エンジニアとして3年が過ぎると、「この給料は自分の働きに見合っているのか」「このまま今の環境にいていいのか」という2つの問いが出てきます。技術的に一人前と見られ始める一方で、周りとの年収の差が気になり出す時期です。
この記事では、エンジニア経験3年の年収の相場を公的データで整理し、同じ3年でも年収に差が出る理由、そして年収500万円を超えるための具体的なプランまでを解説します。後半では、外国籍エンジニアに向けて、年収と在留資格・永住権の関係にも触れます。
- エンジニア経験3年の年収相場(400万〜500万円台が目安)について
- 年収が「商流×工程×役割」の3軸で決まる仕組みについて
- 年収500万円を超える方法と、外国籍エンジニアの在留資格との関係について
1. エンジニア経験3年の年収相場は平均400万〜500万円が目安

まず相場の基準を確認します。エンジニア経験3年の年収は職種や企業で幅がありますが、おおむね400万〜500万円台が目安です。
実務経験3年の年収は「約450万円」が一つの基準
公的統計である賃金構造基本統計調査(厚生労働省・e-Stat)を見ると、システムエンジニアなどのIT系職種は、同年代の全職種平均より高い水準にあります。
この公的データに人材サービス各社の調査を重ね合わせると、経験3年前後の代表的な水準は約450万円が一つの目安といえます(約450万円は各種調査を総合した目安であり、特定の公的統計から直接算出した数値ではありません)。
ただし、これはあくまで目安です。同じ3年でも、あとで説明する「商流・工程・役割」によって年収は大きく上下します。まずは自分の年収が400万〜500万円台のどこにあるかを、出発点として押さえておきましょう。
新卒3年目と中途3年目で年収構造が異なる理由
同じ「経験3年」でも、新卒で入社して3年目の人と、中途やキャリアチェンジで入って3年目の人では、年収の決まり方が違います。
新卒からの積み上げ型は、初任給を起点に毎年の昇給が反映されるため、会社の等級に沿った金額に収まりやすい傾向があります。一方、中途で入った型は、前職の給与や入社時の交渉、入った時点のスキルで金額がばらつきやすく、「即戦力かどうか」で評価されます。
中途で入る人が多い外国籍エンジニアは、後者が当てはまることが多いです。
民間統計とテック系統計で相場が二極化する背景
相場を一つの数字で捉えると、実態を見誤ります。人材サービス各社の全体平均では、Web・IT系の平均年収は約469万円で、公的データの400万〜500万円台とほぼ同じです。
ところが、テック企業に絞った登録者データでは、社会人3年目の平均が約620万円、多い層は500万〜720万円と、かなり高くなります。
実際、公的な調査(厚生労働省)でも、担当者クラスの賃金中央値は上流の企画・プロジェクト管理で600万円、下流の設計・構築や運用・保守で500万円と、同じ役職レベルでも約100万円の差がついています。
ここにテック企業3年目の平均620万円を重ねると、相場は「工程」と「環境」の二重構造で分かれていることが数字でも確認できます。その分かれ目を決めているのが、次章の3軸です。
補助データ:doda「職種別平均年収ランキング(技術系IT/通信)」/PROJECT COMP「社会人3年目エンジニア年収統計」
2. エンジニア経験3年の年収は「商流×工程×役割」で決まる
なぜ同じ3年でも年収に差が出るのか。理由は本人の努力だけでなく、市場の構造にあります。
エンジニアの年収は「商流」「工程」「役割・技術スタック」という3つの軸の組み合わせで決まると考えると、相場が二つに分かれる理由がすっきり説明できます。
| 軸 | 年収が低くなりやすい側 | 年収が高くなりやすい側 |
|---|---|---|
| 商流 | 三次・四次請け/SES(中間マージン大) | 一次請け(元請け)・自社開発 |
| 工程 | 単体テスト・コーディング・監視保守(下流) | 要件定義・基本設計(上流) |
| 役割・技術スタック | 作業者・汎用スキル中心 | リーダー/クラウド・データ等の希少スキル |
商流:多重下請けが年収の上限を頭打ちにする仕組み
商流とは、発注元から自分の会社までの下請けの階層のことです。一次請け(元請け)から二次請け、三次・四次請け、SESへと下るほど中間マージンが引かれ、現場で出した成果が報酬に反映されにくくなります。
厳しいのは、三次請け以下では経験を積んでも年収が400万円台前半で止まりやすい点です。スキルや残業を増やしても、商流の位置が上限を決めてしまいます。だからこそ、努力の方向を「商流を上げる」ことに向ける必要があります。
工程:下流・運用から上流設計へ移れているか
工程とは、担当する仕事のレベルのことです。単体テストやコーディング、インフラの監視・保守といった下流・運用の工程と、要件定義や基本設計といった上流の工程では、求められる判断の難しさが違い、待遇にも差が出ます。
3年目で下流の工程に固定されたままだと、年収は相場の下限にとどまりやすくなります。逆に、上流の工程に少しでも関われていれば、市場価値は着実に上がります。今どの工程を任されているかは、年収の伸びしろを測る大事な目印です。
出典:厚生労働省「IT・デジタル人材の労働市場に関する研究調査事業報告書」
役割・技術スタック:希少スキルが年収を跳ね上げる
3つ目の軸は、担う役割と持っている技術スタックです。チームの進捗管理や後輩の指導といったリーダー・マネジメントへの移行は、それ自体が評価の加点になります。
さらに、クラウド(AWSなど)、データ解析、フルスタックといった需要が高く数の少ないスキルの経験は、年収を大きく押し上げます。公的資料でも、こうした先端領域の人材は不足していると指摘されており、数が少ないほど報酬に反映されやすくなります。
自分はどの位置にいる?年収の3軸セルフチェック
ここまでの3軸を、自分に当てはめてみましょう。次の3つの問いに答えると、今の立ち位置と、次に伸ばすべき軸が見えてきます。
3つのセルフチェック
- 商流は?/所属は元請け・自社開発か、それとも二次請け以下か
- 工程は?/担当は下流(テスト・保守)中心か、上流(要件定義・設計)に関われているか
- 役割は?/作業者にとどまっているか、リーダー経験や希少スキルを持っているか
3つとも「低い側」なら、相場の下限にとどまっている可能性があります。1つでも「高い側」に動かせれば年収は上がりやすくなります。どの軸から動かすか、次章からの具体策と合わせて考えてみてください。
3. 職種別に見るエンジニア経験3年の年収の違い

3軸を踏まえると、職種によって年収の水準や伸び方に違いが出ます。ここでは代表的な職種ごとに、3年目の相場と伸びしろを整理します。まずは全体像を表で確認します。
| 職種 | 3年目の相場の目安 | 年収を分ける主な要因 |
|---|---|---|
| Webエンジニア | 400万〜500万円台 | 技術スタックの新しさ |
| インフラエンジニア | 400万〜500万円台 | 商流・工程(監視保守か設計・クラウドか) |
| システムエンジニア(SE) | 450万〜600万円 | 企業規模・地域・上流シフト |
Webエンジニア3年目の相場と伸びしろ
Webエンジニアの3年目は、相場400万〜500万円台が目安です。この職種は、扱う技術スタックの新しさが伸びしろに直結します。
最新のフレームワークやクラウドを扱える人は引き合いが強く、上のレンジに届きやすくなります。逆に、古い環境に長くいると、スキルが古くなって年収も伸びにくくなります。
インフラエンジニア3年目の相場と商流の影響
インフラエンジニアは、3軸のうち商流と工程の影響を最も受けやすい職種です。監視・保守中心の運用にとどまるか、設計・構築やクラウド(AWSなど)といった上流の工程に移れるかで、待遇がはっきり分かれます。
監視・保守のまま多重下請けの中にいると年収は上がりにくく、設計・クラウドへ移ることが年収アップの分かれ道になります。
システムエンジニア(SE)3年目の相場と上流シフト
システムエンジニア(SE)の3年目は、企業規模や地域で変わりますが、450万〜600万円が一つの範囲です。
SEはもともと要件定義や設計といった上流に関わる機会が多く、そこからプロジェクトリーダー(PL)やプロジェクトマネージャー(PM)へ進めるかどうかが昇給の鍵になります。作業者にとどまるか、上流・マネジメントへ踏み出すかで、その後の年収の伸び方が大きく変わります。
外資系・自社開発・グローバル企業という選択肢
職種の枠を超えた選択肢として、外資系・自社開発・グローバル企業という環境があります。実力主義の評価が中心で、成果が年収に反映されやすく、高年収を狙いやすい傾向です。
英語力が活きる場面も多く、語学を強みにする外国籍エンジニアとも相性が良い環境です。相場の高いほう(テック系統計の500万〜720万円ゾーン)を狙う進路の一つといえます。
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4. エンジニア経験3年で年収500万円を超える4つの方法

相場と構造がわかったところで、年収500万円を超えるための具体的な方法を整理します。どれも3軸のどれかを「高い側」へ動かす方法です。
1. 上流工程(要件定義・設計)の経験を積む
最も効果が大きいのが、下流の工程から抜け出すことです。要件定義や基本設計といった上流の経験は、それだけで市場価値を上げます。
いきなり全部を任されなくても、設計書づくりに関わる、顧客との打ち合わせに同席するなど、上流の一部を担う実績を積むことが第一歩です。まずはここを最優先にしましょう。
2. マネジメント・リーダー職に挑戦する
2つ目は、役割の軸を動かす方法です。大きなチームでなくても、後輩の指導やタスクの進捗管理を引き受けることが評価の加点になります。
「人を動かして成果を出した」経験は、査定や転職で強いアピールになります。小さな範囲からでもリーダー役を買って出ることが、年収アップの近道です。
3. 高需要スキル(クラウド・データ)を習得する
3つ目は、技術スタックの希少性を高めることです。クラウド(AWSなど)やデータ解析といった需要の高い領域は人材が足りておらず、身につければ年収に直結しやすくなります。
公的資料でも、こうした先端人材は不足していると指摘されており、数が少ないほど報酬の差になって現れます。日々の業務に加えて、意識してこの領域の経験を増やすと効果的です。
4. 資格でスキルを客観的に可視化する
4つ目は、スキルを他人にわかる形で証明することです。実力があっても、伝わらなければ査定や転職では評価されにくいものです。資格は「努力した証明」と「スキルの客観的な裏づけ」の両方になります。
評価につながる代表的な資格
目的別に整理すると、次のような資格が査定・転職で役立ちます。
基礎力・応用力を示す資格
- 基本情報技術者:ITの基礎知識を体系的に証明する
- 応用情報技術者:設計・マネジメント寄りの応用力を示す
専門領域を示す資格
- AWS認定:クラウド領域の実務スキルを裏づける
- CCNA:ネットワーク・インフラ領域の知識を証明する
自分が伸ばしたい軸(上流・マネジメント・クラウドなど)に合わせて選ぶと、キャリアの方向と一致した形でスキルを見せられます。
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5. エンジニア経験3年は転職で年収を上げる好機(売り手市場)

年収を上げる方法のなかでも、転職は効果が大きい選択肢です。そして経験3年目は、転職市場で特に評価されやすいタイミングです。
3年目が「即戦力」として評価される理由
新卒から3年目までは、転職の「プラチナ期」と呼ばれることがあります。企業から見ると、3年間の実務で基礎的な仕事の進め方が身についていて、それでいて前職の色に染まりきっていない、将来に期待できる人材だからです。
これは公的データからも裏づけられます。厚生労働省の調査では、5年以内にIT職種へ転職した人の約56%が転職後に年収を上げています。
さらに、賃金が上がった人の割合は若い年代ほど高く、現職の経験年数が浅い層で転職者が最も多いという結果も出ています。
育成コストを抑えつつ即戦力に近い働きが期待できるため採用側の需要が高まりやすく、経験3年前後は公的データの上でも賃金を上げやすいタイミングだといえます。
出典:厚生労働省「IT・デジタル人材の労働市場に関する研究調査事業」調査報告書(PDF)
年収を上げる転職で失敗しないための注意点
一方で、転職には落とし穴もあります。年収の額面だけで転職先を選ぶと、成長できる環境やスキルが伸びる工程に恵まれず、長い目で見て市場価値を下げてしまうことがあります。目先の年収と、上流工程や希少スキルに触れられる環境かどうかの両方を見極めましょう。
また、面接や書類選考では、スキルシート(職務経歴書)で実績をどれだけ具体的に見せられるかが評価を左右します。
担当した工程、使った技術、チームでの役割を、数字や事実で示すと説得力が上がります。年収アップと成長環境の両立を意識することが、失敗を避けるポイントです。
6. 外国籍エンジニアは年収と在留資格・永住権が連動する

ここからは、日本で働く外国籍エンジニアに向けた内容です。外国籍エンジニアにとって、年収は在留資格や永住権と深く関わります。
技術・人文知識・国際業務ビザと年収水準の関係
エンジニアの多くが持つ「技術・人文知識・国際業務」の在留資格では、仕事の内容だけでなく、報酬が日本人と同等以上であることなどが求められるとされています。
安定した年収は、在留資格の更新をスムーズにし、日本での在留を安定させる要素の一つと考えられます。ただし、具体的な要件は変わることがあるため、最新の内容は必ず出入国在留管理庁の公式情報で確認してください。
高度専門職ポイント制で年収が永住取得を早める仕組み
日本には、高度外国人材を対象にした「高度人材ポイント制(高度専門職)」という制度があります。
学歴・職歴・年収などの項目ごとにポイントを付け、合計が一定の点数(70点)に達すると、出入国在留管理上の優遇措置が受けられる仕組みです。この制度では年収の占める割合が大きく、条件を満たすと、在留歴に係る永住許可要件が緩和されることがあります。
つまり「経験3年 × 年収を上げる」というこの記事のテーマは、外国籍エンジニアにとって永住への近道につながり得ます。年収を上げることが、そのまま日本で暮らす選択肢を広げるわけです。
なお、必要なポイント数・年収の基準・短くなる年数といった具体的な数字は変わることがあるため、最新の要件は公式情報で確認することをおすすめします。
年収を上げることが在留・キャリアの選択肢を広げる
前章までに挙げた年収アップの方法(上流シフト・マネジメント・希少スキル・資格・転職)は、外国籍エンジニアにとっては年収が上がるだけにとどまりません。
年収が上がることは、在留の安定や、将来の永住・キャリアの選択肢の広がりにもつながります。日本で長くキャリアを築くうえで、年収を上げる取り組みは生活の土台を安定させる意味でも大切です。
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年収アップの転職を考える外国籍エンジニアがまず気にすべきなのが、在留資格をどう維持するかです。
この記事では、在留資格を切らさずに転職を成功させるための手続きや注意点を、外国籍エンジニア向けにまとめています。
よくある質問
エンジニア経験3年で年収300万円は低いですか?
相場の目安が400万〜500万円台なので、300万円はやや低めといえます。
ただ、これは商流(下請けの構造)や、担当が下流の工程に固定されているときに起こりやすい水準でもあります。
年収の低さを自分の能力の問題と考えるのではなく、3軸(商流・工程・役割)のどこに原因があるかを見極めることが、改善の第一歩です。
平均年収と中央値は何が違うのですか?
平均年収は全員の年収を足して人数で割った値で、一部の高年収者に引き上げられやすい特徴があります。
中央値は年収順に並べたときのちょうど真ん中の人の値で、実感に近い水準を示しやすい指標です。
求人サイトなどの平均値だけを見ると相場を高く見積もりがちなので、公的統計の中央値も合わせて確認すると、自分の位置を正しく把握できます。
経験3年でフリーランスになると年収は上がりますか?
案件の単価が上がって年収が伸びることはありますが、必ず上がるとは限りません。
フリーランスは、商流上の位置や取れる工程で収入が大きく変わり、収入の安定や社会保険などの負担も自分で管理することになります。
額面だけでなく、上流・高単価の案件を続けて取れるスキルと商流があるかを見極めることが大切です。
未経験からエンジニア3年目の年収相場はどのくらいですか?
未経験から入った場合、1年目は300万〜350万円程度からのスタートが一般的で、3年目には350万〜500万円のレンジに入ることが多いです。
上流工程への関与、専門分野の確立、後輩の指導などの経験を積めているかどうかが、上限の500万円に届くかの分かれ目になります。
日本語力(JLPT)は年収に影響しますか?
外国籍エンジニアの場合、日本語力は担当できる工程の幅に影響し、結果として年収にも関わります。
要件定義や顧客とのやりとりといった上流の工程では日本語での会話が求められる場面が多く、日本語力が高いほど上流・高単価の役割を任されやすくなります。
また、日本語能力は高度人材ポイント制で加点の対象になる場合もあります。最新の加点要件は公式情報で確認してください。
まとめ:3年目は年収の分岐点。自分の3軸を確認して次の一手を

エンジニア経験3年の年収は、相場としては400万〜500万円台が目安ですが、その水準は「商流×工程×役割」の3軸で大きく上下します。まず相場を確認し、次に自分の商流・工程・役割を見て、どの軸に伸びしろがあるかを見極めることが大切です。
そのうえで、上流工程へのシフト、マネジメントへの挑戦、希少スキルの習得、資格による見える化、そして転職といった方法から、自分に合う一手を選びましょう。
3年目は、その後のキャリアを左右する分岐点です。外国籍エンジニアにとっては、年収を上げることが在留の安定や永住・キャリアの選択肢の広がりにも直結します。今の立ち位置を確認し、次の一歩を踏み出してみてください。
■年収アップと在留の安定を、まとめて相談する
年収アップが在留資格の安定や永住・キャリアの選択肢につながる——そんな一歩を踏み出したい、日本在住・日本語N2以上の外国籍ITエンジニアの方へ。
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