プリセールスエンジニアは、ITシステムやサービスの提案を「技術の専門家」として支える職種です。開発で培った知識を活かしながら顧客と直接向き合えるため、エンジニアの次のキャリアとして注目されています。
この記事では、仕事内容や他職種との違い、必要なスキルや資格、年収の目安までを公的データをもとに整理します。日本で働くエンジニアはもちろん、日本での就職・転職を目指す外国籍エンジニアにも役立つ内容です。
- プリセールスエンジニアの仕事内容と、セールスエンジニアなど類似職種との違いについて
- 必要なスキル・資格と、未経験からプリセールスエンジニアを目指すステップについて
- 公的データでみる年収・需要の実態と、外国籍エンジニアが活かせる強みについて
1. プリセールスエンジニアとは?仕事の役割をわかりやすく解説

プリセールスエンジニアとは、営業に同行し、技術の面から提案や契約を支えるIT職種です。
厚生労働省の職業情報提供サイト(job tag)では、この職種にあたる「コンサルティング営業(IT)」を、顧客の課題を確認し、その解決策としてシステムやサービスを提案・販売する仕事と説明しています。
商談の場で技術的な提案を行い、システムエンジニアと一緒に顧客の疑問に答えます。
「プリセールス(Pre-sales)」は「受注前」という意味です。契約が決まる前の技術サポートに集中する点が、この職種の特徴です。つまりプリセールスエンジニアは、IT技術と営業をつなぐ橋渡し役といえます。
需要が高く、人材が少ない職種
プリセールスエンジニアは、需要が高い一方で人材が少ない職種です。厚生労働省 job tagによると、関連職種(通信・情報システム営業員)の有効求人倍率は4.02倍(令和6年度)と高い水準にあります。
求人の数に対して、働き手が少ない状態を示す数字です。また、レバテックの調査では、IT人材のうちプリセールス・セールスエンジニアはわずか0.8%にとどまります。
求人倍率4.02倍という需要の強さと、IT人材のわずか0.8%という供給の少なさを重ね合わせると、需給の両面から希少性が高い職種であることがわかります。
技術と営業の両方ができる人材は少なく、その分だけ市場での価値が高いといえます。
出典:厚生労働省「職業情報提供サイト(job tag)コンサルティング営業(IT)」/レバテック「IT人材白書2026」
2. プリセールスエンジニアの主な仕事内容

プリセールスエンジニアの仕事は、商談の前から契約後まで、いくつかの段階に分かれます。
厚生労働省 job tagの調査でも、見積書の提示・契約、システム仕様の調整、コスト計算、導入時の立ち会いなどが、よく行う仕事として挙がっています。主な内容は次のとおりです。
主な内容をチェック
- 課題のヒアリング:顧客の悩みや要望を聞き取り、解決の方向性を整理します。
- 提案・デモ:製品やサービスの内容を説明し、デモやPoC(試しに導入して効果を確かめること)で有効性を示します。
- 仕様調整・見積もり:予算や要望に合わせてシステムの内容を調整し、費用を計算します。
- 導入のサポート:契約後の初期設定や動作確認に、技術の窓口として関わることもあります。
- 開発チームへの引き継ぎ:決まった内容を正確にまとめ、システムエンジニアなどに引き継ぎます。
規模の大きな案件では、複数のシステムエンジニアと協力して進めます。顧客と直接やり取りするため、信頼関係を築き、要望に合った提案をする力が求められます。
参考:厚生労働省「職業情報提供サイト(job tag)コンサルティング営業(IT)」
3. プリセールスエンジニアと他職種との違い
プリセールスエンジニアは、似た職種と役割を混同されやすい仕事です。特に「セールスエンジニア」との違いは、多くの人が迷うポイントです。主な職種との違いを表にまとめました。
| 職種 | 主な役割 | 関わる時間軸 |
|---|---|---|
| プリセールスエンジニア | 契約前の技術提案・デモに集中し、営業を技術面から支える | 契約前が中心 |
| セールスエンジニア | 提案から導入・保守まで幅広く担当。契約に責任を持つ場合も | 契約前〜契約後 |
| システムエンジニア | 要件定義・設計・開発など、システムづくりの実務 | 契約後の開発フェーズ |
| ITコンサルタント | 経営や業務の課題を分析し、解決のプランを立てる | 企画・上流工程 |
| 営業(IT) | 顧客開拓や受注獲得など、販売そのもの | 商談全般 |
セールスエンジニアとの違い
最も混同されやすいのがセールスエンジニアです。プリセールスは契約前の技術提案に集中します。一方セールスエンジニアは、導入後の設定やトラブル対応まで担当することが多い点が異なります。
企業によっては両者を分けず、顧客開拓から納品後の対応まで一人で担うこともあります。
システムエンジニア・プログラマーとの違い
システムエンジニアやプログラマーが開発そのものを担うのに対し、プリセールスは開発の前の段階で顧客に技術を提案します。
コードを書く比重は下がりますが、幅広い技術を理解し、わかりやすく説明する力が求められます。
ITコンサルタント・営業との違い
ITコンサルタントは、経営や業務の課題を分析し、解決のプランを立てるのが主な役割です。
プリセールスは自社の製品やサービスを軸に、技術的な解決策を示します。また、一般の営業が受注そのものを担うのに対し、プリセールスは営業を技術の面から支えます。
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プリセールスエンジニアと混同されやすいITコンサルタント。両者は役割も年収水準も異なります。
SEより年収が高いといわれる理由や具体的な仕事内容、転職の進め方を知っておくと、自分に合ったキャリアを選びやすくなります。
詳しくはこちらの記事をどうぞ。
4. プリセールスエンジニアが「きつい・つまらない」といわれる理由

検索では「きつい」「つまらない」という言葉が一緒に出てくることがあります。その背景には、次のような理由があります。
プログラミングに関わる機会が減る
開発から離れるため、コードを書くことを仕事の中心にしたい人には、物足りなく感じることがあります。
売上や成約の目標がある
営業を支える職種なので、売上や契約数といった目標に関わります。技術職とは違う種類のプレッシャーを感じる人もいます。
幅広い知識を学び続ける必要がある
自社製品だけでなく、他社製品や最新技術まで説明できる知識が必要なため、学び続ける姿勢が欠かせません。
一方で、他社製品との違いを顧客の視点で整理したり、検証やサンプルづくりをしたりする仕事には、高い技術力と提案力が必要です。「手を動かさない仕事」という見方は実態とは異なり、幅広いスキルを発揮できる場でもあります。
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5. プリセールスエンジニアに求められるスキル

プリセールスエンジニアには、技術と営業をつなぐための複数のスキルが必要です。主に次の4つです。
IT全般の知識
ネットワーク、クラウド、セキュリティ、ソフトウェアなど、幅広い分野を理解する力が必要です。得意分野の深さに加え、全体を説明できる広さが強みになります。
コミュニケーション力・提案力
顧客の課題を正しく聞き取り、専門用語を知らない相手にもわかりやすく伝える力が大切です。信頼関係を築く姿勢も欠かせません。
ビジネスの視点
「技術的に動く」だけでなく、「導入すると業務がどれだけ改善し、費用に見合う効果(ROI)が出るか」を説明する力が重視されています。
技術を顧客のメリットに置きかえて伝える視点が、他のエンジニアとの違いになります。
資料作成・プロジェクト管理
提案書やデモ資料をつくる力、案件全体の作業量やスケジュールを見積もる力も必要です。複数の関係者をまとめて進める調整力も求められます。
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プリセールスでは技術力に加え、日本の職場で信頼を得るスキルも重要になります。
外国籍エンジニアが日本のIT企業で成果を出すために押さえておきたい5つの必須スキルを、実際の場面に沿って具体的にまとめています。
プリセールスを目指すうえでも土台となる内容です。詳しくはこちらの記事をどうぞ。
6. プリセールスエンジニアの仕事に役立つ資格
プリセールスエンジニアに必須の資格はありません。
厚生労働省 job tagでも、この職種は特に学歴や資格は必要ないとされています。ただし、入職後に資格を取る人も多く、スキルを客観的に示すのに次の資格が役立ちます。
| 資格 | 示せる内容 |
|---|---|
| 基本情報技術者・応用情報技術者 | ITの基礎から応用までの知識(job tagの関連資格) |
| ITパスポート | ITに関する基礎的な知識 |
| PMP® | 作業量やスケジュール管理など、プロジェクト運営の力 |
| TOEIC | 海外製品の情報を読み解く語学力(外資系・グローバル案件で有利) |
基本情報技術者・応用情報技術者は、厚生労働省 job tagでこの職種の関連資格として挙げられており、技術力を示す定番の選択肢です。
参考:厚生労働省「職業情報提供サイト(job tag)コンサルティング営業(IT)」
7. プリセールスエンジニアになるには(未経験からのステップ)
プリセールスエンジニアに、決まった一本道はありません。多くは、エンジニアや営業の経験を土台にして進みます。代表的なステップは次のとおりです。
未経験からでも、「エンジニア経験+人と話す力」または「営業経験+IT知識」があれば目指せます。今どちらか一方を持っている人は、足りない方を補うことが近道です。
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プリセールスへの転職で年収アップを狙うなら、動くタイミングも大切な要素です。
エンジニアの転職は何年目が有利なのか、年収が上がりやすい時期はいつなのかを、データをもとに解説しています。ステップと合わせて読むと、行動の計画が立てやすくなります。
詳しくはこちらの記事をどうぞ。
8. プリセールスエンジニアの年収と将来性

プリセールスエンジニアは、IT職種の中でも比較的高い年収が期待できます。
厚生労働省 job tagによると、関連職種(コンサルティング営業(IT))の平均年収は約659万円、平均年齢は42.2歳です(令和7年賃金構造基本統計調査より)。
平均年齢が42.2歳という点も踏まえると、若手が一足飛びに高年収を得る職種というよりは、エンジニア経験を土台にキャリア中盤で価値が高まっていく職種構造がうかがえます。
出典:厚生労働省「職業情報提供サイト(job tag)コンサルティング営業(IT)」
企業規模・役職による違い
年収は、企業の規模や役職によって幅があります。経験を積んで管理職になると、個人の成果に加えてチームの成果も評価され、年収が大きく上がる傾向があります。
日系企業と外資系企業の違い
プリセールスエンジニアは、もともと外資系IT企業で広まったポジションです。
外資系では成果に応じたインセンティブ(成果報酬)が整っていることが多く、実績しだいで年収1,000万円を超えることもあります。近年は日系企業でも採用が増え、活躍の場は広がっています。
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9. DX時代に高まるプリセールスエンジニアの需要
プリセールスエンジニアの需要が高まる背景には、DX(デジタル化による業務改革)の広がりがあります。企業のIT環境が複雑になる中で、技術を正しく理解し、ビジネスの言葉で説明できる人材が求められています。
クラウドやデータ活用の広がり
クラウド(AWS・Azureなど)への移行、データ活用、セキュリティの見直しなど、提案する分野は広がり続けています。「導入すると業務がどう変わり、どれだけの効果が出るか」まで示せる人材の価値が高まっています。
「技術を価値に変える」役割へ
製品のデモを見せるだけでなく、顧客のビジネスをよくする提案者としての役割が期待されています。有効求人倍率4.02倍という高い水準(厚生労働省 job tag・令和6年度)も、こうした人材が求められていることを表しています。
参考:厚生労働省「職業情報提供サイト(job tag)コンサルティング営業(IT)」
10. 外国籍エンジニアがプリセールスエンジニアを目指すには

プリセールスエンジニアは、日本で働く外国籍エンジニアにとっても魅力的な選択肢です。ここでは、外国籍エンジニアが特に気になるポイントを整理します。
求められる日本語・英語のレベル
プリセールスは、顧客との対話が中心の職種です。日本の顧客を担当する場合は、ビジネスで使える日本語力があると有利になります。
一方、英語は外資系企業やグローバルな案件で強い武器になります。海外ベンダーの製品情報を読み解く場面でも役立ちます。
在留資格との関係
プリセールスエンジニアの仕事は、ITの専門知識と提案を組み合わせるものです。このため、一般に在留資格「技術・人文知識・国際業務」の対象となる専門職と考えられます。
ただし、実際に認められるかどうかは、担当する業務の内容や、学歴・職歴との関連性によって個別に審査されます。転職で業務内容が大きく変わる場合は、届出や在留資格変更の手続きが必要になることもあります。
詳しくは出入国在留管理庁の情報を確認し、必要に応じて専門家に相談すると安心です。
出典:出入国在留管理庁「在留資格『技術・人文知識・国際業務』」
外国籍だからこその強み
外国籍エンジニアには、この職種で活かせる強みがあります。複数の言語に対応できること、海外ベンダーの製品や文化を理解していること、グローバルな顧客とのやり取りに慣れていることなどです。
これらは、日本人エンジニアとは異なる付加価値として評価されます。
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本文でも触れたとおり、転職で業務内容が変わると在留資格の手続きが必要になることがあります。
在留資格を維持したままプリセールスなどへの転職を成功させる具体的な方法を、準備から手続きまで手順に沿って解説しています。ビザ面の不安を先に解消しておきたい方におすすめです。
詳しくはこちらの記事をどうぞ。
11. プリセールスエンジニアのキャリアパスと向いている人

ここではプリセールスエンジニアのキャリアについて、また向いている人の傾向について解説します。
主なキャリアパス
プリセールスエンジニアの経験は、次のキャリアの幅を広げます。代表的な進路は次のとおりです。
- プロジェクトマネージャー:提案から要件定義までの経験を活かし、案件全体をまとめる役割へ。
- ITコンサルタント:技術とビジネスの両方の知識を活かし、上流の課題解決を担う役割へ。
- セールスマネージャー:営業チームを率いる役割へ。
- IT・DX企画部門:事業側で技術のプランを立てる役割へ。
プリセールスエンジニアに向いている人
次のような人は、プリセールスエンジニアに向いています。
- 技術だけでなく、顧客と話すことにやりがいを感じる人
- 自分の技術が売上や課題解決につながる手応えを得たい人
- 幅広い技術を学び続けることを楽しめる人
- 難しい内容を、相手に合わせてわかりやすく伝えられる人
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プリセールスエンジニアの経験は、その後のキャリアの幅を大きく広げます。
IT業界全体ではどんな進路があるのか、職種別のロードマップを20種類のパターンで整理しました。プリセールスを一つの通過点として、その先の将来設計を考える際の参考にどうぞ。
詳しくはこちらの記事をどうぞ。
よくある質問
プリセールスエンジニアはリモートワーク中心で働けますか?
企業によって異なりますが、厚生労働省 job tagでは、この職種は毎日出勤することが前提になっておらず、
テレワークが可能な企業が多いとされています。顧客への対応も訪問とオンラインを使い分けるのが一般的です。ただし勤務形態は企業ごとに違うため、応募前に各社の条件を確認してください。
文系出身でもプリセールスエンジニアになれますか?
なれる可能性があります。厚生労働省 job tagでは、この職種は理系・文系に関わらず入職するとされています。
入職後に基本情報技術者などの資格を取得したり、営業経験にIT知識を組み合わせたりして活躍する人もいます。IT知識をどこまで身につけているかが判断のポイントになります。
まとめ:技術と営業をつなぐプリセールスエンジニア

プリセールスエンジニアは、IT技術と営業をつなぐ職種です。開発で培った知識を活かしながら、顧客の課題解決に直接関われる点が大きな魅力です。
厚生労働省のデータでも平均年収は約659万円、有効求人倍率は4.02倍と、需要が高く待遇も期待できます。一方でIT人材に占める割合は0.8%と少なく、技術と提案の両方ができる人材は高く評価されます。
日本人はもちろん、日本で働く外国籍エンジニアにとっても、開発から一歩進んで活躍の場を広げられる有力な選択肢といえます。
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