献意欲を示すことで、志望動機の説得力が大きく高まります。
製造業への応募
「貴社の工場DX推進プロジェクトに共感し、生産現場のITインフラ構築を通じて製造効率の向上に貢献したい」と工場ネットワークやOTセキュリティへの関心を示します。
建設業への応募
「貴社の建設現場IT化戦略に魅力を感じ、現場と本社を結ぶネットワーク基盤の構築を通じて業務効率化に貢献したい」と建設業特有のIT課題への理解を示します。
SIerへの応募
「多様な業界のインフラ構築プロジェクトに携わり、幅広い技術経験を積みながら顧客価値の創造に貢献したい」と技術の幅と顧客志向を強調します。
志望動機の記述例(経験者・未経験者別)
志望動機は200〜300文字程度で簡潔にまとめることが望ましいです。履歴書の限られたスペースの中で、核心を明確に伝える記述力が求められます。
経験者向けの例「前職ではオンプレミス環境でのサーバー・ネットワーク運用に3年間従事し、システムの安定稼働に貢献してまいりました。貴社のクラウドファースト戦略に強く共感し、これまでの運用経験を基盤としながら、AWS環境での最新インフラ技術を習得し、貴社のDX推進に貢献したいと考えております。将来的にはITアーキテクトとして、システム全体の最適化を担える人材に成長したいと考えております。」(約200文字)
未経験者向けの例
「前職では営業職として顧客折衝に携わる中で、ITシステムが企業活動の基盤であることを実感いたしました。社会インフラを支えるインフラエンジニアの役割に魅力を感じ、現在CCNAの取得に向けてITスクールで学習中です。貴社の充実した研修制度と、未経験者育成への積極的な姿勢に魅力を感じ、入社後は一日も早く貴社のインフラ運用に貢献できる人材になりたいと考えております。」(約200文字)
ポイント⑤|インフラエンジニアに求められる基礎能力を履歴書から伝える
4つの本質的スキル
インフラエンジニアには、高度な技術スキルに加えて、システムを安定稼働させるための非技術的スキルが重視されます。
これらの基礎能力は、システム障害が発生した際のインフラエンジニアの行動特性そのものです。
論理的思考力は、問題の整理、的確な原因分析、最適な解決策の導出能力であり、トラブル発生時に冷静に状況を分析し効率的な対応を行う力です。
危機察知能力
システムトラブルの兆候を早期に察知し迅速なリスク回避策を講じる能力であり、監視データやログから異常の予兆を読み取る力です。
情報収集力
最新技術の進化に対応し業務に活かせる情報を適切に収集・分析する能力であり、技術動向を常にキャッチアップし自己学習を継続する姿勢です。
コミュニケーションスキル
チーム内や関係者間で円滑に連携し情報共有や調整を行う能力であり、障害発生時に関係部署と迅速に連携し復旧作業を進める力です。
出典:レバテックキャリア「インフラエンジニアの志望動機の例文」
履歴書での表現方法と記入例
これらの基礎能力は、履歴書の「自己PR欄」や「志望動機欄」で、具体的なエピソードを通じて表現することが効果的です。
論理的思考力の表現として「前職での業務改善プロジェクトにおいて、課題を体系的に分析し、優先順位をつけて解決策を提案した経験を通じて、論理的な問題解決力を養いました」
情報収集力の表現として
「最新のクラウド技術やセキュリティ動向について、技術ブログや公式ドキュメントを定期的に確認し、自主学習を継続しております」
危機察知能力の表現として
「前職のシステム運用業務において、監視ツールのアラート傾向を分析し、障害の予兆を事前に検知して対応した経験があります」
コミュニケーションスキルの表現として
「チーム内での情報共有を重視し、週次ミーティングで進捗状況や課題を積極的に報告することで、円滑なプロジェクト進行に貢献しました」と記載します。
これらの記述により、技術的な実績だけでなく、インフラエンジニアとして不可欠な行動特性を備えていることを採用担当者に伝えることができます。
4. インフラエンジニアの履歴書|各項目別の記入例とポイント

履歴書の各項目を正確に記入することで、採用担当者に信頼感を与えることができます。ここでは項目別の記入方法を詳しく解説します。
基本情報欄|写真・連絡先・日付の正確な記入
証明写真の基準
履歴書の証明写真は、採用担当者が最初に目にする視覚情報であり、第一印象を左右する重要な要素です。
撮影時期は3ヶ月以内に撮影したもので、髪型や容姿が現在と大きく異なる写真は避けます。
服装は男性がスーツにネクタイ着用、女性がスーツまたはジャケット着用とし、背景は無地(白・グレー・ブルー)で正面を向き、顔全体がはっきり写っているものを使用します。
撮影方法は写真館またはスピード写真機での撮影を推奨し、スマートフォンでの自撮りは避けます。
清潔感のある身だしなみと自然な表情の写真を使用することで、「この人と一緒に働きたい」と思わせる印象を与えることができます。
連絡先の記載方法
連絡先は、採用担当者からの連絡を確実に受け取るための重要な情報です。
電話番号は携帯電話番号を記載し(最も確実に連絡が取れる番号)、ハイフンを入れて見やすく記載します(例:090-1234-5678)。
メールアドレスは必ず記載し(IT業界では特に重要)、プライベート用のアドレスでも問題ありませんがビジネスにふさわしい文字列を使用します。
フリーメール(Gmail、Yahoo!メール等)も使用可能です。現住所は都道府県から番地まで正確に記載し、マンション・アパート名も省略せずに記載します。
日付の記入ルール
履歴書の日付は、提出日(郵送の場合は投函日、持参の場合は持参日、メール送付の場合は送信日)を記入します。作成日ではなく提出日を記入することで、最新の情報として扱われます。
また、履歴書全体で年号の表記を統一することが重要です。西暦(2025年)または和暦(令和7年)のいずれかに統一し、混在させないように注意します。
学歴・職歴欄|インフラエンジニアとしての経歴の書き方と記入例
学歴の記載ルール
学歴は高校卒業以降を記載するのが一般的です。中学校卒業から記載する必要はありません。
欄の最初の行に「学歴」と中央揃えで記載し、高等学校は「○○県立△△高等学校 卒業」、大学は「○○大学 △△学部 □□学科 卒業」、専門学校は「○○専門学校 △△科 卒業」と記載します。
入学・卒業年月は「令和○年4月 入学」「令和○年3月 卒業」のように明記します。
職歴の記載方法
職歴欄は、インフラエンジニアとしての専門性を示す重要なセクションです。
単に会社名を列挙するだけでなく、担当した業務内容を簡潔に記載することで、採用担当者に自身の経験を効果的に伝えることができます。
学歴の記載後、1行空けて「職歴」と中央揃えで記載し、各職歴は入社年月と会社名、会社の事業内容(括弧書きで簡潔に)、配属部署と担当業務、退社年月の順で記載します。
インフラエンジニアとしての職務記載例
インフラエンジニアの職歴では、担当した技術領域を明確に示すことが重要です。
サーバー運用経験の記載例として「令和○年4月 株式会社○○入社(ITインフラ構築・運用事業)」「インフラ部に配属、Linuxサーバーの構築・運用に従事」「令和○年3月 一身上の都合により退職」。
クラウド経験の記載例として「令和○年4月 △△株式会社入社(SIer事業)」「クラウドインフラ部に配属、AWS環境の設計・構築・運用担当」「令和○年3月 一身上の都合により退職」。
ネットワーク経験の記載例として「令和○年4月 □□株式会社入社(ネットワークインテグレーション事業)」「ネットワーク運用部に配属、企業ネットワークの設計・構築に従事」「現在に至る」と記載します。
転職回数が多い場合の対処法
転職回数が多い場合でも、職歴は正直に記載することが前提です。
虚偽の記載は、入社後に発覚した場合に経歴詐称となり重大な問題となります。
転職回数が多い場合の対応策としては、志望動機や面接で「各転職で○○のスキルを習得した」「キャリアアップのための計画的な転職だった」など、キャリアの一貫性や成長を説明できるよう準備することが重要です。
免許・資格欄|取得年月と勉強中資格の記入例
取得済み資格の記載方法
資格欄は、インフラエンジニアとしての専門知識を客観的に証明する重要なセクションです。
略称ではなく資格の正式名称を使用し(例:「CCNA」ではなく「Cisco Certified Network Associate」)、取得年月は「令和○年○月 取得」と明記します。記載順序は取得年月の古い順、または重要度の高い順とします。
インフラエンジニア向け資格の記載例
「令和4年6月 Cisco Certified Network Associate(CCNA) 取得」「令和5年3月 Linux技術者認定試験 LinuC Level1 取得」「令和5年10月 AWS認定ソリューションアーキテクト – アソシエイト 取得」「令和6年4月 情報処理安全確保支援士試験 合格」
勉強中資格の記載テクニック
未経験者や資格取得途中の応募者にとって、「勉強中」の資格を記載することは、成長意欲と学習姿勢を強くアピールする機会です。
受験予定日を明記する例
「Cisco Certified Network Associate(CCNA) 令和7年3月受験予定、ITスクールにて学習中」「Linux技術者認定試験 LinuC Level1 令和7年4月受験予定、独学にて学習中」、学習方法を併記する例として「AWS認定ソリューションアーキテクト – アソシエイト オンライン講座で学習中」「基本情報技術者試験 参考書および過去問題で学習中」と記載します。
未経験者は実務経験がない分、「入社後も自律的に学び続ける人材である」ことを資格欄で明確に示すことが、書類選考突破の鍵となります。
インフラエンジニアに関係ない資格の扱い
インフラエンジニアの業務に直接関係のない資格でも、運転免許(「普通自動車第一種運転免許」として記載、業務で移動が必要な場合に評価される)、ビジネススキル関連資格(日商簿記検定(財務理解の証明)、TOEIC(英語力の証明、技術ドキュメント読解に有利)、ITパスポート試験(IT基礎知識の証明))は記載を推奨します。
志望動機欄|200〜300文字で熱意を伝える構成と記入例
志望動機に盛り込む3つの要素
志望動機は、履歴書の中で最も採用担当者が注目する項目の一つです。
限られた文字数の中で、インフラエンジニアを志望する理由(なぜこの職種を選んだのか、技術への興味、社会貢献への意欲、安定性など)。
応募企業を選んだ理由(企業戦略・事業内容への共感、企業文化や働き方への魅力、具体的なプロジェクトや技術への関心)。
入社後の貢献意欲・キャリアビジョン(自身のスキルをどう活かせるか、どのように成長したいか、長期的にどう貢献したいか)の3つの要素を明確に伝えることが求められます。
経験者向け志望動機の記入例
経験者は、自身の実務経験と応募企業のニーズを結びつけることで、即戦力としての価値を示します。
「前職では3年間、オンプレミス環境でのサーバー・ネットワーク運用に従事し、システムの安定稼働と障害対応を通じて技術力を磨いてまいりました。貴社のクラウドファースト戦略とDX推進の取り組みに強く共感し、これまでの運用経験を基盤に、AWS環境での最新インフラ技術を習得しながら、貴社のビジネス成長に貢献したいと考えております。将来的にはITアーキテクトとして、システム全体の最適化を担える人材に成長することを目指しております。」(約230文字)
未経験者向け志望動機の記入例
未経験者は、なぜインフラエンジニアを目指すのかの動機と、学習姿勢を明確に示すことが重要です。
「前職では営業職として3年間従事する中で、企業活動を支えるITシステムの重要性を実感いたしました。社会インフラを支えるインフラエンジニアの役割に魅力を感じ、現在CCNAの取得に向けてITスクールで学習しております。貴社の充実した研修制度と、未経験者育成への積極的な姿勢に魅力を感じ、入社後は一日も早く戦力となり、貴社のインフラ運用に貢献できる人材になりたいと考えております。論理的思考力とコミュニケーション力を活かし、チームで成果を出すことに尽力いたします。」(約250文字)
本人希望欄|記入すべきこと・避けるべきこと
基本的な記入方法
本人希望欄は、原則として「貴社規定に従います」と記載するのが標準です。これは、企業の就業規則や労働条件を尊重する姿勢を示すものです。
記載が必要なケース
ただし、特別な事情がある場合は正直に記載することが推奨されます。
勤務地の希望(「転居を伴う転勤が困難(家族の介護のため)」「○○支社での勤務を希望」)、勤務時間の制約(「育児のため、時短勤務を希望」)、入社可能日(「現職の引き継ぎのため、○月○日以降の入社を希望」)は記載が必要です。
記載を避けるべきこと
給与・待遇に関する希望(「年収○○万円以上を希望」「賞与は年3回以上を希望」)、業務内容の限定(「夜勤は避けたい」「特定の業務のみ担当したい」)は、本人希望欄には記載せず面接の場で相談することが適切です。
これらの要望は選考過程で不利に働く可能性があるため、慎重に判断する必要があります。
■日本でエンジニアとしてキャリアアップしたい方へ
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5. 経験者向け|インフラエンジニアの履歴書でキャリアをアピールする記入例
経験者は実務経験を効果的にアピールすることで、即戦力としての価値を示すことができます。
職歴欄でのキャリアの見せ方|一貫性と成長を示す記入例
インフラ領域での専門性の深化
経験者の職歴欄では、単に在籍した企業名を列挙するのではなく、インフラエンジニアとしての専門性がどのように深化してきたかを示すことが重要です。
技術領域の拡大(サーバー運用 → ネットワーク構築 → クラウド設計、オンプレミス → ハイブリッド → クラウドネイティブ)、役割の変化(運用・保守 → 設計・構築 → アーキテクチャ設計、メンバー → リーダー → マネージャー)、規模の拡大(単一拠点 → 複数拠点 → グローバル展開)を簡潔に記載することで、キャリアの成長軌跡を効果的に伝えることができます。
職歴記載の具体例
成長の軌跡が見える職歴記載の例
「令和2年4月 株式会社○○入社(ITインフラ構築・運用事業)/インフラ運用部に配属、Linuxサーバーの運用・保守に従事/社内システムの監視、障害対応、バックアップ運用を担当/令和4年4月 同社インフラ設計部に異動/AWS環境の設計・構築プロジェクトに参画/EC2、RDS、VPCの設計・構築を担当し、3名のチームリーダーとしてプロジェクトを推進/令和6年3月 一身上の都合により退職」
このように、運用から設計へのステップアップや、クラウド技術の習得、チームリーダーとしてのマネジメント経験を記載することで、計画的なキャリア形成と成長意欲を採用担当者に示すことができます。
志望動機で企業戦略との接点を具体的に示す記入例
企業戦略との連携方法
経験者の志望動機では、自身の実務経験と応募企業のビジネス戦略を明確に結びつけることが求められます。
企業のホームページ、IR資料、ニュースリリースなどを通じて、応募企業が現在取り組んでいるプロジェクトや今後の戦略を把握し、それに対して自身の経験がどのように貢献できるかを具体的に示します。
クラウド移行戦略への共感(「貴社のクラウドファースト戦略に共感し、私のAWS環境での設計・構築経験を活かして貢献したい」)、DX推進への貢献(「貴社のDX推進プロジェクトに魅力を感じ、インフラ基盤の最適化を通じてビジネス変革を支えたい」)、セキュリティ強化への対応(「貴社のゼロトラストセキュリティ導入計画に関心があり、セキュリティ設計の経験を活かして貢献したい」)といったアプローチが効果的です。
経験者向け志望動機の記入例
経験者向けの志望動機では、即戦力としての価値と長期的なキャリアビジョンを両立させることが重要です。
5年間のインフラエンジニア経験を通じて、オンプレミス環境からAWS・Azureのクラウド環境まで幅広い基盤構築・運用に携わってまいりました。貴社のクラウドファースト戦略とグローバル展開への取り組みに強く共感し、これまでのマルチクラウド環境での設計・運用経験を活かして、貴社のビジネス成長に貢献したいと考えております。
また、Infrastructure as Codeやコンテナ技術といった最新技術の習得にも積極的に取り組み、将来的にはITアーキテクトとしてシステム全体の最適化を担える人材に成長したいと考えております。(約280文字)
資格欄で専門性の深さをアピールする記入例
上位資格の記載
経験者は、初級資格だけでなく、中級以上の専門資格を保有していることで、技術力の深さを証明できます。
ネットワーク分野では、CCNP(Cisco Certified Network Professional)、CCIE(Cisco Certified Internetwork Expert)※最上位
クラウド分野では、AWS認定ソリューションアーキテクト – プロフェッショナル、AWS認定DevOpsエンジニア – プロフェッショナル、Microsoft Azure Administrator Associate。
セキュリティ分野では、情報処理安全確保支援士、CompTIA Security+が評価されます。
上位資格の記載例
「令和3年8月 Cisco Certified Network Professional(CCNP Enterprise) 取得/令和4年11月 AWS認定ソリューションアーキテクト – プロフェッショナル 取得/令和5年6月 情報処理安全確保支援士試験 合格・登録」
複数領域の資格
ネットワーク、クラウド、セキュリティといった複数領域の資格を保有していることは、幅広い技術領域に対応できる人材であることの証明となります。
複数領域の資格保有例
「令和3年6月 Cisco Certified Network Associate(CCNA) 取得/令和4年3月 Linux技術者認定試験 LinuC Level2 取得/令和4年10月 AWS認定ソリューションアーキテクト – アソシエイト 取得/令和5年4月 情報セキュリティマネジメント試験 合格/令和5年12月 AWS認定SysOpsアドミニストレーター – アソシエイト 取得」
このように、ネットワーク(CCNA)、OS(LinuC)、クラウド(AWS)、セキュリティ(情報セキュリティマネジメント)の各領域で資格を保有していることを示すことで、総合的なインフラエンジニアとしての能力を採用担当者にアピールできます。
6. 未経験者・キャリアチェンジ層向け|インフラエンジニアの履歴書でポテンシャルを証明する記入例
未経験者は実績の代わりに、ポテンシャルと学習姿勢を効果的にアピールする戦略が必要です。
志望動機で「なぜインフラエンジニアか」を明確にする記入例
動機の具体化方法
未経験者やキャリアチェンジ層にとって、「なぜインフラエンジニアという職種を選んだのか」を明確に説明することは、採用担当者に納得感を与えるための重要なポイントです。
単なる「IT業界に興味がある」といった抽象的な表現ではなく、具体的な動機を示すことが求められます。
技術への興味(「ITシステムの基盤を支える技術に魅力を感じた」「目に見えないインフラがビジネスを支えている仕組みに興味を持った」)、社会貢献への意欲(「企業活動や社会インフラを支えるエンジニアとして貢献したい」「システムの安定稼働を通じて、多くの人々の生活を支えたい」)、キャリアの安定性(「DXやクラウド化の進展により、長期的に需要が見込める専門職として成長したい」「技術力を磨き続けることで、市場価値の高い人材になりたい」)といった動機が効果的です。
前職との接点の見出し方
未経験者であっても、前職での経験とインフラエンジニアに求められるスキルとの接点を見出すことで、ポテンシャルを効果的にアピールできます。
営業職出身
「顧客折衝を通じて培ったコミュニケーション力を、システム導入時のユーザー調整に活かせる」「顧客ニーズを把握し、最適な提案を行う力をインフラ設計に応用できる」、製造業出身であれば「生産ラインの安定稼働の重要性を理解しており、システム運用の安定性確保に活かせる」「品質管理の経験を、インフラの監視・保守業務に応用できる」
事務職出身
「正確なデータ入力と確認作業の経験を、サーバー設定やログ確認に活かせる」「業務効率化への取り組みを、インフラの自動化・最適化に応用できる」
未経験者向け志望動機の記入例
未経験者の志望動機では、動機の明確性、前職との接点、学習姿勢の3点を盛り込むことが重要です。
「前職では営業職として4年間従事する中で、顧客企業のITシステム導入に携わり、業務効率化を支えるインフラの重要性を実感いたしました。企業活動の基盤を支えるインフラエンジニアの役割に魅力を感じ、CCNAの取得を目標にITスクールで学習しております。
貴社の充実した研修制度と、未経験者育成への積極的な姿勢に魅力を感じております。営業で培った顧客折衝力とコミュニケーション力を活かし、ユーザーに寄り添ったインフラ運用に貢献したいと考えております。入社後は一日も早く戦力となり、将来的にはクラウドエンジニアとして成長することを目指しております。」(約290文字)
資格欄で学習姿勢を最大限アピールする記入例
「勉強中」の積極的記載
未経験者にとって、勉強中の資格を積極的に記載することは、成長意欲と学習姿勢を示す最も効果的な方法です。
実務経験がない分、「入社後も自律的に学び続ける人材である」ことを資格欄で明確に示すことが、書類選考突破の鍵となります。学習方法も併記することで、具体的な取り組みを採用担当者に伝えることができます。
スクール・講座(「ITスクールにて学習中」「オンライン講座(Udemy等)で学習中」)、独学(「参考書および過去問題で学習中」「公式ドキュメントを活用して独学中」)、実践的学習(「自宅環境でのラボ構築を通じて学習中」「AWSの無料枠を活用した実践学習中」)といった学習方法を明記します。
具体的な記入例
未経験者が資格欄に記載すべき内容の具体例
「令和6年10月 普通自動車第一種運転免許 取得/Cisco Certified Network Associate(CCNA) 令和7年3月受験予定、ITスクールにて週2回通学し学習中/Linux技術者認定試験 LinuC Level1 令和7年4月受験予定、参考書および公式ドキュメントで独学中/基本情報技術者試験 令和7年春期受験予定、オンライン講座および過去問題で学習中」
このように、複数の資格について具体的な受験予定日と学習方法を記載することで、「計画的に学習を進めている」「本気でインフラエンジニアを目指している」という強い意欲を採用担当者に伝えることができます。
自己PR欄で基礎能力を具体的エピソードで証明する記入例
4つの基礎能力の証明方法
未経験者は技術的実績の代わりに、インフラエンジニアに必須の4つの基礎能力(論理的思考力、危機察知能力、情報収集力、コミュニケーションスキル)を、前職での具体的な経験を通じて証明する必要があります。
論理的思考力は前職での問題解決経験、業務改善提案とその成果、データ分析に基づく意思決定経験で証明し、情報収集力は自主学習の継続、最新技術の情報キャッチアップ、業務に必要な知識の積極的な習得で証明します。
危機察知能力はトラブル予測と事前対応の経験、リスク管理の実践、異常の早期発見と報告で証明し、コミュニケーション力はチーム業務での円滑な連携、関係部署との調整経験、顧客対応での信頼構築で証明します。
自己PRの記入例(200〜300文字)
自己PR欄では、基礎能力を具体的なエピソードを交えて記述することが効果的です。
「前職の営業職では、顧客からの問い合わせ対応を通じて、問題の本質を見極める論理的思考力を養いました。特に、顧客の要望を整理し、最適な提案を行うプロセスは、インフラ設計におけるユーザー要件の分析に通じると考えております。また、トラブル発生時には迅速に関係部署と連携し、早期解決に導いた経験があり、この危機察知能力とコミュニケーションスキルは、インフラ運用でも活かせると確信しております。
現在、CCNAとLinuCの取得に向けて毎日2時間の学習を継続しており、入社後も自律的にスキルアップを続ける姿勢を持っております。」(約280文字)
7. インフラエンジニアのキャリアパスと履歴書への反映方法

明確なキャリアビジョンを履歴書で示すことで、長期的な成長意欲を採用担当者に伝えることができます。
4つの上位キャリアパスと平均年収
インフラエンジニアとしての経験は、将来的に高年収かつ戦略的なポジションへの移行を可能にする強固な基盤となります。
履歴書作成の段階で、これらの上位キャリアパスを目指す意欲を示すことで、候補者の長期的なポテンシャルを採用担当者に伝えることができます。
主要な上位キャリアパス
- ITアーキテクト(平均年収746万円)で「将来的にシステム全体の最適化を担うITアーキテクトを目指し、幅広い技術領域での経験を積みたい」
- プロジェクトマネージャー(平均年収643万円)で「マネジメント経験を積み、PMとしてプロジェクト全体を推進できる人材に成長したい」
- ITコンサルタント(平均年収643万円)で「技術力とビジネス理解を深め、ITコンサルタントとして顧客の経営課題解決に貢献したい」
- クラウドエンジニア(平均年収580万円)で「クラウド技術を深化させ、AWS・Azure等の専門性を高めたい」
キャリアビジョンを志望動機・自己PRに盛り込む記入例
長期的な成長意欲の表明方法
履歴書の志望動機や自己PR欄で、単に「現在のスキルを活かしたい」というだけでなく、「将来的にどのような人材に成長したいか」を明確に示すことで、採用担当者に「この人材は長期的に活躍してくれる」という印象を与えることができます。
企業での成長機会と自身の目標を一致させることが、効果的なキャリアビジョンの表明方法です。
- 短期目標(入社後1〜3年)としてインフラの基礎スキル習得、特定領域(クラウド、ネットワーク等)の専門性向上、チーム内での信頼構築
- 中期目標(3〜5年)として複数領域にまたがるプロジェクト経験、後輩の育成やチームリーダー経験、設計・構築の主担当
- 長期目標(5年以上)としてITアーキテクト、PM、コンサルタント等への移行、技術戦略の立案、事業価値への直接貢献を示します。
記述例
ITアーキテクトを目指す場合
「入社後は、まずサーバー・ネットワーク・クラウドの各領域で実務経験を積み、インフラ全体を俯瞰できる技術力を身につけたいと考えております。将来的には、システム全体の最適化を担うITアーキテクトとして、ビジネス戦略と技術戦略を結びつけた提案ができる人材に成長したいと考えております」
プロジェクトマネージャーを目指す場合
「技術力を磨くと同時に、プロジェクト管理やチームマネジメントの経験も積み、将来的にはプロジェクトマネージャーとして、複数のステークホルダーを調整しながらプロジェクトを成功に導ける人材に成長したいと考えております」
クラウドエンジニアを目指す場合
「貴社のクラウドファースト戦略のもとで、AWS・Azure等のクラウド技術を深く習得し、クラウドエンジニアとして高度な設計・構築ができる専門人材に成長したいと考えております。特にInfrastructure as Codeやコンテナ技術の習得に力を入れ、最新技術をビジネスに活かせる人材を目指します」
8. インフラエンジニアの履歴書作成|最終チェックリスト

履歴書を提出する前に、最終確認を行うことでケアレスミスを防ぎ、完成度を高めることができます。
基本情報・書式のチェック
基本的な記載事項と書式について確認します。
- 日付は提出日になっているか
- 証明写真は3ヶ月以内に撮影したものか
- 写真の服装はスーツで、背景は無地か
- 誤字脱字はないか(特に企業名、部署名、資格名)
- 修正液・修正テープを使用していないか(手書きの場合)
- 年号は統一されているか(西暦または和暦)
- 連絡先(電話番号、メールアドレス)は正確か
- 住所は都道府県から番地、マンション名まで正確に記載しているか
資格・学歴・職歴のチェック
資格、学歴、職歴は採用担当者が応募者の経歴を確認する上で最も重要な項目です。
- 資格の取得年月は正確か
- 資格の正式名称を使用しているか(略称ではない)
- 勉強中の資格も記載しているか
- 受験予定日や学習方法を併記しているか(勉強中資格)
- 学歴は高校卒業以降を記載しているか
- 入学・卒業年月は正確か
- 職歴の会社名・在籍期間は正確か
- インフラエンジニアとしての職務内容を明記しているか
- 担当した技術領域(サーバー、ネットワーク、クラウド等)を記載しているか
- 「現在に至る」または「一身上の都合により退職」と記載しているか
志望動機・自己PRのチェック
志望動機と自己PRは、応募者の人物像と入社意欲を伝える最も重要なセクションです。
- 企業研究に基づいた内容か(企業の戦略や事業内容に言及しているか)
- インフラエンジニアを志望する理由が明確か
- 応募企業を選んだ理由が具体的か
- 自身のスキル・経験と企業ニーズを連携させているか
- キャリアビジョンを示しているか(将来的にどう成長したいか)
- 200〜300文字程度にまとめているか
- 論理的思考力、危機察知能力、情報収集力、コミュニケーションスキルのいずれかをアピールしているか
- 具体的なエピソードを交えているか
- 一般論ではなく、自分自身の言葉で記述しているか
9. よくある質問|インフラエンジニアの履歴書作成Q&A

履歴書作成に関してよく寄せられる質問に回答します。
Q1. 履歴書は手書きとパソコン、どちらが良いですか?
A. 企業からの指定がない限り、どちらでも問題ありません。
IT業界ではパソコン作成(Word/PDF)が一般的であり、特にインフラエンジニアのような技術職では、パソコンスキルの証明としても評価されます。
ただし、手書きの場合は丁寧な字で記入し、修正液や修正テープは使用しないことが重要です。誤字があった場合は、新しい用紙に書き直すことが推奨されます。
パソコン作成の場合は、PDF形式で保存してメール送付することで、文字化けやレイアウト崩れを防ぐことができます。
Q2. 未経験でも資格欄に「勉強中」と書いて良いですか?
A. むしろ積極的に記載すべきです。
「CCNA取得に向けて学習中」「LinuC Level1を独学で学習中(2025年3月受験予定)」など、具体的な学習状況を記載することで、成長意欲と学習姿勢を強くアピールできます。
特に未経験者にとって、勉強中の資格は「入社後も自律的に学び続ける人材である」ことを証明する重要な要素です。
受験予定日や学習方法(ITスクール、独学、オンライン講座等)も併記することで、より具体的な取り組みを採用担当者に伝えることができます。
Q3. 転職回数が多い場合、履歴書にどう書けば良いですか?
A. 職歴は正直に記載することが前提です。
虚偽の記載は経歴詐称となり、入社後に発覚した場合に重大な問題となります。
ただし、志望動機や面接で「各転職で○○のスキルを習得した」「サーバー運用からクラウド設計へとステップアップするための計画的な転職だった」など、キャリアの一貫性や成長を説明できるよう準備しましょう。
転職回数が多くても、それぞれの職場で何を学び、どのようにスキルアップしてきたかを明確に示すことで、採用担当者の懸念を払拭することができます。
Q4. アルバイト・派遣経験も履歴書に書くべきですか?
A. インフラ関連業務(ヘルプデスク、サーバー監視、ネットワーク運用補助など)であれば、記載を強く推奨します。
正社員経験がない場合や、社会人経験が浅い場合は、特に重要なアピール材料となります。
記載する際は、「派遣社員として○○株式会社に勤務」「アルバイトとして△△会社のヘルプデスク業務に従事」など、雇用形態を明記した上で、担当した業務内容を具体的に記述します。
たとえアルバイトや派遣であっても、インフラ関連の実務経験は技術的な基礎知識を持っていることの証明となります。
Q5. 履歴書の志望動機と職務経歴書の自己PRは同じ内容で良いですか?
A. 基本的な方向性は一致させつつ、使い分けることが効果的です。
履歴書では「なぜこの企業を選んだのか」「入社意欲」を中心に記述し、職務経歴書では「何ができるか」「どのような実績があるか」を具体的に記述します。
例えば、履歴書の志望動機では「貴社のクラウドファースト戦略に共感し、AWS経験を活かして貢献したい」と企業への関心を示し、職務経歴書の自己PRでは「AWS環境で3つのプロジェクトを担当し、コスト20%削減を実現した」と具体的な実績を示すといった使い分けが有効です。
Q6. 写真はスマホで撮影したものでも良いですか?
A. 可能であれば写真館やスピード写真機での撮影を強く推奨します。
履歴書の証明写真は採用担当者が最初に目にする視覚情報であり、第一印象を大きく左右します。
スマートフォンでの自撮りは、背景や照明のコントロールが難しく、プロフェッショナルな印象を与えにくいため避けるべきです。
スピード写真機であれば数百円程度で撮影でき、背景が無地で正面を向いた清潔感のある写真を用意できます。社会人としての基本的なマナーを示すためにも、適切な証明写真の使用は必須です。
10. まとめ|インフラエンジニアの履歴書で書類選考を突破しよう
インフラエンジニアの履歴書作成では、厚生労働省の標準様式を活用し、資格欄では勉強中の資格も積極的に記載することが重要です。
志望動機では企業戦略との接点を明確に示し、インフラエンジニアに求められる論理的思考力や危機察知能力などの基礎能力を具体的なエピソードで証明しましょう。
現在、インフラエンジニアの案件数は前月比で倍増しており、売り手市場だからこそ履歴書での差別化が採用成功の鍵となります。
この記事で解説した5つのポイントと記入例を参考に、戦略的な履歴書を作成して書類選考を突破しましょう。